◆  市川自然博物館だより  ◆

2・3月号

特集 渡り鳥を見よう!!

市立市川自然博物館  1990年2月1日発行

特集記事 市川のこん虫 むかしの市川 行徳野鳥観察舎だより



特集記事



特集 渡り鳥を見よう!! カット(sz031.gif、約2KB)


『渡り鳥』で季節を知る

  冬から春に向かうこれからの時期、市川ではさまざまな野鳥の「渡り」を観察することができます。
  2月の下旬から3月になると、冬鳥たちの美しい夏羽を見ることができるようになります。カシラダカの雄は頭が黒くなり、シメのくちばしも鉛色に変わります。水辺ではユリカモメの頭が黒くなり、一段とおしゃれな姿に変身します。
  3月下旬になるとツバメなどの気のはやい夏鳥たちが南の国から渡ってきます。市川では、行徳の野鳥保護区で例年3月末に渡来したツバメの群れが見られます。ツバメは渡来後しばらくは、アシ原などで羽を休め、次第に郊外から街の中へと巣作りのために姿をあらわします。自然博物館のある大町では、昨年4月1日にツバメの姿を初めて見ました。市街地の八幡では、その2〜3日後にツバメの姿が見られるようになりました。
  渡り鳥を初めて見た日を初認日といい、ツバメの初認日は、春の訪れを知る大切な目安になります。今年は、皆さんの身の回りでいつツバメを見ることができるようになるでしょうか。ぜひ注意して観察してみてください。
  ツバメなどの夏鳥の渡来と入れ替わりに、冬鳥たちがいよいよ北国へと旅立ちます。渡り鳥が旅立った日、すなわち最後に見た日を終認日といい、やはり季節のうつろいを知る手がかりになります。
  4月に入ると夏鳥がぞくぞくと渡来してきます。市川でも山地に向かうメボソムシクイやキビタキ、オオルリ、カッコウ、ホトトギスといった夏鳥の姿を見ることができます。また干潟では、北へ向かうシギやチドリの仲間の旅鳥が美しい夏羽で姿を見せ、羽を休めていきます。こうした渡り鳥は、なぜ日本に渡ってくるのでしょうか。

ツバメ(sz035.jpg、約19KB) コアジサシ(sz036.jpg、約11KB)

夏鳥・ツバメ          夏鳥・コアジサシ

キアシシギ(sz037.jpg、約17KB) ヒドリガモ(sz038.jpg、約13KB)

旅鳥・キアシシギ        冬鳥・ヒドリガモ

渡り鳥のルート(sz032.gif、約10KB)

『渡り鳥』ってなあに?

  鳥の「渡り」とは、卵を産み、雛を育てる繁殖をする地域と、冬を越す越冬地との往来のことを意味します。
  鳥を渡りのしかたによって、冬鳥、夏鳥、旅鳥、漂鳥、留鳥、迷鳥の6つのグループに分けることができます。
  冬鳥は、秋に越冬のために北方のシベリヤや中国大陸から日本に渡来し、春に再び北方の繁殖地に帰る鳥です。
  夏鳥は、春に南方の東南アジア方面から日本に渡来して繁殖し、秋から冬にかけて越冬のため、再び南方へ帰る鳥です。
  旅鳥は、日本より北方の繁殖地と南方の越冬地を往復する渡りの途中に、日本を中継地として春秋の一時期だけ出現する鳥です。
  漂鳥は、日本の国内の山地や寒地で繁殖し低地や暖地で越冬する鳥で、国内での短い渡り(移動)をするものです。
  留鳥は、一年中、同一地域に留まり繁殖や越冬をする鳥です。私たちの身の回りで普段よく見ることができる鳥は、大部分留鳥です。
  迷鳥は、本来の棲息地や渡りのコースからはずれて、まれに日本に出現する鳥です。
  普通、冬鳥、夏鳥、旅鳥を「渡り鳥」といいます。

渡り鳥とともに

  野鳥は、環境の変化に敏感です。渡り鳥が毎年同じように数千キロに渡る旅をして日本へ渡ってきてくれるかどうかが、私達の身の回りや地球全体の環境がぶじであるかどうかを教えてくれているのです。

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市川のこん虫




オオカマキリ

カット(sz033.gif、約3KB)   冬、草むらの枯枝に球形で薄茶色をした「泡」のような物をよくみかけます。さわるとフワッとしていてちょうど、昔の駄菓子屋で売っていた「ふ菓子」のようです。これは、カマキリの「卵鞘(らんしょう)」または「卵嚢(らんのう)と呼ばれるもので、カマキリはこの中に数多くの卵を産み、卵を冬の厳しい寒さから守っています。
  卵鞘は、カマキリの種類によってその形や産卵場所が異なります。上の絵のような球形の卵鞘を植物の枯枝や茎に産みつけるのは、「オオカマキリ」という大型の種で、市内で最も普通のカマキリです。オオカマキリの卵は翌年の春にいっせいにふ化し、ゾロゾロとものすごい数の赤ちゃんカマキリが、卵鞘からはい出してきます。この赤ちゃんカマキリは、脱皮を繰り返して成虫になります。

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むかしの市川




市川の海、その昔

  昭和20年代、市川市の南の端はまだ東葛飾郡南行徳町でした。当時の海岸線は新浜御猟場の南の縁、行徳野鳥観察舎、塩浜橋を結ぶ線で、そこには高潮を防ぐための防潮堤が作られていました。
  この防潮堤の外は、岸にそってアマモが生え、その先は数キロも続く遠浅の海で、沖の方ではアサクサノリの養殖が行われており、干潮時には広々とした干潟が現れました。この干潟にはアサリやハマグリのほか、オオノガイ、サルボウ、マガキ、カガミガイ、オキシジミ、バカガイ、シオフキ、イボキサゴ、イボウミニナ、カニモリガイ、カワアイガイ、アラムシロガイ等たくさんの貝のほか、タツノオトシゴやヨウジウオなどのおもしろい形の魚や、恐ろしい毒を持ったアカエイもいました。いろいろなカニやシャコ、アナジャコなどもたくさんいたのです。
(博物館指導員  玉置善正 記)

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行徳野鳥観察舎だより



カット(sz034.gif、約8KB)

赤い実、大好き

  禽舎近くのトキワサンザシの実は、小鳥たちの大好物だ。大柄のドバトは屋根から首をのばし、届くところの実を青いうちに食べつくしてしまった。まっ赤に熟した実は、茂みの上側からはすぐ姿を消したが、下側ではまだ手つかずのまま残っている。
  理由は簡単。茂みの下には猫がよく隠れているので、とげだらけでぎっしりしげった枝をくぐって実をとるには、よほどうまく立ち回らないと命があぶない。でも、一年で最も餌が乏しいこの季節には、そんなことを言ってはいられない。ヒヨドリやツグミ、スズメなどが入れかわりにもぐりこんでは、用心しながら一度に数粒ずつ実をつまんでいる。実がきれいになくなる日も遠くないことだろう。

(文と絵:行徳野鳥観察舎 蓮尾純子 )

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