◆  市川自然博物館だより  ◆

4・5月号

特集 春の花ウォッチング

市立市川自然博物館  1990年4月1日発行

特集記事 市川のこん虫 むかしの市川 行徳野鳥観察舎だより



特集記事



特集 春の花ウォッチング

  『よく見れば なずな花さく 垣根かな』
  これは芭蕉の句です。春の訪れとともに私たちの身のまわりの雑草たちも、可愛らしい花を咲かせています。身近な雑草の花を観察してみましょう。

オオイヌノフグリ

  春の訪れを真先に知らせてくれるのはオオイヌノフグリです。コバルト色の美しい花です。花は平らに開き、深く4片に裂け、上の裂片が大きく、下の裂片が小さく、基部は合着して短い筒になっていて、合弁花であることがわかります。花の中央に、めしべを中にして、2本のおしべが向き合うように出ています。

オオイヌノフグリ群落(sz041.gif、約29KB) オオイヌノフグリ花(sz042.gif、約16KB)

   左:オオイヌノフグリ群落    右:オオイヌノフグリ花

ホトケノザとヒメオドリコソウ

  畑のまわりには、ホトケノザとヒメオドリコソウが紅紫色の花をつけているのが目につきます。どちらも唇形花をしたシソ科で、同じ仲間です。春の七草のホトケノザは、キク科のコオニタビラコのことで、この種類とは別のものです。

ホトケノザ(sz043.gif、約33KB) ヒメオドリコソウ(sz044.gif、約39KB)

   左:ホトケノザ    右:ヒメオドリコソウ


タンポポの見分け(sz047.gif、約7KB)

タンポポのなかま

  春の花の代表は、タンポポでしょう。市川で見られるタンポポには、カントウタンポポ、セイヨウタンポポ、アカミタンポポ、シロバナタンポポなどがあります。
  いちばん多いのがセイヨウタンポポで、花のいちばん外側にある緑色の総苞外片(ソウホウガイヘン)がそり返るのが特徴です。ヨーロッパ原産の帰化植物で、強い繁殖力で日本全土に広がっています。
  アカミタンポポはセイヨウタンポポに近いもので、果実がレンガ色になりますこれも外国からきた種類です。
  カントウタンポポは、総苞外片がそり返りません。草原に生えますが、カントウタンポポが生えるような草原は、今では少なくなりました。シロバナタンポポは、花が白色で、全体に大形です。

セイヨウタンポポ(sz045.gif、約21KB) カントウタンポポ(sz046.gif、約20KB)

   左:セイヨウタンポポ    右:カントウタンポポ


ハルジオン群落(sz048.gif、約30KB)

ハルジオンとヒメジョオン

  道ばたやあき地など、どこにでも見られるキク科の雑草に、ハルジオンとヒメジョオンがあります。この両者はたいへんよく似ていますが、二つを見比べるとその違いがよくわかります。
開花期
 ハルジオンは4月から咲き始めますが、ヒメジョオンは5月下旬からです。
 ハルジオンの茎は中空ですが、ヒメジョオンは、白色のずいで満たされています。
 ハルジオンの葉は基部が広がって茎を抱くようについています。ヒメジョオンは葉の基部が次第に細くなって茎につきます。
その他
 ハルジオンのつぼみは、うなだれています。ヒメジョオンは越年草または一年草ですが、ハルジオンは、株が分かれて小苗をつくり、これで越冬する多年草です。

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市川のこん虫




モンシロチョウ

カット(sz049.gif、約4KB)   モンシロチョウは、誰でもその姿や名前を知っています。この‘モンシロチョウ’という名前ですが、「黒い紋(もん)のついた白いチョウ」ということでつけられました。本当にそのチョウの特徴を表現した、良い名前ですね。
  モンシロチョウは、年4回出現し、幼虫はアオムシと呼ばれ、キャベツやダイコンの葉を食べ荒らすので、農家の人から嫌われています。
  ところで、最近市内ではモンシロチョウの数が減っており、それにかわってモンシロチョウによく似たスジグロシロチョウが目につくようになりました。このチョウは、その名の通り羽にある黒いすじが目立ち、もともと林のへりなどうす暗い所で生活していました。幼虫は、よく道ばたなどに生えているタネツケバナやイヌガラシなどを食べているので、今後ますますその数が増えるでしょう。

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むかしの市川




バチのはなし

カット(sz04a.gif、約3KB)   昭和30年頃まで、市の南部には稲田や蓮田が海岸まで広がっていました。その間にいくつかの「せき」と呼ばれる水路が通じていました。毎年、10月、11月の大潮の夜、特に月の出ない晩には、このせきの辺りにアセチレンランプを手にした大人やこどもが現れました。
  暗闇の中でせきの水面をランプで照らすと、白く細長い虫のようなものが泳いでいます。これを目の細かい網ですくいとります。たくさん取れると人々はホクホク喜んで家へ帰ります。次の日、これを釣り具店に持っていくとよい値で買い取ってくれるのです。
  これがバチといって、よい釣り餌なのです。バチはイトメという多毛類が成熟して、産卵のために水中に泳ぎだしたものなのです。自然と密着して暮らしていた人々にとって、バチ取りは楽しい年中行事の一つでした。
(博物館指導員  玉置善正 記)

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行徳野鳥観察舎だより



カット(sz04b.gif、約6KB)

アカガシラサギ

  夕方になると、観察舎前の護岸堤にはゴイサギがずらりと並ぶ。冬は獲物が少ないため餌場の魚のアラをあてにしているのだ。
  2月24日のこと、アカガシラサギが1羽護岸堤に止まっているのを見つけた。一見ゴイサギの若鳥を小さくしたような褐色の鳥で翼と尾が白い。当人は白鷺の仲間のつもりらしく、コサギの小群と一緒に飛び立った。下りている時は、褐色でゴイサギそっくりなのに、飛ぶと真っ白なコサギにまぎれて、見分けられなくなる不思議さが印象的だった。
  アカガシラサギは、記録がごく少ない珍鳥。千葉県初の繁殖が昨年発見されたばかりだ。1月以来保護区にとどまっている1羽に、お連れが来ないかと楽しみにしている。

(文と絵:行徳野鳥観察舎 蓮尾純子 )

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