◆  市川自然博物館だより  ◆

6・7月号

特集 干潟をあるこう

市立市川自然博物館  1990年6月1日発行

特集記事 市川のこん虫 むかしの市川 行徳野鳥観察舎だより



特集記事



特集 干潟を歩こう

  春から初夏にかけては、潮干狩のシーズンです。この時期の大潮の干満の差は一年中で最も大きく、特に昼の干潮時にたくさん引くので、長い時間広い干潟が現れるのです。
  潮干狩というと、もっぱらアサリ採りと考える人が多いのですが、干潟には、その他にも実に多くの生物が暮らしています。江戸川放水路は海水が入り込む入江になっていて、両岸には広い干潟がひろがります。みなさんも、放水路の干潟を歩いて、そこの住人たちと知り合いになってみませんか。

カニ・ウォッチング

カット(sz051.gif、約4KB)

  干潟を歩いてみても、まわりにカニの姿はなかなか見られません。しかし、巣穴らしきものはたくさんあります。カニの作った砂の団子も散らばっています。
  こんなときは、歩くのをやめてしばらくじっとしていましょう。すると、あちこちの穴からカニたちがでてきます。ヨシの生えた所に住むのはアシハラガニやクロベンケイガニ、砂泥地のやや大きな穴にはヤマトオサガニ、小さい穴にはチゴガニやコメツキガニがいます。チゴガニは大勢そろって万歳をするので、思わず笑ってしまいます。

貝類ウォッチング

  アサリは食用としてよく知られています。アサリの特徴は貝殻の模様がさまざまなことです。このほか砂の中に数多く見られる二枚貝は、オキシジミとシオフキです。どちらも4cmぐらいの丸くふくらんだ貝で、アサリのような模様はありません。オキシジミは、黒〜紫色ですがシオフキは紫がかった褐色をしています。
  このほかに、ハナモグリガイ(黄褐色)、カガミガイ(白色)、オオノガイ(白色だが黒色の殻皮をかぶっている)、マテガイ(黄土色)などの貝もいます。以前はハマグリがたくさんいたのですが、最近全くといってよいほどいなくなりました。
  これらの二枚貝はどれも砂泥の中にもぐっていて、満潮で水のあるときには、入水管と出水管という2本の管を砂の中から外に出し、海水を吸い込んで、そのなかのプランクトンを食べたり呼吸したりしています。アサリやシオフキは浅くもぐっていて、この管が短いのですが、深くもぐっているオオノガイは、この管を30cmも伸ばしているのです。
  干潟にいる巻貝は、細長いイボウミニナやウミニナ、それに小さく短いアラムシロガイが主なものです。これらの巻貝の死殻のなかには、しばしばホンヤドカリという小さなヤドカリが入っていて、ごそごそと干潟をはいまわっています。ヤドカリはカニに近い仲間です。

カット(sz052.gif、約10KB)


そのほかの動物

  干潟の砂泥を掘ると、釣り餌になるイトメやゴカイが出てきたり、もっと大きいクロムシが出てきたりします。満潮のとき流されてきて、そのままとり残された、寒天のようなミズクラゲも見つかります。

海藻の仲間

  干潟で一番たくさん見られるのは、緑色をしたアオサです。そのほかには、お刺身のつまになるオゴノリも見られます。オゴノリは、生きている時は褐色ですが、アクぬきをすると鮮やかな緑色に変わります。寒天の材料としても使われます。

  干潟へでかける時は、干潮の時刻を調べておくとよいでしょう。干潮の前後2時間くらいが、いちばん観察に適しています。

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市川のこん虫




アオオサムシ

カット(sz053.gif、約3KB)   オサムシの仲間は、マイマイカブリやエゾカタビロオサムシなど、日本に数種類います。アオオサムシはその中でもごく普通に見られ、市内では大町周辺や柏井雑木林などの地面の上をよくはいまわっています。生きている昆虫や動物の遺体などに集まって食べているのを時々みかけます。
  さて、このオサムシという名前ですが、この虫の形に由来しています。昔、手機(てばた)で布を織る時に使った「おさ」に形がとてもよく似ていたので、「おさ・むし」と呼ばれたのです。
  アオオサムシは敵に会うと、目に入ると激痛がある白い毒液をお尻から敵めがけて噴出し、身を守ります。冬になると、土の中に穴をほり、そこで冬越しをします。

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むかしの市川




国府台のキツネ

カット(sz054.gif、約4KB)   国府台5丁目に在住の石井与吉さん(76)から聞いた話です。
  子供の頃、今の国府台小学校のあたりは、深い雑木林で、直径50cm位のキツネの穴が20個ほどありました。穴の外にはガマガエルなどを食べたあとがちらかっていて、怖くて近寄れませんでした。
  ススキの原には"キツネの遊び場"といって、円形に草がなぎ倒された場所があり1日に1〜2個所は見つかります。キツネはかなりいたようで、夜になるとよく鳴き声が聞こえてきました。
  その頃は、軍隊の練兵場があって、朝はよくキツネが遊んでいました。多い時は、20匹もいた時がありました。近くでよくニワトリがキツネにやられるので、キツネ退治をやろうと、大人が10人位集まって、キツネの穴を煙でいぶしましたが、キツネはでてきませんでした。キツネは昭和12年頃までいたようです。
(博物館指導員  大野景徳 記)

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行徳野鳥観察舎だより



カット(sz055.gif、約3KB)

キョウジョシギ

  「この鳥は、ニューギニアやオーストラリアの方から渡ってきて、アラスカに向かいます。片道だけで1万キロも飛ぶんですよ。」
  茶・黒・白と色あざやかなキョウジョシギを見つけると、うれしくて説明に力がはいる。渡りの時期に東京湾に立ち寄るが、1羽の滞在期間は春は数日、秋は数週間程度だろう。5月末に繁殖地に到着してから産卵・抱卵・子育てを2カ月あまりで終え、8月には再び南へ旅立つ。見るからに気ぜわしい鳥だ。
  短めの嘴をてこに使って、汀の土くれや石をぱっぱっとひっくり返し、裏側にひそむ小動物を餌にする。引き締まった小ぶとりの体は120 グラムそこそこだが、秘められたエネルギーははかり知れない。壮大な旅に幸運を。

(文と絵:行徳野鳥観察舎 蓮尾純子 )

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