◆  市川自然博物館だより  ◆

2・3月号

特集 冬は街なかで自然観察しよう

市立市川自然博物館  1991年2月1日発行

特集記事 市川のこん虫 むかしの市川 行徳野鳥観察舎だより



特集記事



特集 冬は街なかで自然観察しよう

  冬は寒くて、生き物の姿も少ない季節。野外での自然観察もついついおっくうになってしまいます。しかし、春はもうすぐ。体ならしをかねて、街中を歩きながら自然観察してみましょう。
街路樹の上に(sz101.gif、約38KB)

上を向いて歩こう

  街には、数多くの街路樹が植えられています。街路樹を1本1本よく観察すると、かわったものが見つかるかもしれません。さあ、上を向いて歩こう。
  観察するポイントは、街路樹の幹から枝分かれしている部分や、太い枝がふたまたになっているところ。こうした部分に小枝が重なりあってのっていたりしたら、要注意。鳥の古巣かもしれません。
  鳥たちの繁殖の時期には、巣に近づいてのぞきこんだり、触れたりできませんが、繁殖が終わって街路樹に放置された古巣は、再び利用されることはほとんどなく、巣の形や材料などをじっくりと観察できます。秋、まだ街路樹に葉が残っている時にはなかなか見つからなかった古巣が、冬にはとても見やすくなるのです。
[写真:赤円内の矢印部分にカワラヒワの古巣がある]


恐れ入りますが、このページはイメージマップを使用しています。 「ヒヨドリ古巣」写真へリンク 「キジバト古巣」写真へリンク


  古巣を見つけたら、大きさや形を観察してみましょう。街路樹によく巣を作るのは、キジバト、ヒヨドリ、オナガ、カワラヒワなどです。これらの鳥の巣は、大きさや形からすぐに判別できます。

「ヒヨドリ古巣」写真 「キジバト古巣」写真

  次に巣の材料にも注目。キジバトは普通細い小枝を重ねた皿状の巣を作りますが、自然博物館の観察例では、針金だけでできたものや、芝生のシバの茎だけのもの、シュロ縄のような紐状のものを集めたものなど、さまざまです。
  街の野鳥の生活を知るうえで、古巣の観察はいろいろなことを教えてくれ、興味がつきません。


下を向いて歩こう

  街路樹の根元や植え込み、公園のかたすみなどでは、根ぎわから放射状に葉を何枚も出して地面にはりついている植物が、いろいろと目につきます。これは、ロゼット植物といい、地面にはりついていると温度の変化がゆるやかで、寒さに耐えやすいのです。
  ロゼットをつくる植物は、ハルジオンやヒメジョオン、ヒメムカシヨモギ、オオアレチノギク、ノゲシのなかま、マツヨイグサのなかま等数多くあります。
  ロゼット植物は冬の間、じっと眠ったままのように見えますが、じつは、ひと冬で驚くほど成長していて、春の準備をしています。春になると急速に草たけを伸ばすのです。

ハルジオンのロゼット(sz106.gif、約54KB)ノゲシのロゼット(sz107.gif、約46KB)


 (左)ハルジオンのロゼット   (右)ノゲシのロゼット


街は生きている

  冬でも街は生きていて、古巣やロゼット植物などの観察ばかりでなく、身近な場所でさまざまな生き物の営みを観察することができます。街中で生き物たちは、冬をどのように過ごしているのでしょうか。街へ観察にでかけましょう。

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市川のこん虫




タテハチョウ

  タテハチョウはハネの大きさが中型から大型のチョウで、市内では十数種類記録されています。このうちもっとも普通に見られるのは、キタテハとルリタテハです。
  キタテハは、橙褐色の地に黒褐色の斑紋をちりばめた模様です。ルリタテハは、黒藍色のハネに青色の一本線がはいっています。これらのチョウのハネの裏は、表に比べかなり地味です。しかもへりがギザギザで、ハネを閉じて地面にとまっている姿はちょうど枯葉のように見えるので、鳥などの外敵から身をまもる役目をしています。
  またこれらのタテハチョウは、さなぎではなく成虫で越冬するので、暖かい日に飛んでいるのを見かけることがあります。越冬したチョウはハネの色も薄く、ボロボロの姿です。みなさんもこれから3月ごろにタテハチョウを見かけたら、ハネがどんなようすかよく見てみましょう。

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むかしの市川




市川のリス

カット(sz108.gif、約5KB)   今では、市川市内でリスを見かけることはほとんどなくなりました。昭和59年の北国分からの報告が最後のようです。
  昭和一ケタ時代に、「遠足で里見公園に行ったら、たくさんのリスが木から木へと跳び交っていた」というお年寄りの話も聞きました。その頃は、新田あたりまで姿を見せたそうです。真間山では昭和8年、八幡の八幡神社境内でも昭和10年にリスがいたという報告があります。
  国府台から北国分にかけてと、中山法華経寺から北方3丁目の子の神社周辺にかけては樹林が多かったので、昭和30年代まではたしかにいたようです。
  柏井や大町付近では、今でもいるという話を聞きますが、実際には見ていません。確実な情報があったらお知らせください。
(博物館指導員 大野景徳 記)

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行徳野鳥観察舎だより



カット(sz109.gif、約2KB)

たくましいハクセキレイ

  野鳥病院兼管理人宿舎となっていた観察舎旧館は目下建て替え工事中。建物が取り払われて裸になった地面にハクセキレイがさっそくやってきて、いそいそと餌を探している。
  畑や河原、海岸などの裸地が好き。関東では冬鳥だったが、20年ほど前から少数が工場の中、護岸のすきまなど人工物に巣をつくるようになった。駅前のビルや街路樹に集団でねぐらをとり、話題を呼ぶこともある。
  師走の湾岸道路。赤信号で車が止まった一瞬、道路の中央にハクセキレイが舞いおりた。信号が変わり、自動車の大群が轟音を上げて左右からせまる。あぶない!しかしハクセキレイは自信たっぷりにゆうゆうと飛び立った。都会派の鳥の度胸に脱帽。

(文と絵:行徳野鳥観察舎 蓮尾純子 )

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