市立市川自然博物館 2005年10月1日発行

     

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 くすのきのあるバス通りから  自然博物館のめ  わたしの観察ノート

 


 

特 集
 
保護の取り組み

 


 

  6年生の国語の教科書に「社会に目を向けて」という教材があります。
 文字通り6年生が社会に向ける目を養うという教材で、内容は子どもが千葉市の鳥・コアジサシの保護について調べ、考えをまとめていくというものです。
 生き物の保護や環境の保全というテーマは、子どもたちにとっては、とても身近な社会問題のようです。

      

 

自然の話題が多い、国語の教科書

 自然について扱う教科というと生活科や理科が思い浮かびますが、意外に取り上げられているのが国語です。市内の公立小学校で使われている教科書を調べてみると、つぎのような内容が取り上げられていました。

 1年生 
  「なにがかくれているのでしょう」    昆虫の擬態や保護色を写真で紹介 
  「うみへのながいたび」           ホッキョクグマの子育て
 2年生 
  「すみれとあり」                   アリによるスミレの種子散布
  「鳥のちえ」                      カラス、ササゴイ、ヤマガラの餌にまつわる行動
    「さけが大きくなるまで」                回遊魚であるサケの一生
 3年生 
    「かんさつしたことを」                   昆虫の飼育観察をまとめる   
    「めだか」                                  天敵や季節変化に対するメダカの対応
    「森のスケーター やまね」           ヤマネの生き残り術
    「広い言葉、せまい言葉」             生物の分類を表す言葉の概念
 4年生
    「花を見つける手がかり」             モンシロチョウの花色識別実験
    「とんぼの楽園づくり」                  とんぼ池によるトンボの保護
 5年生
    「森を育てる炭作り」                    炭作りが果たす森林保全の役割
 6年生
    「社会に目を向けて」                   コアジサシの保護

コアジサシの写真

コアジサシ

  

  

 

個々の生き物から環境へ

 自然を扱った国語の教材の流れを見てみると、身近な生き物、なじみの生き物に目を向ける低学年、個々の種類や分類群の生態や習性を掘り下げる中学年、生き物を取り巻く環境にまで視野を広げる高学年と、学年に応じて内容が工夫されています。
 国語全体として意図されているのかどうかはわかりませんが、この流れは、自然について学んでいくためのプロセスとして見ても理にかなっています。 
 実際、3年生の「めだか」や4年生の「とんぼの楽園づくり」などでは、理科や総合的な学習まで含めた横断的な学習に発展する場合もあり、特に「とんぼの楽園づくり」では自然博物館へもたびたび講師の要請がなされています。
 標本や写真を使った出張授業は、はた目には国語に関連した授業には見えないかもしれません。
 また、5年生の「森を育てる炭作り」では炭作りが林の保全につながることが述べられています。
 特に薪炭林が、木の伐採とその後の萠芽更新によって維持されているという内容は、昨今言われている里山の保全に通じる内容です。
 6年生の「社会に目を向けて」では、コアジサシそのものよりも、その保護に関する内容に力点が置かれています。なぜ減少したのか、保護するためにはどうすればいいのか……。
 小学校5、6年生から中学生くらいでは、絶滅に瀕する生物に関心を寄せる子どもが多く、自然博物館のホームページの絶滅危惧種を扱ったコーナーを使って調べ学習を行っている学校もあるようです。

  

 

  

 

 

市川市内でのいくつかの事例

 6年生の事例では、実際に千葉市で行われているコアジサシの保護が取り上げられていました。
 しかし、もっと身近にも絶滅に瀕する生物を保護する取り組みがあります。
 市民が中心となった事例もあれば、行政による取り組みもあります。
 ここでは、自然博物館がなんらかの形でかかわっている事例について、いくつか紹介します。

1.フジバカマの保護

 フジバカマは河川敷などに生育する野草で、全国で絶滅が心配されています。
 博物館では、江戸川に新しい堤防が建設された際、工事によって埋まってしまう株を保護して、市民の方に里親になっていただくという取り組みを行いました。
 堤防完成後には株を現地に戻し、工事の範囲外にあった群落とあわせて、その後も保護を図っています。
 また、工事中は「フジバカマ通信」を発行して里親さんへの情報提供を行いました。 

フジバカマ通信の写真

フジバカマ通信


2.アオカワモヅクの保護

 長田谷津の水路に自生する淡水性の藻類・アオカワモヅクは、一時、わずか2株しか確認できない状態にありました。
 その後、減少の原因となった水質悪化を改善するために、上流部の池にいた 400匹のコイを移動させたり、水路脇を走る汚水管の詰まりを頻繁に解消するようにしたため、対策実施後は50株、100株と 順調に数を増やしました。 

アオカワモズクの写真

アオカワモズク

 

3.イノカシラフラスコモの保護

 車軸藻類の一種であるイノカシラフラスコモは、現在、市川市内のただ1ヶ所だけが、全国で唯一の生育地とされています。
 その保護のために、生育地を管理している市民団体の協力のもと、保護保全のための検討委員会を設置し、生育環境の分析や群落の増殖などの対策を進めています。
        

4.トビハゼの保護

 江戸川放水路に生息するトビハゼは、東京湾のトビハゼ個体群として絶滅が心配されています。
 かつて護岸工事によって生息地である干潟が失われることになった際には、市民・行政が一体となって保護に取り組み、生息に適した干潟の造成や工事期間中のトビハゼの飼育などに取り組みました。
 現在では、江戸川放水路でのトビハゼの生息は安定し、特別な取り組みは行われていませんが、保護が必要な魚であるとの認識は徹底され、さまざまな形で常に配慮が払われるようになりました。   
     

5.ヒヌマイトトンボの保護

 江戸川の行徳橋付近のアシ原だけに生息する小型のトンボ・ヒヌマイトトンボは、将来の実施が計画されている堰の改築によって、生息地が失われる可能性があります。
 そのため、江戸川産のヒヌマイトトンボが失われることのないよう、行政が主体となり、研究者などの支援を得て、ヒヌマイトトンボの継続飼育と、代替のアシ原による新生息地造成が進められました。
 保護策の成果が確認されるのはまだ先ですが、地元の小学生がヒヌマイトトンボ飼育舎を訪れ、めったに見ることのできないトンボを間近に観察するなど、今後も地域を挙げての取り組みが進められることが期待されます。

ヒヌマイトトンボの飼育舎での観察会

飼育舎での観察

    

   

 

 

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街角自然たんぽう

きこくぶん
北国分・北国分の緑地
北国分第4緑地の風景写真

 北国分には、市川の緑を残していくために第1〜4緑地があります。
 その中でも第4緑地は、広い雑木林になっており、春から秋にかけて、野草の花や実をゆっくりと観察しながら散策することができます。
 クヌギやコナラなどの木々がたくさんあり、秋にはドングリを拾うのには良い場所になっています。
 また実のつく植物も多く、秋から冬には野鳥たちの休息地になっており、バードウォッチングにも最適です。

 

 

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博物館でこんないきもの飼ってます

 生き物の暮らしを知るには、野外で観察する方が、もちろん良いのですが、飼育しているからこそ観察できることもたくさんあります。
 このコーナーでは博物館で飼育している生き物の、飼育下ならではのちょっと変わった行動などを、実際の飼い方と併せてご紹介します。

 

 コイ科  モツゴ

モツゴの飼育水槽の写真

大きな水槽でいろいろいっしょに飼っています。

 「クチボソ」の呼び方のほうが馴染みのある方も多いと思います。
 群れる性質は野外でも水槽の中でも同じで、ほとんど一ヶ所に集まっています。
 そのため、一見すると臆病そうですが、意外と大胆な面があります。
 餌を入れると、一緒に飼っている体の小さなカダヤシを蹴散らし、ザリガニがすでに抱え込んでいる魚の切り身を横からつつきます。
 大きなハサミを振り上げたすきをねらって横取りし、口先で押すようにして運びます。

       

こんなふうに飼っています  

  
※ ※ ※ レイアウト ※ ※ ※  

・ 隠れ場所
   な ど
 

 金魚を飼うようにして飼えます。物陰に隠れたりはあまりしないので、隠れ場所などは特に作っていません。むしろ、広い水域が好きなので、水草を水面に浮かべるぐらいにして、ごちゃごちゃしないほうが良いようです。

・ 容器など …

 飛び跳ねて水槽から出てしまうので、蓋は必ずします。
 照明はあったほうが、魚がきれいに見えます。

・ その他 …

 中ほどの深さに集まっているので、水底で暮らす生き物、例えばドジョウやアメリカザリガニなどを同じ水槽で飼うことができます。


※ ※ ※ 餌 ※ ※ ※  

・ 毎日1回、金魚用のえさや乾燥エビの粉をたっぷりやります。
  ほかに週に2回、解凍した冷凍アカムシを数分で食べきる量をやります。 

 

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くすのきのあるバス通りから ヘビの抜け殻?

 9月の末に気温が30℃を越し、次の日は急に涼しくなりました。
 キンモクセイの花の香りがその日からいっせいにあちこちでしています。
 庭のシソの花に、シジミチョウや小さなハチがよく来ます。
 娘が「ヘビの抜け殻がある。」と言うので、見ると5cm位のものが穂のあたりに引っかかっています。
 茶色で、逆立っているようなウロコの背中が割れていて、手があったらしい穴があります。どうやら、カナヘビのようです。衣替えだったのでしょうか。
 庭に埋めたギンナンを取り出してみましたが、果肉が取れていません。袋に入れて剥いて取り除いたほうが早かったかな。   (M.M.)

カナへビの写真

これがカナヘビ(写真は自然博で撮影したもの)

 

 

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自然博物館の

博物館のめ


カネタタキ科  カネタタキ

カネタタキのオスの写真

カネタタキのメスの写真
 オス。背中に翅がある。 メス。翅は退化し、全身、褐色。
アベリアの植え込みの写真 カネタタキ市内分布図
身近な植え込みで昼間から鳴く。  市内全域に幅広く生息。

 

 

 

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • フクロウを3羽見ました(7/15)。1羽は頭がまだ灰色がかって見え、若鳥のようにみえました。

        宮橋美弥子(自然博物館)

  • あちこちでヘイケボタルの光が見られるようになりました(7/27)。昼間、蒸し暑いくらいの方がよく飛びます。

        小川 晃(自然博物館)

  • キイロスズメバチがアブラゼミの死骸を解体していました(8/23)。園内をひと回りして戻ってきたら、まだ解体を続けていいました。巣と何度も往復したのでしょう。

        金子謙一(自然博物館)

大町周辺より

  • 松飛台駅付近の広場にツマグロヒョウモン♂が一頭みつかりました(7/15)。観察園内でも見られることでしょう。

        土居幸雄さん(大町在住)

  • 昼過ぎ頃、梨畑の方からアブラゼミの鳴き声が聞こえてきました(7/17)。

        西 博孝(自然博物館)

柏井町より

  • シナガワハギが咲いてました(8/15)。大柏川(リハビリパーク入口付近)。黄色い小さい花から、甘い香りがほのかに漂っていました。

        吉田 毅さん(柏井町在住)

堀之内貝塚周辺より

  • ヒグラシが鳴き始めました(7/13)。

        池田真由美(歴史博物館)

  • フクロウ1羽がとまっていました(7/23)。 あたりで、換羽により落下した風切羽を2本拾いました。7月30日には、すぐ近くの枝にツミ1羽がやって来てフクロウを威嚇しました。ツミは、しきりに鳴き声を出しましたが、フクロウはまったく相手にしませんでした。

じゅん菜池公園より

  • なんと今年初めてとなるカワセミ(♂) 1羽を見ました(7/23)。

江戸川河川敷周辺より

  • 水面すれすれを、2羽のイソシギが声を出しながら下流方向へ飛びました。

     以上 根本貴久さん(菅野在住)

  • 江戸川坂側でカンタン(♂)がメマツヨイグサにとまっていました(7/23)。

         道下 誠さん(中国分在住)

  ◆八幡より

  • 午後11時頃、市役所駐車場でウロウロしているハクビシンを見ました(8/10)。

         西山健二さん(市川在住)

  ◆江戸川放水路より

  • 水際に今年生まれの小さいトビハゼがたくさん飛び跳ねていました(8/27)。

         矢渕まゆみさん(春日部市在住)
気象のようす ◎梅雨明け後は猛暑の日が続きましたが、涼しい日もありました。

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