市川自然博物館だより 12・1月号(平成17年度)

市立市川自然博物館 2005年12月1日発行

     

 特集記事  街かど自然探訪  こんないきもの飼ってます
 くすのきのあるバス通りから  自然博物館のめ  わたしの観察ノート

 


 

特 集
 
流れる水の働き

 


 

 小学校の理科で地形や地層を扱う単元は少なく、5年生と6年生で1項目ずつがあるだけです。
 そのうち5年生では、流れる水の働きに注目しています。
 モデル化した実験を通しての学習が中心で、身近な事例とはなかなか結びつかないようですが、実は市川の現在見られる地形は、流れる水の働きによって形づくられてきたものです。

      

 

流れる水の働きを抑える

 人口の集中する市街地では、地表を自由に水が流れ、その働きが活発で地形が変化し続けているということは、そのまま災害に結びついてしまいます。
 そのため、流れる水の働きを抑えるように、河川改修が進められてきました。
 しかし、大小の川が流れ、海に接している市川は、昔から流れる水の働きの影響を強く受けてきました。
 現在見られる地形や地層の特徴からも、その様子を探ることができます
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水が土砂を運んで積もらせる

 ・海がつくった市川の大地の土台
 市川で地層の観察をすると、赤土(関東ローム層)の下に、きれいな縞模様の砂の層を見ることがあります。
 これは成田層と呼ばれ、数十万年前、現在の関東平野のほとんどが広くて浅い海だった時代に、深さや海水の流れが微妙に変化しながら、堆積したものです。激しい流れや波が少なく、静かに堆積したため、平坦な地層の重なりになっています。
 この成田層が土台になり、市川で現在見られる地形が、形づくられています。
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 ・上面が平らな台地
 市川の北部に広がる台地は、急な坂を登りきると、平坦になるのが特徴です。
 台地で見られる赤土は、陸地化した成田層の上に火山灰が降り積もってできました。
 平らな床に布団を敷くように、平坦な成田層の上に火山灰が空から均等に降ると、その上面も平らになります。
 海がつくった平坦な土地が土台になっているため、台地の上面も平らなのです。
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 ・平らな低地
 市川の南部には、標高2m程度の平らな低地が、東京湾まで広がっています。
 1万年から
数千年前の縄文時代には、海面が現在より数m上昇していたため、現在の市南部地域は海の底でした。
 このとき、海が大量の土砂を運んできて海底の凸凹を埋め平らにしていきました。
 その後、海面が下がって陸地になったのが、現在の市南部の低地です。
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水が削る

 ・谷をつくる
 1万年〜数万年前の氷河時代、海面が現在よりも100m以上下がり、現在の東京湾の海底も陸地になりました。
 海までの落差が大きくなると、地表を流れる水の勢いが強くなり、水が大地を削る力も強くなりました。
 この時代に、平坦だった成田層の上には、幾筋もの水の流れによって、たくさんの刻みが入れられていきました。
 小さな流れは、細長い小さな谷をつくり、現在の谷津のもとになりました。
 小さな水の流れはしだいに集まり、大きな流れになります。
 大きな流れは削る力も強く、現在の国分川、大柏川が流れる2つの大きな谷をつくりました。
 現在の谷底は広々として平らですが、これはその後縄文時代に、谷の中に入り込んだ水の働きで谷が埋められできたものです。
 氷河時代の谷底は、数十m地下に隠されていて、山岳地帯で見られるV字型のような地形をしています。
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 ・崖をつくる
 宮久保や須和田、国分などの北部の台地の縁は、崖になっていることがあります。
 これらは、縄文時代に海が台地の周辺にまで進入し、波があたることで削られ、急な斜面になりました。 
 現在、見られる崖は、その後の年月の風雨によって崩れているので、縄文時代に波がぶつかっていた海岸線より、後方にあります。
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水が削って運んで積もらせる

 ・市川砂洲
 名前のとおり砂地で、低地の中でも、周辺より2〜5m以上高い土地です。
 縄文時代
に、北部の台地が波によって削られた時、その土砂は遠くまで運ばれることなく、谷の出口付近に積もりました。
 さらに南側に広がる海が運んできた土砂も積もって、砂州ができていった考えられています。
 北からと南からの流れがぶつかりあって複雑な動きになり、周辺よりそこだけ高く、細長く土砂が堆積したのです。
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市川の地形と流れる水の働き(時代ごとにまとめた)図

 市川の地形と流れる水の働きを時代ごとのまとめた図

●流れる水の働きを抑えるに戻る
●水が土砂を運んで積もらせるに戻る
●水が削るに戻る
●水が削って運んで積もらせるに戻る
●嵐の日の長田谷津に戻る

 

 

 

 

 

嵐の日の長田谷津(大町自然観察園)

 谷津は、水の働きによって台地が刻まれてできた細長い谷ですが、普段は湿地の中の水路ぐらいしか流れは見られません。
 しかし、ひとたび大量の雨が激しく降ると、しみ込み切れない雨水が地表に流れを作ります。
 谷津には、さらに小さな谷が短い枝のようにあちこちにあります。
 ふだんは流れがないこれらの谷にも、周辺から雨水が集まり、流れが現われます。
 流れ出した水は、斜面では地表を削り、湿地に入る手前で水の勢いが弱まると、運んできた土砂を置いていきます。
 谷が盛んにつくられていた様子をうかがい知るとともに、現在でも谷がつくられ続けている事を知ることができます。
 長田谷津の最奥部の斜面も、大雨などによって何度も崩れています。
 この付近は、地形図を見ると国分川の上流の谷津と、大柏川の上流にあたる長田谷津が接近しています。
 谷が更に奥へ進もうとする力を、人工的に抑えなければ、谷津がどんどん延びていき、いずれは2つの川の上流部どうしが接してしまう、というようなことが起こるかもしれません。
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街角自然たんぽう

ぎょうとくえきまえ
行徳駅前・弁天公園
モミジバフウの木についたイラガのマユの写真
ヒロヘリアオイラガのマユ 

 11月も下旬になると、行徳駅前2丁目にある弁天公園のサクラやケヤキなどの樹木は落葉して、寒い冬に向かって準備を始めます。
 冬なにもいないと思っている公園の木々でもじっくり観察してみると、モミジバフウやケヤキの幹にはヒロヘリアオイラガのマユ、シラカシやツバキなどの葉の裏にはウラギンシジミの成虫、樹のウロや樹皮の中にはテントウムシやカメムシが越冬している姿を見ることができます。

 

 

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博物館でこんないきもの飼ってます

 生き物の暮らしを知るには、野外で観察する方が、もちろん良いのですが、飼育しているからこそ観察できることもたくさんあります。
 このコーナーでは博物館で飼育している生き物の、飼育下ならではのちょっと変わった行動などを、実際の飼い方と併せてご紹介します。

 

 サワガニ科  サワガニ

サワガニの飼育水槽の写真

ガラス越しに姿が丸見え。

 サワガニは、 野外だと落ち葉や朽木の下にいます。
 水槽に土を入れて飼うと、穴を掘ってぼこぼこにしてしまい、その中に隠れますが、姿が見えないので来館者には不評です。
 土を入れていない水槽では、姿を隠すというよりも、狭い隙間が好きなようで、レンガと水槽の間に挟まっているようにいたり、コケの下にもぐりこんだりしています。
 なぜか逆さまや斜めになっていたり、角の方でじっと伏せているだけのときもあります。

       

こんなふうに飼っています  

  
※ ※ ※ レイアウト ※ ※ ※  

・ 陸 地 

 水場と陸地をつくります。水は浅く、ひたひた程度です。陸地の土を多めにすると、もぐって姿が見えづらくなりますが、穴を掘る様子を観察するのもおもしろいです。レンガなどでも器用にのぼれるので使えます。

・  …

 エアーのチューブなどをのぼって脱走するので、必ず蓋はします。
 蓋のすき間もふさぎます。

・ 掃 除 …

 水はそれほど汚れませんが、様子を見ながら週に数回、水を替えてやります。食べ残しは、取り除きます。


※ ※ ※ 餌 ※ ※ ※  

・ 週に2〜3回解凍したワカサギのかけら(5o角ぐらい)や、アカムシを少量やります。
 慣れると、ピンセットからハサミで受け取ります。 

 

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くすのきのあるバス通りから 変な毛虫

 「変な毛虫がいる。」と、勝手に増えたスミレで、娘が見つけました。
 黒地に背中に赤い線で、赤と黒のトゲのある3〜4cmの幼虫が6匹いました。
 「茎を食べる時、ボリボリ音がする。」だそうです 。
 スミレをそばに植え、ムシを移してやったりし、昆虫図鑑を見ました。
 自然博にたずねると、どうやらツマグロヒョウモンの幼虫のようです。
 「南の蝶で、蛹になっても千葉の冬の気温では越冬できない。」とのことです。
 食草も食べつくし、ウロウロ這い回っていて、どこかで蛹になったかなと思っていたのですが、すぐ傍に、土にもぐろうとしているヒキガエルがいました。
 ひょっとしたら、カエルに食べられたかしら・・・。
  (M.M.)

ツマグロヒョウモンの幼虫の写真

ツマグロヒョウモンの幼虫

 

 

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自然博物館の

博物館のめ


カレイ科  イシガレイ

イシガレイの写真

砂にもぐって目をだしているの写真
 東京湾を代表するカレイの一種。 砂にもぐって目だけ出している。
イシガレイの稚魚の写真 イシガレイの市内分布図
春先、行徳沖では小さな幼魚が多い。  市域沖合いで幼魚が幅広く生息。

 

 

 

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • サシバが3羽上空を飛んでいきました(9/8)。一緒にいた小学生たちは、市川にタカの仲間がいることに驚いていました。
  • アオジが渡ってきました(10/21)。きれいな黄色い羽根が目立ちます。

        宮橋美弥子(自然博物館)

  • アキアカネの大群が谷津一面に飛来しました(9/29)。やはり秋の谷津の景色には赤とんぼが似合うようです。
  • アカバナが咲いていました(10/2)。ミゾソバやボントクタデ、アキノウナギツカミなどタデの仲間もきれいでした。

大町周辺より

  • スズメノトウガラシが咲いていました(10/12)。市川北高校の裏の刈り取りが終わった田んぼは、秋の野草の宝庫です。

    以上 金子謙一(自然博物館)

  • 大柏川の浜道橋の下でボラの群れを見ました(10/25)。体長20p位で、時々水面を飛び跳ねていました。

        吉田 毅さん(柏井町在住)

菅野3丁目周辺より

  • 工場跡地の大きな水溜りで、セイタカシギを見ました(9/3)。まわりには、ダイサギやアオサギの姿も見られました。

里見公園周辺より

  • オオタカの幼鳥を見ました(10/8)。
  • ジョウビタキを初認しました(10/22)。

じゅん菜池公園より

  • ハシビロガモを初認ました(9/17)。
  • オナガガモを初認ました(9/23)。
  • キンクロハジロを初認ました(10/22)。

    以上 根本貴久さん(菅野在住)

東国分周辺より

  • 春木川でフナを見ました(9/30)。ここ何年か、毎年、秋になるとフナが目立つようになりました。

        前田進三さん(中国分在住)

  ◆中国分周辺より

  • ツマグロヒョウモンが2匹庭で吸蜜していました(10/16)。2匹ともまだ羽化したばかりという感じでした。

        道下 誠さん(中国分在住)

  ◆田尻周辺より

  • ヒメスズメバチが飛んでいました(9/20)。このハチは、アシナガバチの幼虫だけを食べて生活します。

        小川 晃(自然博物館)

  ◆妙典野球場周辺より

  • ギンヤンマを見ました(8/27)。2匹でなわばりあらそいをしていました。

        金子謙一
気象のようす ◎秋らしく周期的な雨がつづきました。

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