平成19年度 市川自然博物館だより 4・5月号 109号

市立市川自然博物館 2007年4月1日発行

     

 いきもの写真館  季節の観察ガイド  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  近隣博物館めぐり  活動紹介
 スポットライト  わたしの標本  わたしの観察ノート

 


 

いきもの写真館
ツマキチョウ 春先に見られるシロチョウのなかま。オスのはねの先が黄色い。
撮影 :土居幸雄さん

 

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観察ガイド 4月から5月のおすすめ

 

          雑木林の野草       ウラシマソウ、アマドコロ

 4月の声を聞くと同時に萌え出でた木々の葉は、5月にはしっかりとした青葉に変わります。
 明るかった雑木林は林床に光が届かなくなり、林の内部は明るい林外とは対照的に、ひっそりと暗い空間へと移り変わります。
 タチツボスミレやクサボケなど明るい林を好む花は次第に終わり、今度は暗い林を好む野草が花を咲かせます。
 一風変わった花の形のウラシマソウ(写真)、白い清楚な花を咲かせるアマドコロやホウチャクソウ、盗掘をまぬがれて必死に花をつけるキンランやギンランなど、これらは林内に入ってこそ見られる貴重な野草です。

ウラシマソウの花
          ウラシマソウ
                  渡ってきた夏鳥たち     ツバメ、コチドリ

 春、南風とともに渡ってくる渡り鳥は「夏鳥(なつどり)」と呼ばれます。
 その代表がツバメですが、春から夏にかけて日本で子育てをし、秋になると南方に渡って冬を越すという暮らしぶりです。
 市川市内で見られる夏鳥には、ツバメのほか、オオヨシキリ、コチドリ、コアジサシ(写真)といった種類があります。
 オオヨシキリは面積のあるヨシ原で「ギョギョシ、ギョギョシ」と大きな声で鳴き、コチドリは小石が転がる広い空き地で見られます。
 また、コアジサシは湾岸一帯から江戸川の水辺で多く見ることができます。
 

コアジサシ
コアジサシ
       花や草に群がる昆虫    モンキチョウ、トノサマバッタ

 花が咲くと、蜜を求めて虫たちが集まります。
 草木の緑が萌えると、葉を食べに虫たちが集まります。
 植物が動き出す春は、虫たちが動き出す季節でもあります。
 4月から5月にかけての江戸川堤防では、シロツメクサやアカツメクサが咲き、イネ科の野草やギシギシなどの葉が茂ります。
 そして花にはミツバチなどのハチやアブ、モンキチョウなどのチョウが飛来します。
 草むらでは、早くもトノサマバッタの幼虫(写真)を見ることができます。
 

トノサマバッタの幼虫
         トノサマバッタの幼虫

 

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街角自然たんぽう

 しおはま     ちょうめ
 塩浜1〜4丁目・三番瀬を望めるまち
三番瀬の風景

 塩浜1丁目は、地図を見ると海に突き出ることでわかるように、東京湾を埋め立ててできた町です。
 現在は、護岸が老朽化しているため、海縁に近づくことはできませんが、大潮でひいた海のときには、沖に大きな陸地が現れて、船で潮干狩りをしている姿がうかがえます。
 その周辺から沖に向かっていった場所を三番瀬といっています。
 三番瀬についてはJR京葉線、市川塩浜駅南口を出てすぐに、市川市三番瀬塩浜案内所があり、展示や説明がおこなわれています。

 

 

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くすのきのあるバス通りから 鳥の子育てとムシ

 1月6日朝6時20分頃、市役所の裏の京成電車の踏み切りの、少し北側の道路でハクビシンを見ました。
 まだ、暗い時間ですが、足は短く、尻尾が長く、先が黒い動物が車のライトで道路を横切るのが見えました。
 タヌキかイタチかと思っていたのですが、横から見た特徴を自然博の方に話したら、ハクビシンとの事です。
 前回書いた、「住み着いているらしい。」との友人に直接会って聞いた所、 「9月3日夕方暗くなってから、二階の窓を開けたとき、別棟の屋根から降りようとしているのを、正面から見た。鼻に白い線があり、胴と同じぐらい尻尾が長かった。」との事です。
 「庭の池には例年カエルが産卵に来る。早朝、家族が国道や八幡の住宅街や敷地内の縁の下にタヌキがいたのを見た。」とも話してくれました。
 昔の自然が取り残されていたり、隠れやすい環境が市川の北部の八幡あたりにはあるようです。(M.M.)

 

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 近隣博物館めぐり 松戸市立博物館

      

はじめに

 このコーナーでは、市川市近隣の自然に関する展示等を含む比較的小規模な博物館を実際に訪ね、見どころやアクセス方法を紹介します。
 市川自然博物館や大町自然観察園と合わせて皆さんの自然探究のフィールドに加えていただければ幸いです。

 

新八柱駅から「21世紀の森と広場」に向かって

 JR武蔵野線新八柱駅または新京成線八柱駅で下車します。
 駅前を左方向に進み,突き当りの道を左方向に向かうと、すぐに「さくら通り入口」の十字路に出ます。
 日本の道100選にも選ばれている美しい桜並木です。
 この「さくら通り」を400メートルほど歩くと大通りと立体交差します。
 ここを左に曲がり、大通りの歩道を通って新京成線をくぐり抜けると21世紀の森と広場が広がり、目の前に博物館があります。
 新八柱駅からゆっくり歩いても15分ほどです。

松戸市立博物館の写真

「21世紀の森と広場」の中にある松戸市立博物館

 

21世紀の森と広場」

 21世紀の森と広場は、「千駄堀の自然を守り育てる」をコンセプトとして平成5年にオープンした、50.5ヘクタールもある大きな公園です。
 中心には3つの谷津が集まってできた千駄堀池があり、周囲に「水とこかげの広場」があり、水辺では子どもたちが元気に遊んでいました。
 博物館のほかに自然生態園や自然観察舎、野草園、縄文の森などがあります。
自然観察舎では、備え付けの望遠鏡で建物の中からカワセミやバンなど野鳥を観察をすることができます。
 また、自然解説員のガイドで「自然生態園」の木道を歩く「湿地の観察会」も実施しています。
 訪ねたときには、ウグイスの鳴き声やウシガエルなどを観察できました。
 野草園には、ムラサキサギゴケやナガバオモダカなど写真入で名札が取り付けられていました。

 

博物館の展示

 博物館の展示室では、松戸市に人々が生活しはじめた約3万年前の石器時代からベッドタウンとして発展した頃までをさまざまな収蔵資料や映像資料等をもとに紹介しています。
 縄文の森を復元したジオラマや松戸河岸の大規模な模型、そして昭和35年に誕生した全国初の公団団地、常盤平団地の2DKの部屋が当時の家財道具とともに展示されており、置いてある当時の白黒テレビには昭和30年代の番組が実際に映っていてなつかしく感じました。

 

 

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自然博物館の活動紹介 3月の観察会

 じっくり観察会 谷津と水の循環
     平成19年3月11日(日) 午前10時〜12時
     大町自然観察園にて  (参加 大人10人、子ども2人)

 

今回のテーマ

 今回のテーマは、谷津という環境における水の動きです。谷津では雨水の大半は台地の地表面から地中に浸み込み、いったん地下水となった後、斜面裾から湿地に流れ出してきます。
 その後は川となって海へ向かい、あるいは蒸発して雲となり、再び雨となって戻ってくるわけですが、こういう水の循環の過程を実際に意識して見る機会は多くないと思います。
 そこで、大町公園の長田谷津を舞台に、循環という視点で水を見て歩く観察会を企画しました。

埋没管のマンホールをあけての説明している風景
埋設管のマンホールをあけての説明

観察会の流れ

 当日は、つぎのような流れで進めました。
 まず博物館の会議室で、長田谷津を流れる水について性質別に3つにわける考え方を紹介しました。
 3つとは、自然の湧水、井戸水、周辺から流れ込む都市排水です。
 このうち都市排水は埋設管によって流されているので、実際にはマンホールを開けなければ長田谷津で目にすることはありません。
つぎに、3つのタイプを踏まえて、実際に野外で水の観察を行いました。
 幸い当日は、観察会の趣旨にピッタリの雨天だったので、水の出入りのうち、出るほうだけでなく入るほうについても見ることができました。
 たとえば、台地上の梨畑に降った雨水は流れることもたまることもなく静かに浸み込むことや、対照的に舗装道路や踏み固められた道では表面を谷底へ向けて流れていくこと。
 また、林内では雨は直接地面に落ちず、枝葉を通じて木の幹に筋を作って流れていくことなどです。
 そのほか、斜面裾の湧水の流れは雨が降ったからといって水量が増すことはなく、いつもと同じように流れることや、三角池と呼ばれる池には湧水が直接流入していることも、現場を見ながら説明しました。
 都市排水を流す埋設管のマンホールを開けた時には、ユスリカがいっせいに飛び立ちました。
 野外では、水の循環に関する断片的な事例をいくつも見ていただきました。

 

 

 

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 自然博物館 スポットライト 20年前の市川

市川の模型を見ている様子

 平成18年12月12日(火)、新しい展示物が消防局から博物館やってきました。
 20年ぐらい前の市川市全域の大きな模型で、まだ市の南部は、農地が多く、ニッケコルトンプラザの場所は空き地になっています。
 博物館入口の横においてあります。
 展示を始めて3ヶ月たちますが、模型にカバーが無く、間近に見ることができるので、来館者のほとんどの方が、自分の家や学校、友達の家など、身を乗り出して探している、人気の展示物になっています。

 

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わたしの標本

       

 アゲハチョウ科 ナガサキアゲハ

ナガサキアゲハの写真
臼井さんが採集した「ナガサキアゲハ」

 この標本は、「ナガサキアゲハ」というチョウです。
 ナガサキアゲハは、本州西南部〜沖縄にかけて生息し、市川では飛ぶ姿も見られませんでした。
 しかし、数年前からひんぱんに姿が見られるようになり、住宅地でも採れるような身近な存在になったようです。
 写真の標本は、昨年の8月に中山小学校6年生の臼井郁さんが自宅近くで採集し、自分の手で標本をつくって、博物館に寄付してくださいました。

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • ミソサザイを見ました(1月4日)。斜面裾の開けた水路と茂みの中を行き来していました。
  • アカガエルの卵塊が産み付けられていました(1月19日)。17日の雨が引き金になったのでしょうか?園路から見ただけで17個見つけました。
  • トラツグミを見ました(1月26日)。他のツグミ類よりひと回り大きく黄色っぽくてきれいな色をした鳥です。
  • ウグイスがきちんと囀りをしていました(2月8日)。


             宮橋美弥子(自然博物館)


  • オシドリを見ました(1月28日)。三角池にペアできていました。
       
  • カケスを見ました(1月28日)。あまりうまくないウグイスの囀りらしき声だと思っていたらカケスの鳴きまねでした。
     
  • ニホンアカガエルの卵塊が増えています(2月21日)。1月から産み始めて1ヶ月以上も産卵シーズンが続いています。
  • ふきのとうが揃って顔を出していました(2月21日)。枯葉色の湿地にあざやかな黄緑色がむれていました。
  • コブシが咲いていました(2月25日)。頭上で2輪咲いていました。今年はそうとう早い開花です。


              金子謙一(自然博物館)

八幡5丁目周辺より

  • ヒキガエルを見ました(2月16日)。昨夜、京成線路沿いの路上を横断していました。

        熊谷宏尚さん(北方在住)

大洲ビオトープより

  • アカツメクサが咲いていました(2月1日)。
    暖冬の影響か、オオイヌノフグリ、ホトケノザ、ナズナなど春の花が多く見られました。

        金子謙一

里見公園より

  • ウグイスの鳴き声をききました(2月10日)。
  • アカゲラを見ました(1月1日)。

  ◆菅野3丁目周辺より

  • タヒバリを見ました(1月13日)。工場跡地の上空を6から7羽が群れていました。

   ◆堀之内貝塚公園周辺より

  • ヤマガラの群れを見ました(2月4日)。そのうち1羽は、濃色タイプのベンケイヤマガラでした。

   ◆坂川旧河口周辺より

  • コガモ、キンクロハジロ、オナガガモ、ヒドリガモ、カルガモを見ました(1/7)。
  • トモエガモを見ました(2月3日)。これまでで初観察となりました。
  • ヒバリの囀りを聞きました(2月10日)。

    以上 根本貴久さん(菅野在住)
気象のようす

  ※ 
今年は暖冬で、2月14日には早々と春一番が吹きました。

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