平成19年度 市川自然博物館だより 6・7月号 110号

市立市川自然博物館 2007年6月1日発行

     

 いきもの写真館  季節の観察ガイド  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  近隣博物館めぐり  活動紹介
 スポットライト  わたしの標本  わたしの観察ノート

 


 

いきもの写真館
エゴツルクビオトシブミ オトシブミの仲間は、卵を産みつけた葉を器用に丸めて巣をつくる。 撮影者 土居幸雄さん

 

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観察ガイド 6月から7月のおすすめ

 

          夕刻に舞う美しい蝶       アカシジミ、ミドリシジミ

卵で冬を越し、葉が芽吹くのにあわせて孵化したアカシジミ(写真:成虫)やミドリシジミが、成虫となって姿を現わします。
 これらの種類は、シロチョウ類やアゲハ類、あるいはヤマトシジミやベニシジミにくらべるとなじみがないかもしれません。
 それは、幼虫の餌が特定の木の葉(アカシジミはコナラやクヌギ、ミドリシジミはハンノキ)に限られていて、それらの木が生える場所にしか生息しないことや、成虫の発生が年1回しかないこと、成虫の行動がおもに夕刻に限られていることによるものです。
 アカシジミは市北部の雑木林で5月下旬から6月上旬、ミドリシジミは大町公園で6月上旬から下旬にかけて見られます。

アカシジミ
          アカシジミ
                  にぎやかな干潟のカニたち     チゴガニ、ヤマトオサガニ

 気温が上がり水温も上がる6月・7月は、干潟の生き物が活発に活動しはじめる季節です。
 江戸川放水路の干潟に行ってみると、高水敷の足元に広がる干潟でチゴガニ(写真)が、白いハサミを上げ下げして飽きることなく求愛ダンスを繰り返しています。
 また、目線を少し水辺の方へ向けると、長い目が目立つヤマトオサガニが一面に広がっています。
 じっとしていると石が散らばっているようにしか見えませんが、じっくり見ていると、はさみをゆっくり動かして餌を口に運ぶ様子がわかります。
 

チゴガニ
チゴガニ
       梅雨時に咲く花    ネジバナ、ネムノキ

 色とりどりの花に囲まれた春が終わり、梅雨に入ると風景はしっとりとした緑に包まれます。
 この時期、思いがけずネジバナ(写真)やネムノキの花に出会うことがあります。
 それらのピンクの花は、深い緑を背景にとても引き立って見えます。
 ネジバナは芝地に、ネムノキは公園や雑木林で見られます。
 

ネジバナの花 ネジバナ

 

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街角自然たんぽう

 しまじり   
 島尻・堤防の上から
島尻から見える河川の風景
中央に見えるのが新中川の水門

 島尻といえば以前は工業地帯のイメージでしたが、現在は、高層マンションが建ち並びおしゃれな町に変わりまた。
 旧江戸川の堤防の上もきれいに整備されて、歩きやすくなっています。
 堤防の上からは、いろいろな風景が広がっています。
 堤防沿いには乗り合い船やレジャーボートがつながれ、上流を見ると大きな水門があり、新中川が旧江戸川に合流しています。
 対岸に見える水門は新川の入口で、荒川を横切り小名木川を経て隅田川までつながっています。
 下流を見ると、江戸川唯一の中州の島、妙見島があります。

 

 

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くすのきのあるバス通りから はなとハチの話題

 住宅地で、いい香りが漂ってきます。みかんの花とジャスミンでした。
 エゴノキやミズキ、ピラカンサの花も咲いています。今は白い花が多いように思えます。
 少し前は、フジやキリの薄紫でした。
 カラスビシャクのハナが咲いているので、中を見ると小さいながら、下のほうにツブツブの雌花がありました。
 ノビルももうすぐ花が咲くでしょう。
 里親になりプランターから地植えにしたフジバカマが、2メートル弱離れた石がごろごろした場所からも出てきました。
 「地下茎で離れた場所に生えますよ。ガレたところが好きみたい」と学芸員の方から聞きました。
 「2階のベランダにハチの巣があったよ」と大学に入った息子が、親蜂と肉団子と幼虫と卵が入った巣をビンに入れて持ってきました。
 中心の部屋の幼虫は大きく外側は小さいか卵のようです。しばらくしてみると肉団子がばらばらになっていました。
       (M.M.)

 

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 近隣博物館めぐり つくば市豊里ゆかりの森 昆虫館

      

はじめに

 このコーナーでは、市川市近隣の自然に関する展示等を含む比較的小規模な博物館を実際に訪ね、見どころやアクセス方法を紹介します。
 市川自然博物館や大町自然観察園と合わせて皆さんの自然探究のフィールドに加えていただければ幸いです。

 

TX線研究学園駅からバスに乗って

 木々の緑が色濃くなり、昆虫と出会う機会も多くなりました。
 こんな季節に森と昆虫を観察しに、少し遠出をしてみませんか。
 武蔵野線南流山駅でつくばエクスプレス線つくば行きに乗り換え、終点の一つ手前、「研究学園」駅で降ります。
 周囲の田園風景に似合わない(?)近代的な駅舎を出るとすぐ前にバス停があります。
 2番乗り場からつくば循環バス(6コース)に乗ります。
 午前中は、8時28分と10時48分です。

つくば市豊里ゆかりの森 昆虫館
森のほぼ中央にロッジ風の昆虫館がある
(所在地)〒300-2633 つくば市遠東 676
(電 話) 029−847−5061      

 

豊里ゆかりの森へ

 「ゆかりの森入口」というバス停で下車します。研究学園駅から18分、運賃は200円です。
バス停からゆかりの森入口の案内板が見えます。
大通りを左側に分岐してすぐ左に曲がり、細い道を進みます。
両側は水田です。その先に見えている森が「つくば市豊里ゆかりの森」です。
平成14年、平地林保全整備事業として整備された、面積12ヘクタールのアカマツやクヌギなどの平地林と水辺のある自然公園です。カブトムシやクワガタムシ、アゲハチョウその他の昆虫採集や観察もできます。
ここでは、里山の生態環境を守って昆虫の保護増殖を進めています。夏の夜にはホタルも飛び交い、小鳥のさえずりが1年中聞こえる自然がいっぱいのつくば市の施設です。広い森の中に、宿泊施設、キャンプ場、工芸館、野外ステージ、ハーブ園などとともに昆虫館があります。

 

昆虫館に入ってみた

 ゆかりの森の中ほどにログハウス風の昆虫館があります。
 入口を入ると正面に展示室があります。
 1階が昆虫標本の展示です。上中下3段にびっしりと標本箱、その数は約200箱、標本数は約5000点だそうです。
 つくば産及び日本産、そして外国産の昆虫も数多く、クワガタの仲間、カブトムシの仲間、カミキリの仲間、チョウ・ガの仲間、セミの仲間、バッタの仲間等が展示されていますが、中でもクワガタ、カブトムシのコレクションは見事です。
 カブトムシの卵、幼虫、蛹、成虫の標本やツマキチョウの地域による変異など展示にも工夫されています。

 

標本展示以外にも見どころいっぱい

 地階に降りていくと、小学生の観察日記や自由研究が展示されている学習コーナーと生きている昆虫が展示されている飼育コーナーがあります。
 中でも生きているヘラクレスオオカブトにはびっくりさせられます。さすがにすごい迫力です。
 2階に上がると、図書コーナーとビデオコーナーがあり、図鑑など多くの図書を自由に閲覧することができます。

 

 

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自然博物館の活動紹介 4月の散策会

 散策会 暮らしの中の木々
     平成19年4月15日(日) 午前10時〜11時30分
     国府台・真間地区にて  (参加 大人30人、子ども2人)

 

今回のテーマ

 散策会は、市内のさまざまな場所を気軽に歩いて楽しむ行事です。
 今回は「暮らしの中の木々」というタイトルで、生活空間でありながら大きな樹木が数多く見られる国府台・真間地区を取り上げました。
 散策会なので特別なテーマはないのですが、あえて言うなら森でも林でもない市街地に、どのように大木が生育しているかを見ることがテーマになります。

木内ギャラリーのお庭にて
木内ギャラリーの庭で

観察会の流れ

 当日は、つぎのコースを歩きました。

  里見公園正門(集合) → スポーツセンター → 千葉商大周辺 → 
  → 真間山弘法寺 → 木内ギャラリー(解散)

里見公園では、導入ということで、正門付近でソメイヨシノの苔むした太い幹を観察し、そのほかちょうど咲いていたナシとフジを見ました。
スポーツセンターでは、ケヤキとイチョウの大木を見ました。千葉商大周辺では立派なソメイヨシノの並木や、何本もあるエノキの大木を見ました。
真間山弘法寺では、境内のほうへは行かずに、幼稚園の入口でサトザクラを見ました。そして解散地点の木内ギャラリーでは大きなクスノキが林立する庭に入り、木々に包まれたしっとりとした空気の感触を体験しました。
そのほか、道中、さまざまな春の野草も見ることができました。

ゲスト解説員

 当日は、歴史博物館の池田真由美学芸員にも説明をしてもらいました。
 国府台地区が、古くは古墳や国府、城、近年でも軍隊の駐屯地であり、戦後も軍用地は公園や学校、病院といった公共施設になったとの解説を受けました。
 歴史的に見て、一貫して公的な用地であったことが、国府台地区に大きな樹木が数多く残ったことの背景だったのかもしれません。

 

 

 

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 自然博物館 スポットライト ハクビシン

ハクビシンの展示

 モグラとヒミズの展示に替わって、ハクビシンを展示しました。
 ハクビシンは近年、市内で分布を広げており、鼻筋に通った白い線と長い尾が特徴のジャコウネコ科の動物です。
 木登りが得意で、夜間に塀の上を歩く姿や市役所の駐車場で遊んでいる姿など多く目撃されるようになりました。
 最近では、住宅の天井裏を駆け回ったり、糞尿でシミをつけられる被害や梨やブドウを食害するなどの被害がでてきています。

 

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わたしの標本

       

 アッキガイ科  アカニシ

アカニシの貝殻
介川さんが採集した「アカニシ」

 「アカニシ」は、北海道南部〜九州にかけての水深30メートル位までの内湾の砂泥底に生息し、アサリなどを食べている肉食性の巻貝です。
 殻の内側が名前のように赤く、殻の高さは10センチメートルにもなります。
 この個体は、市内に住む介川武夫さんが昨年6月12日に東浜近くの三番瀬で採集し、博物館に届けて頂いたものを標本にしたものです。
 殻の高さは8.7センチメートルで、内側の赤色がたいへんきれいな個体です。

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • ウグイスカグラが早くも満開でした(3月4日)。近くに植えられたアセビも満開でした。
  • ハクビシンを見ました(3月11日)。動物園の券売所前にいたハクビシンは、垂直にフェンスを駆け上がり、上の縁を小走りに逃げていきました。
  • アズマヒキガエルの卵塊がありました(3月13日)。三角池や池から流出する水路にたくさんありました。
  • シュレーゲルアオガエルがクルル、クルルと鳴いていました(4月25日)。


    以上 金子謙一(自然博物館)


  • スジグロシロチョウを見ました(3月1日)。スイセンの花に羽化したばかりのスジグロシロチョウが来ていました。

        小川 晃(自然博物館)

  • オシドリが6羽きていました(3月14日)。
     
  • ツマキチョウが姿を見せました(4月1日)。
  • シオヤトンボの羽化を見ました(4月7日)。


     以上 土居幸雄さん(大町在住)

大町周辺より

  • ツバメが巣作りをしていました(3月29日)。    

大柏川沿いより

  • ソメイヨシノが数輪、咲いていました(3月21日)。今年は、サクラとコブシの花が同時に楽しめます。

    以上 宮橋美弥子(自然博物館)

八幡周辺より

  • タヌキを見ました(4月12日)。家の庭を悠々と歩いて捨てておいた夏みかんを食べていました。

        杉山菊雄さん(八幡在住)

  • ハヤブサを見ました(4月19日)。JR本八幡駅近くのビルの屋上付近でカラスを追い散らす行動をとっていました。

  ◆じゅん菜池公園より

  • アカゲラを見ました(3月10日)。ハリエンジュの木を上へ移動していました。

   ◆里見公園より

  • キビタキの囀(さえづ)りを聞きました(4月29日)。オオルリの囀りも聞こえました。

   ◆坂川旧河口周辺より

  • キジを見ました(3月4日)。オギ原から高く飛び立っていきました。
  • ツバメを初認しました(3月31日)。
  • セッカを見ました(4月21日)。オギ原のヘリで囀っていました。
  • オオヨシキリがオギ原のあちこちで囀っていました(4月28日)。

    以上 根本貴久さん(菅野在住)

   ◆幸周辺より

  • 早咲きのサクラにメジロが十数羽きてかわいい声で鳴いていました(3月2日)。

        Y.T. さん(幸在住)
気象のようす

  ※ 
暖冬と寒の戻りの影響で、コブシと桜と梨の花が同時に見られた春でした。

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