平成19年度 市川自然博物館だより 8・9月号 111号

市立市川自然博物館 2007年8月1日発行

     

 いきもの写真館  季節の観察ガイド  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  近隣博物館めぐり  活動紹介
 スポットライト  わたしの標本  わたしの観察ノート

 


 

いきもの写真館
ウツワヤンマの交尾。腹端に団扇のような付属物があるのが特徴。右側がオス、左側がメス。 撮影者 土居幸雄さん

 

最初へ戻る

 

 


観察ガイド 8月から9月のおすすめ

 

     夏の雑木林に群落が出現        キツネノカミソリ

 強烈な日差しが照りつける8月の堀之内貝塚公園。
 濃い陰が焼き付けられた林内にヤブ蚊 を恐れずに分け入ると、鮮やかなオレンジ色のお花畑に出会うことができます。
 キツネノカミソリ(写真)の群落です。
 年によって変動はありますが、例年8月の第1週あたりが見ごろで、博物館でもキツネノカミソリを見る行事を計画しています(行事案内参照)。
 春に葉を茂らせ、一度葉が枯れた後、真夏に茎だけをすっと伸ばして花を咲かせる姿は一風変わっていますが、同じなかまのヒガンバナを考えると納得がいきます。

キツネノカミソリの花
          キツネノカミソリ
                  鳴く虫たちの音色         カネタタキ、クツワムシ

 8月のお盆休みを過ぎるころから、虫たちが奏でる秋の音色が耳に届くようになります。
 大町公園では、梅雨の頃からキンヒバリやヒメギスが鳴いていますが、住宅地で虫の声を耳にするようになるのは、やはりこの頃からです。
 日没とともに樹上でにぎやかに鳴くアオマツムシや、庭先の植木鉢で昼夜を問わずに鳴くカネタタキ(写真)などは身近な種類です。
 博物館主催の「虫の声を聴こう」では、クツワムシの大合唱を聴くことができます(行事案内参照)。
 

カネタタキ
カネタタキ
       秋の七草               フジバカマ

 里見公園の下、かつての坂川の流路が保全された一帯には、秋の七草のひとつであるフジバカマ(写真)が群生しています。
 この場所は、絶滅が心配される野草・フジバカマの千葉県内唯一の自生地で、多くの人が心を配って群落の保全に配慮しています。
 見ごろは9月の上旬から中旬頃。
 江戸川べりの駐車場から新堤防下に沿って進むと、長さ 100メートルほどにわたってフジバカマが群生しています。
 花にはたくさんの虫たちも来ていますから、そちらの観察もあわせて楽しめます。
 

フジバカマの花 フジバカマ

 

最初へ戻る

 

 


 

街角自然たんぽう

 しもかいづか   
 下貝塚・地層の観察
地層の見える風景
※ 個人の方の畑の中です。必ず声をかけてから近づきましょう。

 大野中央病院の南側の道を西に向かうと、住宅の裏に崖が見えます。
 かつては市内のあちらこちらに大きな崖がありましたが、関東ローム層(赤土など)とその下の成田層を比べながら地層を詳しく観察できる崖は、今ではここだけになってしまいました。
 二つの層の間にある「市川砂層」は、市川でも限られた地域で見られ、砂と小砂利の中に丸くて硬い小石が見つかります。
 山のない北総地域では石を産しないので、この小石がどのようにして市川まで運ばれてきたか、謎です。

 

 

 最初へ戻る

 

 


くすのきのあるバス通りから アブラゼミ見つけた!

 今年は、昆虫の動きが早いそうです。
 7月2日の夕方、京成八幡駅近くの、木造家屋で草が茂っているお宅の庭から「ジー」と鳴き声が聞こえました。
 「えっ、セミかな」
 「ニイニイゼミかな、アブラゼミだったみたい」
 「今年は、まだニイニイゼミ聞いてないし、もうアブラゼミが羽化したのかな」
 と娘と話しながらどこにいるか探しました。
 塀際の木にいたのでアブラゼミだと分かりました。
 セミは飛んで、近くの家の壁に止まり鳴き出しました。
 「やっぱり、アブラゼミだ」と追いかけていくと、また飛び立って家の隙間を飛んでいきました。
 その後、「ジジッ」とあわてて飛び立つ時の鳴き声は八幡6丁目や宮久保で聞いています。
 気温は高くても梅雨空では鳴かないのでしょうか。       (M.M.)

 

 最初へ戻る

 

 


 

 近隣博物館めぐり 菅平高原自然館

      

はじめに

 このコーナーでは、市川市近隣の自然に関する展示等を含む比較的小規模な博物館を実際に訪ね、見どころやアクセス方法を紹介します。
 市川自然博物館や大町自然観察園と合わせて皆さんの自然探究のフィールドに加えていただければ幸いです。

 

長野県に市川市がある!?

 長野県の菅平高原に市川市の施設「いちかわ村」があるのをご存知でしょうか?
 学校も夏休みに入り、いよいよ夏本番、涼を求めて少し遠出してみましょう。
 なお、「いちかわ村」の受付や案内は、市川市教育委員会生涯学習振興課で行っています。
(電話334-1111内線4315・4316)

菅平高原 いちかわ村
菅平高原 いちかわ村

 

風さわやかな菅平高原へ

 東京から長野新幹線で約1時間半、上田駅で下車します。
 ここから路線バスに乗り換え、50分ほどで「菅平高原」に着きます。季節によって違いますが、1日数本の運行です。
 いちかわ村に宿泊する方は、バス停まで車で迎えにきてくれます。
 菅平高原は長野県北東部に位置し、中央部の標高は約1300メートル、東西10キロメートル、南北7キロメートルの広大な高原です。
 浅間山、谷川岳、志賀高原などとともに上信越高原国立公園に含まれています。年間を通して雨の日は少なく、8月の平均気温が19℃と乾燥した涼しい日が多いようです。

 

火山の噴火によって生まれた菅平湿原

 菅平高原の中央部近く、菅平郵便局の角を西の方に歩いて5分ほどのところに菅平湿原があります。
 この湿原は、数万年前に噴火した旧四阿(あずまや)火山の溶岩が谷をせき止めて大きな湖ができ、それが次第に水位が下がって湖の底の部分が湿原になったものです。
 湿原には一周約1キロメートルの木道が設置されており、ミズバショウ、サワオグルマ、カラフトイバラ、バイケイソウ、ヤチアザミなどの花が見られます。
 また、オオルリボシヤンマやヒョウモンチョウなどの昆虫類、オオヨシキリ、アカゲラなどの鳥類、そして時には、ニホンカモシカも見ることもできます。

 

菅平高原自然館の展示

 菅平湿原入口に菅平高原自然館があります。
 ここは、6月1日から9月30日の夏季期間のみ開館しています。
 展示室はさほど広くはありませんが、剥製や標本を中心にして菅平高原の自然や歴史に関する情報がぎっしり詰まっています。
 展示室に入ると正面に大規模なジオラマがあり、ツキノワグマやニホンカモシカの剥製に圧倒されます。
 右側には、長野県内の主な岩石と産出した化石が並んでいます。
 中央には、ガラスケースが並び、菅平の昆虫標本がおよそ900種類も展示されています。
 中でも目をひくのが、長野県指定天然記念物のミヤマモンキチョウとミヤマシロチョウの標本です。
 このほかにもトンボ、セミ、チョウなど市川市内には見られないものも数多くあります。。

菅平高原自然館
△菅平湿原入口にある菅平高原自然館
(所在地)〒386-2204 長野県上田市菅平高原1223
(電 話) 0268-74-2438

 

 

最初へ戻る

 

 



自然博物館の活動紹介 長田谷津環境整備

 湿地の環境整備
     平成19年6月24日(日) 午前10時〜11時30分
     大町公園(長田谷津)にて  (参加 大人9人)

 

活動の趣旨

 大町公園内にある長田谷津は、いまから30年以上前に当時の休耕田を市川市が買い取って保全した自然公園です。
 ところが、時間の経過とともに公園内の植物群落の遷移が進み、斜面林は茂り湿地はアシ原となり、開設当初にくらべて風景も自然のようすも大きく様変わりしてしまいました。
 そこで、市民の方の参加を得て、長田谷津の自然を維持するための活動を始めました。
 それが、湿地の環境整備です。

作業の内容

 当湿地の環境整備には、大きく2つの作業があります。
 ひとつは、大きく茂った草の刈り取りです。
 大型の植物が繁茂した場所では小型の野草が生えることができないほか、水面が隠れてしまうのでトンボなどの生き物も生息しにくくなります。
 子どもたちの体験学習の運営も、難しくなります。
 そのため、春〜秋に草刈りを行います。
 もうひとつは、湿地の掘り上げです。
 30年の間に、長田谷津の湿地はずいぶん埋まりました。
 豊富な湧き水は、地表に現れることなく地下水の状態で湿地を移動するようになりました。
 この地下水は、地表面の高さをわずかに下げるだけで、かつてのように地表に姿を現します。
 そのために、おもに冬、湿地の掘り上げを行います。


園路に沿って水路を新設しました。

6月の作業

 6月24日は、冬に掘り上げて作った水路のまわりの草を刈り取りました。
 この水路は、園路の真下にあった水路を付け替えたもので、園路を歩きながら水の流れが見られる位置に作りました。
 6月に入り、草の繁茂で水路が見えなくなってきたので草を刈りました。
 もちろん、畑の草取りではないので、ある程度の野草を残すことも踏まえながら、必要なだけの見通しを確保するようにして行ないました。

 

 

 

最初へ戻る

 

 


       

 自然博物館 スポットライト カクレクマノミ

カクレクマノミの写真

 自然博物館受付の水槽にカクレクマノミが1匹います。
 小さい子供から大人まで来館者が立ち止まって、「ニモだ!」と言って覗き込んでいきます。
 カクレクマノミは、映画「ファインディング ニモ」で、多くの人に知られるようになった熱帯魚で、日本では奄美大島以南に生息し、ハタゴイソギンチャクやセンジュイソギンチャクと共生して生活しています。
 人工繁殖されたカクレクマノミを平成17年10月に寄贈していただきました。。

 

最初へ戻る

 

 


わたしの標本

       

 セミ科  ヒメハルゼミ

ヒメハルゼミの写真
旧天津小湊町(現鴨川市)で採集されたヒメハルゼミ

 「ヒメハルゼミ」は、千葉県の茂原市で最初に発見されたセミで、オスが集団で「ウィーン、ウィーン」いう鳴き声で合唱する習性があり、千葉県では、房総丘陵の照葉樹林だけに生息しています。
 この標本は、平成6年7月に市内在勤のAさんが旧天津小湊町の清澄寺近くの街灯で虫採りをしていたときに飛んできた個体を採集し、届けて頂いたものを博物館で標本にしたものです。
 標本は、メスで、翅の長さが32.0ミリメートルあります。

 

最初へ戻る

 

 


 

わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • エゴツルクビオトシブミが、エゴノキの若葉に産卵するためのゆりかごをつくっていました
    (5月2日)。

         小川 晃(自然博物館)

  • 昨年話題にのぼったツマグロヒョウモン、ナガサキアゲハのほかアオスジアゲハも見られました(5月11日)。

         金子謙一(自然博物館)

  • クロスジギンヤンマの産卵が見られました(5月14日)。
  • ミドリシジミが8頭見られました(6月9日)。今期初です。

    以上 土居幸雄さん(大町在住)


  • 水路脇の杭にミカドオオアリがいました(6月16日)。

     

  • ニイニイゼミが鳴いていました(6月24日)。

大町より

  • 駐車場脇の道端にカラスビシャクが生えていました(5月20日)。
    昨年は確認できませんでした。
        

大野町より

  • 市川北高校周辺の田んぼの周りに多数のアキアカネがいました(6月16日)。

    以上 K・Hさん(船橋市在住)

八幡周辺より

  • ショウジョウトンボの死骸を拾いました(6月4日)。

       M・Mさん(八幡在住)

  ◆市内某所

  • 雑木林で低い木の枝がはらわれた後に突然キンランが20株ほど出現しました(5月1日)。
    まだ蕾でした。次の日1、2株を残して花の部分をつみとられてしまいました。

      谷口浩之さん(北国分在住)

   ◆坂川旧河口周辺より

  • オオバン2羽が江戸川を、東京都側から市川市側へ泳いで渡りました(6月23日)。これまでは冬鳥としての観察だけでしたが、越夏記録は初めてのことです。
    あるいは繁殖している可能性もありそうです。

   ◆市内某所

  • ケヤキの枝先にアオバズクの成鳥1羽がとまっていました(6月3日)。
    今年の初認です。その後よく眠っているのを見 たり(6月9、16、17日)、睨まれたり(6月10日) しました。
    ハシブトガラスが近くで騒ぐと右目だけ開けたり(6月23日)、鳴き声を出して飛び過ぎたハシブトガラスを右目だけで追い、安全が確認されると再び目をつぶってしまうのを(6月30日)観察しました。

    以上 根本貴久さん(菅野在住)
気象のようす

  ※ 
強烈な雨や大風、落雷、雹など大気の状態が不安定でよく変わる天気でした。

 最初へ戻る

 

博物館たよりIndexへ戻る