平成19年度 市川自然博物館だより 10・11月号 112号

市立市川自然博物館 2007年10月1日発行

     

 いきもの写真館  季節の観察ガイド  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  近隣博物館めぐり  活動紹介
 スポットライト  わたしの標本  わたしの観察ノート

 


 

いきもの写真館
ゲンノショウコの実 神輿の屋根飾りに似ています。5本の腕の先に種が入っていて、開くときに飛ばします。  撮影者 土居幸雄さん

 

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観察ガイド 10月から11月のおすすめ

 

     渡り鳥の季節                      −ヒタキ類やシギ・チドリ類−

 紅葉のたよりが届く10月、平地の市川市では紅葉はまだ先ですが、代わりにいろいろな渡り鳥が秋の気配を届けてくれます。
 北部の大町公園や里見公園、小塚山公園などでは、キビタキ(写真右上:剥製)をはじめとするヒタキ類やムシクイ類が、江戸川放水路など湾岸地域ではメダイチドリやキョウジョシギなどのシギ・チドリ類が飛来し、羽を休めた後、それぞれ次の目的地へと飛び去っていきます。
 また、ハマシギ(写真右下)など市内で冬を過ごす渡り鳥も、この頃より姿を見せはじめます。

キビタキ
キビタキ


ハマシギ

 

                  ハチの巣に注意              −スズメバチ類−

 秋は、スズメバチの巣(右写真)が大きくなり、また働きバチの数も増えるので、人間との遭遇の機会が増え事故も多くなります。
 テレビでは「殺人バチ」などと危険性ばかりが強調されて報道されますが、ハチの立場に立てばあくまでも巣を守ろうという「専守防衛」であり、わざわざ人間を狙って刺しに来るわけではありません。
 巣に気づき、巣に近づかないというだけで、事故の危険はずっと小さくなります。
 駆除が必要な事例が多いのも確かですが、過剰な反応は避けたいものです。
 

コガタスズメバチの巣
コガタスズメバチの巣

 

       風に舞う銀色の綿毛          −ガガイモのたね−

 ガガイモという植物をご存知でしょうか?
 夏から目につくようになるツル草で、花は8月ごろ咲き(エンジ色の星型の花)、9月から10月にかけて実が目立つようになります。
 実はちょうどオクラのような形をしていて熟すと縦に裂け、中には銀色の綿毛をつけた「たね」が行儀よく並んでいます(右写真)。
 茶色いタネ本体にくらべて銀色の毛が長いせいか、風で舞い上がるといつまでも浮かんでいて落ちてきません。
 風に吹かれて舞うガガイモのたねは、秋の風物詩のようです。
 

ガガイモの種
ガガイモの種

 

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街角自然たんぽう

 しもしんしゅく すいこうもん  
 下新宿・水閘門
船が通る閘門と水門の見える風景

 稲荷神社のわきをぬけて土手に上がり、上流をのぞくと江戸川の水閘門を真正面に見ることができます。
 水閘門は、江戸川の水を上水として使用するために、海水が上流に遡上しないようにできました。
 水門と閘門に分かれていて、水門は、一日のうち、引き潮にあわせて開かれ、江戸川の水が海に流れていきます。
 閘門は、船が江戸川の上流と下流を行き来する時に使われます。
 門は上流側と下流側にあり、水位を調節して、海水が混ざらないように船を通しています。

 

 

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くすのきのあるバス通りから 台風来襲、あれこれ!

 今年の夏は、大変暑かった。セミは多かったように思います。
 木がある庭や、ちょっとした林で、「ワーンワーンワーン」と大合唱でした。
 天候がよかったせいか、梨がおいしいですね。みずみずしく、甘く大きいです。
 9月6日、台風が小田原に上陸しました。
 JR市川駅近くの街路樹は枯れた枝が折れて道路に落ちていました。
 ビルの間を通るため、より一層風が強くて、傘が壊れそうで、皆差さずにぬれながら家路を急いでいました。
 次の日、冨貴島小学校前の松並木を見ますと、松の木は雨に洗われ、風のせいで古い松葉が落ちて、きれいな緑に見えました。
 道路は踏まれた松葉の芳香が漂っていました。
 「行徳可動堰が開いているかもしれない」というので、どんな様子か見てみたいと思い、9日に行きました。
 江戸川(放水路)と旧江戸川両方ともミルクティ色でした。
 堰の所は小さな渦ができていました。 2箇所堰が上がっていました。
 橋の下流側は海水なので、堰にはカキ殻やゴカイの管が沢山ついていました。
 テレビのニュースで「船橋漁港や谷津干潟ではアシや流木、ゴミが流れ着いて大変です」と伝えていました。     (M.M.)

 

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 近隣博物館めぐり 葛飾区郷土と天文の博物館

      

はじめに

 このコーナーでは、市川市近隣の自然に関する展示等を含む比較的小規模な博物館を実際に訪ね、見どころやアクセス方法を紹介します。
 市川自然博物館や大町自然観察園と合わせて皆さんの自然探究のフィールドに加えていただければ幸いです。

 

秋の夜長に星空観察を!

 秋の夕方、日暮れが早くなりました。
 この時期は、星空を観察するにはいい季節です。
 太陽が西の空に沈み、夕焼けが空を真っ赤に染めるような日の宵には天体観察をしてみませんか。
 今回は、天体や宇宙について学べる博物館を訪ねてみました。

葛飾区郷土と天文の博物館
△大きなドームが目印の葛飾区郷土と天文の博物館
(所在地) 〒125-0063 葛飾区白鳥3-25-1
(電 話) 03-3838-1101

 

京成線のお花茶屋駅から歩いて8分

 京成線のお花茶屋駅で下車します。
 青砥寄りの線路と交差する真っ直ぐな大通りを亀有方面に歩くとすぐに大きなプラネタリウムの丸い屋根が見えてきます。
 これが葛飾区郷土と天文の博物館です。
 ちなみにこの大通りは曳舟川(葛西用水)の跡で、大通りの一部はこれを親水公園化した曳舟川公園になっています。
 曳舟川は,江戸時代初期に上水路として建設され、飲料水として利用されていました。
 江戸時代中期にはその役目を終えましたが、後に、旅人を小舟に乗せて綱をつけて岸から引く水路として利用されました。
 “曳舟”の名はここから出たと言われています。

 

2つのテーマ,「郷土」と「天文」

 葛飾区郷土と天文の博物館は、葛飾地方の自然と人間の歴史、及び天文や宇宙を身近なものとして体験できる場として平成3年に開館しました。
 常設展は2つのテーマ「郷土」と「天文」で構成されています。ここでは、天文展示を紹介しましょう。

 

 

迫力ある天文展示

 エントランス正面の階段を上がると大きな振り子が目に入ります。 フーコーの振り子といいます。
 地球の自転によって振り子の錘の通過面が変化するようすを観察することができます。
 展示室入口には、ガリレオ式屈折望遠鏡など4種類の天体望遠鏡が展示されていて実際に覗くことができます。
 展示室にはティコ・ブラーエの大アーミラリーという星の位置を測定する巨大な分度器の復元模型が展示されています。太陽望遠鏡の画像も見られます。
 他にも天文学の歴史や太陽系のしくみなどが、映像や模型を使って分りやすく展示されています。
 展示室入口にガイドマップとクイズが置いてあるので、これを見ながら見学するのもよいでしょう。

 

 

展示室と隣接してプラネタリウム

 市川市の少年自然の家にもプラネタリウムがあり、土日には一般公開を行っています。
 葛飾区郷土と天文の博物館にもプラネタリウムがあります。
 座席横のアナライザーでクイズに参加することができるなど市川市とはまた違った演出をしています。
 平日1回、土曜日6回、日祝日4回の上映で、プログラムは5種類あります。
 (*時間やプログラムは電話で問い合わせてください)

 

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自然博物館の活動紹介 名前をしらべる会

 第49回名前をしらべる会
     平成19年8月26日(日) 午前10時〜午後4時
     市民会館にて  (相談件数 9件 大人13人・子供8人)

 

歴史ある行事

 昭和30年代、夏休みの宿題の定番は、植物や昆虫の標本作りでした。
 作製した標本の名前をしらべようと、子どもたちがたくさん図書館を訪れたそうですが、図書館員の方々では専門的な質問をされてもわからず、非常に苦労をされたそうです。
 それを知った市内小中学校に勤務されていた有志の先生方で、標本の名前しらべの相談会を始めたのがこの行事の始まりです。
 その後、自然博物館の開館にともない、図書館で行っていた行事の運営を、博物館で行うようになり、今回で通算49回目になりました。

行事の内容

 標本の種類は、植物、貝、昆虫、岩石で、マンツーマンで行ない、持参した標本を1点づつ検討していきます。
 自分で調べてもわからなかった標本に、目の前で講師の先生がどんどん名前を付けていくのに、驚く参加者も少なくありません。
 直接話をしながら、標本の名前のしらべ方、図鑑の使い方をはじめ、標本の作り方や分類、保存の方法、テーマを持ったまとめ方のコツなども指導していきます。
 参加者は小中学生がほとんどですが、庭に突然生えた植物の名前を調べにいらした大人の方もいました。

第49回名前をしらべる会の様子

事前に整理した、たくさんの貝の標本を持ってきてくれました。

最近の傾向

 ここ数年、この行事の相談件数は減少しています。
 これは小中学校の夏休みの課題の形態が変わり、標本が課題にされなくなったためと考えられます。
 近年、持参される標本は2つのタイプに分かれます。
 ひとつは夏休みだけでなく日頃から時間をかけて採集、作製をしていることが伺える標本です。
 見た目に美しく数も多くよく整理されています。
 もうひとつは作製方法を教わったことがないため、よくわからないままつくられた標本です。
 植物の葉や花の一部だけを貼り付けたものなど、標本として必要な要件が満たされていないものもありました。
 会のなかでも指導していますが、博物館では標本の作り方をまとめた小冊子を常時無料配布しています。
 ご興味のある方はお問い合わせください。

 

 

 

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 自然博物館 スポットライト 安全対策

ガラスが割れても、飛びちらなくする特殊フィルムを貼り付けている様子

 あまり目立たないことですが、来館者が安心して展示を見学できるように、平成17年度から館内を修繕しています。
 老朽化にともなって直しておいたほうが安全なもの、職員が日ごろ来館者の年齢層や行動などを観察して改善したほうがよいと思われるものを、順次修繕しています。
 今までに施工したものに、ゾーンサインの素材の変更や、展示ガラスケースへの飛散防止フィルムの貼り付けなどがあります。

 

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わたしの標本

       

 川で収集した岩石標本

福島県と長野県の川で集めた岩石の写真
採取した場所と石の名前を書いた紙切れとともに
一点ずつビニール袋に入れて整理

 今年の「名前をしらべる会」に、岩石の標本を持って来られたお父さんと男の子の親子連れがいらっしゃいました。
 お話をうかがうと、福島県の黒谷川と長野県の中房川という川で集めた岩石だそうです。
 種類は泥岩や凝灰岩などで、講師の先生の解説を熱心に聞いていらっしゃいました。
 先生によると川で採集した点が重要で、川原では、流れに運ばれてきたいろいろな種類の岩石が集められるそうです。

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • 魚の調査で水路に網を入れました。スナヤツメの幼生が2匹確認できました(7月31日)。ホトケドジョウもいました。

    金子謙一(自然博物館)

  • ハンノキの葉の裏側に止まっているゴマダラチョウを見つけました(8月4日)。
    翅が痛んでいなかったことから、羽化したばかりの個体のようでした。

    清野元之(自然博物館)

  • 胸の模様がまだはっきりしないシジュウカラの若鳥が一生懸命餌を食べているのをあちらこちらで見ました(8月10日)。

    宮橋美弥子(自然博物館)


大洲ビオトープより

  • 造成当初とは変わって、ヒメガマが群生するようになりました。絶滅危惧種のタコノアシが多く見られて、花が咲いていました(8月19日)。

    金子謙一 

八幡付近より

  • アブラゼミの声と姿を確認しました(7月2日)。

    M.M.さん(八幡在住)

国府台より

  • スポーツセンターでアブラゼミが鳴いていました(7月8日)。この日は里見公園周辺でニイニイゼミが鳴いているのも確認できました。

    K.H.さん(船橋市在住)

  ◆真間周辺より

  • ゴイサギの成鳥1羽が、手児奈霊堂の池、花が咲き始めたサルスベリの木の枝にとまって、じっと水面をみつめていました(7月28日)。

   ◆堀之内貝塚公園より

  • シロダモの木の枝、地上からわずか1.5mのところに、フクロウ1羽がとまっていました(7月21日)。さすがに園路沿いを私が移動すると、音も立てずに飛び去りました。

   ◆坂川旧河口周辺より

  • 干潮で水が引いた江戸川にダイサギ3羽、コサギ1羽が見られました(7月7日)。
  • イソシギ1羽が坂川旧河口先江戸川に流れ着いた流木にとまって尾を振りました(8月4日)。

   ◆市内某所

  • アオバズクが巣立ちました(7月16日)。巣穴近くの枝に3羽の幼鳥がバラバラになってとまっていました。成鳥も2羽が幼鳥の近くにいました。ハシブトガラスの群れが遠からぬ場所で元気に騒いでいますので、無事に何羽が育ってくれるのか気がかりです。

    以上 根本貴久さん(菅野在住)
気象のようす

  ※ 
日照時間が記録的に短い7月と、記録的な猛暑と雨が降らない8月でした。

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