平成20年度 市川自然博物館だより 4・5月月号 115号

市立市川自然博物館 2008年4月1日発行

     

 いきもの写真館  季節の観察ガイド  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  近隣博物館めぐり  活動紹介
 スポットライト    わたしの観察ノート

 


 

いきもの写真館
シオヤトンボ  春のトンボです。イヌスギナにつかまったヤゴが今まさに羽化している瞬間です。えびぞりになっているのが、抜け出した体です。  撮影者 土居幸雄さん

 

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観察ガイド 4月から5月のおすすめ

 

        野のさくら                          −ヤマザクラ、イヌザクラ―

 「野のさくら」という表現が適切かどうかわかりませんが、ソメイヨシノやカワヅザクラと
いった、めでるために人間が増やしている桜に対して、野生の植物として生きる桜があります。
 その代表が市内ではヤマザクラとイヌザクラで、ヤマザクラは4月前半、イヌザクラは5月前半に花を見ることができます。
 ヤマザクラは花と同時に赤味を帯びた若葉が芽吹き、イヌザクラは桜らしからぬブラシ状の花序(写真)を持つので、他の桜との区別は容易です。

 

イヌザクラの花
イヌザクラの花
            巣立ちの季節              −ヒヨドリ、シジュウカラ、メジロ−

 5月の声を聞くころから、さまざまな野鳥が巣立ちを始めます。
 街なかで子育てをする種類としてはヒヨドリ(写真)やキジバト、ムクドリ、スズメ、ハシブトガラス、ハシボソガラスなどがありますが、少し緑が多い場所になると、シジュウカラやメジロ、コゲラ、モズといった種類も子育てをします。
 多くの種類がまだ満足に飛べないうちに巣を出ます。おぼつかない足取り?のヒナとそれを見守る親鳥の姿はほほえましいものですが、勘違いしてヒナを助ける=連れ去ることのないように注意しましょう。

ヒヨドリの巣とヒナ
ヒヨドリのひな
     カエルの産卵            -シュレーゲルアオガエル-

 あまり馴染みのないカエルですが、田に水が張られる4月から田植えが済む5月まで、クルルル、コロロロと賑やかに鳴き、田んぼのきれいに整えられた畦に産卵します。
有名なモリアオガエル同様、泡に包まれた卵塊ですが、木の枝ではなく畦の中(地中)に産み付けるので、あまり目に触れることがありません。
 市川市内では田んぼの激減により、絶滅寸前の状況に追い込まれています。

シュレーゲルアオガエル
シュレーゲルアオガエル

 

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街角自然たんぽう

 すえひろ   
 末広1〜2丁目 ・ 街路樹の空巣         
東西線沿いの街路樹

 末広周辺は、住宅が多く道路整備も進んでいて、街路樹がきれいに並んでいます。
 以前は、街路樹というとマテバシイやイチョウなどでしたが、最近では、クスノキやハナミズキなどを植樹しているようです。
 冬の時期に街路樹をゆっくり観察しながら歩くと、キジバトやカワラヒワ、メジロなどの空巣を間近に発見することがあります。
 小鳥たちにとって人家の近くに巣作りすることは、カラスからヒナを守るためなのかも知れません。

 

 

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くすのきのあるバス通りから カラスの巣

 中学に通う娘が、友達に「カラスが枝をくわえていたよ。
 巣材かな」と言うと、「巣があるよ」と通学路の巣のありかを教えてくれました。
 その後、娘にその場所を教えてもらいました。
 真間川にかかる得栄橋の側の電柱の上に、白と青の針金ハンガーが入ったカラスの巣でした。
 次の日「写真を撮っておこう」とまた見に行くと、尾が見えました。
 その日の夕方、娘が巣の下を通ると「カー」と鳴いたそうです。巣の中であまり動かないので、卵を抱いているのかもしれません。(M.M.)

カラスの巣の写真
 前から見えない。川を渡って、横からも見えない。
  後からと下からは、このように見えます。
  たまに右の方へ角度が変わるときもあります。

 

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 近隣博物館めぐり 小石川植物園

      

はじめに

 このコーナーでは、市川市近隣の自然に関する展示等を含む比較的小規模な博物館を実際に訪ね、見どころやアクセス方法を紹介します。
 市川自然博物館や大町自然観察園と合わせて皆さんの自然探究のフィールドに加えていただければ幸いです。

 

都営地下鉄で

 本八幡駅から都営地下鉄新宿線に乗り、神保町駅で三田線に乗り換えて3つめの白山駅で降ります。
 A1出口で地上に出たら右側に進み、「白山下」交差点で「白山通り」を横断して蓮華寺坂を登っていくと右側に小石川植物園のコンクリート塀が現れます。
 塀に沿って今度は御殿坂を下り、安閑寺に突き当たったら右に曲がるとすぐに入口があります。白山駅から600m、10分程度です。

小石川植物園
△小石川植物園入口
(所在地) 〒112-0001 文京区白山3-7-1
(電 話) 03-3814-0138
(開 園) 9:00~16:30 月曜、年末年始休園

 

東京大学の附属施設

 正式名称は「東京大学大学院理学系研究科附属植物園」です。
 植物学の教育・研究を目的とする東京大学の実習施設ですが、一般的には「小石川植物園」と呼ばれ、多くの人々に親しまれています。
 もともとは徳川5代将軍綱吉の屋敷で、白山御殿と呼ばれていました。
 後に「小石川薬園」となり、園内には「小石川養生所」もありました。
 明治以降は東京大学の附属施設になっています。全体の面積は約160,000u、台地、低地、斜面林、池など変化があり、都心とは思えないほど自然に溢れています。
 園内には約4,000種の植物が栽培され、本館内にはさく葉標本だけでも70万点が収蔵されている日本で一番古い植物園です。

 

園内の植物

 植物園の斜面には本来の植生と思われるシイ、ヤブツバキ、ヒサカキ、ヤブコウジ、コナラ、アカメガシワなどが見られますが、多くの植物が国内外から持ち込まれて栽培されている植物です。
 日本の植物には、アカマツ、ミズキ、タブノキなどがあります。
 アジア原産の植物には、ハンカチノキ、ウチワノキ、トチュウなどがあり、北アメリカ原産の木には、ユリノキ、タイサンボクなどがあります。梅林や桜林もあります。

 

 

 

分類標本園

 植物の分類体系を、生きている植物によって理解できるように、代表的な植物が植えられているコーナーが植物分類標本園です。
 ここには、代表的な植物約500種が植えられていて、すべてに和名のプレートが付けられています。

 

 

 

ニュートンのリンゴの木

 ニュートンが木から落ちるリンゴを見て「万有引力の法則」を発見したという有名な逸話があります。
 1964年に英国から寄贈されたニュートンが観察したと伝えられている木を接木で育てたリンゴの木と、「遺伝の法則」を発見したメンデルが使ったブドウの木の分株が、本館から温室に向かう途中にあります。

 

 

 

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自然博物館の活動紹介 自然講座

 自然講座
  平成20年1月26日、2月2、9、16日(各土曜日)午後6時〜8時   
     市民会館、市民談話室にて  (参加合計 大人58人)

 

学芸員による室内講座

 自然講座は、当館の学芸員が1人1回、合計で4回行う室内講座です。
 市立博物館である当館は、市民のみなさんとの距離を縮め、なるべく市民のみなさんの身近なところで活動したいと考えていますので、どうしても野外での自然観察会や散策会といった行事が活動の中心になってしまいます。
 そのような中で、あまり野外活動に向かない冬の時期を利用して室内講座を開催しています。
 野外での活動は楽しく盛り上がる半面、生き物や自然環境と向き合いじっくり学ぶという部分では手薄になりがちです。その点を、この自然講座で補いたいというねらいがあります。

学芸員それぞれの専門分野で

 今回の自然講座のテーマと担当は、つぎのようでした。

 「市川の山野草 ユリ科など」  担当:金子謙一

 「柏井雑木林のチョウ・ガ」  担当:清野元之

 「地形から川の始まりを探す―大柏川」  担当:宮橋美弥子

 「スズメバチの生態」   担当:小川晃

 このテーマ設定は学芸員それぞれの専門分野を生かしたもので、植物、昆虫、地理・地形という分野構成になっています。
 もっとも、専門分野を生かしたとはいっても学芸員の独自の研究成果に基づいた発表というわけではなく、むしろ既存のさまざまな資料・成果を駆使して参加者の方の興味を深めることに重点を置いています。

自然講座の風景」
自然講座の風景

ともに学ぶという気持ちで

 博物館の学芸員には調査研究において成果を出すことが求められますが、専門的な内容をわかりやすく伝えることもまた、大切な業務であると考えます。
 地域に目を向け、地域に立脚した内容は、テレビや雑誌ではできない内容です。
 これからも参加者の方々とコミュニケーションを図り、互いに高め合えるような講座でありたいと考えています。

 

 

 

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 自然博物館 スポットライト 常設展示 林の自然

 3月に、常設展示室の「残された市川の自然」のなかの『林の自然』コーナーについて、パネル類を中心としたリニューアルをおこないました。
今回の目玉は「林内や林縁を散策できる市川市内の緑地」を紹介した大型パネルです。市川では、林はおもに中部〜北部の台地の縁で見られますが、都市化によって林の規模は小さくなりました。このパネルでは、散策に適した林を紹介しながら、この事が地図と航空写真で確認できるようになっています。北西部を写した航空写真では、堀之内貝塚公園や小塚山公園、じゅん菜池緑地など、公園や緑地として保全された林が、住宅地の中に点在していることがよくわかります。また、真間山から里見公園にかけては、台地を取り巻いてある斜面林が貴重な緑になっています。
これまでとは違う種類の野草を押し葉標本のほかに写真パネルで紹介するほか、ケース内展示では人気のあった木の実の紹介も充実させています。学芸員手作りの立体アカガシ標本も飾ってあります。

 

ちょっと学芸員ウラ話

 博物館には老若男女様々な方が訪れます。全ての方に、というのはなかなか難しいのですが、解説を書いたパネルは、できるだけわかりやすく見やすくなるようにくふうしています。
 例えば、開館当初に作られたパネルは、コーナーカラーが決められていて、それに従った赤や緑の下地の上に白い文字で文章が書かれていました。
 デザイン的には良いのでしょうが………、これが意外と文字を読みづらくさせています。
 ここ数年で、新しくしたパネルは、白い下地に黒い文字にしました。文字の大きさや行間には余裕を持たせ、もちろんコーナーカラーをポイントで使って、デザインに統一性をもたせました。総ルビであることは、開館以来の伝統です。
 展示室の中で、どれが新しくしたパネルか、探してみてください。

 

 

 

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • 湿地の草刈りをしていたら、フクロウがひと声だけですが鳴きました(1/11)。
  • 例年よりも早く、1月中ごろから産卵がはじまったアカガエルは、だいたい全体で、150を越す卵塊の数となりました(2/23)。


    以上 金子謙一(自然博物館)

市川北高校周辺より

  • 空地にオオイヌノフグリの花が咲いていました(1/2)。

柏井雑木林周辺より

  • トビイロケアリがイヌシデの幹につくった巣から何匹も出てきていました(2/11)。
  • ホトケノザの花が咲いていました(2/11)。
  • シラカシの幹でキノカワガが越冬していました(2/11)。
  • スギの幹に越冬中のヤニサシガメの5齢幼虫が2匹いました(2/11)。

柏井町より

  • クロヤマアリが暖かい日差しに誘われたのか、何匹も巣穴から出ていました(2/17)。


    以上 林克己さん(船橋市在住)

  ◆八幡1丁目より

  • 小雨の降る中、市役所の植え込みの枝に、2羽のメジロがいました(1/29)。


    宮橋美弥子(自然博物館)

   ◆じゅん菜池公園より

  • トモエガモのオス1羽、メス1羽がいました(1/5)。オスはカルガモ2羽の後を付いてまわり、メスは岸の芝地にあがってオナガガモ、ヒドリガモの群れの中で休んでいました。
     
  • トモエガモのメス1羽は斜面林のすそに上がって盛んにコナラのドングリを食べました(2/17)。カワセミ1羽、ルリビタキのメスタイプ1羽の姿も見られました。

   ◆「国府台ふれあいのみち」より

  • 木にとまっていたノスリ1羽が近づく私に気付いて飛び立った途端、カラス数羽が鳴きながら後を追いました。カラスの群れに取り囲まれていたようです(1/12)。

   ◆坂川旧河口周辺より

  • どこからともなく現われたオオタカ成鳥1羽が坂川旧河口(下流部)右岸のカキノキにとまった途端、となりのサクラの木にいたキジバト1羽は一目散に飛んで姿を消しました(1/1)。同じ場所で、降りしきる雪の中、オオタカ成鳥1羽が枝にじっととまっていました(2/3)。


    以上 根本貴久さん(菅野在住) 

気象のようす

  ※ 
2月3日の積雪は、その後も気温の低い日が続き、なかなか融けませんでした。

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