平成20年度 市川自然博物館だより 6・7月月号 116号

市立市川自然博物館 2008年6月1日発行

     

 いきもの写真館  季節の観察ガイド  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  近隣博物館めぐり  活動紹介
 スポットライト    わたしの観察ノート

 


 

いきもの写真館
ベッコウバチ  狩り蜂の一種です。クモを捕まえると、巣穴を掘って運び込み卵を産み付けます。孵った幼虫は、クモを食べてそだちます。  撮影者 土居幸雄さん

 

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観察ガイド 6月から7月のおすすめ

 

     水面を飛び交うのは……              −ツバメ、アブラコウモリ−

 6月から7月、ちょうど日本の雨季である梅雨をはさんだ期間は、植物が力強く繁茂し、動物は春に産まれた子が成長します。
 市内を流れる真間川や大柏川、国分川に目を向けると、日中はツバメがはげしく飛び交い、日が落ちると入れ替わるようにアブラコウモリが舞いはじめます。
 いずれも、川で発生するユスリカを食べに来ているのです。
 ところで、アブラコウモリは活動するのが暗い時間帯ということもあり、なかなか姿をじっくり見る機会がありません。
 写真は、以前、博物館で保護したアブラコウモリを撮影したものですが、意外に小さくて手のひらサイズの大きさでした。

アブラコウモリ
アブラコウモリ
            うっとおしい梅雨の楽しみ     −ハンゲショウ−

 6月中・下旬、大町公園ではハンゲショウが満開になります。
 ハンゲショウはトグダミ科の野草で、開花期、小さな花が集まった穂状の花序を伸ばすのに合わせて、花序に近い数枚の葉の半分が白く色変わりします(写真)。
 多くの植物が色鮮やかな花びらで虫を呼ぶ代わりに、ハンゲショウは葉を白くすることで虫を呼んでいるのです。
 この時期、大町公園の湿地帯(長田谷津)は水蒸気をたっぷり含んだ空気に包まれ、ハンゲショウの葉の白さが、いっそう引き立ちます。

ハンゲショウ
ハンゲショウ
     夏の夕暮れを告げる声       −ヒグラシー

 ヒグラシは、夕暮れ時にカナカナと寂しげな音色を響かせるセミです。
 住宅地ではあまり声を聞くことはできませんが、スギやサワラが混じる林には多いようです。
 大町公園には多く、梅雨明け後は夕方に大合唱が聞かれるほか、日中、林内の園路を歩くと足元の茂みから飛び立つこともよくあります。

ヒグラシ
ヒグラシ

 

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街角自然たんぽう

 すがの   
 菅野    京成線菅野駅〜白幡天神社
京成線菅野駅改札のある陸橋から八幡方面へのながめ
京成線菅野駅改札のある陸橋から八幡方面へのながめ

 菅野駅の改札入口から周辺を見渡すと、京成線の線路を挟んで大きなクロマツがあちらこちらに点在している風景を見ることができます。
 駅から白幡天神社のある北に向かって歩いていくと、すぐに大きなクロマツが道にはみだしそうになって立っている姿をいくつも見ることができますが、大きな十字路を渡るとマツが見られなくなります。
 少し進むと白幡天神社があります。ここには、大きなケヤキがあり、公園も併設されています。

 

 

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くすのきのあるバス通りから ユスリカ大発生

 明るい黄緑の新しい葉と花でモコモコとした感じのスダジイと、赤が少し入った黄緑のクスノキが斜面林や街のあちこちに見られます。
 エゴノキの花の数が大変多いように感じます。
 サクラの花も多かった気がします。花芽ができる条件がよかったのかも知れません。
 白幡神社の斜面にスイカズラが咲いています。
 大賀ハスのところにオセチ料理のクワイを居候させました。
 きれいな葉を沢山出しています。
 ハスはまだ芽を出していません。
 刺す蚊を発生させないように時々水をこぼしていますが、ユスリカは泥の中に棲んでいるので、成虫になり網戸に沢山つきます。
 団扇で追い払ってから戸を開け閉めします。
 真間川や大柏川に大発生し蚊柱を作っているようです。
 昼間はツバメが川に沿って飛び餌にしているようです。
 夕暮れ時からは、コウモリが川より住宅よりの道路予定地の草むらの上を飛び交っています。
 夜は餌になるものが川から移動するのでしょうか。
 虫は他の動物の餌となり数のバランスが保たれているのでしょう。
 蚊の対策として殺虫剤は使わないのがいいと思います。
 有害化学物質と分解すると環境ホルモンになる界面活性剤が河川や東京湾に行き、多くの生物に蓄積したり、発生や成長を阻害します。
 海産物として私たちがたべることもあるからです。 (M.M.)
 

 

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 近隣博物館めぐり 群馬県立ぐんま昆虫の森

      

はじめに

 このコーナーでは、市川市近隣の自然に関する展示等を含む比較的小規模な博物館を実際に訪ね、見どころやアクセス方法を紹介します。
 市川自然博物館や大町自然観察園と合わせて皆さんの自然探究のフィールドに加えていただければ幸いです。

 

ハイキング気分で

 少し遠いのですが、ハイキング気分で群馬県まで出かけてみませんか。
 秋葉原駅等から地下鉄日比谷線経由で、または武蔵野線南越谷駅で東武伊勢崎線の電車に乗ります。
 太田駅から東武桐生線に入り、終点の赤城駅まで行きます。
 浅草駅から直通の特急「りょうもう号」も運転されています。
 赤城駅の北西約3kmに「ぐんま昆虫の森」があります。
 歩くと約40分、駅からのバスはありませんが、駅に無料のレンタサイクルがあります。
 タクシーも利用できます。
 車なら、東北自動車道の佐野藤岡ICから国道50号線経由で1時間ほどです。

ぐんま昆虫の森 昆虫観察館
△ぐんま昆虫の森−昆虫観察館−
(所在地)〒376-0132桐生市新里町鶴ヶ谷460-1
(電 話)0277-74-6441
(開 園)9:30〜17:00(11〜3月は16:30まで)
月曜,年末年始休園

 

群馬県の施設

 群馬県立ぐんま昆虫の森は、里山の自然のなかで、身近な生きものとのふれあいを通して、生きものとその生息環境の相互関係を理解し、自然環境に対する理解を深めてもらうことを目的として平成17年8月、桐生市内の不二山地域に開館した群馬県の施設です。
 森の広さが約45万uもあり、その中に昆虫観察館本館、同別館、食草・育成温室などがあります。

 

昆虫観察館

 昆虫観察館本館は、入口が3階にあたり、映像展示の「生命の星・地球」が上映されています。
 順路に沿って進むと2階に着き、別の映像展示「多様な環境・たくさんの命」が映されています。
 ここでは、地球上の様々な環境の中で生きる生命がダイナミックな映像で表現されています。
 さらに先に進むと「里山の昆虫たち」のコーナーがあり、カブトムシやナナフシをはじめとした里山の昆虫やイモリなど身近な生き物を飼育水槽の中で1年中観察できます。

 

 

 

生態温室

 昆虫観察館の2階から大きなガラス張りの大温室に入れます。
 ここは、沖縄県の西表島(いりおもてじま)の景観をモデルに亜熱帯の環境を再現した温室です。
 リュウキュウアサギマダラなどのチョウをはじめとする亜熱帯の生きものを1年中観察することができます。

 

 

 

広いフィールドで昆虫を探せる

 広い園内は、雑木林ゾーン、桑畑ゾーン、富士山沼ゾーン、水田ゾーンに区分され、雑木林、小川、水田、草はらなど里山の風景が広がっています。
 雑木林には、堆肥場もあり、カブトムシの幼虫などを観察することができます。
 目的に応じてセルフガイドや捕虫網も貸してくれます(虫等の持ち帰りはできない)。
 その他いろいろな体験学習やイベントも行われています。

 

 

 

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自然博物館の活動紹介 幼稚園の野外活動

 幼稚園の野外活動支援
  平成20年4月26日(土曜日)
  午前9時30分〜12時    江戸川放水路にて 
                                (参加合計 およそ200人)

 

学芸員による園・学校支援

 自然博物館では、学芸員が市内の学校に出かけて行って、授業や体験学習、野外活動の支援を積極的に行なっています。
 これは、授業の場合、学校から先生と生徒が博物館に来るよりも、学芸員が必要な資料を持って学校を訪れるほうがはるかに簡単で融通が利くからであり、体験学習や野外活動の場合は、学校や学校がある地域で行なうことに意義がある場合が多いからです。

幼稚園の活動支援

 今回紹介するのは、市内の、ある幼稚園の野外活動の支援です。この幼稚園とは数年来の付き合いで、年間4回、それぞれの季節に応じたテーマで活動します。今回は、花摘みがテーマでした。
 活動の流れは、つぎのとおりです。
 まず、園の意向で実施日が土曜日に設定され、保護者、特にお父さんの参加が多くありました。
 そして、園児たちはクラスごとに園を出て活動場所(江戸川放水路の堤防)まで並んで歩き、保護者が各クラスに付き添いました。
 現地では、ビニール袋、ポケット図鑑、虫めがねを持った子どもたちが自由に活動し、草刈り前の堤防の野草を思い思いに摘んでいきました。
 学芸員は、この間、園児たちの間を自由に動き回り、声をかけたり、逆に質問を受けたりしました。
 セイヨウタンポポやチガヤといった野草の名前を教えたり、ギシギシにつくナナホシテントウを探したりというのが、おもな活動でした。
 その後、園に戻ってから子どもたちは摘んだ花を水に挿して飾り、このときも学芸員がひとクラスずつ回って声掛けを行ないました。

幼稚園の活動支援の様子

生活科へ、理科へ、生物へ

 今回の対象は、年長組の園児です。
 この子たちは次年度には小学校で生活科を学び、3年生からは理科、その後、一部の子は生物を学びます。
 博物館と幼稚園では縁遠い関係にも見えますが、理科学習という大きな流れの中で、そのスタート時に博物館が専門機関として関与することは、意義深いことだと考えています。

 

 

 

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 自然博物館 スポットライト 植物標本をつくる

 博物館では植物の押し葉(腊葉(さくよう))標本を、一度に何十もまとめてつくります。
 一般家庭で標本を作製するときには、乾いた新聞紙と標本を交互に挟み、新聞紙を毎日交換することで標本を乾燥させてゆきますが、それでは乾いた新聞紙が毎日大量に必要です。
 博物館では、数日押して形を整えた後は、専用の乾燥機を使って仕上げます。
 一気に乾燥させるので、色もきれいに仕上がります。

△2つのヒヨコ電球(○内)が下から低温で熱し、乾燥させます。標本を挟んだ新聞紙とダンボール、アルミの波板を交互に挟んで空気の通りをよくしています。

△2つのヒヨコ電球(○内)が下から低温で熱し、乾燥させます。
 標本を挟んだ新聞紙とダンボール、アルミの波板を交互に挟んで空気の通りをよくしています。

 

 

 

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • 通称三角池に5、6匹のヒキガエルが集まり、卵塊が見られました(3/18)。林の中の道でも姿が見られました。

        西 博孝(自然博物館)

  • 冬眠から目覚めたオオスズメバチの女王が、営巣場所を求めてあちこち飛び回っていました(4/30)。


        小川 晃(自然博物館)

市営霊園内より

  • ニオイタチツボスミレが咲いていました(4/11)。曇りだったためか、フデリンドウは数本だけ咲いていました。


堀之内貝塚公園より

  • アマナの花が、一面に咲いていました(4/3)。春らしい野草できれいでした。カントウタンポポ、シロバナタンポポも咲き始めていました。


    以上 金子謙一(自然博物館)

柏井雑木林より

  • 今年羽化したばかりのルリシジミが、キャンプ場のサンゴジュの上を飛んでいました(3/26)。


        清野元之(自然博物館)

  ◆柏井町より

  • 柏井公民館前の民家で河津桜の大木?がピンクの花を見事に咲かせていました(3/5)。
        

        吉田 毅さん(柏井町在住)

   ◆市内某所より

  • 春めいてきた雑木林で、シュンランの花の芽を見つけました(3/1)。


        谷口浩之さん(北国分在住)

   ◆じゅん菜池公園より

  • 2羽のカワセミが茂みの中の同じ枝にとまっているのが、珍しかったです(3/11)。


        高橋富子さん(大野町在住)

  • 東側斜面林上の保存樹林内にツミの鳴き声が響きました(4/19)。
    見上げれば、イヌシデにとまるツミ雌が確認できました。次の瞬間、遠巻きにしていた数羽のハシブトガラスに向かって突進して蹴散らしてしまいました。
   ◆坂川旧河口周辺より
  • ツバメ1羽が新堤防沿いを上流に向かって低く飛び過ぎました(3/29)。
       

   ◆菅野より

  • 住宅の庭からキビタキのさえずり声が聞こえていました(4/26)。

   ◆真間より

  • 手児奈霊堂の池にアオサギ1羽が立ち、じっと水面を見ていました(4/5)。周りには散りはじめた桜の花が見られて、すごくきれいな風景でした。
      

    以上 根本貴久さん(菅野在住)
気象のようす

  ※ 
暖かい日が続いてコブシとサクラが同時に見られた3月と、雨の多い4月でした。

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