平成20年度 市川自然博物館だより 8・9月号 117号

市立市川自然博物館 2008年8月1日発行

     

 いきもの写真館  季節の観察ガイド  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  近隣博物館めぐり  活動紹介
 スポットライト    わたしの観察ノート

 


 

いきもの写真館
クロコノマチョウ 近年、市川市内にも定着した南方系のチョウです。幼虫の食草はジュズダマで、大町公園では、幼虫も蛹も確認されています。  撮影者 土居幸雄さん

 

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観察ガイド 8月から9月のおすすめ

 

     真夏に花開く ……                − イ ネ −

 かつて市内でもっとも身近な農作物であったイネ(稲)は、水田の激減により市内ではほとんど見られない植物になってしまいました。
 食べる側にとっては秋の稔りの時期が重要ですが、農家の方にとっては夏の開花の時期もまた重要であったにちがいありません。
 目立たない花ですが、主食であるコメを身近に理解するために、イネの開花も見ておきたいものです。
 現在では、大野町4丁目(市川北高校裏)の親子ふれあい農園の田んぼが観察しやすい場所としてオススメです。

イネの花
イネの花

 

市内では数少ない草原の花     −ワレモコウ、ツリガネニンジン−

 身近な野草を生育環境別に「湿地の植物」「草原の植物」「林の植物」に大別した場合、市川市内でもっとも失われてしまったのは草原に生育する植物です。
 草原の環境は、住宅地や農地、道路などにできるため有用性が高く、都市化とともに真っ先に開発の手が入ってしまうからです。
 そのため、タチフウロのような草原性の植物はずいぶん前に市内から姿を消してしまいました。
 今でも江戸川の土手や霊園、公園などで、ワレモコウ(写真)などの草原性の野草に出会えることがあります。

ワレモコウの花
ワレモコウの花

 

     芸術的なクモの網       −ナガコガネグモー

 立秋を過ぎ、こよみの上での秋が始まると、市内でも秋の野草が咲き始め、また、クモが立派な巣を張るようになります。
 大きな巣を張るものとしてはジョロウグモは市域で幅広く見られますが、まん丸な巣を張るオニグモは少なくなりました。
 大町公園では、斜面林にジョロウグモが、湿地にナガコガネグモ(写真)がよく巣を張ります。
 小さな昆虫はもちろん、セミやトンボといった大型の獲物もかかっています。。

ナガコガネグモ
ナガコガネグモ

 

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街角自然たんぽう

  す わ だ   
 須和田     須和田公園
須和田公園
須和田公園

 須和田公園は、弥生時代後期の遺跡が公園として整備された場所で、今でも竪穴式住居のあとが残っていて見ることができます。
 小高い丘に鬱蒼と木々が茂り、真夏の暑い日は、木陰の中で午前中は二イニイゼミ、お昼ごろからミンミンゼミやアブラゼミ、夕暮れになってくるとヒグラシなどが鳴いています。
 ヒグラシは、スギ林などの湿った林に生息するため、市内の市街地では、鳴き声を聞くことは少なくなりました。

 

 

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くすのきのあるバス通りから 真間川でカニを見ました

 花の咲いている様子で、木の種類が遠くからでもわかる事があります。
 トウネズミモチが沢山花を咲かせ、「あんな所にもあるんだ」と思いました。 
 7月は、戦後2番目の降水量の少なさだったそうです。
 セミは土が乾いて出にくかったのでしょうか、7月26日に八幡と中山団地でニイニイゼミの声を初めて聞き28日に八幡でミンミンゼミが鳴きました。
 6月中に、三中に通う娘から、「真間川にカニがいて、穴に出たり入ったりしていた」と聞いていました。
 「見に行かねば」と思いつつ日が経ってしまい、「今頃行っても、取材拒否でカニはいないかも」と娘に言われました。
 宮下橋付近に数匹、元の市川学園の側は、貧弱なアシの茂みに沢山いて、たしかに巣穴もあり、ハサミで何か口に運んでいました。
 根本橋近くの矢板と護岸の間のコンクリートの上にも10匹ぐらいいました。
 東京湾ではなく、国府台のほうの江戸川から来たカニでしょうか。    (M.M.)
 

真間川にいたカニの写真
真間川にいたカニ

 

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 近隣博物館めぐり 野田市郷土博物館

      

はじめに

 このコーナーでは、市川市近隣の自然に関する展示等を含む比較的小規模な博物館を実際に訪ね、見どころやアクセス方法を紹介します。
 市川自然博物館や大町自然観察園と合わせて皆さんの自然探究のフィールドに加えていただければ幸いです。

 

東武野田線に乗って

 船橋駅、新鎌ヶ谷駅または柏駅から東武野田線の電車に乗り、大宮方面に向かいます。
 柏駅から20分ほどで野田市駅に着きます。
 駅の隣には、大きな醤油工場があり、ホームに降り立つと醤油の香りが漂って来ます。
 駅前の道を線路に沿って大宮方面に進み、踏切の道に突き当たったら踏切と反対方向に曲がります。
 県立野田中央高校野田校舎(旧県立野田高校)に沿って右に曲がり、高校の正門前を左に曲がるとすぐに野田市郷土博物館があります(徒歩5分)。

野田市郷土博物館
△野田市郷土博物館
(所在地)〒278-0037 野田市野田370
(電 話)04-7124-6851
(開 館)9:00〜17:00
火曜日、年末年始休館

 

醤油醸造家の邸宅敷地内に

 野田市郷土博物館は、大正13年(1924年)頃に建てられた醤油醸造家の茂木佐平治家の邸宅敷地内に建設され、昭和34年に開館しました。
 翌昭和35年には博物館法による登録博物館として県内で最初に認定されています。なお、邸宅の大部分は保存されていて内部も公開されています。
 現在は市民会館として野田市民の憩いの場になっています。
 平成9年には、国の有形文化財になっています。
 博物館はそれほど広くはありませんが、周囲の木々が日差しを遮り、セミの声が展示室内にいてもよく聞こえ、用意された団扇を使いながら、爽やかな雰囲気の中で展示を見ることができます。

 

醤油関係の資料が豊富

 野田市郷土博物館は、市内に残された文化遺産を中心に各種資料の収集・保存・調査・展示・教育普及活動を行っています。
 中でも醤油関係資料の豊富さは他に例がなく、全国的にもユニークな博物館として知られています。
 現在は、1階で企画展・市民コレクション展を行っているため、2階の展示室で、「醤油樽」「醤油醸造絵馬」「醤油徳利」などを見ることができます。

 

 

 

昆虫採集70年

 昆野田市郷土博物館では、10月6日まで平成20年度第2回企画展・市民コレクション展「昆虫採集70年−志賀一朗さんがみつめた野田市の自然」を開催しています。
 これは、野田市出身・在住の昆虫研究家志賀一朗さんが70年にわたり野田市内を中心に採集し作製した標本を展示したものです。
 標本箱約70個、総数約3,000点もの昆虫標本が展示されています。
 また、昆虫標本を作製する過程で使用する器具や作製経過が分る展示もあります。興味深い写真等の資料も数多く展示されています。

 

 

 

駅前の「もの知りしょうゆ館」にも

 帰りに、野田市駅前の「もの知りしょうゆ館」に寄ってみましょう。
 ここは、キッコーマンの博物館で、醤油醸造の歴史や現代の醤油醸造の工程を知ることができます。
 醤油の小瓶をもらえるのも魅力です。

 

 

 

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自然博物館の活動紹介 小学校の野外活動

 小学校のグリーンスクールのお手伝い
    大町公園・自然観察園にて

 

グリーンスクール

 グリーンスクールは、市内の公立小学校の4年生が少年自然の家で行う一泊二日の校外学習です。
 フィールドアスレチックやプラネタリウム、キャンプファイヤーといった活動のほか、以前はオリエンテーリングがよくプログラムに取り入れられていましたが、近年は自然の家に隣接する自然観察園での自然体験学習を組み入れる学校が多くなりました。
 自然博物館では、学校からの要請を受けて学芸員を講師として派遣し、活動の全般に関しての支援を行っています(平成19年度実績 14校)。

支援の内容

 グリーンスクールの支援は、事前支援と本番の2本立てで行っています。
 事前支援はプログラムの内容に関する調整で、他校の例などを参考に先生方と意見交換を行い、実際に自然観察園の下見に同行して見どころの紹介を行います。
 本番の方は、通常学芸員を2名派遣して観察上重要なポイントに配置し、子どもたちの活動に臨機応変に対応しています。

グリーンスクールでの子どもたちの様子

よく用いられる活動スタイル

 多くの小学校が採用するのは、グループによる活動です。小グループに分かれた子どもたちが、先生方が作製してあらかじめ配布するカードを持ち、そのマス目に書かれたテーマ(大きな葉っぱ、においのする草、どんぐり、赤いトンボ、鳥の声……)を見つけていくというものです。
 網を使って虫や魚を取ったり、湧き水にじかに触れたりというテーマが設けられる場合も多く、その場合は、博物館が網を使っていい場所を指定して学芸員が現場で指導し、湧き水が触れられる場所まで子どもたちを案内します。
 先生方にも、安全確保や子どもたちへの働きかけといった面で積極的にかかわっていただいています。
一般の方も利用する自然観察園での活動は、来園者の方に迷惑をかける面もありますが、豊かな自然の中で眼を輝かせる子どもたちの姿は、多くの方に好意的に受け止められています。

 

 

 

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 自然博物館 スポットライト 夏の目玉はやっぱり昆虫

 自然博物館では、標本だけでなく、生きた生き物を飼育展示するようにしています。
 水の中の生き物は年間を通して飼育していますが、夏の期間には昆虫を多く飼育しています。
 博物館周辺の草原や雑木林の昆虫を、大きめの水槽にナンデモカンデモ入れます。
 その日によって種類が違う昆虫たちが、草や朽木の陰に隠れているのを見つけて楽しんでもらえればと思います。
 ただし、一番人気のカブトムシは尿を飛ばしてガラスを汚すので、たくさんいると毎朝の掃除が大変です。

横幅120cmの水槽に、土を薄く敷いています。エサの草や小枝は交換しやすいようにビンに挿して入れます。

△横幅120cmの水槽に、土を薄く敷いています。
エサの草や小枝は交換しやすいようにビンに挿して入れます。

 

 

 

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • 園路脇の草むらにウズラカメムシがいました(6/22)。

大町より

  • カラスビシャクが昨年より2週間程遅く、同じ場所から生えてきていました(6/14)。

大野町より

  • サクラの木にヨコヅナカメムシの集団を見つけました(5/4)。羽化したばかりの真っ赤な色をした成虫もいました。

市内某所より

  • 砂地の水路内にアオカワモズクが生育しているのを確認しました(5/某日)。


    以上 K.T.さん

  ◆真間より

  • くもり空に霧雨とすっきりしなかった連休の最終日、久しぶりの青空の下、アオスジアゲハ、アゲハチョウ、モンシロチョウ、ベニシジミ、シジミチョウなどが弘法寺(真間山)下の斜面林の草むらをとびかっていました(5/6)。黒かったのはカラスアゲハだったのでしょうか?
         

        M.T.さん

   ◆小塚山市民の森より

  • 森でフルートや尺八のコンサートが開かれました。フルートの演奏と競うように鳥のなき声… ホトトギスでした(5/18)。


        谷口敏子さん(北国分在住)

   ◆八幡より

  • 「特許許可局」というホトトギスの鳴き声を聞きました。この辺りでは珍しいと思います(6/7)。
        

        M.M.さん
   ◆里見公園より
  • キビタキ雄、センダイムシクイ(少なくとも2羽)のさえずりが聞こえました(5/10)。また、総寧寺との境辺りからはコルリのさえずりが聞こえていました。久しぶりの記録です。

   ◆坂川旧河口一帯より

  • ホオアカの雄1羽が、柳原水門近く、新堤防下の背の低い草地に降りて、草の実を一生懸命口に入れているようでした(5/4)。ホオジロが全盛を迎えている一帯での観察は、実に2年ぶりのことです。

  • シジュウカラ10羽前後の群れが、江戸川の岸辺の木から木へと賑やかに移動していきました(5/31)。明らかに子連れの群れでした。

  • 下水処理場隣の畑から3羽のコチドリが鳴き声とともに飛び立ちましたが、よく見ると、畑の縁を歩く猫の姿がありました(6/21)。


    以上 根本貴久さん(菅野在住) 
気象のようす

  ※ 
雨や曇りの日が多く、気温もあまり高くありませんでした。

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