平成20年度 市川自然博物館だより 10・11月号 118号

市立市川自然博物館 2008年10月1日発行

     

 いきもの写真館  季節の観察ガイド  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  近隣博物館めぐり  活動紹介
 スポットライト    わたしの観察ノート

 


 

いきもの写真館
アサギマダラ 長い距離を移動する旅をする蝶です。 アサギマダラがヒヨドリバナの蜜を吸っている写真。  撮影者 土居幸雄さん

 

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観察ガイド 10月から11月のおすすめ

 

     どんぐり拾いの季節                −いろいろなどんぐり−

 10月から11月にかけては、どんぐり拾いのシーズンです。
 市内ではシラカシ、アカガシ、コナラ、クヌギなどのどんぐりが拾えます。
 大きなのはマテバシイのどんぐりで(写真)、これはマテバシイ属という、いわゆるどんぐりとは異なるグループに属し、雄花が垂れ下がらず上向きに咲くことや「どんぐりの帽子」が枝に残るといった点に違いがあります。
 市内には自生していませんが、公園や街路によく植えられます。
 割れにくく中から虫が出てくることもないので「どんぐり細工」にも向いています。

 

マテバシイのドングリの写真
マタバシイのドングリ

 

      カマキリ登場               −いろいろなカマキリ−

 モンシロチョウにはじまり、トンボ、カブトムシ、バッタと進んだ虫の季節は、カマキリの登場をもって、だいたい終了になります。
 もちろん、カマキリは秋になって突然発生するわけではなく春からずっといたのですが、秋10月ごろ、産卵のためにあちこちに成虫が姿をあらわし目につくようになります。
 市内では、いわゆるカマキリ(チョウセンカマキリ)のほか、オオカマキリ、コカマキリ、ハラビロカマキリ(写真)が見られます。
 住宅地によく姿を現すという点では、ハラビロカマキリがいちばん身近です。

ハラビロカナキリの写真
ハラビロカマキリ

 

     花のない季節に       −蜜いっぱいのヤツデの花−

 市川の花暦は、黄色いセイタカアワダチソウの花でひとまずの終わりを迎えます(12月の陽だまりで咲くオオイヌノフグリなどは例外ですね)。
 そんな花暦の最後に登場する花のひとつがヤツデです。
 ヤツデは、日陰でも育つせいか家の北側などに植えられる地味な存在で、花も決して人目を引くようなものではありません。
 ただ、拡大してみると、こんもりと盛り上がった花盤に蜜が結晶しているのがわかります(写真)。

ヤツデの花の写真
ヤツデの花

 

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街角自然たんぽう

 せきがしま  
 関ヶ島 細い路地と鳴く虫
生け垣とカネタタキの写真
〇の中がカネタタキ。生垣の中で鳴いています。

 関ヶ島周辺には、昔からの細い路地や生垣が、いまだにたくさん残っています。
 秋には、チン、チン、と鐘をたたく様な音が聞こえてくることがあります。
 昔の人はこの音を、ミノムシが鳴いていると言って、俳句や和歌に詠んだそうです。
 実際は、ミノムシは鳴くことができません。
 実は、カネタタキという大きさ1p位の昆虫が、昼夜問わずに鳴いています。
 鳴き声が聞こえたら生垣の中を探して見てください。 

 

 

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くすのきのあるバス通りから 行徳可動堰の開け閉め

 昨年9月の台風の通過後、わざわざ行徳可動堰が上がっているのを見に行きました。
 今年は、行徳に行く事が度々あり、行徳バイパスを使わず、旧行徳橋を渡る事が多いです。
 この夏は「ゲリラ豪雨」と名が付いたらしい、局所的な雷雨や豪雨がありました。
 8月28日から30日まで八幡はたいした雨ではなかったのですが、松戸に行った際ものすごい雨で、川のように道路に水が流れた所もありました。
 上流部の雨のせいか、31日に可動堰が上がっていました。
 9月2日はすでに、堰は閉まり、海側の岸に死んだ川の魚がありました。 「8月に発生した青潮で、ハゼや貝がたくさん死んでいるので、堰を開けて海に押し流してよかったのでは」と自然博の方と話をしました。
 昨年の台風では江戸川放水路からの土砂で三番瀬のアサリの96%が死んだり、流木やゴミが船橋漁港を埋め尽くしました。
 堰の開け閉めで魚が死んでいるのが目に付きますが、それを餌にする生き物もいるし、青潮や台風のように大々的なダメージや見えない所に及んでいる影響まではわからないし、自然が元に戻る過程は複雑なのでしょう。   (M.M.)
 

 

 

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 近隣博物館めぐり 牛久自然観察の森

      

はじめに

 このコーナーでは、市川市近隣の自然に関する展示等を含む比較的小規模な博物館を実際に訪ね、見どころやアクセス方法を紹介します。
 市川自然博物館や大町自然観察園と合わせて皆さんの自然探究のフィールドに加えていただければ幸いです。

 

常磐線で利根川を越えて

 JR武蔵野線新松戸駅経由などで柏駅まで行き、常磐線下り快速電車に乗ると、間もなく利根川の鉄橋を渡って、茨城県に入り、25分ほどで牛久駅に着きます。
 牛久駅からは、一日7本運行されているコミュニティバスで13分、「牛久自然観察の森正門」で下車します。
 車なら国道6号線経由で市川から70分ほどです。

牛久自然観察の森の写真
△牛久自然観察の森
(所在地)〒300-1212牛久市結束町489-1
(電 話)029-874-6600
(開 館)9:00〜16:45(11〜1月は16:00まで)
月曜,祝日の翌日,年末年始は休園

 

自然観察できる森

 「自然観察の森」とは、環境省の補助事業「身近な自然活用地域整備事業」で整備された森のことです。
 牛久自然観察の森は、霞ヶ浦、牛久沼、利根川に囲まれた稲敷台地の上に位置し、広さは約21haあります。ここは、古くからの里山の集落に隣接し、周囲の風景と調和しています。
 園内の植生の大半はスギやヒノキの植林地が占め、残りは雑木林、草はら、新たに造成した池や流れからなっています。
 入園無料です。

 

森ごとそっくり“博物館”

 園内は、観察テーマや管理方法の違いによって15のエリアに区分されています。
 駐車場から正門まで、「コジュケイの森」を、小鳥の鳴き声に注意し、草木に取り付けられた親切な名札を見ながら通り抜けると正門があります。門からしばらくは「バッタの原」という草はらです。
 ここはいくつかのブロックに分けて年間の草の刈り取り回数を変えていて草丈や草の種類は一律ではなく、その結果、いろいろな種類のバッタがすみ分けているようです。
 草はらの先は森になり、「ネイチャーセンター」があります。
 ここで双眼鏡を借りたり、園内の見どころを教えてもらうことができます。
 自然観察路に沿って「ヒグラシの林」「シイの森」「フクロウの森」「コムラサキの丘」「タマムシの林」と続いています。途中の「カワセミの池」などで、バードウォッチングもできます。森を抜けると「ノウサギの丘」に観察舎があり、休憩したり伝承遊びの体験などもできます。
 さらに奥に進み、「オトシブミの林」「ウグイスの林」「コブナの流れ」「アカネズミの森」「カッパの沼」と回ってノウサギの丘に戻れます。
 途中で、園外の散策路「ビートルズトレイル」(3.3km)を散策することもできます。

 

 

 

ふれてみる、里山の自然

 牛久自然観察の森では、かつて人々が山に入り、枝や落ち葉をとって燃料としたり、草を刈って肥料を作っていました。
 そんな人と自然との関わりが人が自然と共有するさまざまな知恵、そして豊かな生き物たちも育んできました。
 ここは里の自然の恵みを感じることができる野外博物館です。

 

 

 

 

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自然博物館の活動紹介 標本の採集作製会

 標本の採集作製会
    平成20年7月19日(土)、20日(日)
    午前10時〜午後2時 自然博物館、大町公園周辺にて
                                (参加合計  子ども27人)

 

博物学の基礎基本

 自然界にある多種多様な生き物、岩石・鉱物、化石などに目を向ける学問は、かつては「博物学」と呼ばれていました。
 いまでこそ名前は様々になりましたが、その基本は昔から変わりなく、採集し、標本にして収納し、細部を調べ、スケッチに書き残す、そういう作業の積み重ねです。
 そして、その作業の成果が図鑑であったり新種の発見であったりするわけです。
近年は、図鑑やテレビ、インターネットなどで必要な情報を容易に手に入れることができるようになりました。
 しかしそれらは二次的な情報にすぎず、例えば生物の体の立体的な構造はテレビ画面からでは直接的に理解することはできません。
 その意味では、実物は今の時代も重要ですし、特に子どもたちが実物を手に取って観察することには大きな意義があると言えるでしょう。

基本的な流れを体験する

 今回の行事では、対象を植物と昆虫の2つに分け、それぞれ1日ずつ、実際に野外で採集をするところから標本作製までを、ひとつの流れとして経験できるようにしました。
 両日とも、午前中は大町公園周辺を歩き、まず生き物を見つけること、そして採集することを体験しました。
 午後は室内に場を移し、植物、昆虫それぞれについて、採集した物をいかに形よく乾燥し標本に仕上げていくかを、講師の先生や学芸員の実演を交えて学びました。
 標本づくりがはじめてという子どもが多かったので、細部のテクニックというよりは大きな流れを知ってもらうことに重点を置きました。

昆虫の採集作製会の様子の写真
昆虫の採集作製会の様子

子どもたちの標本を収蔵庫へ

 正しく作られた標本は、作製者が子どもであれ大人であれ、学術的な差はありません。
 また、小学生くらいでも大人顔負けのきれいな標本を作れる子は何人もいます。
 将来、きちんと作られた子どもたちの標本が地域の博物館の収蔵庫に収められる、そういう流れができるかもしれません。
 そしてそのことが、実は地域の自然に多くの人の目を向けてもらうことにつながるのかもしれません。

 

 

 

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 自然博物館 スポットライト 夏の目玉はやっぱり昆虫

 数ある学芸員手作りの展示の中でも、一番の人気です。
 紐を引くという単純な操作で、ダイレクトに物が現れるという単純な仕組みが意外と新鮮なのでしょうか。
 子どもたちだけでなく、大人にもウケテいます。
 イラストで示された4種類の餌の中から正しいものを選ぶと獲物が釣れるというゲームです。
 正解以外を選ぶとゴミなどが釣れてしまい、ゴミは捨てないで、というメッセージ付きなのですが、変なものが現れるので逆に面白いようです。
 獲物の魚やザリガニなどは、軽量紙粘土でつくり、小さな子でも釣ることができますが、壊れやすいので年に1度は作り変えます。
 子どもたちが楽しく遊んでいる間に、保護者の方が展示をゆっくり見たり、ちょっと休憩できる、ゆとりの時間を持てるようにと考えています。

子どもが釣りゲームをして遊んでいる様子。

 

 

ちょっと学芸員のウラ話

 

 つりゲームの土台(紐をつるしている大きな箱)は、実は平成2年(1990年)に開催された企画展のために作られたものです。
 ふつう1つの展示が終わると造作物は壊してしまうものですが、再利用されながら20年近く活躍していることになります。
 左の写真の展示を覚えている方がいらっしゃるでしょうか。子どもの時に…という方が、今は家族連れで釣りゲームを楽しんでくれているかしら、と思ってしまいます。

まだ釣りゲームになっていない頃の様子

△平成2年度企画展「大町自然観察園の自然」
 窓で使うブラインドの表裏に、生き物の夏と冬の過ごし方のイラストが描かれていました。

 

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • 夕方、ハンノキが生えているあたりの西側の山からツクツクボウシ、ヒグラシの鳴き声が聞こえてきました(7/13)。

  • ヤマユリを鑑賞中、オオホシオナガバチが枯れ木にとまっているのを見ました(7/26)。

柏井雑木林より

  • キャンプ場の広場に、ウラギンシジミが飛んでいるのを見ました(7/13)。


    以上 K.H.さん(船橋市在住)

柏井町より

  • 1丁目のやぶで、もうクズの花が咲いていました。時期的に早いのでびっくりしました(8/11)。


         吉田 毅さん(柏井町在住)

真間より

  • 真間山下の斜面林で、ツクツクボウシの鳴き声を聞きました(8/9)。

  ◆市川より

  • 庭のスミレの植木鉢にいたツマグロヒョウモンの幼虫がサナギになり、ケースの中で羽化しました。写真撮影後、さっそく放したら、元気よく飛んでいきました(8/18)。


    以上 M.T.さん(市川在住)

   ◆堀之内貝塚より

  • キツネノカミソリが咲き始めました (8/4)。たぶん二、三日前から咲いていたのでしょう。十日の散策会では、小群落で見られるでしょう。うれしいことです。


        谷口敏子さん(北国分在住)

   ◆じゅん菜池緑地より

  • 東側斜面林からツミの声が断続的に聞こえていました(7/19)。
   ◆菅野より
  • 電柱のてっぺんに、イソヒヨドリ雌がとまり、口を開けずに(鼻歌のように)さえずり声を出していました(8/23)。耳なれない美しいさえずりであることと、どこから来るのか分かりにくい声量のない声だったのですが(はじめはモズの物まねではないかと思いましたが)、モズより大きな鳥のものと分かり驚きました。イソヒヨドリは、わたしのフィールド内での初認でした(161種目)。

   ◆坂川旧河口一帯より

  • 江戸川を越えてきたコサギ2羽、ダイサギ5羽の群れが東へ飛び去りました(7/13)。夏の青空を背景に大変きれいでした。

  • 口ばしに魚のようなものをくわえたカワセミが、坂川旧河口の上流部から下流部に向かって新堤防を繰り返し飛び過ぎました(8/9)。


    以上 根本貴久さん(菅野在住) 
気象のようす

  ※ 
7月にはゲリラ豪雨と報道された局地的な激しい雷雨の日があり、8月半ばからは涼しく秋雨の頃のようになりました。

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