◆  市川自然博物館だより  ◆

6・7月号

市立市川自然博物館  1991年6月1日発行

特集記事 街かど自然探訪 市川のこん虫 むかしの市川 行徳野鳥観察舎だより

 

特集「市川の海 江戸川放水路」

-ハマヒルガオ-

  江戸川放水路の河口付近にわずかに広がる砂浜では、5月から6月にかけて、ハマヒルガオが花を咲かせます。
  
  ハマヒルガオは・海岸の砂浜に群落をつくる多年生のつる植物で砂浜をはうように茎が伸びます。厚くつやがある丸い葉には、クチクラという透明な膜が発達していて水分の蒸発を防ぎ、塩分から身を守っています。
  
  淡紅色の花が砂浜一面に開花する様子は、とても美しいものです。干潟と埋め立て地ばかりの東京湾奥の中では特異な風景をつくりだしています。



特集記事



特集 『市川の海 江戸川放水路』

放水路位置図(sz121.gif(約8KB)


放水路にできた生物の宝庫〜干潟

  潮が引いている時、放水路には干潟が姿をあらわします。干潟は海水と砂や泥が作る独特な環境で、栄養分に富み、たくさんの生物がくらしています。また、干潟の後背地にはヨシ原がつきものです。ヨシ原は干潟の生物にとってなくてはならない場所で、産卵や成長、冬眠の場所として、また隠れ家としても重要です。


干潟の様子(sz122.gif(約15KB)


こんな生き物が観察できます

トビハゼの体(sz123.gif(約5KB) トビハゼ

  魚なのに水の中にいることが好きではないトビハゼは、潮の引いた放水路の干潟の上でピョンピョン飛び跳ねています。
  有明海のムツゴロウのように有名ではありませんが、昔は東京湾や瀬戸内海、有明海、紀伊半島や四国など、東京湾より西の太平洋側の河口干潟にいくらでも生息していました。
  しかし、生息に適した干潟が各地で埋められてしまい、現在、東京湾では江戸川放水路の干潟と新浜の人工干潟、谷津干潟の3ヵ所だけに生息しています。そして、実際に目の前で自由にトビハゼを観察することができるのは、江戸川放水路だけなのです。

アサリや他の貝類

  5月の干潟では、人々は潮干狩に夢中です。江戸川放水路の場合、河口の京葉線鉄橋付近でよく採れるようです。潮干狩の対象になる貝はアサリですが、そのほかにもいろいろな貝が生息しています。

貝類(sz125.gif(約7KB)

チゴガニ(sz124.gif(約5KB) チゴガニ

  江戸川放水路の干潟に降りてまず目につくのは、無数の小さなカニが白いはさみを上げ下げしている光景でしょう。まるで、カニが体操をしているみたいです。このカニは、チゴガニといいます。はさみを上げ下げしているのはオスで、白いはさみを振ってメスにアピールしているのです。5〜6月は、カニの結婚の季節です。

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街かど自然探訪



カット(sz126.gif、約11KB)

市川南・江戸川堤防の楽しみ

  市川南あたりの江戸川の堤防は、芝でおおわれ広々として見晴らしがよく、国府台の森や、冬には富士山もよく見えます。こんなに空を広く見渡せる場所は市内でもあまりありません。
  芝にまじってたくましい野草たちが小さな群落をつくり、ハトやムクドリ、水面のカワウなどの他、夏にはツバメ、冬にはカモやカモメの仲間を見ることができます。



カット(sz127.gif、約12KB)

市川・4丁目のクスノキ

  市川駅から大門通りを北に向けて歩いていくと、前方に真間山のこんもりとした森が見えてきます。この森から、里見公園の江戸川沿いにかけては、常緑樹の斜面林が帯状につづいていて、すばらしい景色をつくりだしています。
  「つぎはし」を越えて弘法寺の階段が見えてきたところで左に折れると、前方右手の斜面林の様子が少し変わってきます。そこはクスノキの大木が何本もある林になっています。特に5〜6月頃は、クスノキの葉がいっせいにはえかわり、輝くような新緑が、遠くから見てもみごとです。

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市川のこん虫




カミキリムシ

  6月から7月頃、雑木林にゆくとカミキリムシをみかけます。カミキリムシの特徴は、体が細長いこと、長い触角(しょっかく)を持つことです。
  カミキリムシは丈夫な口を持ち、木の皮や枝をけずりとってエサにしています。花粉をエサにするハナカミキリのなかまもいます。また、ゴマダラカミキリなどをつかまえると「キイキイ」という警戒音を出します。この音は体の一部をこすりあわせて出しています。市内には、今まで約50種類のカミキリムシの記録があり、柏井等の雑木林などではミヤマカミキリやノコギリカミキリが、行徳等の市街地ではゴマダラカミキリがよく見られます。

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むかしの市川




真間川の思い出 2

カット(sz128.gif、約3KB)   真間川の土手道は、私の通学路でした毎日の通学の道すがら、季節の生物の生活に触れることができました。梅雨にぬれた土手道におたまじゃくしから変わったばかりの小さなカエルが、豆をまいたように、足のふみ場もないほどたくさん飛び歩いていたこと。雨のあと、車のわだちにできた水たまりに、ミズカマキリが呼吸管を水面に出して泳いでいる姿を不思議に思ったりしたこと。夏の夕方、自転車を走らせていたら、水面から飛び立った大きなゲンゴロウが顔にぶつかってびっくりしたこともありました。ホタルも飛んでいました。
  また、真間小学校の対岸あたりに耕地整理組合の池がありました。田植え時には真間川の水がせき止められて、この池が満水となり、今は暗きょとなった用水路を通り、市川駅の南の水田へ運ばれていました。この時、小さな四つ手網を、この用水にいれると、子鮒や朝鮮鮒が面白いほどとれたものです。
(博物館指導員 大野景徳 記)

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行徳野鳥観察舎だより



カット(sz129.gif、約7KB)

マツの新芽

  どちらを見ても新緑がみごとだ。落葉樹の若葉のういういしさは食べてしまいたいほどだが、新芽に飾られた常緑樹も美しい。クロマツの花ざかり。枝先からひゅうっと30cm〜40cmものびた新芽のつけね近くに茶色っぽい雄花がこちゃこちゃとかたまり、黄色い花粉を風に流している。マツの花粉はスギとは違って花粉症の原因にはならないそうだ。
  新芽の先端には赤い雌花が2つ3つ。小さいまつかさの形で、文字どおりの「まつぼっくりの赤ちゃん」。去年生まれの若いまつぼっくりは雄花に半分隠れ、満2才の成熟したマツの実は、一段下の枝わかれのところでかさを開いている。年に一度の枝わかれから、マツの木の年齢や、年ごとの成長ぶりを調べるのもおもしろい。

(文と絵:行徳野鳥観察舎 蓮尾純子 )

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