平成20年度 市川自然博物館だより 2・3月号 120号

市立市川自然博物館 2009年2月1日発行

     

 いきもの写真館  季節の観察ガイド  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  近隣博物館めぐり  活動紹介
 スポットライト    わたしの観察ノート

 


 

いきもの写真館
コサギ 木の枝にとまってはづくろいをする。冬は背中の飾り羽が美しい。  撮影者 土居幸雄さん

 

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観察ガイド 2月から3月のおすすめ

 

     目立たない木の花                 −ハンノキ−

 植物の中には「これでも花なの?」と思うほど、目立たない花を咲かせる種類があります。
 ハンノキの花(写真)などは、その代表です。
 小さな雄花が密集した房状の花序は長さ5cm以上はあるものの色が茶色く、それがまだ芽吹く前の冬枯れの木に垂れ下がるので、一見すると枯れ葉のようにしか見えません。
 雌花はさらに地味で、冬芽とあまり見分けがつきません。
 市内では1月から咲き始め、2月の大町公園では満開の様子が見られますが、気づく人も多くはありません。
 ですが、地味ながらもしっかりと花粉を飛ばし、秋には実をならせます。
 花としての役割はちゃんと果たしています。

 

ハンノキの花の写真
ハンノキの花

 

      目立つ木の花                  −コブシ−

 花が目立たないハンノキに対し、目立つ代表はコブシ(写真)です。
 コブシは市川あたりにもともと自生している種類なので、市内のちょっとした雑木林にも生えています。
 3月中ごろ、雑木林を見上げると、思わぬところでコブシの純白の花に出会えるかもしれません。
 こちらも夏前から若い果実が目立ち始め、秋にはしっかりと熟します。
 その実を鳥が食べ、糞として落としたタネから、新しい実生が芽生えます。


コブシの花の写真
コブシの花

 

     葉に降りる霜              −オオイヌノフグリー

 冬の寒い朝は、美しい景色に出会えるチャンスです。
 澄んだ青空や雪をかぶった富士山、足元の霜柱、一面の霜…… 霜が降りた景色は風景全体もきれいですが、対象物のひとつひとつにも別の味わいがあります。
 たとえばオオイヌノフグリの葉に降りた霜(写真)は葉に生える粗い毛につくので、白い斑点模様に見えます。
 霜の表情は、葉の表面の様子によって違っているので、あれこれ見ても見飽きることがありません。

オオイヌノフグリの写真
葉に霜が降りたのオオイヌノフグリの様子

 

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街角自然たんぽう

 たかいしがみ  
 高石神  市川に砂丘?
高石神社付近の地形  木下街道側から八幡の方向を見たときの断面の形
高石神社付近の地形
木下街道側から八幡の方向を見たときの断面の形

 高石神社は、南側の14号側から、木下街道側から、北側の京成線路側から、どこからでも、短いですが急な坂や階段を上った先にあり、ぽっこりと小高い場所になっているのがわかります。
 ここは、数千年前の縄文時代、海の波打ちぎわがすぐ近くにあった頃の、砂丘の名残と考えられています。
 境内は児童遊園地になっていて、黄色いさらさらとした砂地は転んでも軽く払えばすぐにきれいになり、子供の遊び場には最適です。

 

 

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くすのきのあるバス通りから イソヒヨドリという鳥

 イソヒヨドリという、地味ですがきれいな色合いの、いい声で鳴く海辺の鳥がいます。
 消波ブロックの隙間に巣があるのか、その中に入ったり思いもよらぬ所から出てきたりします。
 防波堤で釣りをしていると、クーラーや釣りバックの上を渡り歩いたり、人を恐れないようです。
 針からはずして捨てたイソメを近くに置いておくと食べに来ます。餌付けをするつもりはないですが、行動が面白く、姿が見えないと少し寂しい気がします。
 海岸から少し離れた街の店先に車を止め、買い物をして車を見ると、イソヒヨドリがタイヤハウスの中のタイヤの上を歩き出てくるのが見えました。
 自然博の方にこの話をしたら、「隙間が好きなのかも」とのことでした。
 小田原でも海岸から少し離れた市役所のそばで、イソヒヨドリが目撃されています。
 市川でも最近見たという報告がありました。
 海岸だけでなく少し陸地に入った所にも来る鳥なのでしょうか。   (M.M.)

 

 

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 近隣博物館めぐり 市川市万葉植物園

      

はじめに

 このコーナーでは、市川市近隣の自然に関する展示等を含む比較的小規模な博物館を実際に訪ね、見どころやアクセス方法を紹介します。
 市川自然博物館や大町自然観察園と合わせて皆さんの自然探究のフィールドに加えていただければ幸いです。

 

駅から徒歩5分の植物園

 JR武蔵野線の市川大野駅で下車します。
 本八幡駅、市川駅、大町駅から市川大野駅を通るバスを利用した場合も市川大野駅で下車します。
 駅前のバス通りを横断して大町方向に向かうと、すぐ右側に交番があります。
 この交番の後ろ側に回りこむように続いている細い路地に入ります。
 少し歩いて武蔵野線の線路の下をくぐるとすぐ左側に「大野緑地」と書かれた階段があります。
 市川市万葉植物園はこの100段ほどの階段を登った先の、大野緑地の一角にあります。
 駅からゆっくり歩いても約5分ほどです。
 駐車場はありません。

市川市万葉植物園の写真
△市川市万葉植物園
(所在地)〒272-0805 市川市大野町2-1857
(電 話)047-337-9866
(開 園)9:30〜16:30(11〜3月は16:00まで)
(入園料)無料
(休園日)月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始

 

万葉の昔に思いを馳せ・・・・

 市川市万葉植物園は、「特色ある公園づくり」の一環として、平成元年6月に開園しました。
 敷地面積は3,387uと小さな植物園ですが、万葉の昔に思いを馳せ、素朴に身の回りの自然を愛した万葉の人の心を偲ぶことができる多くの植物が栽培されています。
 展示植物は、草本類67種、竹笹類4種、木本類82種、蔓植物類15種、水生植物類22種など約200種類です。これらの植物は、園内中央にある池とそのまわりに広がる和風庭園(池泉回遊式風)に植えられています。
 休憩所兼展示室や資料室もあり、季節的に見ることができない植物も写真や標本で見ることができます。

 

万葉集の歌とともに

 万葉植物園の何よりの特徴は、植物の名前だけではなく、その植物名を詠み込んだり、関わりのある万葉集の歌や作者名が表示された説明版が添えられていることです。
 たとえば、カタクリの花の傍らには「物部の 八十少女らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子の花」(大伴家持)という歌が紹介されています。
 堅香子は万葉名でカタクリのことです。
 また、ウメの木には、「わが園に 梅の花散る ひさかたの 天より雪の 流れ来るかも」(大伴旅人)という歌が、スミレの花の脇には「春の野に すみれ採みにと 来し吾ぞ 野をなつかしみ 一夜宿にける」(山部赤人)という具合です。

 

 

 

万葉集と市川

 万葉集には市川に関係する歌が長歌短歌あわせて10首ほど選録されています。5首は山部赤人と高橋虫麻呂の歌、他は東歌で、またこのうちの7首は真間の手児奈を詠んだ歌です。
 これらの歌によって葛飾の真間の名は全国に知れ渡りました。(万葉植物園のしおりより)

 

 

 

 

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自然博物館の活動紹介 質問コーナーの運営

 質問コーナー運営
    自然博物館常設展示室にて
                                

 

コーナーの意義

 自然博物館では、平成元年の開館以来、常設展示室内に質問コーナーを設けて学芸員が常駐し続けています。
 そこには、大きく2つのねらいがあります。ひとつは名称どおり、質問に答えるというものです。
 といっても動物園に併設された博物館ですから、来館者の多くは特別な意図を持って館を訪れるわけではありません。
 質問内容も初歩的なものが多く、展示してある剥製が本物かどうかとか、カブトムシやザリガニの飼い方といった内容が大半です。
 そこで館側も、学芸員の専門分野にこだわらず気楽にコーナーを運営しています。
 もうひとつは館内の安全確保です。
 小さなお子さんや乳幼児、逆に高齢の方も多く来館されるため、そういった方々の安全確認を行い、また、露出展示が多い展示物の保守点検も行っています。

人気だったサツマゴキブリ

 開館当初は単にコーナーを設けただけでしたが、「博物館の質問コーナー」というと敷居が高く「立派な質問をしないといけない」と思われたようで、なかなか効果的なコーナーにはなりませんでした。
 その後、質問コーナーで「虫の折り紙」指導を行ったところ人気となりましたが、逆に指導に追われて展示室に幅広く目をいきわたらせることができなくなりました。
 ちょっとしたきっかけでサツマゴキブリを飼育展示したときは、「ゴキブリを飼う」という逆説的な手法が功を奏し、さまざまな人とゴキブリ談義?を楽しむことができました。
 展示は「物のチカラ」と言いますが、生物に関していえば「生きているチカラ」は絶大でした。その後もナナフシや真冬のコクワガタなど、少し意表をつく生き物を飼育するようにしています。

楽しいひとときを

 現在の質問コーナーは質問者と回答者という関係性は薄まり、自然をめぐる会話を楽しむ運営に変わっています。
 どんぐり人形やジュズダマ細工を置く工夫もしています。
 そういう楽しいひとときが、再度の来館につながるキッカケにもなるからです。

質問コーナーの様子の写真
質問コーナーでの様子

 

 

 

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 自然博物館 スポットライト 電球交換

 いまさらなのですが、博物館の展示は、来館者の方に見ていただくのが目的で展示してあります。
 そのものがそれらしく見えるように、見る方が見やすいように、照明には特に気を使います。
 毎日点検していますが、高い位置や標本を移動しなければならないような場所は、休館日にまとめて電球交換を行ないます。
高い天井と広々とした空間は、展示場としては良いのですが、メンテナンスには苦労する空間です。
 脚立やはしごではとても作業ができないので、右写真のような組み立て式の台車を使います。
 専門業者にお願いする館もありますが、当館では学芸員が台車に上がって電球を交換しています。

職員が電球を交換している様子。

 

 

ちょっと学芸員のウラ話

 

 展示室では全部で20数種類の電球を使っています。
 どこにどれを使っているかは覚えきれず、実際にケースの蓋を開けて見ないと分かりません。
 ケースの長さやスペースに合わせて、数種類を組み合わせている場合もあります。
 家庭用と違い、標本の劣化や体色を防ぐために紫外線をカットするような素材を使っていたり、管が細かったり、両端の電極にはさみ込むものなどがあります。
 ちなみに、一番値段の高い電球は、展示室中央にある鉄塔を下から照らしているもので、その名も「POWERSTAR」です。

博物館の電球の種類

△直管だけで12種類一番長いものは160p長さや太さなどが微妙に異なります。

 

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • 池の草取りをしました。マコモを根っこから刈り取ると、越冬に入った大きなウシガエルが出てきました(11/20)。 動かないので、簡単につかむことができました。

  • 斜面林にヤブコウジの群生があり、赤い実をみのらせていました(12/7)。

  • 落ち葉が積もった斜面林に入ると、あちらこちらにジャノヒゲの株があって青い美しい実をたわわにつけていました(12/26)。

市川南より

  • ギシギシの葉が穴だらけだったので裏返すと、ハグロハバチの幼虫がたくさんいました(11/11)。一緒だった小学4年生たちの第一声はキモーイでしたが、いかにおしゃれなデザインかを説明したら、何人かの女の子たちが納得してファンになってくれました。


    以上 金子謙一(自然博物館))

鬼高より

  • 1庭仕事の最中、コンポストで枝や葉が土になったものを掘り出していると、底の方でアオダイショウが…(11月半ば)。冬眠をはじめたところだったのでしょうか(起こしてごめんね)、1.5mぐらいでした。カナヘビやヤモリとこの場所であったことはありましたが、青大将は初めてでした。
         

         稲垣早苗さん(船橋市在住)。

堀之内より

  • 真間山下の斜面林で、ツクツクボウシの鳴き声を聞きました(8/9)。

  ◆市川より

  • 国分川が澄んで川底までよく見え、オオカナダモの大株があちらこちらにあり、緑がきれいでした(12/10)。その間を、カルガモやオナガガモ、ハシビロガモが泳いでいました。
        

       宮橋美弥子(自然博物館))

   ◆じゅん菜池緑地より

  • キツネノカミソリが咲き始めました (8/4)。たぶん二、三日前から咲いていたのでしょう。十日の散策会では、小群落で見られるでしょう。うれしいことです。


        谷口敏子さん(北国分在住)

   ◆じゅん菜池緑地より

  • トモエガモのメス1羽は、オナガガモの群れ外と一緒に斜面林裾野にあがり、盛んに枯葉の下のドングリをたべていました(12/14)。
   ◆里見公園より
  • アトリの観察記録:真間山弘法寺境内上空を飛ぶ1羽、里見公園でも1羽、国府台ふれあいの道で10±、須和田公園でも10±の群れ(12/13)。

  • 公園奥のカエデ類が多く植えられたスペースの地面に下り、エサを取っていたアトリの群れが、私の接近に警戒して次々と木の梢に舞い上がりました。その数、これまでで最大の100羽近くと思われます(12/30)。

   ◆坂川旧河口一帯より

  • いきなり視界に入ってきたベニマシコオス1羽が、オギ原のヘリのオギにとまって1鳴き、2鳴きした後、下流へ大きく弧を画いて飛びました (12/7)。


    以上 根本貴久さん(菅野在住) 
気象のようす

  ※ 
暖かい12月で池の水も凍らず、暖冬傾向です。激しい雷がよく鳴りました。

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