平成21年度 市川自然博物館だより 4・5月号 121号

市立市川自然博物館 2009年4月1日発行

     

 いきもの写真館  観察地ガイド  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  拡大花図鑑  自然博物館の活動紹介
 スポットライト  わたしの観察ノート  館長ごあいさつ

 


 

いきもの写真館
ヨウシュミツバチ 公園の水飲み場にたまった水は花の蜜をなめ取るミツバチにとってもかっこうの水飲み場  撮影者 土居幸雄さん

 

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観察地ガイド ふれあい農園から市営霊園

 

大町公園まで一体だった環境

 

 市川北高校に隣接する親子ふれあい農園は、休耕田を整備した体験水田や畑、レンゲ畑などからなっています。現地で目に映るのは20年くらい前まで市内でもあたりまえだった田園風景ですが、いまでは珍しいものとなり、市の事業として保全・管理しています。地形的には同じ谷津の奥部が大町公園・自然観察園、出口がふれあい農園という関係で、自然観察園からの湧水がふれあい農園の田を潤しています。また市営霊園は、この谷津の左岸側斜面にあたるので、ふれあい農園、市営霊園、大町公園は、谷津という一体の自然環境を構成していることになります。

水田雑草と草原の野草

 ふれあい農園では現在も稲作が行われています。そのため、昔ながらの田んぼの生き物を見ることができます。特に「水田雑草」と呼ばれる植物(野草)は水田的な環境を好むこともあり市内では激減していますが、ふれあい農園では、ミズワラビ、タビラコ、ムラサキサギゴケ、オモダカ、コナギ、スズメノトウガラシ、ヤナギタデなどを見ることができます。一方、市営霊園は霊園という場所柄、草刈りなどの手入れが行き届き、結果的に草原的な環境が昔から維持されてきました。フデリンドウやニオイタチツボスミレの群落、ミツバツチグリ、アカネスミレ、センボンヤリ、タツナミソウ、ワレモコウ、ツリガネニンジンなど、明るい草原や日当たりのいい林縁を好む野草が生育しています。

 豊富な水田雑草と草原の野草、さらに大町公園まで足を延ばすと湿地の野草や雑木林の樹木なども見ることができますが、これは、谷津という場所が多様な環境の組み合わせで成り立っているからこそ体験可能な、谷津ならではの自然なのです。

整備された小川と田植えを待つ田んぼ
整備された小川と田植えを待つ田んぼ

 

[小川再生親子ふれあい農園]交通案内

  • バス停「市川北高校」または、「大野町4丁目」下車すぐ

  • 自家用車利用の場合は、市川北高校が目印です(駐車場あり)。

 

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街角自然たんぽう

 たかはままち  
 高浜町  市川港
排水をする貨物船 船の側面中央から排水をしている。軽くなった前部分は浮き上がっている。
排水をする貨物船 
船の側面、丸印の場所から排水をしている。
軽くなった前部分は浮き上がっている。

 高浜町は、市川港の一部になっていて、貨物船での物流が行われています。貨物船は、荷物を積んでいない時、海水をくみ上げ、おもりの代わりにして船を安定させて運行します。くみ上げた海水は、荷物を船に乗せる時に海へ排水します(写真)。

 貨物船が、外国の港でくみ上げた海水を排水することでチチュウカイミドリガニやイッカククモガニなどの幼生が海水に混じって運ばれて、東京湾に定着したと考えられています。

 

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くすのきのあるバス通りから モズのかわいい声

 

 1月中に自宅付近で「ピチピチ、チュピチュピ・・・」とかわいらしい声がしていました。メジロにしては張りがあるし、一羽が独り言のように長くないていました。姿は見えませんでした。2月9日神奈川県小田原市のある駐車場わきの木に、同じ鳴き声の鳥がいました。双眼鏡でみると、なんとモズだったのです。

 家に帰って図鑑をみると間違いなくモズの羽の色で、「ほかの鳥の声を入れた複雑なさえずりのような声を出す」とありました。メジロの鳴き方のほかに、違う鳥の鳴き方も入っていたようです。秋の「キー、キチキチ」というモズの鳴き方しか知らなかったので、かわいい声で長く鳴いているのは、知らないめずらしい鳥かもと思っていました。   (M.M .)

 

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 拡大花図鑑 その1 スミレ類   コスミレの花

コスミレ

 

 スミレの花は、上弁と側弁が2枚づつ、下にある唇弁が1枚で、計5枚の花びらでできています。

 めしべを囲むようにあるおしべや、唇弁とその中のおしべが花の後方に伸びてできた距(きょ)が特徴で、特に距は、種類によって長さや太さが異なっているので、種類を見わけるポイントにもなります。

 虫は、距にたまった蜜を求めて花の奥までもぐりこみます。

タチツボスミレ 花の構造

タチツボスミレ

アカネスミレの花

アカネスミレ

ツボスミレの花

ツボスミレ

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自然博物館の活動紹介 季節を感じる散策会

 

2月8日(日) 《春のきざし 》 長田谷津にて
    参加者 大人12人
 

長田谷津

湿地の浅い池でニホンアカガエルの卵塊やオタマジャクシを見つける

 長田谷津は、北総線の大町駅南側から市川北高校付近までの、長さ約2qに及ぶ市内では大きな谷津です。その一部に大町公園がつくられ、谷津の奥から約800メートル、巾50〜30メートルの部分は、市内で唯一かつての谷津の自然を残した自然観察園として整備されています。

たくさんのいきものが見つかりました

 まだまだ冬景色でしたが、湧水の流れでは、セリやクレソンが青々としていました。市内の他の場所ではもう見れたよ、というふきのとうは残念ながら見られず、長田谷津は寒いね、と実感しました。湿地の池では、ニホンアカガエルの卵塊がたくさん見られ、すでに孵ったオタマジャクシが水底でじっとしていました。メジロやシジュウカラなどは園路近くの梢でしきりに餌を探していて、双眼鏡がなくても野鳥の観察を楽しむことができました。

 

3月8日(日) 《遊水地の春さがし》 大柏川第一調節池緑地にて
    参加者 大人18人、中学生1人、小学生1人
 

大柏川第一調節池緑地

参加者全員で調節池を望む

  北方(ぼっけ)遊水地の名称で親しまれてきた場所で、市民プールの隣に位置します。昨年6月より、大柏川の洪水時には遊水地として機能し、平常時には市民が利用できる緑地として一部が開放されています。大柏川の谷底に広がる、ヨシ原と池が組み合わさった、貴重な空間です。

冬に逆戻りの日でした

 広々と開けた空を、大きなアオサギが悠々と旋回しながら池に下りてくるようすは、この場所ならではの風景です。全体の構造がすり鉢状なので、下の池を見下ろすことができ、バンやコガモなど池の中の野鳥が、草に隠れずによく見えました。ヤナギの花が咲いていましたが、曇天で寒さの戻った日で、オオイヌノフグリなどはつぼみを閉じていて、春探しには苦労しました。

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 自然博物館 スポットライト 常設展示「市川の大地」

常設展示「市川の大地」のコーナーをリニューアルしました。

 全体を構成するときに、大地が水の動きによって削られたり埋められたりする働きに注目した解説になるようにしました。一番大きなパネル「市川の地形」では、現在見ることができる地表の様子を紹介しています。市川市域だけでなく、周辺まで含んだ大きな地形図にすることで、川が刻んだ谷や、削り残しの面のつながりが分かるようにしました。「市川のおいたち」のパネルでは、地球規模の海面変動に加えて、市川周辺で起こった水の働きについて紹介しています。

 ケースでは、成田層や沖積層の貝についてや、土の標本についての解説を新しくしました。

  植物や動物、人間の暮らしの土台になっている大地について、興味を持ってもらえればと思います。
  

展示パネル交換のようす。新しいパネルが取り付けられました。

パネル交換作業のようす。
 新しいパネルが取り付けられました。

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • ムラサキシジミが成虫越冬していました(1月4日)。アオキの葉で翅を広げて日光浴をしていました。
     
  • ニホンアカガエルの卵塊がありました(1月20日)。一昨日の夜に降雨があり、そのときに産んだと思われます。
     
  • カワモズクが中央水路に十数株見られました(2月1日)。
     
  • ジンチョウゲが咲いていました(2月24日)。まだ香りは少なく、わずかに漂ってきました。
     
  • ニホンアカガエルのおたまじゃくしがいました(2月24日)。卵塊のまわりに真っ黒にかたまっていました。 

以上 金子謙一(自然博物館)

  • ミソサザイを見ました(2/13)。湧水の流れの脇に山積みにした小枝の上にいました。
     
    宮橋美弥子(自然博物館)

◆柏井キャンプ場より

  • ホソミオツネントンボの成虫が今年も越冬していました(1月8日)。あの小さい体でどこから飛んでくるのでしょう。
     
  • コガタスズメバチの女王が越冬していました(1月11日)。自然観察会で崩した大きな朽木からたくさん見つかりました。オオスズメバチやキイロスズメバチの女王も同じ朽木から見つかりました。
     
    以上 金子謙一(自然博物館))

真間山周辺より

  • タヌキを見ました(2月1日)。真間山下の斜面林の縁を左後ろ足をひきずって歩いていました。

国府台緑地より

  • 林の日だまりにオオイヌノフグリの花が咲いていました(1月12日)。真冬でも暖かいところでは花を咲かせるのですね。
     
    以上 M.T.さん

小塚山公園より

  • トラツグミ1羽とアカゲラのメス1羽を見ました(1月11日)。

  ◆里見公園より

  • 斜面林を鳴きながら移動していくウソの小群を見ました(1月3日)。園内にはルリビタキのメスもいました。
     
  • 公園内のアトリは、庭園部のサクラに40羽、奥のカエデが植えられたスペースの地面に50羽の群れが見られました(1月25日)。奥の池にはカワセミもいました。

   ◆坂川旧河口一帯より

  • オオタカ1羽が河川敷から台地方向へ飛んでいきました(1月1日)。
     
  • 下流部の間の草地でカシラダカをみました(1月12日)。
     
  • 最奥部の水面をバンが歩いていました(1月25日)。
     
    以上 根本貴久さん(菅野在住) 
気象のようす

  
※ 
1月9日に初雪が降り、2月13日には春一番が吹き、翌日は20℃を越えました。

 

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ごあいさつ

 市川自然博物館では「市川の自然」をテーマとして、「市内の自然のありさまを記録して後世に伝えるとともに、多くの市民のみなさんに市川の自然について知っていただくこと」が私たちの使命と考え、様々な事業を実施しています。また、市の第三次総合3ヵ年計画においても「人と自然が共生するまち」を体系の一つとして掲げ、自然とのふれあいや学びの場を大切にしています。都市化が進む中、当館では、展示や観察会等を通して市川の自然についてさまざまな情報を発信し、学校教育支援をはじめ子どもから大人まで多くの方々に自然体験学習の楽しさを味わっていただけるよう、本年度も精一杯取り組んでまいりたいと考えております。具体的な行事計画は別紙にてご案内させていただいております。当館の事業に対するご感想、ご意見などを是非お寄せください。本年度もどうぞよろしくお願いいたします。 

市川自然博物館館長  西 博孝

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