平成21年度 市川自然博物館だより 6・7月号 122号

市立市川自然博物館 2009年6月1日発行

     

 いきもの写真館  観察地ガイド
 街かど自然探訪  くすのきのあるバス通りから
 拡大花図鑑  自然博物館の活動紹介
 スポットライト  わたしの観察ノート

 


 

いきもの写真館
ハナイカダ 葉の上で花を咲かせる変わった低木です。蜜を求めてやってきたアリが、花粉を雄株から雌株に運ぶ役を担います。  撮影者 土居幸雄さん

 

最初へ戻る


観察地ガイド ふれあい農園から市営霊園

 

水害を防ぐための施設を有効に

  大柏川第一調節池緑地は、市の中部の東寄り、北方町(ぼっけまち)4丁目に作られた治水施設です。全体で16ヘクタールほどの土地は掘り下げてあって、隣接する大柏川の水位が高くなった際に堰を越えて水が流れ込み、大柏川の水位をすみやかに下げる機能を持っています。低地の多い市川では、短時間に激しい降雨があると川があふれる以前に川へ流れ込もうとする水が行き場を失い、町に流れ出してしまいます。大きな調節池を作りそこに川の水を流し込めば、川の水位の上昇が抑えられ、町に降った雨水はすみやかに川まで流れていきます。そうして水害を防ぐのです。そしてこの調節池の平常時を、自然を復元し観察する場として整備したのが大柏川第一調節池緑地です。
 

開放的な空間は野鳥の楽園

 大柏川第一調節池緑地がある場所は、かつては一面の水田が広がり、その後も休耕田を主体とする湿地が広がる自然豊かな環境でした。調節池緑地の自然復元に際しては、この本来の湿地環境を想定した形でのデザインがなされました。しかし造成時に、それまであった表土が搬出されてしまった関係で、現在の調節池緑地の谷底は植生が貧弱で生き物も種類は多くありません。ウシガエルやアメリカザリガニなど、適応力のある外来生物が多く目につく状態です。ただ、そのなかでもシャジクモ類やイトモ類といった在来の水草が生え、ニホンアカガエルが産卵し、トンボ類が飛来するなど、湿地本来の自然をほうふつとさせる要素も出てきています。
 野鳥にとっては、16ヘクタールの土地が正方形に近く、その中央部がまわりの住宅地と環境的に切り離されている点が魅力的なようです。周囲に高層ビルや送電線がないせいで離着陸がしやすく、身を隠すアシ原、餌場となる浅い水辺、広い水面などもあります。野鳥にとっては、たとえ餌となる生物が外来種であっても、かつての一面に広がる水田の環境が代替されているのです。
 

緑地南西部からビジターセンターを望む

緑地南西部からビジターセンターを望む

 

[大柏川第一調節池緑地]交通案内

  • バス停「大野中央病院」下車徒歩10分
    (京成バス 本八幡駅または、市川大野駅から)
     

  • 無料駐車場があります

 

最初へ戻る


街角自然たんぽう

 たから  
 宝  サクランボ発見
中江川沿いのサクラに実ったサクランボ

 

 行徳の宝1丁目と2丁目の間を流れる「中江川」沿いは、立派な桜並木になっています。ほとんどの水路にフタがされてしまった行徳にあって、水面が見える中江川の景観は、マイナス面もありますが、昔をしのばせてもくれます。取材に訪れた時はサクランボがたわわに実っていました。熟したひとつふたつの甘みは、都市化された行徳で見つけた宝物のようでした。

 

 最初へ戻る


くすのきのあるバス通りから 第67 ツバメの巣

 

  二階から車の上を見ると、サクランボの種がありました。雨で鳥のフンが洗われたものらしく、他にもツブツブが残っていました。駐車スペースのそばに電柱があり、「鳥の立ち寄り休憩場所」のようです。近くでムクドリが子育てをしていた時期は、大変でした。巣立ち雛がそこに並んで親を待つ間汚されます。

 私は、大柏川沿いのガソリンスタンドをよく利用します。ツバメが川を行き来し、時々ガソリンスタンドの屋根の内側の出っ張りや、整備工場の梁にとまります。店の人に「ツバメが巣を作りませんか」と聞くと、「巣を作ろうとしたら、壊します。可哀想ですが、お客様の車を汚してはいけませんので」「この店に限らず、ツバメは他のガソリンスタンドでも巣を作ろうとします」とのことでした。ガソリンスタンドは人の出入りもあり、昼は川で虫をとり、夜は明かりに虫が集まるし北方の遊水地や畑もあるしツバメにとって子育てに絶好のところなのでしょう。「フンよけの工夫をすれば…、ツバメが巣を作る家は繁栄するといいますよ」と言ったものの、私自身、洗車やガソリンを入れにきて汚されては困りますから、店の対応も当たり前のことでしょう。    (M.M .)

 

 最初へ戻る

 


 拡大花図鑑 その2 ちょうけいか レンゲ

 

 マメ科植物の花の大部分は、「蝶形花(ちょうけいか)」と呼ばれる独特な形をしています。

 花びらは5枚で、1枚の旗弁(きべん)、2枚の翼弁(よくべん)と竜骨弁(りゅうこつべん)からなり、虫を呼んで花粉を運ばせるのに適した形をしています。

 つまり、大きな旗弁を見つけて飛来した昆虫が竜骨弁に止まると、その重みで竜骨弁が下がり、中からおしべとめしべ、さらには蜜が溜まった花の奥が露出する仕組みなのです。中にもぐりこんだミツバチなどの体に花粉がつき、つぎの花に運ばれます。
 

レンゲ 花の側面から

レンゲの竜骨弁を押し下げると、おしべとめしべが現れる

おしべとめしべが現れた様子

 

フジの竜骨弁を半分切り取った状態

フジの竜骨弁を半分切り取った状態

レンゲの竜骨弁にとまるミツバチ

レンゲの竜骨弁にとまるミツバチ

最初へ戻る

 

 



自然博物館の活動紹介 季節を感じる散策会

 

4月19日(日曜日) 《春の 野道》 親子ふれあい農園から市営霊園にて
    参加者 大人24人 小学生2人
 

変化にとんだ散策コース

春の陽気の一日でした。

 動植物園券売所前に集合し、ふれあい農園までは、ナシ畑の間の道を行きました。農作業の車や自転車が時折通る程度の、のんびりした道です。林の縁を歩くことになるので、木にからまるアケビの花や、林の木々を見ることができます。ふれあい農園ではレンゲが花盛りで、一面のピンク色の風景を懐かしむ方もいらっしゃいました。田植え前のあぜは土がまだ柔らかく、注意して歩きながら、オオジシバリなどの春の田んぼの植物を見てゆきました。市営霊園のよく草刈りのされた草地や植え込みの間には、フデリンドウやミツバツチグリなどの草原の植物が春の陽差しを受けて花を開いていました。芽吹いたばかりの緑の若々しいイチョウ並木を通って大町公園に戻りました。林、田んぼ、草原、それぞれの風景と植物を観察できる、自慢のコースです。

 散策会では、ゆっくり歩きます。当日は好天に恵まれ、歩くだけでも気持ちの良い日だったので、よけいのんびりしてしまいました。予定の時間を随分すぎてしまいましたが、あまり疲れたようすは見受けられず、ニコニコと楽しんでいただけました。

親子ふれあい農園 あぜ道に生える植物を観察しました

親子ふれあい農園
あぜ道に生える植物を観察しました

 

5月17日(日曜日) 《青葉の雑木林》 堀之内貝塚公園から小塚山公園
    荒天のため中止
 

堀之内と小塚山

白い花の季節

  二つの公園は、かつて道免き谷津(どうめきやつ)と呼ばれた東西方向に細長い谷津に面してあります。谷の北側に位置する堀之内貝塚公園は、南向きの日当りのよい斜面にクヌギやコナラなどの落葉樹が多く生えています。南側に位置する小塚山は、北向きの斜面林から続くこんもりとした林です。かつてはアカマツが多く生えていましたが、現在は落葉樹を中心とした雑木林です。道路工事が終わるまでは、散策できる範囲が限られています。

 当日はあいにくの雨と強い風で、参加者の安全を考えて散策会は中止にしました。 2日前に下見に行ったときには、イヌザクラや、エゴノキの花は終わりかけていましたが、道沿ではガマズミやイボタノキなどの低木の花が咲き始めていて、白い花が目だっていました。

最初へ戻る

 


 自然博物館 スポットライト トンボのヤゴを飼う

 博物館のいきもの飼育コーナーでは、いろいろな生き物を飼っていますが、その中にオニヤンマのヤゴがいます。野外では、湧水の流れる浅い小川の底で砂にもぐり暮らしています。そのため水槽でも開館時間中はほとんど砂にもぐっていて姿を見つけづらく、「いないね」と素通りされてしまうこともよくあります。

 そんなヤゴが、一日だけ大注目を浴びる日があります。羽化の日です。6月下旬から7月にかけて羽化します。開館時間前に、翅が広がりきっているときもありますが、羽化の真っ最中を見られることもあります。その日の夕方までは翅が柔らかく飛ぶことはできないので、オニヤンマを間近でみることができるのも、この日ばかりです。いつ羽化するかは分からないので、もしも出くわしたら、ラッキーと思ってじっくり観察してもらいたいと思います。
  

2006年七夕の日に、飛び立って行きました。

2006年七夕の日に、飛び立って行きました。

 

ちょっと学芸員のうらばなし タイミング

仕事柄、ヤゴの羽化のシーンは室内でも野外でも何度も見ていて、それほど珍しいわけではないのですが、それでも、たまたま休みの日に羽化してしまうと、やっぱり、かなり、がっかりです。「無事、飛んでいったよ」という言葉と、残された抜け殻だけの水槽に、ちょっと寂しさを感じます。長いときは前年の夏から一年近くエサをやり面倒をみていますから。でもすぐ、次のヤゴの飼育にかかります。次は、しっかり飛び立つところを見るぞ、と。

オニヤンマのヤゴ

現在、飼育中のオニヤンマのヤゴ
 今年はいつ羽化するでしょう?

 

最初へ戻る

 


 

わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • 暖かい日、ルリタテハが湿地を素早く飛んでいました(3月18日)。キタテハもいて、互いにけん制しているようでした。
  • 羽化したばかりのシオヤトンボがよろよろと飛んでいました(4月5日)。
以上 金子謙一(自然博物館)

◆堀之内より

  • この地でははじめて見た「シュンラン」の蕾は、虫にくわれながらも精一杯咲きました(3月18日)。数メートルはなれた所で「アマナ」が咲き始めました。別の雑木林では、昨年報告した「シュンラン」が今年も咲きました。

    谷口浩之さん(北国分在住))
     
  • 歴史博物館ではアマナが満開で、咲き 競ってました(3月29日)。イヌノフグリもわずかながら咲いてました。カントウタンポポ、ムラサキケマンも咲き始めました。

    道下誠さん(中国分在住)) 

真間山周辺より

  • 弘法寺境内にある真間山幼稚園の裏の大きなコブシの木のてっぺん近く、日ざしをあびて5、6輪の花が開いていました(3月1日)。となりの早咲きの桜も3割くらい開いていたでしょうか。きれいでした。
  • 真間山下の斜面林でウグイスがはっきり鳴くのをききました(3月16日)。明るくなった早朝の日差しとともに春を感じます。
     
    以上 M.T.さん

東菅野周辺より

  • 市川学園旧校舎近くで、ツバメをみました(3月21日)。
  • 木株橋付近のゆきやなぎの茂みからウグイスが「ホーケー、ホーケチョ」と鳴いていました(3月24日)。私は市川では初めてです。
     
    以上 M.M.さん
     
  • 路上を歩く小鳥に気が付き、近づいたところ、住宅の塀の上に飛び上がって尾を縦に振りました。ビンズイです。どうやら、2羽はいた模様です(3月29日)

じゅん菜池緑地より

  • まだトモエガモのメス1羽がいました(3月28日)。岸に上がって、パンくずをくれる人のそばに近づこうとしていましたが、やはり、おっかなびっくりの様子でした。

  ◆坂川旧河口一帯より

  • 土手上を下流に向かって歩いていたところ、突然、左手の茂みから、キジのオス1羽が羽音を立てて飛び出しました(4月5日)。あらためて、その大きさに驚かされました。
  • 江戸川の水面すれすれを飛ぶ数十羽のツバメを見ました(4月25日)。人間の目には見えないエサを必死になって捕っているようです。
     
    以上 根本貴久さん(菅野在住)
気象のようす

  
※ 
ソメイヨシノの開花宣言後、寒い日が続き満開までに10日以上かかりました。

 

 最初へ戻る

博物館たよりIndexへ戻る