平成21年度 市川自然博物館だより 2・3月号 126号

市立市川自然博物館 2010年2月発行

     

 いきもの写真館  観察地ガイド
 街かど自然探訪  くすのきのあるバス通りから
 拡大花図鑑  自然博物館の活動紹介
 スポットライト  わたしの観察ノート

 


 

いきもの写真館
ハコベ よく知られた花も拡大すると違った表情です。ハコベは雌しべが3つに分かれていますが、似たウシハコベでは、5つに分かれます。  撮影者 土居幸雄さん

 

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観察地ガイド 坂川旧河口(江戸川・国府台)

 

坂川と江戸川が合流する一帯

   坂川旧河口とは、坂川が江戸川に合流する場所のことです。松戸市から流れてくる坂川は、ちょうど国府台・里見公園の崖下あたりで江戸川に合流し、その一帯には昔から湿地や草原が広がっていました。近年、新しく水門が整備され流路が付け替えられた関係で、河口の位置が変わり、これまでの流路は形だけが残りました。その結果として入り江のようになった本来の流路周辺を、新しくできた河口と区別する意味で「坂川旧河口」と呼んでいます。
  一般的に、河川敷には特有の植物が生育します。いつも湿っていることや、木が生えにくく明るいこと、増水した時に大量の土砂が流れてきて環境が激しく変化することなどが、特有の環境を作り出しているからです。坂川旧河口にも、市内でここでしか見られないような植物が生育しています。
 

ノウルシ、フジバカマ、ノカラマツ

   ノウルシは、入り江になった河道の土手に早春に群生する野草です。湿った環境を好み、河川敷に限らず低湿地などで見られますが、都市部では自生地が限られてきています。フジバカマは河川敷に生えることが多く、坂川旧河口のフジバカマ群落は、安定したものとしては千葉県唯一と言われています。堤防工事の際に一部の株を掘り出して里親を募り、里親さんの家で数年預かってもらったものを現地に戻しました。もちろん、工事区域外にあった群落はそのまま保全されて現在に至っています。ノカラマツは、河川敷に多いオギとともに生えることが多い野草です。坂川旧河口では土手に相当数が生育しています。
 国府台の崖が江戸川にせり出した風景は、江戸川全体の中でも屈指の景観です。その足元に広がる貴重な自然環境も、大切に後世に伝えていきたいですね。
 

ノウルシ

ノウルシ

 

周辺概略図

[ 坂川旧河口(江戸川・国府台)]
交通案内

  • 電車最寄駅
     京成電鉄 国府台駅
             (江戸川土手を歩きます)
     北総鉄道 矢切駅

     

  • バス最寄停留所
     京成バス 国立病院
        (里見公園を目指して歩きます)
     

  • 無料駐車場
     江戸川沿い里見公園下にあります。

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街かど自然たんぽう

 富浜・千本松を思わせる?

   富浜にある行徳中央公園は、グラウンドやテニスコートといったスポーツ施設が中心の公園です。一般的な公園同様、樹木が植えられていますが、この公園には特にクロマツが多くあります。
  かつて行徳には「千本松」と呼ばれる松並木があり、鴨場付近にも松並木がありました。マンションが林立する今の風景とは違い、かつては旧街道沿いの町から先は見わたす限り田んぼで、海まで見通せたと言います。そんな中、松並木の常葉の緑はきっと印象深いものだったでしょう。そんな時代を彷彿させる公園の松並木です。

行徳中央公園のクロマツ
 

 

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くすのきのあるバス通りから 第71 サギがズラーとならんでいました

 

   1月5日、冨貴島小学校付近でコサギを23羽とアオサギ1羽を見ました。真間川の際に3・4・18号線の一部が出来ていて、そこに「ズラー」と並んでいました。自転車で通りかかった女子高生2人は「すごーい」と携帯電話のカメラで写していました。家に引き返しカメラを持って戻ったら、2羽しかいませんでした。上流に向かうと、農協本店近くの橋の下にコサギが4羽いました。アオサギを望遠レンズで2、3枚とると、「グエ」と鳴いて飛び立ちました。17日マルエツ前の本北方橋を挟んで川の浅い所と橋を支える鉄骨に18羽、それより上流の橋の下に8羽いました。アオサギも八方橋から奥谷原橋までに2羽みました。次の日も本北方橋付近で14羽いました。ユリカモメは見かけませんでした。
  「遊水地あたりにいたものが、猛禽類から逃げて川にいたのでは」と自然博物館の方が言ってました。川をのぞくたびに10羽前後いるのは過ごしやすい場所なのでしょうか。  (M.M .)

 

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拡大花図鑑 その6 ヤナギ(見逃しがちな花をじっくり)

 
   ヤナギ類は、市川市あたりでは春早く、3月ごろに花を咲かせます。葉に先立って咲くので見逃しがちですが、じっくり眺めると可愛らしい姿をしています。ヤナギは雄木と雌木が別々で、それぞれに雄花・雌花を咲かせます。
  花びらがない地味な花ですが、イヌコリヤナギでは雄花の葯(花粉袋)の赤と花粉の黄色が美しく、雌花では苞が黒くてアクセントになっています。
 

イヌコリヤナギの雄花序 基部から先端へ順に花粉を出していく

イヌコリヤナギの雄花序
  雄花の集まり。多数のおしべが目立つ。

イヌコリヤナギの雌花序

イヌコリヤナギの雌花序
 雌花の集まり。黒い苞(ほう)が目立つ

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自然博物館の活動紹介 季節を感じる散策会

 

1月24日(日曜日) 《クロマツのある街なみ》  JR市川駅から京成八幡駅
    
参加者 大人27人
 

砂洲とクロマツ

   市川砂洲上に群生するクロマツを見ながら、クロマツと調和した街並みを散策しました。クロマツと砂が見られる場所を点でつなぎながら、砂洲上のクロマツ群をイメージできるようなコースにしました。

樹高20メートルを超えるクロマツ群を観察する

当日のコース

   昔の地面の残っている場所を探すと、自然と神社めぐりになってしまいます。
 ・市川駅 北口集合
   ↓
 ・地蔵山(じぞうやま)
  さらさらの砂地の感触を楽しみました。
   ↓
 ・春日神社(かすがじんじゃ)
  根っこが地上に持ち上がった、いわゆる根上がりの松がたくさんありました。
   ↓
 ・胡録神社(ころくじんじゃ)
  ちょうど地元の方が賑やかにお餅つきをされていて、少しだけ参加しました。
   ↓
 ・諏訪神社(すわじんじゃ)
  参道に並ぶ立派な松を見上げました。
菅野2丁目の路地   ↓
 ・菅野2丁目付近
  住宅の塀や道が、クロマツに配慮しながら造られている様子に、みんなで感心しました。
   ↓
 ・京成八幡駅 解散

  途中、戦争中に松油を採る為に傷つけられた痕がクロマツに見られました。参加者の方の中に、子ども時代に実際に松油をとった経験をお持ちの方がいらっしゃり、興味深くお話をうかがうことができました。
  日曜日の静かな午前中に、大勢で歩いて騒がしくならないように、参加者の方にも気をつけて頂きました。それでも、列が長くなってしまいましたが、それぞれに街歩きを楽しんでいらっしゃいました。

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 自然博物館 スポットライト テクナメーション

   「湧水のある自然」のコーナーに、湧水が湧き出すしくみを紹介するパネルがあります。絵図の中の水が、流れているように見えるのは、テクナメーションという仕掛けを使っているからです。
  この手法は、テレビの天気予報で雨が降ってくる様子を表現する際、CG技術が現れるまでよく用いられていました。ちょっとレトロな方法になってしまいましたが、降った雨が土の中を移動する様子を、やわらかな光の、なめらかな流れとしてみせる、独特の良さがあります。
 

湧水のある自然コーナー

中央は展示パネルを開き、中の機械が見えている状態。パネルの透明な部分の裏側に帯状の偏光板が張ってある。裏から回転する偏光板を通して光を当てると、一方向に水が動いているように見える。

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • 草刈をしていたら、ツチイナゴの立派な成虫が見つかりました(11月29日)。コバネイナゴもいましたが、寿命がつきるコバネイナゴに比べると、これから越冬に入るツチイナゴの体はピカピカして見えました。
  • コンクリートの園路一面にイヌシデの実が落ちていました(12月8日)。小さな枯葉のように見えますが、ちゃんとした実でタネもついています。これから木枯らしが吹くたびに、クルクルと回りながら落ちてくることでしょう。

 以上 金子謙一(自然博物館)
 

◆大町より

  • ケヤキの樹上に止まって地鳴きする2羽のシメを見ました(11月8日)。大きく頑丈そうなくちばしが印象的です。

 須藤治(自然博物館)
 

◆中国分周辺より

  • とっても暖かく、蝶々も沢山いました(11月15日)。堀之内ではシラカシの梢をムラサキシジミが飛び交っていました。じゅん菜池では、マテバシイにムラサキツバメが何匹も日向ぼっこをしていました。坂川ではシナガワハギにウラナミシジミが吸蜜に来ていました。家の庭にはツマグロヒョウモン、ルリタテハ、アカシジミが遊んでいました。
     一週間後の11月23日も、天気は良かったのですが蝶々はほとんどいませんでした。

 道下誠さん (中国分在住)
 

堀之内周辺より

  • 道免き谷津の移植地内のクヌギの木に、いきなりアリスイ1羽が姿を見せました(11月22日)。ところが、普段見慣れない相手が気になるのか、執拗にヒヨドリ1羽に追いかけ回されていました。

◆坂川旧河口周辺より

  • アオサギ2羽が前後に連なり、ゆっくりとした羽ばたきで里見公園先江戸川の水面すれすれを上流に向かって飛んでいきました(11月3日)。目の前を飛ぶ2羽が、水に落ちるのではないかと心配させるような飛び方でした。
  • 数百の群れとなったカワウが1匹の竜のように江戸川をさかのぼって飛びました(11月21日)。冬期ならではの壮観な眺めです。
  • 里見公園の遊具広場でオジロビタキ(雌タイプ)1羽を見ました(12月20日)。じゅん菜池1992年、千葉商科大学敷地内で1993年に観測して以来、およそ17年ぶりの記録となりました。

 以上 根本貴久さん(菅野在住)
 

◆下新宿より

  • 行徳の古い住宅地で、ジョウビタキが飛び去る姿を見かけました(11月7日)。オレンジ色がきれいでした。冬の到来を実感します。

 金子謙一(自然博物館)

気象のようす

雨が多く、日によって暖かだったり寒かったりしました。冬らしい厳しい冷え込みは12月下旬までありませんでした。

 

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