平成22年度 市川自然博物館だより 10・11月号 130号

市立市川自然博物館 2010年10月発行

     

 いきもの写真館  長田谷津 いきもの暦
 news!
 ノコギリクワガタの雌雄モザイク
 街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  自然博物館 スポットライト
 わたしの観察ノート  

 


いきもの写真館
ルリビタキ 市内では、晩秋から姿を見せるようになります。丸い瞳と瑠璃色の羽が魅力的で棒の先など目立つ所によく止まります。  撮影者 土居幸雄さん

 

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長田谷津いきもの暦 10月・11月の暦から

 

 
  市立市川自然博物館では、長田谷津(大町公園自然観察園)で、20年にわたり、学芸員が自然観察の結果を記録してきました。この自然観察記録を元に企画展「長田谷津いきもの暦」を平成22年2月20日から平成23年1月30日まで開催 中です。毎月展示を替えて、その月の見所をパネルや標本、実物飼育などで紹介します。また、企画展にあわせて20年分の自然観察記録を暦形式で掲載した ガイドブック「長田谷津いきもの暦」を発行しました。
 
 この記事内容は、ガイドブック「長田谷津いきもの暦」の一部を参考にご紹介していきます。
 

● 10月5日 群生するミゾソバ

 
  秋の長田谷津では、タデ類の花が目立ちます。アカマンマの通称でおなじみのイヌタデや穂を垂れて咲くボントクタデ、珍しいニオイタデなどがピンクや白の花を咲かせます。タデの名はつかないもののヤノネグサやアキノウナギツカミ、イシミカワなどもタデ科の野草で、花や実が見られます。
 
  ミゾソバは「溝に生えるソバ」の意味で、ソバに似たタデ科の野草です。長田谷津には多く生え、白からピンク色の花を咲かせます。花よりもつぼみの時の姿が、かわいらしくて印象的です。
 

ミゾソバの花
 

 

10月6日 オオカマキリが目につく

 
  春に生まれたカマキリのたくさんの幼虫は、生い茂る草に隠れて、夏の間はあまり人目につきません。その間、バッタなどを食べながら成長し、9月ごろ最後の脱皮をして成虫になります。
 
  成虫のカマキリは種類によって見られる場所にちがいがあります。ハラビロカマキリは園路沿いや施設周りなどの開けた場所、コカマキリは林縁の草むらなどに多く、オオカマキリは長田谷津の湿地全体、特にジュズダマやアメリカセンダングサなど大型の野草に身を潜めて獲物を待ち構えています。10月になると産卵のためか大きなメスが活発に動き、園路からでもよく目につきます。
 

オオカマキリ
 

 

11月6日 クロコノマチョウの蛹

 
  クロコノマチョウは、ここ数年で数を増やしたジャノメチョウ科のチョウです。もともとは西日本や四国・九州などに分布していましたが、最近は関東でも見られるようになりました。
 
  長田谷津では、成虫はやぶや茂みに潜んでいてなかなか見つかりません。幼虫や蛹なら慣れれば見つかります。それは、食草(幼虫の餌)がジュズダマの葉なので、いかにも青虫にかじられた感じの葉を探せば、そこにいるというわけです。葉の裏にぶら下がる蛹は透明感あふれる緑色で、飾り物のようです。
 

クロコノマチョウのサナギ
 

 

11月16日 ヤブコウジの赤い実

 
  長田谷津の11月は、もっとも秋らしいころあいです。斜面林の木々や湿地の草が黄色く色づき、せせらぎ園のモミジの紅葉も中旬から見ごろを迎えます。さまざまな木の実がなり、どんぐりが茶色く熟して落ちてきます。
 
  ヤブコウジは、長田谷津の斜面林で部分的に群生する低木です。低木と言っても実際の高さは20センチもありません。草に隠れてしまう大きさです。11月ごろ、ヤブコウジの常緑の葉の下では、赤い丸い実がなっています。近づいて小さな葉っぱをそっとどかすと、鮮やかな赤い実に出会うことができます。
 

実をつけたヤブコウジ
 

 

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ニュース ノコギリクワガタの雌雄モザイク

  7月、市内でノコギリクワガタの雌雄モザイク個体が採集されました。
 
 雌雄モザイクとは一つの個体の中にオスの特徴とメスの特徴をもつ部分が明らかな境界をもって混在しているもので、大変珍しいものです。
 
 今回採集されたものは、体長約4.3センチメートルで、メスの個体の一部にオスの特徴が見られます。
 

背部側の姿
頭部を拡大

 

腹部側

↑右上写真
頭部のアップ

 頭の右側から胸の右端にかけてオスの特徴が現れています。 (白線で境界を表してみました。) アゴの大きさ、 触覚の長さ、 頭や胸の形などで、違いが見られます。
 

 

←左写真
腹部側
 ノコギリクワガタのオスの足は長いのですが、この個体の足は短く、メスの足であることがわかります。

メスの特徴が現れた側面から

 

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街かど自然たんぽう

原木(ばらき)・真間川沿いを歩く

   真間川沿いの遊歩道を歩くと、原木のいろいろな風景に出会えます。京葉道路付近からは、昔から変わらずにある原木山妙行寺の緑の茂みが見られます。旧道から下流には、かつて水田だった場所に新しい住宅地が拡がり、草むらのエンマコオロギなどの鳴き声と一緒に、子どもたちの元気な声が聞こえてきます。畑や空き地、大型車の駐車場なども目立ち、その間に水路の名残が見られ、大きなシダレヤナギや穂をつけたヨシの茂みがありました。ホームセンター北側の道路に出ると舗装された道は終わりですが、左岸は踏み分け道が一応河口まで続きます

原木山妙光寺を望む水路際にはヨシの茂み
河口へ向けて

倉庫街の先に道路や鉄道の大きな橋がいくつもかかり、さらにその先で真間川は東京湾へと注ぎ込みます。

 

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くすのきのあるバス通りから 第75 ゴーヤとヤブガラシ

 
   9月22日現在、都心の真夏日は過去最多71日になり、猛暑日は12日だったそうです。39.9度の京田辺市の記録はツルが巻きついていたからどうなるのでしょうか。

  7月半ば朝の涼しいうちに庭の草取りをしました。その後、朝の時間帯でも30度前後なので、庭は眺めるだけになってしまいました。ゴーヤは二階に届き、ヤブガラシは一本の木を覆い尽くし、オシロイバナは夜になると香りを放ちます。

  ゴーヤの花はセセリチョウが、オシロイバナはシジミチョウ、ヤブガラシはキアゲハ、アオスジアゲハ、ツマグロヒョウモン、黒いアゲハ3種類の他ハチが沢山やってきます。ツブツブの花にアゲハが止まりそうで止まらずに、小刻みに羽を動かして、蜜を吸っている様子は、青空をバックに絵のようです。木のそばにヤブガラシの根があり、地上部を取り払っても根をとっていないので、毎年出てきます。年々茎が太くなっているようなきがします。


  (M.M .)

 

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自然博物館 スポットライト 9月の企画展より

 
アキカラマツ
 

    夏は、野草を水挿しで長持ちさせることがむずかしく(水揚げや水温の関係)、また子どもたちに人気の昆虫に力を注いだため、植物の展示は少なくなりました。春から継続しているドングリの芽生えの鉢植えとコブシの枝の水挿し展示(枯れると新しい枝に交換)以外にがんばったのがアキカラマツでした 。
 
 
  最初は水挿しで展示しましたがすぐしおれてしまい、小さな株を掘り上げて鉢植えにしたらうまくいきました。天井のスポットライトと台上のLEDライトの照明だけで、枯れることなく夏を越すことができました(花は咲きませんでした)。
 

LEDライトで枯れずに育つアキカラマツ


写真は鉢に植えたばかりで元気ありませんが、毎日の水やりで好調を保ち、新しい枝葉も次第に伸びました。

クツワムシ
 

    博物館の周辺には鳴く虫が多く、なかでもクツワムシは多数生息しています。博物館の建物のまわりでも、夜になるとガチャガチャガチャと大きな声が響きます。入手が容易なので、大きな水槽で飼育展示しました。
 
 
  しかし、夜行性ゆえ日中は鳴くわけでも動くわけでもないクツワムシに子どもたちの反応はイマイチで、むしろ大人がよく見ていました。写真パネルで前足に耳があることを紹介したので、みなさん驚いていました。
 
 
  イネ科を好むバッタ類と異なり、クツワムシはクズなどを好みます。手近な餌としてホトトギスを与えてみると、とてもよく食べました。また、水をよく飲むので、毎朝霧吹きで水を与えました。
 

クツワムシの飼育展示


ナナフシを飼っていた大きな水槽に赤玉土を敷いて、クツワムシ水槽にしました。イネ科の葉っぱは飾りで、餌は中央に写っているホトトギスです。これから咲くという時期に、少しかわいそうでしたが、クツワムシの餌として重宝しました。

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わたしの観察ノート 


◆大町より

  • 夜7時40分頃、動物園券売所前でハクビシンを見ました(7月9日)。フェンスの上端をとことこ歩いていました。

 金子謙一(自然博物館)
 

◆大野町より

  • 臨時駐車場の周辺の梨畑でニイニイゼミが鳴いていました(7月3日)。
  • 市川北高周辺の水路にハイイロゲンゴロウ、アジアイトトンボ(やご)、ドジョウがいました(7月11日)。草むらには羽根を休めているアジアイトトンボがいました。
     

◆柏井町より

  • 斜面林からクマゼミの鳴き声がきこえてきました(8月7日)。

 以上 K.H.さん
 

◆堀之内貝塚より

  • エノキの大木の上方に、フクロウ1羽がとまっていました(7月17日)。平成20年8月以来、実に2年ぶりの観察です。

 根本貴久さん(菅野在住)

  • 今年もマヤランが咲きました(7月3日)。サガミランはまだつぼみでした。

 道下誠さん(中国分在住)

  • 散策会では数本だったキツネノカミソリが一面に咲きそろい見頃を迎えました(8月8日)。

◆じゅん菜池緑地より

  • オオバノトンボソウが咲いていました(7月4日)。

 以上 谷口浩之さん(北国分在住)

  • オオバノトンボソウが6株咲いていました(7月3日)。

 道下誠さん
 

◆坂川旧河口一帯より

  • ウミネコ一羽が江戸川をさかのぼって上流方向へ飛び去りました(7月31日)。
  • 抜けるような青空を背景に、アオサギ4羽、その後2羽が河川敷上空を南西方向に飛んでいきました(8月28日)。残暑は衰える気配がありませんが、移動の季節なのでしょうか。

◆菅野より

  • 塀際のカエデ類の木に頭の毛がまだ白いオナガの幼鳥4羽がいて、近くを歩く私に向って一斉に警戒の声を上げました(8月8日)。

 以上 根本貴久さん
 

◆真間山より

  • 斜面林でミンミンゼミの大合唱の中にツクツクホウシの鳴き声が混じるようになりました(8月9日)。

◆スズムシ

  • 6月10日頃にふ化したスズムシが次々成虫になり鳴き始めました(8月11日)。去年の夏、里見公園で分けていただいた虫が秋に卵を産み、冬越しをしたものです。

 以上 M.T.さん

  • 数年前から飼育しているスズムシが鳴き出しました(8月6日)。昨年より10日遅れて卵からかえり、10日早く鳴き出しました。今春は低温が続き、今夏は高温が続いているためでしょか。

 佐久間直次さん(柏井町在住)

気象のようす

7・8月ともに平均気温が30度を超え降水量は数十ミリしかなく、記録の上でも高温少雨の日の連続でした。

 

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