平成23年度 市川自然博物館だより 4・5月号 通巻133号

市立市川自然博物館 2011年4月発行

     

 いきもの写真館  同じ場所を何度か訪れる
 ひとつの花 をじっくり見る  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  むかしの写真で見る昭和の風景
 わたしの観察ノート  

 


 

いきもの写真館
スミレ スミレは春を代表する野草のひとつですが、市内ではタチツボスミレが多く、種類としてのスミレは珍しい存在です。  撮影者 土居幸雄さん

 

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同じ場所を何度か訪れる ふれあい農園から市営霊園 3月20日

 

【訪れる場所の紹介】

 
  「ふれあい農園」は旧・市川北高校に隣接する農園で、稲田や畑、レンゲ園などがあります。稲田は、農家の方の田んぼや「米っ人クラブ」が運営する田んぼがあり、市川市内では珍しく「本格的な田んぼ」が見られます。レンゲ園や畑は、地域の方やボランティアの方々が手入れをしています。昔ながらの田んぼや野道が楽しめる一帯です。
 
  市営霊園は、霊園という場所柄、手入れが行き届いていて、そのため、明るい草原環境が部分的に残されています。市内でもここでしか見られない草原性の野草が残っています。また、古くに造成された区画は元々の地形を生かしているので、結果的に斜面林などが保全され、野草も多く見られます。
 

農家の方が田起しをしていた

農家の方が田起こしをしていた

 

【顔を出していたつくしんぼ】

 
  今回歩いたのは、3月20日。「ふれあい農園」では農家の方が田起こしを始めていました。風景は早春で、田んぼではタネツケバナが、野道ではオオイヌノフグリやホトケノザがきれいに咲いていました。ヒバリが高らかにさえずる一方、ツグミの姿もあり、季節の節目が実感できました。水路沿いの道で伸び出したヨモギを眺めていると、そこここで顔を出す「つくしんぼ」に気づきました。枯れ草に紛れていて、ゆっくり歩かなければ見落とすところでした。あたりが春色に包まれるころ、ツクシはスギナへと姿を変えていることでしょう。
 

顔を出したツクシ

顔を出したツクシ

 

【キタテハが飛んでいて・・・】

 
  ふれあい農園から市営霊園へ向かう野道には春の日射しが降り注ぎ、あたたかでした。そんな道を活発に飛びまわっていたのがキタテハです。チョウとしては地味な色合いなのですが、春の日差しを受けると、とたんに春色に見えてきます。忙しく飛んでは地面に降りて翅を広げ、近づくとまた飛び立って飛び回ります。カメラに収めようとするこちらは翻弄されるばかりですが、そんな時間も春の散策では有意義に思えます。
 
  市営霊園はまだ冬の風景が色濃く残り、期待していたスミレ類やセンボンヤリ、フデリンドウはまだまだでした。サクラ類のつぼみも固く、ケヤキやイチョウの芽ぶきもあと2週間くらいは先のようです。お彼岸でお参りにおとずれた方が持つ「お花」が、かえって色鮮やかに感じられましたが、何本かのコブシが花を咲かせ、斜面林をよく見るとタチツボスミレの株が動き出していました。
 

日光浴をするキタテハ

日光浴をするキタテハ

早春の花木・コブシ

早春の花木・コブシ
 

コース案内図

 ゆっくり歩いて2時間弱のコースです。

 

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ひとつの花をじっくり見る イチヤクソウ


イチヤクソウの花を拡大

 

 イチヤクソウは、梅雨時の林で花を咲かせる地味な野草です。写真は、下向きに咲く花をのぞきこむ角度で撮影しました。

 外観は白い花弁が5枚ある整った形をしていますが、その中にはおしべがニョロニョロと何本も伸びていました。正確には花弁の倍数の10本あり、先端が2つに分かれて葯(花粉の入っている部分)になっています。図鑑によると、花粉は葯の先にある穴から散らばるということです。見るからに虫媒花ですが、虫が着地する場所も、花粉を運ぶ動きも、いまひとつ見えてきません。散らばった花粉が、下方に長くのびためしべに直接つくのかもしれません。

 湿った林床はやぶ蚊が多く、じっくり観察することがむずかしい植物です。
 

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街かど自然たんぽう

東菅野(ひがしすがの)・真間川沿いの散歩道

   桜の名所の真間川ですが、水際の土手にはえる小さな花々、ムクドリやセキレイ類などの野鳥、また川面に映り込む風景を眺めながらと、川沿いの散策は楽しいものです。八幡橋から得栄橋の間の市川学園グラウンド周辺には、大きなシラカシやスダジイなどの常緑樹、落葉樹のケヤキなどが植えられていて、他とはちょっと違う風景です。これからの新緑の季節、桜の枝越しに、様々な緑の色合いが毎日変わってゆくのも楽しみです。

真間川沿いのサクラ

桜の開花まで、あと数日の真間川→

 

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くすのきのあるバス通りから 第78 サクラと鳥の春だより

 
   三寒四温と言っても、4月の陽気の次に、真冬の寒さが来たり、温度差が激しい今年の春です。市川病院の前のサクラは満開です。カンザクラだそうです。八幡6丁目のカンザクラはもう葉桜です。その近くのお宅のカンヒザクラは満開ですが、真間川の大和橋のそばのものは既に咲き終わっていました。シュロがサクラの枝の間から伸びていて、何とかしてもらいたいものです。北方橋から八方橋まで歩いていくと、ムクドリが30羽地面に降りていて、私が近づくのも気にせず 何かついばんでいました。頭上では10羽ぐらいのオナガが鳴きながら木々を渡って移動していました。ソメイヨシノの開花も間もないと思います。2羽のコゲラがクルクルと回転しながら枝をつついていました。

  小田原市で3月23日にツバメを見かけました。市川のツバメはいつ帰ってくるのでしょうか。


  (M.M .)

 

 

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むかしの写真で見る 昭和の風景

 
昭和41年(1966年) 撮影

下妙典の稲田


昭和41年しもみょうでんの稲田

 
   写真は、現在の妙典2丁目付近から江戸川放水路の水管橋方向にレンズを向けて撮影したものと思われます。
 
 
  現在は区画整理が行われた土地に高層マンションが立ち並ぶ地域ですが、かつては低湿地で稲田や蓮田が広がっていました。写真でも、手前の稲刈りをしている田んぼの奥に、ハスの丸い葉が茂っているようすがわかります。
 
 
  画面右側の松は、確か八大龍王尊で、「ヘビ島」と呼ばれていたように記憶しますが定かではありません(詳しい方、教えてください)。八大龍王尊はいまは6丁目の妙典公園脇にあります。
 
 
  妙典の低湿地は野鳥の宝庫でした。また、マスクラットという帰化動物のネズミが生息していたことでも知られています。
 

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わたしの観察ノート 


◆長田谷津より

  • シメがゴンズイの実を食べていました(1月4日)。殻を割るときにパチッと音が聞こえました。ぶら下がっている実は揺れて食べづらそうでした。

 宮橋美弥子(自然博物館)

  • ヒマラヤスギの球果が壊れて、鱗片が落ちていました(2月5日)。この日は翼がついて種も見つかりました。鱗片の根元には窪みがあって、タネがちょうど収まるようになっていました。
  • アカガエルの卵塊は、1月は20卵塊でしたが、この日数えたら414卵塊ありました(2月12日)。数年前から池の環境整備が進んで産卵が多かったので、そのとき生まれた子ガエルたちが産卵に参加できるようになったのでしょうか。最終的に約600卵塊になりました。

◆鬼高より

  • 市街地の大きな通りで街路樹の植えマスを見ると、ハコベの新鮮な葉がびっしりでした(2月1日)。ホトケノザも伸び出していました。

 以上 金子謙一(自然博物館)
 

◆里見公園より

  • 厳しい寒さが一段落、暖かい日射しの中、カワヅザクラが三輪、咲いていました(2月4日)。

◆国府台緑地より

  • 日だまりにタチツボスミレ、ムラサキハナナ、オオイヌノフグリなど紫色のかわいい花が咲き、春の訪れを感じさせてくれます(2月23日)。

 以上 M.T.さん
 

◆坂川旧河口一帯より

  • 堤防の斜面には春の草が伸び出していました(2月25日)。オオイヌノフグリやヒメオドリコソウが咲いていて、カラスノエンドウはみずみずしい葉っぱが伸びていました。

 金子謙一

  • カンムリカイツブリ1羽が柳原水門先江戸川の中央付近で潜水を繰り返していました(1月1日)。
  • 坂川旧河口(上流部)と新堤防の間の畑地の上空から、確かに、ヒバリの短いさえずりが聞こえました(1月24日)。まだ寒い朝でしたが、近づく春を感じさせる一瞬でした。
  • 立派なキジのオス1羽が、ビオトープ池入口近くの刈り払われた草地の地面で餌をさがしていました(2月11日)。雪のせいか、まったく逃げる気配がなく、至近距離での観察ができました。
  • ビオトープ池の周りの低木にやってきたモズ雄1羽が、枝にミミズ(?)を突き刺しました(2月19日)。「早にえ」でしょうか。

◆小塚山公園より

  • クヌギの腐った幹を叩くアカゲラのメス1羽を見ました(2月5日)。久しぶりの観察です。

 以上 根本貴久さん(菅野在住)
 

 

気象のようす

年末からの厳しい寒さと乾燥は年明け後も続きましたが、2月になると寒さは幾分緩みました。雪は何度か降りましたが、空気は乾いていました。

 

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