平成23年度 市川自然博物館だより 8・9月号 通巻135号

市立市川自然博物館 2011年8月発行

     

 いきもの写真館  同じ場所を何度か訪れる
 ひとつの花 をじっくり見る  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  むかしの写真で見る昭和の風景
 わたしの観察ノート  

 


 

いきもの写真館
イシミカワ 秋にみのる青い実がよく知られたツル草です。写真はツボミで、画面中央右側のひとつが開花しています。  撮影者 土居幸雄さん

 

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同じ場所を何度か訪れる ふれあい農園から市営霊園 7月29日

 

【梨の季節到来】

 
  「ふれあい農園」への農道は、梨畑の間の細い小道です。自然博物館からの途中、いつもは大きなエノキが心地よい木陰を作っていますが、この日はあいにくの小雨模様。むっとする湿気とセミの声の中、道沿いの梨畑をのぞくと、梨の実にはキツネ色の袋がかかっていました。直売所も開き、いよいよ「梨の里」が一年でいちばん活気づく季節です。灰色の雨雲と濃い緑の垣根ばかりが視界に入る坂を下ると、ふれあい農園がある広い谷に出ます。


 

若い実に袋がかかった梨畑
(写真) 若い実に袋がかかった梨畑

【イネの花が咲いた】

伸びた穂に咲くイネの花
(写真)伸びた穂に咲くイネの花
 

 
  ふれあい農園の田んぼは、前回訪れた時は、広い水面に小さなイネが並ぶ景観でした。イネはたくましく育ち、この日は濃い緑の合間に伸びた稲穂に、白い雄しべがいくつも見えました。イネの開花です。早くもスズメ対策のネットが張られていました。また、田んぼはこの時期、水が抜かれ泥がむき出しです。ウキクサ類がへばりつく先にオモダカやコナギなどの野草(水田雑草とも呼ぶ)を期待しましたが、よく草取りされていて見当たりません。稲刈り後の方が野草観察にはいいようです。
 

【田んぼのまわりの様子】

 
  休耕されてチガヤが茂っていた区画もきれいに草刈りされ、その上をツバメが何羽も飛び交っていました。雨降りで、餌の虫も低いのでしょう。地面すれすれを飛ぶ中には、近くで巣だった若ツバメも混じっているに違いありません。
 
  ヒメガマが水面を覆いつくした池のまわりを歩くと、草の向こうにイヌゴマを見つけました。市内では見かけることが少なくなった湿地の野草です。緑ばかりが目立つ風景の中で、淡いピンクの花が鮮やかでした。
 
  天気が良ければ虫の姿も多いのでしょうが、この日はシオカラトンボとオオシオカラトンボがわずかに見られ、草の中を進むとショウリョウバッタが飛び出しました。雨の合間にはキアゲハが何匹も飛び、卵を産みつけるセリを探しているようでした。少し離れた茂みでは、ちょうどセリの白い花が咲いていました。
 

イヌゴマ

(写真)イヌゴマ

シオカラトンボ

(写真)シオカラトンボ
 

【咲き残っていたヤマユリ】

 
  市営霊園の中の野草が多い一角に向かいました。春にツリガネニンジンの株がいくつもあったところです。 ところが、ていねいに草刈りがされていて、株はほとんど見当たりませんでした。
ヤマユリこれから伸び直して、秋には小さく咲くと思います。さらにあたりを探ると、片隅にヤマユリがありました。観賞用に管理しているわけではないので、多くの野生ヤマユリのように倒れて咲いていましたが、その様が逆に野趣に富んでいてきれいでした。時期としては少し遅く、花の色も褪せはじめていました。
 イチヤクソウの実
  霊園という場所柄、よく手入れされた中から野草を探して観察することになります。この日は、これから花時を迎えるアキカラマツ、ヒヨドリバナ、ヤクシソウ、ワレモコウなどの株を見つけました。うまく咲くかは、その時になってみないとわかりません。斜面林では、6月に咲いたイチヤクソウが若い実になっていました。今年はシャクジョウソウの開花も確認され、市内での希少種の無事はなによりでした。霊園から大町公園に戻ると、こちらも園路沿いがばっさりと草刈りされて、きれいになっていました。         (右写真)イチヤクソウの実

 

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ひとつの花をじっくり見る カタバミ


カタバミの花の拡大
カタバミ花の拡大
径1センチメートルほどのありふれた野草の花も拡大すると違った表情が見えてくる。

 

カタバミ全体  カタバミは、ごく身近なありふれた野草です。特段の印象に残らない小さな黄色い花は、草むしりされた後でも伸び出して咲き直すので、春から秋までどこかしらで見つけることができます。逆に言えば、いつでも観察できる好材料というわけです。

  拡大した花の写真(上)を見ると、5枚の花びらを基本とした放射状の形がわかります。均整のとれた姿と言えるかもしれません。外見では5本に見える雄しべは実際には10本あり、拡大写真では長い雄しべと短い雄しべが交互に並んでいることがわかります。

  図鑑によれば、雄しべは長短5本ずつが内・外の関係で2列に並び、その根元がくっついている(合着)とされていますが、写真では合着する様子までしかわかりません。
 

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街かど自然たんぽう

日之出(ひので)・ 公園のマテバシイ

   南浜公園は住宅地の中の小さな公園です。そこに10本のマテバシイが植えられていたので、一本づつ下から枝の間をのぞいてみました。何本かには大きな青いドングリが実っていました。マテバシイはドングリが熟すのに2年かかるため、公園のような頻繁に剪定される場所ではなかなか実が実りません。今年は大きなドングリがたくさん拾えて、「団栗ごま」がつくれそうです。他に、メジロの古巣や、枝に材木とタイヤを渡した子どもたちの秘密基地(?)も見つけました。

太くてがっしりとした枝 左下:今秋熟すドングリ 右下:メジロの古巣

上:太くてがっしりとした枝→ 
左下:今秋熟すドングリ 
右下:メジロの古巣
 

 

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くすのきのあるバス通りから 第80 青潮が発生しました

 
   今年の6月は、暑かった。気温33度、強風、夕立、夜雨、暑いというメモが私の手帳に書かれていました。梅雨明けして、しばらく暑かったのですが、夏休みに入ると、気温が23度、25度となりました。

  20日台風6号が近づき北東の風が2、3日吹きその影響だそうです。23日新行徳橋を渡るとき、下を見るとびっくり。きれいな乳白色の緑色の水でいっぱいでした。なんだかゆで卵臭いような・・・。釣り人はいませんでした。「青潮だろうな」とおもいました。自然博の方に聞くと「青潮は硫化水素を含んでいるから、硫黄臭いとおもいますよ」とのこと。帰りは行徳橋を通り上流のミルクコーヒー色の川を見ました。25日は可動堰の両側とも同じミルクコーヒー色でした。

  インターネットで探してみると、稲毛海岸、花見川あたりの釣り人のブログの写真があり、中には竿ではなく網でハゼをすくったとか、多数のメバルの幼魚が逃げてきた、アカエイがフラフラ泳いでいたとありました。

  (M.M .)

 

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むかしの写真で見る 昭和の風景

 
昭和42年(1967年) 撮影

南行徳の船着場


昭和42年南行徳の船着場

 
   現在の「行徳野鳥観察舎」の入り口あたり、駐車場から観察舎へと向かう道の方向に撮影した写真です。左手奥に水門が写っていますが、この当時は水門の向こうはそのまま東京湾でした。この位置に船着き場を作り、東京湾へ乗り出して行ったわけです。
 
 
  現在は水門の向こうは埋め立てられ、野鳥保護区の水面の先に湾岸道路が走り、いくつもの工場が連なっています。ちなみに水門の名残は今でも残っていて、近寄ることができます。
 
 
  画面中央の木々が茂る場所は養魚場だったところで、現在は閑静な住宅地になっています。
 
 
  水門へ向かう水路の左手の木々は「新浜鴨場」の縁の木々です。鴨場もまた、水門の先の海に面した立地だったわけです。
 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • 朽木にヒラタカメムシがいました(5月4日)。

◆大柏川周辺より

  • 宿之下橋の下に、コガモがまだいました(5月4日)。

 以上 K..M.さん
 

◆真間山より

  • 斜面林下の自宅の庭にアズマヒキガエルがいました(5月23日)。二年前の5月に見て以来久しぶりです。(気づかなかっただけかもしれません。)ジャガイモの葉の下に隠れていました。6月6日にもいました。

 M.T.さん
 

◆菅野より

  • 真間川でツバメが飛んでいました(4月8日)。川沿いの桜がきれいに開いていて美しかったです。

 以上 M.T.さん
 

◆じゅん菜池より

  • つかの間の梅雨の中の晴れ間に、じゅん菜池に行きました。クロガネモチが満開で、ハチが群がって蜜を吸っていました(6月12日)。クマバチ、ミツバチ、マルハナバチ、ルリチュウレンジバチ、アブ、ハエが満艦載でした。

 道下 誠さん(中国分在住)

  • じゅんさいの苗を移植していた時、アゼナルコを見つけました(6月11日)。名は分かりませんでした。作業を終えて帰宅しましたら「博物館だより」6-7月号が届きました。記事の中にアゼナルコの写真が載っていました。これにはびっくり。なんてタイミングのよいことでしょう。

◆北国分より

  • オカトラノオが昨年よりも遅く咲きはじめましたが、周りの草に埋もれて目立ちません(6月26日)。

◆市内某所より

  • ギンランが4株咲いていました(5月5日)。9日には10株ほど咲いていました。昨年よりも増えたようです。
  • この地でようやくキンランが1株咲いているのを見つけました(5月9日)。今年はほんとうに姿を見せず心配していました。

以上 谷口裕之さん(北国分在住)
 

◆坂川旧河口一帯より

  • 50羽ほどのユリカモメの群れが河川敷上空を丸くなってゆっくりと下流へ飛び去りました(5月1日)。ほとんどの個体の顔が黒くなっていました。

◆鳥のさえずりの記録

  • キビタキ
    じゅん菜池斜面林(5月4日)、真間山(5月5日)、里見公園(5月8日・5月14日・5月15日)、国府台ふれあいの道(5月8日)
  • センダイムシクイ
    真間山(5月3日、5月4日、5月14日)、じゅん菜池の斜面林(5月3日)、里見公園分園(5月3日)、里見公園(5月3日、5月4日、5月8日)、堀之内貝塚公園(5月4日、5月14日)、須和田公園(5月4日) 国府台ふれあいの道(5月7日)

以上 根本貴久さん(菅野在住)
 

◆幸より

  • 保育園の近くをツバメが飛びまわっていました(5月9日)。郵便局前でも見ました。巣はどこにあるのでしょう。

 Y.S.さん
 

 

気象のようす

平年よりかなり早い入梅でしっかり雨は降りましたが、すぐに焼付くような陽射しの猛暑の夏が来ました。

 

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