平成23年度 市川自然博物館だより 10・11月号 通巻136号

市立市川自然博物館 2011年10月発行

     

 いきもの写真館  同じ場所を何度か訪れる
 ひとつの花 をじっくり見る  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  むかしの写真で見る昭和の風景
 わたしの観察ノート  

 


 

いきもの写真館
エナガ 秋から冬にかけて、種類の違いを超えて混群と呼ばれる群れを作る小鳥の一員です。体はスズメよりも小さいです。  撮影者 土居幸雄さん

 

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同じ場所を何度か訪れる ふれあい農園から市営霊園 9月27日

 

【梨とカネタタキ】

 
  自然博物館から「ふれあい農園」へ向かう途中の梨畑は「新高」の畑でした。収穫を待つ大きな実が、いくつもぶら下がっていました。秋の到来は青空と高い雲で実感できますが、音でも感じられます。遠くからモズの鋭い声が聞こえ、梨畑の垣根ではあちこちでカネタタキのチンッ、チンッという高い声がしていました。ササキリのなかまも昼間からよく鳴きます。狭い農道に張り出した木の枝にはジョロウグモの巣が目立ち始め、ちょうどノシメトンボがかかって、もがいていました。


 

クモの巣にかかったノシメトンボ

【稲刈りの季節】

稲刈りの終わった田んぼ
 

 
  ふれあい農園の田んぼは、 稲刈りが半分くらい終わっていて、子どもたちの教育水田では刈り残しのイネを大人が刈り取っていました。刈った稲穂が「はざ掛け」で干してありましたが、ほとんどは脱穀が終わって片付いていました。
 
  稲刈りの終わった田んぼは野草の宝庫です。期待して足を踏み入れたのですが、花はこれからのようで、あまり見られませんでした。田んぼの近くでは白花のツユクサが、水路ではハッカが咲いていました。別の水路にはオモダカが群生していて、ちょうど白い花が見ごろでした。イヌタデの赤い花も、いい彩りでした。
 

【バッタやスズメへの恵み】

 
  きちんと手入れされた田んぼや畑のかたわらには、「雑草」が群れている場所がありました。エノコログサやメヒシバなどのイネ科の野草が多く、チカラシバも見えました。人出があれば刈り取られてしまうであろう「草むら」が残ったおかげで、トノサマバッタやコバネイナゴがたくさん見られました。歩く足元から次々にトノサマバッタが飛び立ち、数メートル先まで見事に飛行しては着地します。撮影しようとそっと近づいても、あと少しのところで飛ばれてしまい、くやしい思いです。草むらではエンマコオロギが見事な声で鳴き、用水路には黄色い縞模様のナガコガネグモが網を張っていました。マコモの葉にはカマキリが隠れていました。
 
  人間には無用の草むらは、多くの生き物の生活の場です。遠ざかってから振り返ると、スズメの群れが賑やかに降り立ちました。
 

トノサマバッタの顔

群れるエノコログサ類の穂
 

【秋の山野草】

 
  市営霊園では、端っこの方の草が刈り残された場所に秋の山野草がいろいろ咲いていました。ツリガネニンジンはちょうど見ごろで、ほかにもアキカラマツ、キツネノマゴ、ツルボなどが見られました。春に白い花を咲かせていたセンボンヤリは、秋の花を、まさに天を衝く「槍」のようにのばしていました(秋の花は閉鎖花で、槍の姿のまま終わります)。秋らしいワレモコウの姿もありました。カシワバハグマは、あと1週間ほど、といった具合でした。
 
  6日前の台風で吹き荒れた強風で、イチョウの実とクリの実がずいぶん落ちていました。クリはまだ未熟なままに落ちてしまって、中にはぺったんこのクリばかりでした。ギンナンは、見上げた枝にも、たわわに実が残っていました。

 左、センボンヤリ 右、ツリガネニンジン

 

 

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ひとつの花をじっくり見る ミズタマソウ


ミズタマソウ(右:全体、上:花の拡大) 初秋の長田谷津(大町自然観察園)で見ることができる。数は多くない。

 

  ミズタマソウは、少し珍しい野草です。実に白い透明な毛が丸く生える様子を「水玉」に見立てた名前ですが、「水玉」は花が咲いている時から見ることができます。花は、基本的な部品が2個ずつある「2数性」で、一般的に3数性(ユリやラン)や5数性(サクラやハコベ)の花が多い中では、変わった形の花と言えるかもしれません。

  花を作る部品を外側(茎側)から見ていくと、三角形の「がく」2枚が左右に翼のように広がり、その内側にハート型の2枚の「花弁」が上下に向かい合ってついています。「雄しべ」は「がく」と同じ位置に2本あって、その付け根中央から1本の「雌しべ」が伸びています。「がく」「花弁」「雄しべ」が互い違いの位置関係に並んでいます。
 

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街かど自然たんぽう

平田・縄文時代のクジラの骨

   「昔々、縄文時代、平田付近は波打ち寄せる海辺でした。東京湾は広く外洋に開けた海で、市川沖ではクジラも泳いでいたそうです。

 このようなことがわかるのは、地下の土や地層の重なり方を調べた結果ですが、国道14号線沿いの工事現場からクジラの骨が見つかったことで、縄文時代の情景が生き生きとしてきました。現在でも時々、弱ったクジラが浜辺に打ち寄せられるニュースに驚かされますが、昔の人々はどのように思ったことでしょう。

考古博物館 エントランスで出迎えるクジラは、平田で発見されました。

 

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くすのきのあるバス通りから 第81 幼虫図鑑を買いました

 
   庭のアシタバが、ある日突然葉がなくなったように思いました。気がつかなかっただけなのですが、キアゲハの幼虫が食べつくしていたのでした。14匹の終齢幼虫が茎をボリボリと音を立てて齧っていました。次の日見ると、3匹の少し小さめの幼虫はいました。少し離れた所の雨水タンクの横に支柱を何本かたてかけてあり、サナギになるつもりかよじ登っていました。裏庭に1匹、玄関付近に1匹いたものの、あとは行方不明です。

  幼虫の親が何かを調べるのに、食草から検索したりしますが、関係ないところにいたものは、図鑑を片端からめくります。すべての蝶や蛾の幼虫が載っていないので、「幼虫図鑑がほしい」と以前から思っていました。今年になって、本屋で「イモムシハンドブック」を見つけ、買いました。イモムシ掲載種一覧のところで名前と掲載ページがわかり、それぞれの説明ではサナギと成虫の写真、発生時期、分布、食草、特徴が簡単に書かれています。気持ち悪く思う人が多いですが、私はイモムシ、ケムシの形はすごいなと思います。

  (M.M .)

 

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むかしの写真で見る 昭和の風景

 
昭和42年(1967年) 撮影

引き水日割り表


昭和42年宮久保 引き水日割り表

 
   市内・宮久保地先で撮影された写真です。画面正面の立て看板には「日割表 五月二十日始メル」とあり、「北方組合」「小八幡組合」「宮久保組合」ごとに日にちが示されています。
 
 
  これは、田植えの時期に川の水を田に引き込む割り当て日を示した看板です。「水争い」が起きないように、あらかじめ日にちを決めてあるというわけです。
 
 
  看板は川のふちに立っていて、川向うに広がる田んぼでは、まさに田植えの真っ最中です。この時代、川は水を運んでくる大切な存在でした。ところが、やがて田んぼがなくなると川の存在意義は薄れ、汚れた水を「捨てる」場所になりました。臭いので嫌われ、蓋されて、存在が消えていきました。
 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • ニイニイゼミが鳴いていました(7月2日)。今年一番に鳴き声を確認した場所です。
  • 公園内の散策路にノコギリカメムシがいました(7月10日)。

◆大野町より

  • 駒形神社周辺で、ニイニイゼミが鳴いていました(7月9日)。

◆北方町より

  • 市川東高校周辺で、ニイニイゼミが鳴いていました(7月9日)。

 以上 K..H.さん
 

◆真間山より

  • ミンミンゼミの鳴き声を真間山下の斜面林でききました(7月24日)。梅雨明け後の猛暑のあとしばらく涼しい日が続き、また暑さが戻ってきた日でした。本格的な夏ということでしょうか。
  • 斜面林からツクツクボウシの鳴き声が聞こえてきました(8月10日)。連日の猛暑ですが少しずつ秋が近づいているのでしょうか。

 M.T.さん
 

◆堀之内より

  • 堀之内貝塚でキツネノカミソリが咲いていました(8月1日)。しかし白い花は見当たりません。
  • どうめき谷津の斜面のキツネノカミソリは、草刈のため姿がなく、たった1本が生き残って咲いていました(8月3日)。
  • 1本だけだったキツネノカミソリが小振りながらあちこち咲き始めました(8月8日)。よかったです。

 以上 谷口浩之さん(北国分在住)

  • 貝塚公園のムクノキに、フクロウ2羽が並んでとまっていました(7月23日)。斜面に生えている木だったので、園路からは、ほぼ水平方向の位置でした。1羽とは、目と目が合いました。

◆じゅん菜池より

  • カワセミ1羽を見ました(8月20日)。でも夏羽なのでしょうか、あまり美しくありませんでした。翌日も2羽見ました。折からの雨の中、カメラマンも見えない静けさに、カワセミたちも心なしか伸び伸びしていたようです。

◆坂川旧河口一帯より

  • 国府台台地の斜面林に沿って、上流方向からオオタカ1羽が低空で飛びました(7月3日)。その飛び方が慎重で、いかにもカラスたちに気取られることのないよう気を使っているように見えたので面白かったです。(結局、カラスたちに見つかって騒がれてしまいましたけれど。)

 以上 根本貴久さん(菅野在住)
 

◆江戸川放水路より

  • 話には聞いていましたが、確かに今年はトビハゼの姿をほとんど見かけません(7月4日)。いつもはたくさんいる干潟を歩いていても巣穴が全く無く、やっと数匹確認したのみでした。カニはふつうにいるのにどうしたのでしょう。

 金子謙一(自然博物館)
 

 

気象のようす

平年より12日も早い7月9日に梅雨が明けましたが、その前から凄まじい猛暑とカラカラ天気の日々が続きました。

 

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