平成24年度 市川自然博物館だより 8・9月号 通巻141号

市立市川自然博物館 2012年8月発行

     

 いきもの写真館  同じ場所を何度か訪れる
 花屋の花を観察する  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  むかしの写真で見る昭和の風景
 わたしの観察ノート  

 


 

いきもの写真館
カラスウリ 日没から咲き始め、翌朝にはしぼんでいます。昼間に花殻を探しておけば。咲く株がわかって観察しやすいです。  撮影者 土居幸雄さん

 

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同じ場所を何度か訪れる 江戸川放水路 7月18日

 

【いのちあふれる夏の干潟】

  「梅雨が明けたらしい」と発表された翌日、江戸川放水路の干潟を訪ねました。寒かった梅雨が終わったことを喜ぶかのように、潮が引いた干潟は「生き物だらけ」。特に、泥の上一面にいるカニにはビックリです。カニを驚かさないように身を低くして眺めていると、右に左にゆっくり動くカニの姿にまじって、トビハゼがピョンピョン飛び跳ねていました。足元を見れば小さな穴と砂団子が一面で、小さな水たまりには小さな魚(ハゼ類の稚魚?)や小さな巻貝が、元気に活動していました。
 
  早いようですが、シギ類の秋の渡りも始まっていて、キアシシギの声が響いていました。大型のシギの姿も見られました。青々と茂ったヨシ原は、夏の干潟では貴重な風景のアクセントでした。

干潟いちめんにひろがったカニ(ヤマトオサガニ)

 

【今年は多いトビハゼ】

トビハゼ  江戸川放水路の、ちょうど新行徳橋の下にある干潟は、東京湾でも有数のトビハゼ生息地です。トビハゼは、魚なのに干潟の上でカエルのように跳ねて暮らす生き物です。その愛らしいしぐさや表情が、多くのファンを生んできました。干潟の規模が小さいため生息状況は不安定で、年によって数に変動があります。昨年のこの時期はほとんど姿が見られずに関係者をヤキモキさせましたが、今年は近年まれにみる多さで、双眼鏡なしでも簡単に見つけることができます。観察するなら今年は最適です。

【いろいろなカニ】

チゴガニ  夏の干潟で圧倒的に目に付くのがカニたちです。干潟一面に広がるヤマトオサガニや、足元で白いハサミを「体操しているように」上下させるチゴガニは、かんたんに見つけることができます。チゴガニは甲羅の幅が1センチにも満たない小さなカニです。同じ場所には、やはり小さなコメツキガニ(四角いチゴガニにくらべて、おむすび形をしている)も見られます。アシ原の中やまわりには白くて大きなハサミが目立つアシハラガニが多く、この4種類のカニは長靴をはいて干潟に入ることなく見つけられます。
 
  潮が引いた時間を謳歌するカニやトビハゼに対し、フジツボやイソギンチャクは満ち潮を待って、じっと耐えています。タテジマイソギンチャクが触手を引っ込めて、ブドウの粒のような姿で次の潮を待っていました。

アシハラガニ    タテジマイソギンチャク

 

 

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花屋の花を観察する トルコギキョウ トルコギキョウの花

   暑い時期の切り花の、主役のひとつがトルコギキョウです。かつては一重で覆輪の品種が多く使われていましたが、最近は八重の品種が主流のようです。八重になることで豪華さが増しましたが、トルコギキョウらしさは薄れ、花束の中ではまるでカーネーションのようです。

   ただ、人が作りだした八重の品種でも、つぼみの特徴までは改良できません。花びら(合弁花なので正確には花の裂片)が順番に重なり全体がねじれた様子は、まさにトルコギキョウらしい特徴です。そしてこの特徴は、「キキョウ科」ではなく「リンドウ科」の特徴でもあります。

 トルコギキョウはキキョウと名がつくものの実際にはリンドウ科の植物で、日本に伝わった時に開花した花の印象からキキョウと名付けられたということです。ちなみに、原産地もトルコではなく、北アメリカとい うことです。
 

八重咲きの品種。花びらも雄しべも、基本数の5個より多い  花びらが順番に重なりねじれた様子。リンドウ科の特徴。
つぼみの中には1本の雌しべと多数の雄しべが納まっていた  細長い「がく」は、八重咲き品種でも5個しかない。

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街かど自然たんぽう

国分(こくぶん)・イチョウの塩害

右側がイチョウの木。左部分の葉が落ちて、向こうが透けて見える。手前のカエデは青々としている。
 7月、下総国分寺の境内のイチョウを見にゆくと、南側に面した葉の一部が赤茶けて枯れていました。これは、6月に市川を襲った台風による塩害と思われます。海水を含んだ強い南風が、市川を吹き抜けました。台地の南端に位置する国分寺のイチョウは、低地から台地へ吹きあがる風をもろに受けて、葉を傷めつけられたのでしょう。残った葉にも影響があるでしょうか。秋にきれいな黄葉が見られるかどうか、気になります。

 

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くすのきのあるバス通りから 第83ニイニイゼミの鳴き声


伊豆半島と房総半島(筆者手書き地図)  7月11日、静岡県下田市の海岸沿いの山全体でニイニイゼミが鳴いていました。その日「八千代市の勝田台でもニイニイゼミが鳴いたよ」と娘から連絡がありました。帰りは天城峠を経て帰りました。例年はヒグラシが聞けるのですが、今年はまだでした。13日に神奈川県小田原市でニイニイゼミが鳴き出しました。市川に戻り、自然博の方と話をすると「大町ではニイニイゼミもヒグラシも鳴いています」とのことでした。八幡辺りでは鳴いていないので、なんだか焦り、毎日散 歩をしました。17日午前に冨貴島小の正門付近で、午後には葛飾八幡付近でニイニイゼミが鳴きだしました。「梅雨が明けた模様」と気象庁から発表がありました。

  (M.M.)

 

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むかしの写真で見る 昭和の風景

 
昭和48年(1973年) 撮影

新田 市街地のクロマツ

西消防署から八幡方面を望む、写真提供 岩瀬徹 氏

 
 いまの西消防署の望楼から撮影した新田一帯の市街地です。住宅地に溶け込むようにしてクロマツが生育する景観は、「市の木・黒松」の選定理由にもなっていますが、写真を撮影した当時は、いまよりもずっと多くのクロマツがあったことがわかります。特に、画面左側の千葉街道と画面右側の総武線の間の一角は、現在ではほとんどクロマツが見られない一帯です。

 国道と総武線の間に群生するクロマツは、あるラインを境に、そこより総武線側には見られません。そのラインが「市川砂州」という地形の縁にあたるラインです。クロマツは市川砂州の上だけに群生し、その南のかつて水田だった場所にはありません。
 

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わたしの観察ノート 


◆大町より

  • 動植物園第2駐車場脇の道にカラスビシャクが生えていました(5月5日)。

K.H.さん
 

◆長田谷津より

  • 三角池からヒキガエルのおたまじゃくしの姿が消えていました(5月24日)。斜面林のそばの草むらを探すと、小さなヒキガエルがいっぱいいて、元気に飛び跳ねていました。
  • あぜの補修をしていたら、泥といっしょにコオイムシをすくいあげました(6月24日)。先週ぐらいに子どものコオイムシも見ているのですが、この時はまだ背中に卵を背負っていました。

◆堀之内より

  • 歴史博物館の2階のベランダを眺めていたら、真っ赤なショウジョウトンボが飛んでいました(6月23日)。

以上 金子謙一(自然博物館)
 
 

  • 歴史博物館と小塚山の間の外環道路用地に今年もコチドリが数羽来ています(5月27日)。後2年から3年のはかない生息地です。

道下 誠さん(中国分在住)
 

◆国府台より

  • 里見公園で、ヒガラ1羽がさえずるのを聞きました(5月13日)。かなり久しぶりの記録です。

◆じゅん菜池緑地より

  • 梅林では、近隣で繁殖したと思われるエナガの家族の群れが見られました(5月12日)。総勢10羽前後の群れの中の子エナガたちは、尾がまだ短く、赤い目が印象的でした。

◆坂川旧河口一帯より

  • オギ原先江戸川上空を上流に向かい、頭からノドにかけてきれいなオレンジ色となったアマサギ1羽が飛びました(5月6日)。
  • 河川敷から柳原水門へ登る坂道の脇、新堤防法面からいきなり2羽のヒバリが飛び立ちました(6月23日)。かなりの距離まで近づいていたのですが、まったくの保護色で気付きませんでした。

◆菅野より

  • 菅野公民館の芝地でエサをとる数羽のムクドリ、キジバトに混じって、コチドリが1羽いました(5月3日)。わたしが近づくと、コチドリは辺りを飛び回りました。
  • 雨が降る中、車が1台もとまっていない菅野公民館駐車場にカルガモ2羽が羽根を休めていました(6月9日)。

以上 根本貴久さん(菅野在住)
   

 

気象のようす

激しい雷雨や竜巻の発生、6月の台風による塩害、雨が降らずに肌寒い梅雨と、不安定な天気が続きました。

 

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