平成25年度 市川自然博物館だより 10・11月号 通巻148号

市立市川自然博物館 2013年10月発行

     

 いきもの写真館  同じ場所を何度か訪れる
 花屋の花を観察する  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  むかしの写真で見る昭和の風景
 わたしの観察ノート  

 


 

いきもの写真館
オオシオカラトンボ オオシオカラトンボの産卵の瞬間です。しっぽ(腹端)でチョンチョンではなく、水をすくい飛ばしています。  撮影者 土居幸雄さん

 

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同じ場所を何度か訪れる 堀之内・小塚山公園 9月27日

 

【まだまだ夏の景観】

  秋分を過ぎ、暦の上では秋本番の日に堀之内貝塚と小塚山公園を訪れました。林の木々はまだ夏のままで、林外からの景観はこんもりとし、林内は暗く、陽光がスポットのように差し込んでいました。小塚山公園は、外環道路のトンネル工事がひと段落したようでした。仮移植されていた高木も植え戻されていました。
 
  林の外観は夏でも、季節の進みが感じられる点もあります。樹上からコジュケイの声が聞こえたのはカケスかモズの鳴き真似でしょうか? 野鳥観察の人の姿を見かけたのは、秋の渡り鳥が姿を見せはじめたのかもしれません。堀之内貝塚や小塚山公園は、里見公園などとならんで渡り鳥がよく見られる場所として知られています。


小塚山公園の外観

 

【満開のササクサ】
 ササクサは、笹にそっくりの葉をもつ野草です。見て美しい野草というわけではありませんが、地域の植物を見ている人には気にかかる植物です。それは、古い記録しか残されていないなかで1969年に国分高校近くで再発見され、やがて市川市北西部が県内唯一の自生地として知られるに至ったからです。現在ではほかの産地も知られていますが、やはり県内では少ないことに違いありません。
 
  市内では小塚山公園の群落が健全で、外周の道からでも園路からでも、簡単に見つけることができます。

群生するササクサの花

【いろいろな野草】     

 ササクサのほかにも、いろいろな野草が花を咲かせていました。かつてよりも「見栄えのする花」の種類や数が減ったのは林が成熟に向かっていることの「反作用」とも言えますが、観光地ではないので目の前の自然をあるがままに見ればいいのでしょう。
 
  堀之内貝塚では、明るい空間にヤブタデが群生し、ところどころツルボが穂を伸ばしていました。園路沿いではミズヒキの赤がきれいでした。ナキリスゲは多く見られましたが目立たない植物です。
 
  小塚山ではたった一株のツリガネニンジンが印象的でした。シラヤマギクやキツネノマゴ、イネ科のノガリヤスも目につきました。
 
  低木のサワフタギはなかなか実をつけません。小塚山では鮮やかな青い実がびっしり実っていました。

ヤブタデ(ハナタデ) ツルボ ツリガネニンジン
シラヤマギク ナキリスゲ ノガリヤス
サワフタギの実 クヌギのどんぐり キツネノマゴ

 

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花屋の花を観察する シュウメイギク シュウメイギクの花全体

   シュウメイギクは、植物としては菊のなかまではなく、キンポウゲ科に属しています。花の中央の丸い「雌しべ」(実際にはたくさんの雌しべの集まり)と、そのまわりをぐるりと囲むたくさんの「雄しべ」がキンポウゲ科らしい特徴です。同じキンポウゲ科のフクジュソウとくらべると、よく似ていることがわかります。

   外見だけでいえばコスモスも似ていますが、こちらはキク科の植物です。花の構造は特殊で、小さな花が集まって全体を構成しています。コスモスの花の中央の粒々は一つずつが独立した花(筒状花)ですし、「花びら」も一枚ずつが独立した花(舌状花)になっています。シュウメイギクやフクジュソウは、「雌しべ」や「雄しべ」の数が多いというだけで、全体としてはひとつの花です。その点が、キク科のコスモスとは構造的に大きく異なっています。

   図鑑を調べると、シュウメイギクの花には「花弁」がなく、「花びら」はたくさんの「がく片」である、と書かれています。ですが実際に見ると、「がく片」のように見えるものと「花弁」のように見えるものとがあります。逆にフクジュソウは、「花弁」があり「花びら」は本当の「花弁」である、と書かれています。

   もともと「花弁」と「がく片」は花の部品としては似通った存在です。あまりこだわらなくても、いいのかもしれません。
 

シュウメイギク フクジュソウ

コスモス

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街かど自然たんぽう

新田(しんでん)・住宅地の中の公園

公園のようす  新田南公園は、総武線の南側、住宅が密集する地域にあります。広場が中心の公園ですが、住宅地には植えられないような、クスノキやケヤキ、プラタナスなど大きくなる木が見られました。敷地に限界があるので、どの木もよく剪定されていましたが、シラカシやマテバシイは、剪定の頻度が少なければ、どんぐりが拾えるのに、と思いました。キンモクセイにはつぼみがたくさんついていて、咲くのが楽しみです。

 

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くすのきのあるバス通りから 第90 気になること


 よその家の塀から出ているツバキの葉に、チャドクガの幼虫がびっしり並んでいました。「今なら、袋で包んで枝ごと切って、簡単ですよ。散らばると大変ですよ。余計なお世話かな」とつぶやきながら通り過ぎました。先日近くの保育園で農薬散布をしたのを見て、「マサキの生け垣に虫が出たのかな」と思いました。「学校などの子どもが長く過ごす場所や病院、住宅地では健康被害を防ぐため、農薬散布ではなく、害虫の捕獲や虫の付きにくい植栽にし、予防的な散布はやめましょう」という国から県に通達が出されています。農薬散布するとその家の人も通りがかりの人も、気化した成分をしばらく吸い続ける事になります。今は食物アレルギーやアトピー、花粉症など子供も大人も何かしら不安を持っているようなので、さらに化学物質を取り込む事は避けたいものです。「ケムシは嫌い」という人には「害虫と言われる虫以外も死んでしまいます」という事は受け入れられないでしょうね。

  (M.M.)

 

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むかしの写真で見る 昭和の風景

 
昭和43(1968)年 撮影

国府台の江戸川河川敷

坂川河口から南の方向を眺める

写真提供 岩瀬徹 氏

 
 写真は、かつての江戸川べりの風景です。里見公園の下の、やや上流側にあたる場所で、松戸側から南の方向を見て撮影しています。写真中央を縦に延びる水路は坂川の流路です。松戸から流れてきて、写真中央で江戸川に合流します。写真中央の広い水面が江戸川です。左側の林は、里見公園の斜面林にあたります。

 この場所は、新しい堤防ができたのでわかりにくくなりましたが、基本的な地形や流路はこの当時のままです。坂川が合流することで河川敷が広く、原野のような環境が保たれてきました。ノウルシやノカラマツ、フジバカマなどの野草が残ってきた一因は、この地形の妙によるかもしれません。
 

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わたしの観察ノート 


◆長田谷津より

  •  梅雨明けの翌日は、快晴で猛暑でした(7月7日)。林の中からニイニイゼミの声が聞こえたね、と話していたらアブラゼミの声も聞こえました。こちらはずいぶん早い印象です。
  •  いろいろなツル草が旺盛に繁茂していました(8月3日)。ガガイモはちょうど花時を迎えていました。
  •  博物館の建物のすぐ近くでクマゼミが鳴いていました(8月8日)。市内でも耳にすることが普通になりつつあります。

金子謙一(自然博物館)
 
 

◆堀之内緑地より

  • ニイニイゼミが鳴き始めました(7月7日)

K.H.さん

  • 林の北縁、シラカシの木の樹冠の中にフクロウ1羽が静かにとまっていました(7/28)。飛ばれないよう、上を見上げながらそっと下を通る際、フクロウと目が合いました。ちょうど、1年ぶりの観察です。また今年も出会えて良かったです。

根本貴久さん(菅野在住)
 
 

◆真間山周辺より

  • 6月にふ化したスズムシが成虫になり、鳴き始めました(7月29日)。厳しい暑さを少しやわらげてくれているようです。

◆里見公園より

  • 南側斜面林で、ツクツクボウシの鳴き声をききました(8月7日)。連日の猛暑ですが、立秋が来たことがわかるのでしょうか。

以上 M.T.さん
 
 

◆北国分より

  • 庭の柿の木で、ミンミンゼミの初鳴きがありました(7月17日)。

谷口浩之さん(北国分在住)
 
 

◆江戸川放水路より

  • トビハゼの巣穴調査に行きました(7月24日)。巣穴は少なく、かわりに今年生まれの小さなトビハゼがたくさんいました。今年の繁殖のピークは過ぎてしまっていました 。

金子謙一
 
 

◆坂川旧河口一帯より

  • コアジサシ5羽の群れが一団となり、オギ原先江戸川沿いを下流方向へ飛んでいくのを見ました(7月20日)。まるで世間話でも交わしているように、いかにも楽しげに鳴き声を出しながら、時折、旋回したり、また水面への急降下も見せて、ゆっくりと飛んでいきました。5月初旬に見て以来、北の地での短い繁殖の季節を終えて、再び一帯に姿を見せてくれました。
  • すでに繁殖期を終えたと思われるホオジロの雄1羽が、ビオトープ池の中央部に立つヤナギ類の木のてっぺんでさえずっていました(8月18日)。また、オギ原からも、雄のさえずり声が聞こえていました。本当に良い声でした。。

以上 根本貴久さん(菅野在住)
   

 

気象のようす

梅雨は、7月6日にあけました。その後はカラカラの天気が続き、8月11日に船橋アメダス過去最高記録の39.0度を記録し、酷暑が続きました。

 

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