平成25年度 市川自然博物館だより 12・1月号 通巻149号

市立市川自然博物館 2013年12月発行

     

 いきもの写真館  同じ場所を何度か訪れる
 花屋の花を観察する  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  むかしの写真で見る昭和の風景
 わたしの観察ノート  

 


 

いきもの写真館
マヒワ 冬になると市内に姿を現します。大町公園(長田谷津)では、たねをねらって、ハンノキの枝先によく来ます。  撮影者 土居幸雄さん

 

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同じ場所を何度か訪れる 堀之内・小塚山公園 11月21日

 

【明るくなった林内】

  11月中旬を過ぎ、木々の葉が美しく色づいていました。市川あたりでは野生のモミジはなく、堀之内貝塚や小塚山公園の雑木林は、イヌシデやコナラなどの葉で黄色からオレンジ色に染め上がります。「紅葉」という現象は葉の色が変わることと同時に、緑の色素が分解され光の透過率が高まることでもあります。木々の葉に注いだ太陽の光は、夏は跳ね返されて濃い影を作りますが、秋は葉を通して林内にまで差し込みます。夏と違って斜めから射す日差しも、林内をいっそう明るくします。堀之内貝塚に多いクヌギを下から見上げると、木の先端の「樹冠」も明るく色づき、クヌギの太い枝がくっきりと見えるようになっていました。
 
  大きな木のようすは堀之内貝塚も小塚山公園も同じですが、過去の強い草刈りの影響で低木が少ない堀之内貝塚は林内全体が明るく、逆に低木が豊かに茂る小塚山公園は、林の上層は明るく色づき、下層は常緑樹が濃い緑色を保っていました。。
 
  常緑樹を好む野鳥のメジロや蝶のムラサキシジミは、小塚山公園の方で見かけました。


クヌギを見上げた

 

堀之内貝塚の林内

【おいしい実、甘い花】     

 どちらの林でも、野鳥のヒヨドリの声がにぎやかでした。ちょうどムクノキの実が熟す時期で、何本もあるムクノキの大木に群がっているようでした。この日は、ムクノキ、シロダモ、ヒヨドリジョウゴの実がとても目につきました。エノキの実は、時期が過ぎたのか、地面に落ちているばかりでした。
 
  数少ない花も、野鳥のメジロやハナアブなどの昆虫には重要な存在です。シロダモは実だけでなく花も満開で、どちらの林でも見ることができました。ヤツデは、低木が豊富な小塚山公園に多く、大きな株はどれも花茎を伸ばし、たくさんの花を咲かせていました。
 
  園路にはイヌシデのタネがいたるところにありました。カワラヒワなどの野鳥は小さくて硬いイヌシデのタネを割って、中身を器用に食べます。

ムクノキ(実)) シロダモ(実) シロダモ(花)
ヤツデ(花) ヒヨドリジョウゴ

【大量に植えられたシュンラン】     

 小塚山公園の一部に、シュンランの株が大量に植えられていました。前回歩いた時には気づかなかったので、わりと最近になって植えられたのでしょう。同様のことは大町公園でもあり、大町公園では園路にそって等間隔に点々とシュンランの株が見られます。
 
  小塚山公園にも堀之内貝塚にも自生のシュンランがあります。これまでも毎年、花を見つけて大切にカメラに収める人と、根こそぎ掘り取ってしまう人とがいて、自然を愛するということの意味を考えさせられてきましたが、これからは「意図をもって植える」という行為も含めて考えなければならないようです。遺伝子レベルの問題を抜きにすれば、シュンランを植える行為は、希少な野鳥を人工的に増殖して野に放つ行為と本質的に違いはないのでしょう。「掘られてなくなったものを、よみがえらせている」という理屈もなりたちます。一方で、せっかく見つけたシュンランの花が誰かが植えたものであることに気づいてしまえば、花を見つけた喜びはたちどころに興ざめしてしまうかもしれません。
 
  「保護区」を作って立ち入りを制限する考えもあるでしょう。ですが、自然を訪ねる行為は本来自由なものです。市川のような人口の多い市街地において、残されたわずかな自然がどうあるべきか、わたしたちはどう向き合うべきか。都市の自然ならではの課題なのかもしれません。

 

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花屋の花を観察する シクラメン シクラメンの鉢植え

   シクラメンは、冬の室内を彩る人気の鉢花です。赤やピンクの花びらは根元でつながっています。「合弁花」と呼ばれる花の形のタイプです。分類上はサクラソウ科に属します。ただ、花がラッパ型に細長いプリムラ類などとは別のグループとして、シクラメン類だけでまとまったグループになっています。

   多くの植物の場合、わたしたちは花を正面から見て観賞します。シクラメンの場合は「花の横姿」を見て楽しみます。エンジェルトランペット(キダチチョウセンアサガオ類)も同じです。ともに下を向いた状態で花を咲かせるからです。

   シクラメンの花を正面から(つまり下から)見ると、花びらの根元が筒状になっていることや、そのなかに「おしべ」「めしべ」といった花の部品がちゃんと収まっていることがわかります(写真1)。花びらだけを切り離して平らにすると、ごく普通の花の形であることもわかります(写真2)。そして、花びらとがく片を取り除いて拡大すると、花の内部もよく見えます(虫めがねやルーペがあるとよくわかります)。「おしべ」は細長い三角形で、5枚の「おしべ」に囲まれて1本の「めしべ」が突き出るように伸びています(写真3)

   シクラメンの花をよく観察すると、平凡なタイプの形の花ということがわかります。
 

写真1 花を下からのぞいた様子
写真2 花びらを広げてみた様子

写真3 シクラメンの花の内部(おしべとめしべ)

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街かど自然たんぽう

末広(すえひろ)・鳥の古巣さがし

 5年ほど前、街中で鳥の古巣を探す親子観察会を行いました。その時に行徳図書館のカイヅカイブキで古巣を発見したのを思い出し、久しぶりに探してみました。ところが結果は0個でした。図書館から七中にかけての植木の茂みの中を、一本ずつのぞいて歩きました。公園や街路樹も見ましたが、見つかりませんでした。七中のサクラでシジュウカラ、公園の地面で群れるスズメ、ハクセキレイやにぎやかに鳴くヒヨドリなど、鳥の姿は見られました。

行徳図書館から七中を望む
 行徳図書館の植木で、以前古巣を発見したことがあります。  

 

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くすのきのあるバス通りから 第91 カワラケツメイを見ました


 この秋、カマキリが二階の軒下に卵を産みつけました。昨年は自転車のカゴ、ほぼ同じ位置で、家の南西角の「地上」か「屋根近く」の違いです。なぜ今年は高い位置なのか、違うカマキリなのにこのあたりを選ぶのか疑問です

  東菅野4丁目の本北方橋付近は新しい道路の工事のため、植込みがなくなり、歩道や車道の位置が変わったりします。新しくつくられた縁石の脇に土がある所があり、草が生えていました。放射状に40センチメートル位枝が広がり、黄色い花が咲いていました。「葉は細かいオジギソウ風だからマメ科かな?でも花はマメじゃない!帰化植物かも」。家に戻り、帰化植物図鑑を見ました。載っていないので、野草の図鑑を見ました。「カワラケツメイ(マメ科)」でした。初めてみて「変だな。日本の植物じゃないかも」と思ったのは勉強不足のせいでした。しばらくして防音壁をそこに建てるため草は抜かれてしまいました。どこから種がきたのでしょう。工事用の土に混じっていたのでしょうか。上の方になったので発芽したのでしょうね。

 

  (M.M.)

 

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むかしの写真で見る 昭和の風景

 
昭和49(1974)年 撮影

行徳沖の海苔漁場

浅瀬に立てた竹と舟

写真提供 岩瀬徹 氏

 
 行徳沖は、古くから知られる海苔の漁場です。写真は40年近く前に撮影されたものですが、養殖のようすそのものは、当時も現在もあまり変わりがありません。ただ、この当時は浅瀬に竹を立てて、海苔の胞子をつけた網を水中に張る方法がほとんどでした。近年は、水面に網を浮かべる「ベタ流し」という方法が多くなり、漁場も沖へ移動しているようです。

 写真には漁業者の方の舟が写っています。よく見ると、木製です。現在は樹脂製ですから、この点は大きく様変わりしました。遠方には船橋から千葉方面の埋立地が写っています。背景にマンションや高層ビルがない点もいまとは違っています。
 

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わたしの観察ノート 


◆長田谷津より

  •  ミツバアケビが今年は良く実っています(10月5日)。ツルが棚状になっている場所が2カ所あって、どちらもいくつも実がぶら下がっていました。割れている実もありました。
  •  コナラのどんぐりは時々不作の年がありますが、今年は豊作でした(10月13日)。

金子謙一(自然博物館)
 
 

◆真間山周辺より

  •  普段あまり見かけないチョウが飛んできました(南側の斜面林下)(9月18日)。調べてみたら、アカボシゴマダラというのによく似ていました。すみかを拡大している外来種というような記述もありました。
  •  南側斜面林下の民家の垣根にヘビを発見しました(9月26日)。全長80センチメートル位でした。アオダイショウでしょうか。ちょっとびっくりしました。

M.T.さん
 
 

◆小塚山より/p>

  •  散歩していたら、“オーアーオー”というアオバトの声が、しばらく聞こえました(10月21日)。

道下誠さん(中国分在住)
 
 

◆里見公園より

  •  小雨降る里見公園奥、わずかに鳥の声のするタブノキを見上げたところ、サンコウチョウの雌タイプ1羽の外、同行のシジュウカラとコゲラを確認しました(9月11日)。サンコウチョウは昨年中見る機会に恵まれず、2年ぶりの嬉しい出会いとなりました。

◆江戸川より

  •  川べりの波消しブロックでアオサギ2羽が休んでいましたが、そのうちの1羽が片足立ちをしていました(10月13日)。長い脚なのに見事なバランス感覚です。

◆坂川旧河口一帯より

  •  旧堤防(上流側)左岸土手上から水面に枝を伸ばす木の枝先にカワセミ1羽がとまり、辺りを飛び回っていた3羽のヒヨドリの群れのうちの1羽が同じ枝のたった50センチメートルほどしか離れていないところにとまりました(9月7日)。ところが、ヒヨドリを追い払うような様子も見せず、いたって無関心。両者が狙うエサがまったく異なるためなのでしょうか。
  •  アオアシシギ1羽がオギ原先江戸川沿いを下流に向かって飛び去りましたが、その際、可愛い声で二声鳴きました(9月11日)。一帯では、シギ類が降りて餌を採る場所が無く、10年前の観察も飛翔する姿でした。
  •  ビオトープ池上流のオギ原、一際背の高いブタクサのてっぺんに止まっていたノビタキ1羽が、垂直に飛び上がったかと思った瞬間、そのままの高さで江戸川を渡って西へ飛んでいきました(10月19日)。

以上 根本貴久さん(菅野在住)
   

 

気象のようす

気温が高く、台風が多く通過しました。特に10月16日朝の台風26号の強風と大雨によって、市内でも被害があり、大柏川第一調節池にたっぷり水が入りました。

 

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