平成25年度 市川自然博物館だより 2・3月号 通巻150号

市立市川自然博物館 2014年2月発行

     

 いきもの写真館  同じ場所を何度か訪れる
 花屋の花を観察する  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  むかしの写真で見る昭和の風景
 わたしの観察ノート  

 


 

いきもの写真館
ヒガラ 昨冬、大町公園(長田谷津)で多く見られました。シジュウカラとの違いは、胸の黒ネクタイが無いことです。  撮影者 土居幸雄さん

 

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同じ場所を何度か訪れる 堀之内・小塚山公園 1月21日

 

【堀之内貝塚からの眺望】

  今回は、冬の澄んだ青空が広がる、1月の素晴らしい日に訪れました。堀之内貝塚は、考古博物館の建物の東側が急な崖になっています。かつてはその先まで台地が伸びていましたが、造成で削られ、その断面が崖として残っています。そこからは国分谷(国分川が流れている谷)がある方向(東向き)を見渡すことができます。
 
  明るく照らされた国分谷にはたくさんの建物があり、その向こうに曽谷の台地の斜面林が見えました。堀之内貝塚や小塚山公園の林内を歩くときは「雑木林」のイメージばかりが頭にありますが、もっと広い視野で2つの林の位置や環境を考えることも重要です。ここは、北から広がる「下総台地」の南の端にあたり、目の前の「道免き谷津」は、そのまま行徳方面から東京湾に続いています。広大な林が広がる地域の雑木林ではなく、かつて広大な湿地(水田)が広がっていた、海にごく近い地域の林なのです。さらに江戸川にも近く、三方を水に囲まれていると言っても言い過ぎではないかもしれません。
 
  ちょうど上空をアオサギが横切り、その後にはカワウが飛んでいきました。仮に国分谷がかつてのように一面の水田であったなら、鳥の目には、堀之内貝塚や小塚山公園は、水辺に浮かぶ緑の半島のように映るかもしれません。逆に言うと、かつて水田だった場所が住宅地や道路に変わることで、自然の様子が変化したとも言えそうです。市川市のような都市化された地域では、そういう、町づくりによる影響を加味して自然を捉える見方が重要になります。
 

堀之内貝塚からの国分谷方面の眺望

 

【にぎやかな野鳥やオオタカ】
 堀之内貝塚の園路を歩くと、小鳥たちの声がよく聞こえてきました。頭上を見上げると、大きなイヌシデやクヌギの枝先にカワラヒワがいました。小塚山公園では、工事中で立ち入れない区域に、10羽を越す群れがいました。
 
 堀之内貝塚は全体に明るく手入れされた雑木林ですが、部分的に常緑樹がまとまって残されています。そこからは賑やかなメジロの声が聞こえ、しばらく立ち止まっているとシジュウカラが姿を見せ、樹上からはコゲラの声と、木をたたくトントンという音が聞こえてきました。何種類かの小鳥が群れを作る「混群」に出会ったのです。ちょうど野鳥観察に来ていた人とあれこれ話をしていたら、突然、カラスが不自然に声をあげました。オオタカが来ているとのことでした。何回かそういうことが続いた後、木々の間を飛ぶオオタカの姿を見ることができました。体はすこし丸っこく、腹の部分は日差しを浴びて白く見えました。長い尾も目立ちました。すぐ後をカラスが追っていましたが、やがて道免き谷津側に出て小塚山方面に向かいました。うかがった話では、オオタカが獲物を捕らえて解体した痕跡もよく見られるとのことでした。
 
 どちらの林でも、落ち葉を踏むカサカサという音がよく聞こえました。たいていはキジバトが歩く音ですが、少し茂った場所ではシロハラが見られました。上空を鳴きながら飛ぶツグミの声も時々聞こえました。天気に恵まれたこともあり、短時間にいろいろな野鳥に出会うことができました。
 

冬の堀之内貝塚の明るい林内

 

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花屋の花を観察する ストック ストックの花束

   ストックは、早春の花として寒いうちから花屋さんのケースに並びます。植物の分類上はアブラナ科に属する、ヨーロッパ原産の園芸植物です。アブラナ科というと4枚の花弁が十字に開くことが特徴ですが、ストックの花はだいぶ雰囲気が違ってみえます。菜の花にくらべると、ずっと豪華な印象です。花茎全体に花びらがあふれているようです。

   花が豪華に見える理由は、八重咲きだからです。花屋さんで売られているストックをよく見ると、「おしべ」も「めしべ」も見当たりません。もともとの花びらに加えて、それらの「しべ」も花びらと同じ姿に変わっているからです。「しべが花弁化する」と呼ぶこの現象は、八重咲きの花が生まれるもっとも一般的な突然変異です。「八重ザクラ」の花も同じ仕組みでできています。当然、「たね」はできないので、そういう突然変異が起きやすい「ひと重咲き」の種子をまいて、八重咲きストックを生産するそうです。
 

アブラナ科の雰囲気が残るつぼみの様子 よく開いた八重咲きの花

咲き始めの様子。花びらがたくさん見える。 がくの中から多数の花びらがのびている

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街かど自然たんぽう

菅野(すがの)・白幡天神社のサカキ

 白幡天神社の境内には、「榊(さかき)」として利用するサカキと、同じツバキ科のヒサカキが並んで植えられていました。市川周辺の林などでは、葉の縁がぎざぎざのヒサカキはよく見られ、身近な植物として利用されることもあるようです。サカキは、神社や庭先に植えられることはありますが、あまり見かけません。冬芽に特徴があるので、この時期に見つけると、赤みを帯びていて、とがった先端がかぎ状に曲がっているようすを、まずチェックしてしまいます。

サカキの冬芽の先端は、とがっていて、かぎ状に曲がっているのが特徴  

 

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くすのきのあるバス通りから 第92 春の進み具合


 昨年12月半ばまで暖かだったので、木に巻きついていたツルものやユリや草も遅くまで青々としていました。11月16日に首都高速から皇居のお堀に氷が張っているのが見えました。21日不二女子高等学校の前の日陰のフラワーボックスに霜柱がありました。東菅野の広い庭のお宅の池に氷が張っていました。我家のスイレン鉢はまだ氷が張っていません。「雪が降る」との天気予報があっても雨だったり・・・。自然博のほうでは「うっすら雪残っています。」とのこと。「大寒なんだ」とおもいました 。JR本八幡近くのマンションの壁際にヒイラギナンテンの花が咲いていました。花がたくさんついており、微かにいい匂いがしました。

 京成の線路より北の住宅地ではまだ小さな蕾でした。紅梅が咲きはじめ、シラカバやミモザ、ジンチョウゲも蕾をつけています。日当たりや建物で風がよけられるかで春の進み具合に違いが出ているようです。

 

  (M.M.)

 

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むかしの写真で見る 昭和の風景

 
昭和50(1975)年 撮影

セイタカアワダチソウの刈り取り

刈り取られたセイタカアワダチソウ

写真提供 岩瀬徹 氏

 
 黄色い花を「これでもか」というぐらいに咲かせるセイタカアワダチソウは、その群落の存在感に加えて、アメリカから帰化した外来種であることや、急激に増加したことなどもあり、やや敬遠気味に受け止められてきました。特に昭和の時代は、高度経済成長の波を受けて宅地開発などが進み、セイタカアワダチソウが入り込む場所がふんだんにあったので、ある意味、その時代を象徴する植物であったとも言える存在でした。

 写真は、セイタカアワダチソウの茎を内装用の材料として刈り取っている様子です。軽く枝分かれの少ないまっすぐな茎が、ナチュラルな素材として用いられていたそうです。
 

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わたしの観察ノート 


◆長田谷津より

  •  紅葉が見頃になり、イロハモミジの実があちこちに落ちていました(11月28日)。風が吹けば、クルクル回って落ちてきます。コンクリートの上に落ちた実は野鳥の貴重な食料になります。
  •  ハリギリの大きな葉っぱが落ちて、それまで見えにくかった枝先があらわになりました(12月7日)。今年はよく花が咲いて、それが黒く熟してたくさんの実になっていました。

金子謙一(自然博物館)
 
 

◆小塚山より/p>

  •  フユシャクが無数に乱舞していました(12月4日)。飛んでいるのは全て雄で(雌は飛べない)枯葉の上10〜20センチメートルを、あてどなく飛んでいる風でした。雌を探しているのだと思いますが、雌を見つけることはできませんでした。
     12日も数は減っていますが、かなりの雄が飛んでいました。暖かい時間に飛び回っていますが、気温が下がるとじっとしているようです。

道下誠さん(中国分在住)
 
 

◆国分周辺より

  •  遊水地、遠くの法面にはダイサギ1羽、また道沿いの湿地で嘴を上下させながら歩き回っているタシギ1羽を見ました(12月15日)。

◆真間周辺より

  •  夜明け前の手児奈霊堂の池に浮かんでいるカルガモ3羽と、岸から飛んでヒツジグサの葉の上で尾を上下させるキセキレイ1羽を見ました(11月16日)。

◆坂川旧河口一帯より

  •  ベニマシコの“ピッポッ、ピッポッ”という可愛い鳴き声がビオトープ池東の草原から聞こえてきました(11月9日)。この冬の初認です。
  •  坂川旧堤防(下流側)辺りにいたらしいオオタカの成鳥1羽は、ハシブトガラスに騒がれて国府台台地へ飛び去りましたが、ハシブトガラスの声に呼応して、実に柳原水門近くにいたハシボソガラスも追い立てに協力しに飛来しました(11月23日)。この仲間意識は強力です。
  •  シロハラ1羽が、里見公園下江戸川べりで赤い実をたくさん付けたピラカンサの木の中から国府台台地へ飛び去りました(12月7日)。同じ木からは、ツグミ1羽も川沿いを上流方向へ飛びました。そろそろ、食べるものが無くなりつつあるようです。
  •  今シーズン、これまで鳴き声しか聞けなかったベニマシコですが、本日、ビオトープ池の中央の枯草のてっぺんで暫く動きを止めてくれました(12月23日)。雌個体でしたが、ようやく可愛い姿を見られました。

以上 根本貴久さん(菅野在住)
   

 

気象のようす

晴れた穏やかな日が多く、紅葉見物には好適でしたが、葉が散りはじめると冷え込みも厳しくなりました。

 

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