平成26年度 市川自然博物館だより 8・9月号 通巻153号

市立市川自然博物館 2014年8月発行

     

 いきもの写真館  同じ場所を何度か訪れる
 花屋の花を観察する  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  むかしの写真で見る昭和の風景
 わたしの観察ノート  

 


 

いきもの写真館
ミシシッピアカミミガメ ペットのミドリガメのことで、逃がされて増えています。魚をよく食べるので、生態系への悪影響が心配です  自然博物館所蔵写真

 

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同じ場所を何度か訪れる 坂川旧河口 7月24日

 

【絶滅危惧種フジバカマ】

花芽をつけたフジバカマ   坂川旧河口は、古くから知られたフジバカマの自生地です。フジバカマは「秋の七草」にも挙げられている野草ですが、近年は野生株の生育地が減少し、絶滅危惧種とされています。特に、長期間にわたって安定してフジバカマが生育する場所は少なく、坂川旧河口は千葉県内唯一の確実な自生地として知られています。
 
  現在、自生地は簡単な柵で保護されています。新堤防を作る際にさまざまな保全策が講じられ、その後はボランティアの方に草刈りを続けていただき、市民団体のみなさんが調査に取り組むなど、おおぜいの人に支えられて現在に至っています。
 

フジバカマ保護地 画面中央が自生地で、手前に低い手すりがあります。その奥の木々に沿って坂川のむかしの河道があります。遠方は市川駅方面。

【バッタやチョウ】
 訪れた日は、梅雨明けから3日目の風の無い蒸し暑い日でした。市川市街の高層ビルは水蒸気でぼやけ、堤防上のサイクリング道をゆく人はまばらでセミの声だけが響いていました。
 
 坂川旧河口は、市内では数少ない草原的な環境です。バッタ類が数多く生息し、この日も、足元ではショウリョウバッタが途切れることなく姿をあらわし、トノサマバッタは、突然飛び出して巧みな飛行を見せてくれました。草のかげでは、カマキリ(おそらくチョウセンカマキリ)の若虫が獲物を食べているところでした。
 
 堤防の斜面ではアカツメクサが草刈り後に咲きなおしたようで、花の少ない時期の貴重な餌場になっていました。モンシロチョウやモンキチョウなどのチョウ類ばかりではなくハラナガツチバチ類など、蜜や花粉を求めるハチの姿もよく見られました。
 

ショウリョウバッタ トノサマバッタ カマキリの一種
マメコガネ モンシロチョウ モンキチョウ

 

【7月の植物】     

 フジバカマは花芽が出たところで、開花までひと月はかかりそうでした。逆にノカラマツは花が終わって若い実になっていました。ヘクソカズラやシロバナサクラタデはちょうど見ごろでした。ユメノシマガヤツリは、人の腰くらいの高さがある中型のカヤツリグサです。埋立地の「夢の島」で最初に見つかったことにちなんで、この名前がつけられました。帰化植物らしく分布が拡がり、この場所で毎年見ることができます。
 
  オニグルミは、江戸川べりに点々と生えています。毎年のように上流から流れてくる実のいくつかが根づき、成長したものです。なかには実をつける株もあり、この日も丸い緑色の実がいくつもついている木を見つけることができました。

ノカラマツ シロバナサクラタデ
ユメノシマガヤツリ オニグルミ

 

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花屋の花を観察する スターチス スターチスの花

   スターチスは、この花自体が主役になることがない、「名脇役」のような存在です。でも花束や花瓶にあると、一目見て存在に気づきます。スターチスがスターチスらしく見えるのは、一つ一つの花の特徴ではなく全体的な枝振りや花のつき方が「らしい」からです。

   花は、どの種類であれ、何らかのルールに従って枝に並んでいます。そういう並び方を「花序」と呼びます。スターチスの花序を見てみると、全体的な形は「木の枝」のように見えます(写真1)。花のひとかたまりを下から見ると、たくさんの花が互い違いに枝に並んでいることがわかります(写真2)。横から見ると、花のかたまりがつく枝の長さが先端に向かうほど短くなり、結果として花の部分が横一列、水平に並んで見えます(写真3)。この並びが、スターチスをスターチスらしく見せています。さらに花のかたまり一つを見てみると、やはり行儀よく花が並んでいます(写真4)。
 
  上下左右、角度を変えて眺めることで、花序の全体像は見えてきます。

写真1 スターチスの全体の枝ぶり 写真2 花のかたまりを下から見た 写真3 花が水平に並ぶようす 写真4 個々の花の並び方

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街かど自然たんぽう

曽谷(そや)・曽谷貝塚の原っぱと夏空

 暑さが厳しい日、曽谷貝塚に行きました。住宅地の中を行くと、白い木の柵に囲まれた、広々とした原っぱがありました。シロツメクサと牧草のような草が茂る草むらに入ると、まだ小さいショウリョウバッタやトノサマバッタの仲間が次々と飛び出し、大きなショウリョウバッタはキチキチ鳴きながら飛んで行きました。餌を捕るツバメは、広い青空をひゅんひゅん飛びまわっています。江戸川の土手などを除くと、誰でも入ることができる広い原っぱは意外とないものです。

広々とした原っぱは、地面の中の貴重な遺跡を守っています。さえぎるものが無く、空がとても広く見えました。  

 

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くすのきのあるバス通りから 第95 セミ情報


 台風がかすめた後南風が入り、7月11日と12日と気温が市川や松戸で34度になりました。13日、市川考古博物館に行った時、堀之内貝塚でニイニイゼミがたくさん鳴いていました。自然博に報告しなくちゃ!と電話すると、「大町はヒグラシが鳴いていますよ」と言われ、少しがっかり。「14日には八千代台でもヒグラシが鳴いていた。18日には八幡6丁目でミンミンゼミが鳴いた」と娘からもセミ情報。20日に私も自宅近くでミンミンゼミの声を聞きました。

 7日にはアオスジが白いアオスジアゲハを目撃。クスノキのヒコバエに卵を産もうとしているアオスジアゲハを見て、後日卵を見つけようと行くと、草取りとともにヒコバエも切られていました。ナガサキアゲハをやっと見かけたことに感激したりしました。初見日や珍しいものを追って、身近な自然や街中の自然に目が行っていなかったことに反省してます。

 

  (M.M.)

 

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むかしの写真で見る 昭和の風景

 
昭和48(1973)年 撮影

公園になる前のじゅん菜池

じゅん菜池の谷奥を望む

写真提供 岩瀬徹 氏

 
 現在の「じゅん菜池公園」(正式にはじゅん菜池緑地)がある谷の、昭和時代の景観です。いまの公園入口側から奥を向いて撮影したもので、画面左に国府台小学校の校舎が写っています。

 明治時代の地図を見ると、この場所には細長い池が描かれていて(ちょうど今の公園全域が水面になっている)、「蓴菜池」や「蓴菜沼」と表記されています。名前の通りジュンサイが生育していたのでしょう。その後、田んぼとなり、昭和の時代に田んぼが放棄され、荒れ地の時代を経て今に至っています。写真は、ちょうど稲作を止めたころのもので、田んぼが休耕田へと姿を変えつつあります。生活排水が流れ込んだ時期もあったそうです。
 

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わたしの観察ノート 


◆長田谷津より

  •  シオヤトンボがよく飛んでいる水辺に、クロスジギンヤンマの雄がゆうぜんと飛んできました(5月10日)。
  •  園路のあちこちでニホンカナヘビの姿を見かけました(5月25日)。博物館で展示しているカナヘビは、飼育ケースの中で卵を産みました。
  •  お客さんで賑わう動物園のすぐそばで、何回かホトトギスの声が聞こえました(6月1日)。ホトトギスやカッコウの声は、例年、5月下旬ごろによく聞かれます。

以上 金子謙一(自然博物館)
 

◆真間山より

  •  南側斜面林下で、早春をかざったオオイヌノフグリやヒメオドリコソウにかわって、ハルジオン、キュウリグサなどが咲きほこるようになりました(4月13日)。暖かさにさそわれて、クロアゲハ、キチョウも飛びはじめました。
  •  南側斜面林下で、アゲハチョウ(4月29日)、アオスジアゲハ(5月2日)、ゴマダラチョウ(5月17日)など、日射しをあびて飛びまわっています。

◆国府台より

  •  国府台緑地の縁で、ウラシマソウが咲いていました(4月19日)。じゅん菜池に向かう途中で発見しました。

以上 M.T.さん
 

◆小塚山より

  •  樹林地の縁を彩るように、カマツカの白い花が咲いていました(6月17日)。ムラサキシキブの花も見られました。

須藤 治(自然博物館)
 

  •  朝の6時30分頃、アカシジミを見ました(6月5日)。小塚山で見るのは何年振りかで、もういなくなったと思っていたのでほっとしました。しばらく下草のまわりを飛んでましたが、そのうちに高木の中に消えてゆきました。

◆中国分より

  •  じゅんさい池と小塚山の中間の緑地にオスのキジがいました(5月21日)。頭から尾の先まで80センチメートル位に見えました。キジもとても驚いて、走ったり、隠れたりしてましたが、そのうちに飛んで行きました。
  •  住宅街で、ゴマダラチョウより少し大きめの蝶々が悠然アサギマダラのように飛んでいて、近くに止まったので良く見ると、アカボシゴマダラでした(5月27日)。とてもきれいでしたが、帰化種に席捲されそうなゴマダラチョウが心配です。

以上 道下 誠さん(中国分在住)
 

◆江戸川放水路より

  •  干潟はカニたちでいっぱいでした(5月18日)。手前ではチゴガニ、奥ではヤマトオサガニがよく動いていました。
  •  干潟の水ぎわを歩くと、小さなマハゼがさざ波のように逃げていきました(6月10日)。今年もマハゼがたくさんうまれたようです。

金子謙一
   

 

気象のようす

晴れると厳しい日差し、崩れると激しい雨になりました。6月5日頃の梅雨入り後もその傾向は続きました。

 

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