平成26年度 市川自然博物館だより 2・3月号 通巻156号

市立市川自然博物館 2015年2月発行

     

 いきもの写真館  同じ場所を何度か訪れる
 花屋の花を観察する  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  むかしの写真で見る昭和の風景

 


 

いきもの写真館
ニホンアカガエルの卵塊 春早く、と言うよりも冬に産卵します。田んぼが減り、市内では少なくなりました。大町公園では今も見られます。  自然博物館所蔵写真

 

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同じ場所を何度か訪れる 坂川旧河口 1月31日

 

【坂川旧河口の多様性】

 草がすっかり枯れた冬は、坂川旧河口一帯の全体像がよくわかります。いろいろな環境の場所があることは6-7月号で述べたとおりですが、草が枯れている分、地面の高低や広がりなどが一層わかりやすくなっています。草が茂っている時期には入れない場所でも、しっかりと身支度をすれば入っていくこともできます。
 
  今回訪れたのは冷たい北風が吹く日で、目につくのは鳥たちでした。オギが茂りクズが密生していた草原はすっかり枯れ、そこにカワラヒワやカシラダカが群れていました。踏み込んでいくと、草の下からアオジが飛び立ちました。低木が密生する場所ではシジュウカラやムクドリの声が聞こえ、水路ではオオバンの姿が見られました。
 
  ここは、市川の自然の箱庭のような場所です。堤防は明るい草原、オギ原は湿った草原です。河川敷を掘りこんだ湿地があり、穏やかな水路もあります。里見公園の斜面林はすぐそばです。もちろん堤防は、本当の草原ではありません。ですが都市化が進んだ市川では、「草原的な場所」というだけでも重要なのです。環境と生物を関連付けて考えるには坂川旧河口一帯は、とても適している場所です。

坂川旧河口一帯の全景 河口方向(南)を向いて撮影。中央が堤防で、その右側がオギ原、さらに右に江戸川の水面がある。左側は里見公園の斜面林。

堤防の斜面 日当たりが良く、草刈りもされるので背の低い草原と環境が似ている。春の野草が早くも青々していた。 オギやクズが茂った草原 夏はうっそうとしていたが、すっかり枯れた冬は広々している。たくさんの野鳥が利用していた。
湿った河川敷 河川敷は、当然湿っている。雨上がりは特にあちこちに水たまりができる。小さな生き物には利用しやすい水辺である。 ビオトープ池 通常の河川敷よりも深く掘りこんである。作ってから時間が経過し、草が生えヤナギが茂るようになった。
坂川のもともとの河口 上流側の河道が付け替えられたため、江戸川の入り江のようになっている。茂った草や低木が野鳥を安心させる。 古い河道沿いの林 古い河道沿いは草刈りされないので、鳥が運んできたタネが育ち、低木の林のようになっている。

 

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花屋の花を観察する チューリップ

 咲きほこるチューリップの花々

   多くの花は、開いた状態を楽しみます。花びらの内側の色や模様、それらの組み合わせが花の醍醐味です。チューリップはそうではありません。上向きに開く花なのに、横から、花びらの外側の色を楽しみます。ホタルブクロのような筒型の花と同じ楽しみ方ですが、チューリップの花は開きます。内側3枚、外側3枚の花びら(花被片と言います。内側が花弁、外側が萼片に相当します)は野外では最終的には開きますが、そのあとすぐ散ってしまいます。そのため、開く前の姿をゆっくりと楽しむのです。

   花は、自分の色や形で虫を呼びよせます。インターネットには、チューリップの原種の写真がたくさん掲示されています。その多くは、よく開いて咲いています。一生懸命に虫を呼んでいる感じが伝わってきます。そこで、花屋さんで購入したチューリップの花びらを、そっと開いてみました。
 
   外側の3枚を開くと、花の印象が変わりました。内側の3枚が立っている感じが、アヤメやハナショウブを連想させます。さらに内側の3枚を開くと、また印象が変わりました。よく開いたユリのようなイメージでしょうか? 中から雄しべ、雌しべが姿を現し、花粉が噴き出していました。

内側の3枚も開きました。

花瓶に飾るチューリップ。あまり開きません。 外側の3枚の花びらを押し広げてみました。

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街かど自然たんぽう

(たから)・中江川のさくら並木

 中江川は、宝を流れる区間では、水面が見えています。川の両側に植えられたさくらは、道側では枝が剪定されていますが、川側はいい感じに枝垂れています。以前初夏に訪れた時に、枝で青い実を見つけましたから、枝垂れやすいタイプのさくらが植わっているようです。さくらの名所は市内に何か所もありますが、水面に映った景色も楽しめる場所はそうありません。散歩の方が、近頃は水も臭わなくなって、花の季節が待ち遠しい、とおっしゃっていました。

枝にはたくさんの花芽がついていて、こころもち膨らんでいるように見えました。  

 

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くすのきのあるバス通りから 第98 春を待ちわびて


 本八幡駅北口のスクランブル交差点付近の、駐輪場の隣の家の庭にサザンカの花がたくさん咲いていました。一羽のメジロがあちこちとせわしなく動いていました。あたりに身を隠して来られるような垣根や植込みがなく、「どうしてここにいるの?」と思ってしまいました。

 葛飾八幡の西側の参道に面した家の庭で、紅梅が咲いていました。スイセンが咲き、ジンチョウゲやモクレン、コブシの花芽が大きくなってきました。

 我が家の庭は、この時期陽は当たらないけれど北風は防いでいるせいか、草がのびのびして立ち上がっています。早くもハコベは花が咲きホトケノザもそのうち蕾をつけるでしょう。ノビルとハナニラとムラサキツユクサの区別がつかない位びっしりと地面を覆っている場所もあります。

 空き地や道端の草は、這うように葉がひろがり、濃い色で草丈も短く、「ずいぶん違う」と思いました。

 

  (M.M.)

 

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むかしの写真で見る 昭和の風景

最終回

 
昭和50(1975)年 撮影

大町自然公園での観察会

谷津の中ほどのテラスで講師の説明を聞く参加者

写真提供 岩瀬徹 氏

 
 大町自然公園は、動植物園の隣にある大町公園の自然観察園のことです。

 ここは市川市の自然、特に保護・保全を語るうえで特別な場所です。休耕された谷津田と斜面林がさまざまな人の努力で保全されて現在に至っています。また、公園開設に当たっては、地域の研究者や学校の先生方が科学的な調査を行い、その価値をきちんと報告書にまとめました。一見すると「何もしていない場所」と誤解されるため、観察会などを通じて多くの人にその価値も伝えてきました。

 写真は初期の頃の観察会です。講師をされているのは故・石井信義先生です。市川の自然を調べ伝える努力を長年にわたって続けてくださいました。
 

 

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