平成27年度 市川自然博物館だより 4・5月号 通巻157号

市立市川自然博物館 2015年4月発行

     

 いきもの写真館  同じ場所を何度か訪れる
 花屋の花を観察する  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  展示室 飼育生物の話題
 わたしの観察ノート  

 


 

いきもの写真館
イヌシデの芽生え(実生) イヌシデは高さ10メートルを越す大きな木です。タネは小さく、丸い双葉に続いて、ようやく本葉が出ました。  自然博物館所蔵写真

 

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同じ場所を何度か訪れる 大柏川 3月24日

 

【大柏川に沿って歩く】

 大柏川は鎌ケ谷市に端を発し、市内北東部で市川市域に入ります。市内では南西に向かって流れ、途中で真間川と名前を変えて東京湾に注ぎます。真間川の本来の河口は江戸川に開いていますが、東京湾へ注ぐ放水路を作ったため、真間川には江戸川と東京湾、それぞれに河口が開口しています。大柏川の水は、すべてが東京湾に流れ込みます。。
 
  大柏川は、市川・鎌ケ谷市境から真間川に合流するまでおよそ4kmあります。すべてを歩くのは大変なので、今回は市内の最上流部、大野町3・4丁目、柏井町3・4丁目の範囲を歩きました。
 
  この範囲は町なかを流れる下流部(真間川合流付近)とは異なり、周囲に住宅が少なく、のどかな風景が広がります。川に沿って遊歩道が整備され、川岸にも自然に配慮して土が盛られています。
 
  訪れたのは、春の暖かさが続いた後の晴れた日でした。川の中にはコガモが多く、歩いた範囲のほぼ全域で数十羽ほども見られました。いずれ北へ渡るコガモの頭上を、南から渡ってきたばかりのツバメが飛び交っていました。
 
  土手はアブラナ類の葉が茂って瑞々しい緑に覆われ、黄色い花も咲きだしていました。オオイヌノフグリやホトケノザが咲き、ツクシが群生する場所もありました。

市川市内の河川と今回歩いた範囲 柏井町3丁目、4丁目、大野町3丁目、4丁目の範囲を歩いた
大柏川上流部の全景 上流を向いて撮影。保健医療福祉センター(リハビリパーク)の建物が見える。

コガモのつがい 歩いたほぼ全域で姿を見かけた ツクシ 日当たりのいい土手に群生していた

【川の水を浄化する取り組み】
 市内を流れる小河川は、どれも生活排水による汚れがひどく、長年にわたってさまざまな取り組みが進められてきました。下水道の整備があり、生活排水の汚れを減らす家庭の取り組みも進められました。そのなかで柏井町4丁目には、上流から流れてきた川の水を浄化する施設が設置されています。
 
 しくみは簡単で、大柏川に面した取水口から川の水の一部を取り入れ、施設で浄化したあと、排出口からきれいになった水を川に戻します。近くに設置された案内板によれば、汚れ(BOD)の1/3程度を取り除くことができるそうです。清流にはまだ遠い印象ですが、水の透明感は上がったようにも感じました。
 
 施設が稼働する前の2003年3月20日の博物館の記録には「水は汚く、浮遊物が多い。流れの中央部では、かろうじて水中が見える」とあります。今回はやや不透明ながらも川底ははっきりと見え、浮遊物もほとんどありませんでした。大柏川にはボラの幼魚や稚アユが遡上することがあります。モクズガニは、大町公園(長田谷津)まで上がってくるようになりました。川がどんどん汚れる時代は去り、これからますますきれいになっていくことが実感できます。

河川浄化施設 水の取り入れ口 河川浄化施設 浄化された水の排出口

 

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花屋の花を観察する ラナンキュラス

 ラナンキュラスの花

   春の花には清楚なものが多いのですが、ラナンキュラスは派手で豪華な姿が印象的です。赤や黄色の原色系の花色と並んで、何十枚もの花びらが重なった姿も強烈です。原種とされるハナキンポウゲは八重咲きではないので、園芸品種として改良する過程で八重になったようです。

   八重咲きの花は、雄しべが花びらに形を変える場合が一般的です。花を作る器官として雄しべと花びらは本質的に共通な起源をもつので、形を変えることが可能だと言われています。確かにラナンキュラスが属するキンポウゲ科のほか、バラ科(バラ、サクラ)やツバキ科(ツバキ、サザンカ)など、もともと雄しべの数が多い花に八重咲き品種が多いようです。
 
   ラナンキュラスのたくさんの花びらを中心部に向けて探っていくと、はっきりとした雄しべに出会わないまま、中心部の雌しべ(正確には雌しべの集まり)にたどり着きます。このことも、雄しべが花びらに変わったことの証拠と言えます。

花びらが重なったラナンキュラスの花 花の中心部を探っていく 中心には雌しべがありました 雄しべが多いキンポウゲ科の花(ウマノアシガタ)

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街かど自然たんぽう

田尻(たじり)・水管橋のカラスの巣

 昨秋、江戸川を渡る水管橋にカラスの巣を見つけました。水管橋は、人は渡れませんが、金網でできた作業用の通路があって、カラスの巣はそこに安定よく乗っていました。めったに人は通らない場所なので、落ちつて子育てはできそうですが、強い川風を防ぐ物はない場所です。3月に見に行くと同じ巣がそのまま残っていました。あまり優良物件ではなかったのか、今春はどうやら使われていないようです。

針金とプラスチックのハンガーが使われていました。  

 

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くすのきのあるバス通りから 第99 オガタマノキが咲いていました


 3月17日は気温が21度、18日にアリがでてきました。二日続けて夜、蚊に悩まされました。蚊柱も見かけました。サンシュユ、ユキヤナギ、ジンチョウゲ、トサミズキの花が咲いています。

 真間川大和橋の八幡側のカンヒザクラ、市川病院前のカンザクラは満開です。今年のコブシの花は数が大変多く、そのためか花は小さいです。

 八幡4丁目の絵画教室の庭に、常緑樹でコブシに似ている花が咲いています。自然博の方に様子を話すと「オガタマノキでしょう。花はよい香りがするようです」とのこと。落ちている花びらはとてもいい香りです。高い位置で咲いているので直接嗅げませんでした。

 「市役所にカラタネオガタマがあり、中央図書館の駐輪場にもありますが、名札がオガタマノキになっています」という情報を得たので、行ってみると二本とも葉の大きさもオガタマノキより小さく、ツボミはまだ小さく、花のころに見に行くつもりです。

 

  (M.M.)

 

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展示室 飼育生物の話題

シロヘビ 春になって動き出しました

 
 展示室で飼育展示している生き物のなかで、一番人気はシロヘビです。アオダイショウが突然変異で体の色素を失い白くなったもので、「白子」「白化個体」「アルビノ」などと呼ばれます。山口県岩国市のシロヘビは国の天然記念物です。

 展示室の飼育水槽は、ヒーターにより年間を通じて25度前後に保たれています。しかし、なぜか11月ごろから2月ごろまでは餌を食べなくなり、ほとんど動かなくなります。冬に展示室を訪れたお客さんには「標本じゃないの?」と言われてしまうくらいです。ところが毎年3月頃、脱皮を1回すると、その後はがぜん活発になります。餌を良く食べ、営業時間中も水槽内を縦横に這い回ります。写真のように体を持ち上げ、時にはお客さんの手を追うこともしばしばです。その時はお客さんが、まるで「ヘビ使い」のようです。

 おそらく水槽内の温度とは別の「体内時計」のようなものがあるのでしょう。餌を食べず動かない期間は「冬眠」そのものです。そして野外のアオダイショウよりも一足早く春を迎えます。シロヘビ目当てで展示室に来てくださるお客さんも多いので、本当は冬も元気に「働いて」ほしいと思っています。
 

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わたしの観察ノート 

2014年11月ごろから2015年2月の記録

◆長田谷津より

  •  晴れた日の上昇気流で、ガマの穂から飛んだ綿毛が谷津のあちこちをフワフワしていました(12月3日)。
  •  泥をさらっていると、お腹がふくらんだアカガエルが見つかりました(2月14日)。今シーズンの産卵はだいぶ進みましたが、まだこれから産むメスもいるようです。

以上 金子謙一(自然博物館)
 

  •  雪の予報が出ている小雨の中、観賞植物園から台地を上がった所で、ホオジロがさえずっていました(2月18日)。寒さとは関係なく、春は間近のようです。

以上 須藤治(自然博物館)
 

◆大町より

  •  動植物園バス停の南側の梨畑で、アブラゼミが鳴いていました(10月25日)。また、この周辺でウラギンシジミが翔んでいました。
K.H.さん
 

◆里見公園より

  •  5、6輪開花している白梅の木がありました(1月11日)。厳しい寒さの中に春の気配発見です。

◆じゅん菜池公園より

  •  風のないおだやかな日の中、ミコアイサを見ました(1月4日)。去年1月末に見て以来、およそ1年ぶりの対面となりました。
  •  たくさんのキンクロハジロの中に、色の少し異なったコスズガモ1羽がいました(1月14日)。初めて知りました。
以上 M.T.さん
  •  斜面林に鮮やかな赤い実がありました(11月23日)。近づくとサネカズラ(ビナンカズラ)でした。市内にはサネカズラは多いですが、これほど実がつくのはあまり見たことがありません。

◆大野町より

  •  リハビリテーション病院付近は空が広いです。車を運転していたら前方上方をチョウゲンボウが横切って行きました(12月10日)。長い尾羽と先の尖った翼がかっこよかったです。

◆坂川旧河口一帯より

  •  旧河道沿いはヤナギやサクラ類がよく茂っています。ヒヨドリばかりと思っていたら、目の前の枝にアカゲラがとまっていてビックリしました(11月28日)。

◆中山より

  •  小学校の中にあるムクロジの木には、まだ実がたっぷりとついていました(1月28日)。金色っぽくてきれいでした。

以上 金子謙一
 

◆幸より

  •  2丁目のバス停で、メジロを2羽見ました(1月4日)。この辺りで見るのは、いつもの年だともう少し寒くなってからです。
Y.H.さん  

気象のようす

 11月になると寒い日が続きました。12月に低気圧が発達して、大雪・高潮被害が列島各地に発生しました。年が変わってからも雪を降らせそうな低気圧がいくつも通りましたが、結局地面が白くなる程度しか降りませんでした。

 

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