平成27年度 市川自然博物館だより 6・7月号 通巻158号

市立市川自然博物館 2015年6月発行

     

 いきもの写真館  同じ場所を何度か訪れる
 花屋の花を観察する  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  展示室 飼育生物の話題
 わたしの観察ノート  

 


 

いきもの写真館
アブラコウモリ 民家で保護されたアブラコウモリにモデルになってもらいました。歯や耳、目、鼻、指などが見どころです。  自然博物館所蔵写真

 

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同じ場所を何度か訪れる 大柏川 5月27日

 

【都市河川の形態】

 大柏川は、整備の行き届いた都市河川の形態を持っています。両岸はコンクリートでがっちり護岸され、川底も「多自然型」の場所を除けば、障害物がなくスッキリしています。
 
  今回訪れた日は、5月としては暑い日でした。前号で紹介したように水質浄化の取り組みが行われているものの、この日は川の水はやや濁り、匂いもありました。ですが、川の中をのぞきこむと水草が生い茂り、流れに合わせて揺れていました。上から見ただけなので種類はわかりませんが、ヤナギモかエビモのようでした。オオカナダモの群落も見られました。また、土がたまっている場所ではヒメガマがまとまって生えていました。
 
  水草は、池や川の生態系の基礎になる大切な存在です。水草を食べたり、水草の中に潜む小さな生物から、生態系は形づくられます。都市河川としての外見とは裏腹に、自然が戻り始めていることがわかりました。

大柏川中流部のようす 護岸がきれいに整備され、典型的な都市河川の姿をしている。水質の改善に合わせて水草が生え、生き物も増えている。

川の中で群生する水草 よく茂り、勢いのある群落だった。 ヒメガマ ヒメガマが生え自然の川らしい景観。

 

【優雅に泳ぐコイ】
 自然が戻ってきていることを裏付けるように、あちこちでコイが泳いでいました。今回見たコイは、どれも体が黒いコイでした。水草の茂みのそばで、安心して泳いでいるように見えました。人が与える餌に頼っているようにも見えませんでした。そうであれば理想的です。餌となる小さな生き物や水草がいると考えられるからです。
 
 コイのほかにも、大柏川ではボラの子の群れが遡上したり、アユが確認されたこともあります。人が与える餌では支えられない種類の魚は、餌となる小さな生き物が増えることで、はじめて定着することができます。
 

群れているコイ 人影を見ても知らん顔で泳いでいた。

【イワツバメとカラス】
 夏の大柏川は、昼間はツバメ、暗くなってからはコウモリが飛び交う場所です。この日はまだ巣立ったツバメの姿はなく、親ツバメが川の周囲で見られる程度でした。ただ、その中にイワツバメが混じっていました。イワツバメは集団で営巣するやや小型のツバメです。腰の部分が白いことで普通のツバメと区別できます。
 
 見ていると、イワツバメはある場所の橋のたもとに繰り返し出入りしていました。接近しては離れるという行動を繰り返していたので、まだ巣は無いようでした(道からは巣を作りそうな場所が見えない)。少なくとも3羽は来ているようでした。
 
 イワツバメを見ていると、突然カラスが頭上スレスレを飛んでいきました。明らかに威嚇されたので、近くに巣立った若鳥がいるのかと思ったら、電柱の上に巣がありました。巣のようすは周囲から丸見えで、巣立ちが近い若鳥が見えました。威嚇されたのは、巣の近くをうろつく不審者と見なされたからのようです。
 
 大柏川沿いを歩いて出会ったのは、都市の中でしぶとく生きる生き物たちの姿でした。それは、市川らしい自然のありさまと言えるかもしれません。
 

カラスの巣 歩道の真上に巣があった。

 

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花屋の花を観察する アンスリウム

 アンスリウムの鉢植え

   花束に入れると存在感があるアンスリウムは、ミズバショウと同じサトイモ科に属する植物です。ミズバショウの花の白い部分(仏炎苞と言います)が赤く、全体が平らに開いた姿をしています。「ベニウチワ」という日本名は花の姿をよく表しています。

   今回は手元にあった鉢植えのアンスリウム(何種類もあるので、その一種)の花を観察しました。アンスリウムの花の本体は、仏炎苞から伸びた塔のような部分です。正確には花の集まり(花序)になります。ちょうど2つの花が咲いていて、よく見ると、塔のような花序の姿が違っていました。ひとつは、透明の粒のようなものが並んでいました。これは雌しべです。もうひとつは白い筋が四角形に並んでいました。こちらが雄しべです。
 
   サトイモ科の植物では、「雌性先熟」と言ってひとつの花のうち、最初は雌しべが現れ、その後、雄しべが現れる現象が見られます。自分の花粉が自分の雌しべにくっつかないための工夫です。鉢植えなので花が長持ちし、2つの状態の花を見ることができました。

雌の状態。花序は黄色っぽい。 粒のような雌しべが並んでいる。 雄の状態。花序は緑色っぽい。 四角く花粉をつけた雄しべが並んでいる。

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街かど自然たんぽう

千鳥町(ちどりちょう)・かつては千鳥がたくさんいた?

 千鳥町の場所を、埋め立て前の地図で見てみると、海の中だったことが分かります。チドリの仲間は、人が近づくとすぐ飛び立ってしまいますが、あまり遠くまでは行かず、いつも少し離れた場所にいるので、海岸線から少し沖に位置しているのは、千鳥のイメージに合うように思います。現在の市川ではチドリ類を見かけても数は少ないですが、当時はたくさんの千鳥の姿が岸から見えたことでしょう。

太線が現在の土地の形 昭和28年発行国土地理院2万5千分の1地形図「船橋」  

 

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くすのきのあるバス通りから 第100 女王アリをみつけました


 4月28日、市役所のカラタネオガタマの花が咲いていました。オガタマノキよりもっと濃厚ないい匂いでした。葛飾八幡の近くでムクノキの花が低い枝にもたくさん咲いていました。

 フジ、ミズキ、ニセアカシア、エゴノキ、センダン、トベラ、カキの花が咲きました。昨年の花芽の数と今年の天候の変化の影響でしょうか、たくさんの花がつき、去年より早い時期に咲き、早く散ったような気がします。

 5月7日コルトンプラザ付近の駐車場で黒く1センチメートル以上の大きなアリを見つけました。1匹でドンドン歩いていました。次の日、自宅の前でも同じアリを見ました。追いかけて観ると体の横に羽がついていたらしい所があり、どうやら女王アリのようです。どこに巣を作るつもりでしょうか。このアリの働きアリは庭にいる2種類のアリより大きいのかもしれません。

 

  (M.M.)

 

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展示室 飼育生物の話題

アカガエルの子 行儀よく並びました

 
 カエルの飼育展示は、人気があります。カエルそのものよりも「たまご」と「おたまじゃくし」が好評です。博物館では、毎年2月、自然観察園でニホンアカガエルのたまごをすくってきて、飼育展示を始めます。3月にはアズマヒキガエルのたまごも加わります。たまごはもちろん、おたまじゃくしでさえ、アニメの中で見ただけで実物は初めて見るという子どもたちが大勢います。成長と変化を説明しやすい(誰でも知っている)こともあって、パパやママが子どもに説明する光景もよく見られます。

 カエルの飼育展示でむずかしいのは、おたまじゃくしが子ガエルに変わる段階です。エラ呼吸から肺呼吸に変わるので、油断していると水の中で子ガエルがおぼれてしまうからです。

 試行錯誤する中、今年は上陸用に植木鉢の底皿を使ってみました。皿に浅く水を張り、そこにオタマジャクシを入れます。すると、上陸した子ガエルがお皿のふちに行儀よく並びました。お皿が白いので子ガエルの姿も見えやすく、小さな子どもたちも熱心に見ていました。
 

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わたしの観察ノート 


◆長田谷津より

  •  雨上がりの好天で気温は17度まで上がるという予報でした。三角池からはまさかのヒキガエルの声(3月4日)。いくつものペアがいて、すでに卵塊も有りました。この日付での産卵は、これまでで1、2を争う早さです。
  •  シオヤトンボが飛び始めました(4月12日)。例年よりも少し遅れているのは、雨がちの天候のせいかもしれません。まだ若い個体ばかりです。
  •  ヒトリシズカが咲いていました(4月15日)。気を付けていないとあっという間に花期が終わってしまいます。

以上 金子謙一(自然博物館)
 

◆真間山より

  •  太刀大黒天と真間山幼稚園の間の細い道で、アズマヒキガエルを見ました(3月10日)。啓蟄を過ぎ生き物が動き始めてきたようです。
  •  南の斜面林からウグイスの美しい鳴き声が聞こえてきました(3月15日)。下草が刈られヤブがかなりすっきりと整備されたので心配していましたが、聞くことができてよかったです。
以上 M.K.さん
 

◆国府台より

  •  自宅のまわりでウグイスのさえずりを聞きました(3月13日)。今迄は地鳴きで、ヂャッヂャッと言って飛び廻っていましたが、今朝、突然「ホホホホ・・・ホケッキョー」と鳴き、30分位飛び廻っていました。まだ上手ではありませんが、さえずりを初めて聞き嬉しかったです。翌日はホホホ、ケッキョと鳴いています。
秋元久枝さん(国府台在住)
 

◆大野町より

  •  市川大野駅前ロータリーの植え込みでつくしを見ました(3月25日)。つくしは生えている場所をよく質問されるので、こんなところに、と思いました。
宮橋美弥子(自然博物館)
 

◆堀之内貝塚より

  •  アマナが咲きはじめました(3月20日)。
  •  枯れ葉が撤去されたせいでしょうか、ホタルカズラが久し振りに青紫の姿を見せました(4月30日)。

◆小塚山緑地より

  •  ジロボウエンゴサクが咲いていました(4月26日)。

◆じゅん菜池公園より

  •  アズマヒキガエルのバトルが激しかったです(3月7日)。

◆市内某所より

  •  シュンランが咲いていました(3月22日)。以前より花の数が少なくなりました。
  •  木漏れ日の雑木林にギンラン、ササバギンランが咲いていました(4月29日)。キンランは数株でした。
  •  キンランが点在して咲いていました(4月29日)。小さなギンランがひっそりと咲いていました。

以上 谷口浩之さん
 

気象のようす

 3月から4月中旬まで、冷たい雨がしとしとと良く降って、雨の多い春でした。4月8日の朝には雪が降りました。

 

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