平成27年度 市川自然博物館だより 8・9月号 通巻159号

市立市川自然博物館 2015年8月発行

     

 いきもの写真館  同じ場所を何度か訪れる
 花屋の花を観察する  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  展示室 飼育生物の話題
 わたしの観察ノート  

 


 

いきもの写真館
卵のうを抱えたアシダカグモ 家の中に住むクモです。その大きさに驚きますが、夜行性なので出会うことはまれです。ゴキブリを餌にします。  自然博物館所蔵写真

 

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同じ場所を何度か訪れる 大柏川 7月29日

 

【緑のなかを流れる上流部】

 4・5月号で紹介した保健医療福祉センター(リハビリパーク)付近の大柏川は、川のまわりに建物が少なく、整備された遊歩道をのんびりと散策することができます。前回歩いた3月24日は、春が始まり土手がみずみずしい緑におおわれていました。
 
  今回は真夏の7月29日に訪れました。土手は何度か草刈りされたようで草丈は低く、川の水面がよく見えました。ぐるりと見渡してみると、空は広く、遠くには市営霊園の斜面林が見えました
 
  市川市の北部地域では、台地を谷が刻み、そこに川が流れています。台地の斜面は林になっている場所が多く、それが一段低い川沿いから見えるのです。この景観は、平坦な低地を流れる中・下流部では見られません。真間川から大柏川へと川をさかのぼっていくと、斜面林が見えることで上流部に来たことが実感できます。

大柏川上流部のようす 遠方に見える林が、市営霊園の斜面林
 

【草花や生き物】
 遊歩道を歩くと、川のなだらかな土手がつる草にびっしりとおおわれていました。アレチウリでした。河川敷のような環境に多い植物で、日当たりのいい土手が生育に適しているようでした。ヤブガラシというつる草もありました。小さな花にはいろいろな昆虫が集まります。やはりつる性のヒルガオは、ピンクの花を咲かせていました。
 
 土手の草むらからはヒメギスの鳴き声が聞こえ、リハビリパークに植えられた木ではアブラゼミが鳴いていました。遊歩道では、前進する足元からショウリョウバッタがつぎつぎに飛び出しました。セイバンモロコシやオオイヌタデなどの大型の野草も花を咲かせていました。
 

アレチウリ ヤブガラシ
ヒルガオ セイバンモロコシ

 水面に目を向けると、水はやや濁っていましたがよく流れていました。水中には大きなカメが何匹もいました。今回確認できた種類はすべてミシシッピアカミミガメでした。このカメは子ガメ時代「ミドリガメ」と呼ばれ、ペットとしてごく一般的なものです。ただ寿命が長いこともあって逃がされることが多く、野外でも繁殖するため、都市部の水辺では増えています。大柏川を歩くと必ず姿を見かけました。
 
 春は川の土手で日光浴をしていたミシシッピアカミミガメですが、今回は水中に入り、オオカナダモという水草の茂みの中に何匹もいました。暑さを避けているようでした。水質汚濁が改善されせっかく生えた水草ですが、大食漢のカメが居ついては、水生昆虫などはひとたまりもありません。水中の小さな生き物の暮らしの場となるはずの水草は、カメの食事場になってしまったようです。
 

ミシシッピアカミミガメ

 

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花屋の花を観察する アリウム

 アリウムの花序

   アリウムは、細長い茎の先端にまん丸の球が乗った姿で人目を引きます。特に菜園で何本も咲いていると、びっくりします。

   アリウムという名前は、広くネギの仲間を指します。野菜のネギやタマネギ、ニラ、ラッキョウ、ニンニクなどもアリウムの仲間です。巨大な球状の花を咲かせるのは、ギガンチウムという種類にあたります。
 
   アリウムの仲間の花は、どれも小さな花が集まってひとつの形を作ります。ギガンチウムも、小さな花が球状に集まっています。
 
   小さな花が集まって、ひとつの大きな花のように見せる植物は多くあります。アジサイもそうですし、タンポポもそうです。大きな花ひとつにくらべ、実を数多く作れる利点があります。

小さな花がきれいな曲面をつくっている 雄しべが長く突き出している 花ひとつでも、整った形をしている 小さな花が集まっているガクアジサイ

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街かど自然たんぽう

稲荷木(とうかぎ)・ヒヌマイトトンボのいま

 稲荷木地区の江戸川には、ヒヌマイトトンボという小さなイトトンボが生息しています。生息地が限られていることから絶滅危惧種に指定され、市川市の天然記念物にもなっています。かつては行徳橋そばの小さなヨシ原だけが生息地でしたが、河川整備の関係でヨシ原の造成や幼虫の増殖が行われ、いまでは行徳橋から京葉道路に至る範囲にヨシ原が拡大しました。その全域に生息しているわけではありませんが、多くの人が保全の取り組みを続けています。

ヒヌマイトトンボが生息する江戸川 白線で囲んだ範囲にヨシ原があり、その一部にヒヌマイトトンボが生息する  

 

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くすのきのあるバス通りから 第101 セキセイインコの水に


 6月26日市営霊園横を通ると、ニイニイゼミが鳴いていました。午後には雨になり、28日午後から寒くなり、19度にまで下がりました。30日に家の中でヤモリを見つけました。

 台風の影響などで天気が悪かったかと思うと、33度以上の日が続き、7月19日に梅雨明けしました。猛暑日も連日で21日にアブラゼミが、27日にミンミンゼミが家の付近で鳴いていました。大柏川沿いや大町付近ではもっと早くから鳴いているようで、数も多いです。

 旅行から帰り、ペットたちの世話をしました。セキセイインコの水に蚊が浮いていたので、きれいにしようと取り出すと、「え、ミジンコがわいたかな?」とよく見ると、なんと小さなボウフラでした。卵からかえったばかりらしく1ミリ以下でした。白い器だったので気が付きましたが、本当に小さく、「家の中の観葉植物の水受け皿が蚊の発生源」というのがあり得ると納得するとともに、ショックでした。

 

  (M.M.)

 

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展示室 飼育生物の話題

立体餌場 カブトムシが見やすくなる

 
 展示室での生き物の飼育は、家庭での飼育の延長というコンセプトで取り組んでいます。特別な装置や費用をかけることなく、ホームセンターやペットショップで購入できるものを使うようにしています。もちろん「飼うこと」で終わりではなく「見せること」までが業務ですから、ひと工夫、ふた工夫するようにはしています。たとえば飼育ケースは、フタが透明な製品を選択しました。見せるためには良い選択でしたが、透明のフタには生き物の出し入れ用の小ブタがありません。水槽清掃の時に、小さなアマガエルなどはよく逃げ出してしまいます。

 立体餌場は、物陰に隠れてしまうカブトムシやクワガタムシを見やすくする工夫です。ケースの底に朽木と昆虫ゼリーを「じか置き」すると、カブトやクワガタはその陰に隠れてしまいます。そこで、朽木を立体的に組み立て、上の方に昆虫ゼリーのカップ受けを取り付けました。そうすると、開館時間中、照明を当てても餌を食べる様子が見られるようになりました。ノコギリクワガタは警戒心が強いのですが、カブトムシやギラファノコギリクワガタ(市民の方から提供してもらいました)は日中でもよく見えます。工作上手な事務職員の作品は、お客さまにも好評です。
 

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わたしの観察ノート 


◆長田谷津より

  •  ハンノキ林の下で、ミドリシジミが草に止まっていました(5月31日)。残念ながら翅を閉じていました。月が替わるとミドリシジミの活動が活発になると思います。
  •  クヌギの樹液に、早くもカブトムシが来ていました(6月14日)。例年よりも2週間以上早い印象です。
  •  木立に囲まれた通称・三角池の水面をオオヤマトンボが旋回していました(6月25日)。長田谷津には時々飛来します。

◆国分川調節池より

  •  新しい造成地にはもともとあったであろうヨシやオギ、ウキヤガラなどと、あっという間に入り込んだいろいろな帰化植物が混じって生えていました(5月30日)。人の背よりも大きくなるオオブタクサの幼苗もいっぱいありました。

以上 金子謙一(自然博物館)
 

◆北国分より

  •  自宅で、朝7時30分ごろ「カッコー カッコー」の鳴き声が聞こえてきました(5月17日)。窓の外を見てみましたが、何も見えませんでした。が「カッコーカッコー」とくり返し聞くことができました。
  •  しばらく見なかったオカトラノオが咲いていました(6月12日)。今年はいくぶん早いように感じました。

◆国府台緑地より

  •  サイハイランが咲き始めました(5月9日)。もう1カ所の方は、見当たりませんでした。

◆じゅん菜池公園より

  •  キンランが咲いていました(5月6日)。

以上 谷口浩之さん
 

◆堀之内より

  •  エゴノキの花が散り始めた考古博物館裏の小さな雑木林で良く響く声でオオルリがさえずっていました(5月14日)。
須藤治(考古博物館)
 

◆市川より

  •  昨年秋の卵から、スズムシの幼虫が次々とふ化し始めました(6月3日)。成長して美しい鳴き声を聞かせてくれるのを楽しみにしています。
M.T.さん
 

◆江戸川放水路より

  •  干潟の水際には、いつものようにマハゼの子がいっぱいいました(5月11日)。近づくとあわてて深い方へ泳いで行きました。
  •  湾岸道路の下には砂がたまった場所があります。そこに、海辺でよく見られるツルナが生えていました(5月20日)。学生の頃、みそ汁に入れて食べたことを思い出しました。
  •  橋の下の暗がりでは、チゴガニの白いハサミが目立ちます(6月13日)。元気に上げ下げする様子は見ていて楽しいものでした。

以上 金子謙一
 

気象のようす

 晴れて暑い、雨の少ない5月から一転して、6月8日に梅雨入りしてからは梅雨空が続きました。

 

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