平成27年度 市川自然博物館だより 10・11月号 通巻160号

市立市川自然博物館 2015年10月発行

     

 いきもの写真館  同じ場所を何度か訪れる
 花屋の花を観察する  街かど自然探訪
 くすのきのあるバス通りから  展示室 飼育生物の話題
 わたしの観察ノート  

 


 

いきもの写真館
イヌタデ 赤い粒状の花は、おままごとの赤飯に使いました。秋の野道に普通な野草ですが、野道が稀な存在になりました。  自然博物館所蔵写真

 

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同じ場所を何度か訪れる 大柏川 10月6日

 

【野鳥には冬の気配】

 取材が遅れ、発行も遅れてしまいました。申し訳ありません。今回は秋風が爽やかな10月6日に大野町4丁目付近を訪れました。9月の大雨で水位が上がり、水面よりも高い位置に泥が残り、枯れ草が引っかかっていました。夏に目立ったミシシッピアカミミガメは少なく、今回は野鳥がよく見られました。川の土手ではスズメの群れがにぎやかで、ハクセキレイも目立ちました。水面には夏にも見られたカルガモに加え、早くもコガモの姿がありました。渡ってきたばかりのエクリプスと呼ばれる羽の状態なので、コガモらしい羽色のオスは見られませんでした。
 
  水際の草に隠れるようにバンが1羽いました。体が褐色だったので幼鳥のようでした。カメラを向けるとお尻をあげたような姿勢を取り、その態勢のまま首を動かしながら対岸に渡っていきました。図鑑に書かれている威嚇の姿勢とそっくりでした。
 
  毎冬コガモが数多く越冬する場所ですが、バンに限らずいろいろな種類が人知れず出入りしているのかもしれません。

バン お尻を持ち上げて白い羽を見せる威嚇のポーズ カルガモとコガモ コガモはまだ数羽しかみられなかった
スズメの群れ 人が近づくと草むらから飛び立って橋に非難する
 

【秋の野草と昆虫】
 川に沿って整備されている遊歩道を歩くと、いろいろな秋の野草が咲いていました。キクイモの黄色い花とオギの銀色の穂は特に目立ちました。水辺ではミゾソバやイヌタデ、オオイヌタデが咲き、セイタカアワダチソウのつぼみも黄色を帯びていました。セイバンモロコシは多くが実になり、スズメの餌になっているようでした。
 
 エンマコオロギをはじめ鳴く虫の声がよく聞こえましたが、姿はあまり見られませんでした。遊歩道に出てきたトノサマバッタのほか、水面で群れるアキアカネが目立ちました。ギンヤンマが見られたのは少し驚きでしたが、考えてみれば流域はかつては一面の水田で、ギンヤンマはありふれたトンボだったことでしょう。
 

キクイモ オギ
アキノノゲシ

【多自然型護岸】
 川の土手では草刈りが行われていました。大柏川は下流部ではコンクリートの護岸になっていますが、大野町4丁目・柏井町4丁目の一帯では土の土手が水辺まで続く「多自然型」になっています。このタイプの護岸では確かに草が茂り、そこにさまざまな昆虫が生息し、野鳥が飛来します。しかし一方で、夏以降は人の背丈を超えるまでに草が成長し、散策する上で必ずしも「心地よい」状態ではなくなります。必要に応じて管理することが、自然の価値を道行く人に伝える上でも重要です。
 
 生活排水が流入する場所では、洗剤由来と思われる泡が見られました。下水道の整備が進むにつれて生活排水に対する社会的な関心が低下し、家庭での心づかいのノウハウも消えていこうとしています。身近な川への関心の低下が気になります。
 

土手の草刈り 洗剤由来と思われる泡

 

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花屋の花を観察する クルクマ

 クルクマの花序

   クルクマのなかまは、花を観賞するほか、薬用や食用にも用いられる植物です。ウコンがこの仲間にあたります。花よりも苞葉が目立ち、ウコンでは花序の上部の苞葉が美しい白色となり、観賞用の種類では上部の苞葉がピンク色になる種類がよく知られています(クルクマ・シャロームなどと呼ばれる)。花そのものよりも苞葉が色鮮やかで目立つ植物は、このコーナーで何度も取り上げています。植物の世界ではそれほど特殊なことではありません。

   写真は、ラブリーエメラルドという商品名のクルクマです。苞葉は緑色でえんじ色の縞模様があります。本当の花は紫色で、苞葉に包まれるようにひっそり咲きます。筒形の花は唇弁が発達し、大きなめしべが目立ちます。雄しべは退化したり花弁化していて、ほとんど目立ちません。
 
   

何枚もの苞葉が筒型になって花序を形成 苞葉の筒の中で咲くほんとうの花 花弁は筒型で、雄しべが目立つ 苞葉を切り取ると、花の全形が見える

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街かど自然たんぽう

富浜(とみはま)・白妙公園でバッタ探し

 妙典駅前にある白妙公園で、バッタを探しました。きれいに整備された公園ですが、フェンス沿いの植え込み周りには、いわゆる雑草が生えていて、小さな草むらになっています。葉っぱをがさがさとさぐると、小さなオンブバッタが飛び出してきました。細長い葉っぱの草は食料になり、隠れ場所です。バッタの仲間は、土の中に卵を産むので、舗装されていない地面も必要です。条件がそろえば、小さなバッタは暮らしてゆけます。

敷地の半分はレンガ敷き、半分は砂地に遊具が置かれ、花壇にはきれいに花が植えられている街中の公園です。  

 

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くすのきのあるバス通りから 第102 謎の足跡


 8月下旬から気温が下がり、雨が多くなりました。そのせいか道路でひかれたカエルを2度見ました。我が家の庭でいつものではないカエルを見ました。今年生まれだそうです。オタマジャクシ時代はどこにいたのかわかりません。かつて住んでいた家に用があり行くと、水たまりのあとに足跡がありました。数日後ものさしとカメラを持って行くとまた新しい足跡がありました。その間雨が数日降りました。度々動物が来ている様子です。

 写真を自然博の方に見てもらうと「タヌキですね。ハクビシンなら5本指、水たまりに入らない。タヌキはイヌと同じ4本指でそのあたりに獣臭があったのならイヌではなくタヌキ。」とのこと。本北方から北方3丁目の子の神社、そのならびの八幡神社まで斜面林が続いていた20年位前に、タヌキの死骸を拾ったことがあります。以前より人家が建ちましたが、季節になるとカキがある場所にタヌキは来て、暮らし続けているのですね。

 

  (M.M.)

 

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展示室 飼育生物の話題

アマガエルの餌 動物園のブタもよろこぶ

 
 飼育展示でむずかしいのは、生きている餌しか食べない動物たちです。その代表がカエルで、卵からおたまじゃくしまでの飼育は植物食であるため簡単ですが、ひとたびカエルになると大変です。どの種類も、生きている昆虫などしか食べません。博物館のまわりの草原などで採集して与えますが、どうしても不足がちになります。事務室に入ってくるハエなどもつかまえているうちに、動物園の飼育係さんから動物にたかって血を吸うハエが届くようになりました。そこから発展して、いまでは博物館の職員が動物園の大きなブタさんにたかるハエを網でつかまえてくるようになりました。

 アマガエルやシュレーゲルアオガエルはハエが大好物です。網でつかまえたハエを透明容器に入れて飼育ケースの中に置くと、飛び出すハエをつぎつぎにくわえて飲み込みます。写真は、透明ケースの外からハエを狙うアマガエルです。ハエを与える時間は、ちょっとした「餌やりタイム」になりました。居合わせた人は、みなさん興味津々でアマガエルたちのお食事を眺めています。カエルもよろこびブタもよろこぶ。博物館の展示室も盛り上がるひと時です。
 

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わたしの観察ノート 


◆長田谷津より

  •  湿地のヨシを切り払いました(7月8日)。それまで見えなかったチダケサシの花が園路から見えるようになりました。
  •  高校生と川の調査を行いました(8月11日)。川底の砂をさらうと、小さなマシジミが見つかりました。
  •  斜面林の上、低いところを褐色のタカが飛んでいました(8月22日)。翼が長く、サシバのようでした。
  •  自然観察園の湿地で泥を掘り上げていたら、すかさずダイサギが飛んできました(8月23日)。泥に混じっている餌を狙ってきたのでしょう。

   金子謙一(自然博物館)
 

◆真間山より

  •  南側斜面林に見たことのないカミキリムシがいました(7月8日)。(体長4センチメートルくらい)調べてみるとホシベニカミキリのようでした。
  •  南側斜面林からミンミンゼミの鳴き声が元気よくきこえてきます(7月19日)。台風11号の影響の風や雨がようやくぬけて本格的な夏の到来でしょうか。
  •  南側の斜面林でミンミンゼミにまじってツクツクホウシが鳴きました(7月31日)。立秋が近づき厳しい暑さの中にも虫たちは秋の気配を感じるのでしょうか。
  •  家で飼っているスズムシが鳴き始めました(8月5日)。6月はじめのう化から2ヵ月、次々と成虫になり、まだ猛暑が続く日々ですが、少し涼しさを感じさせてくれます。

   M.T.さん
 

◆北国分より

  •  庭の柿の木で、ミンミンゼミが初鳴き(7月19日)。北国分第3緑地でも聞きました。ちょうどその日は関東地方の梅雨明けでした。

   谷口浩之さん
 

◆中山より

  •  学校の中でタマムシを見つけました(7月7日)。他にも羽化したばかりのオオシオカラトンボがいました。

◆南行徳より

  •  南行徳地区の学校に行きました(8月14日)。周囲に植えられている木の下は穴だらけで、樹上からはアブラゼミの声、枝葉には抜け殻がたくさんありました。住宅やマンションが立ち並ぶ中、これらの木がセミの一生を支えていることがよくわかりました。

◆江戸川放水路より

  •  猛暑の日、干潟にトビハゼの巣穴はいっぱいありましたが、干潟を元気に飛び跳ねるトビハゼはほとんどいませんでした(7/15)。暑くて巣穴の中に入っているようでした。釣り船の陰でアシハラガニといっしょに涼んでるトビハゼもいました。
  •  ウシノシッペイという変わった名前のイネ科の野草が咲いていました(7月29日)。

   以上 金子謙一
 

気象のようす

 7月下旬から8月中旬までは、雨の降らないカラカラの猛暑が続き、酷暑の日も続きました。8月下旬になると、一転して肌寒く雨もよく降りました。

 

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