◆  市川自然博物館だより  ◆

2・3月号

市立市川自然博物館  1992年2月1日発行

特集記事 街かど自然探訪 市川のこん虫 むかしの市川 行徳野鳥観察舎だより

 

『いちかわの自然調査 1991』報告書より

タンポポ

  タンポポは、春の季語にもなっている身近な野草で、市内には4種類があります。古くから自生する在来種のカントウタンポポとシロバナタンポポは、草原や林でみられますが、その生育環境が次第に失われ、数少なくなってきています。
  
  セイヨウタンポポとアカミタンポポは、外国から渡来し帰化した種類で、道端や空き地で普通にみられます。4種類ともよく似ていますが、花も種子も全体の感じも、よく調べてみると違います。
  
  市川市の北部、北国分町の堀之内貝塚公園には、これら4種類のタンポポが生育しており、3月から5月にかけて比較しながら観察することができます。



特集記事



『いちかわの自然調査 1991』報告書より

  『いちかわの自然調査』は、平成3年より開始した自然博物館の活動です。この調査は、市民のみなさまから生物に関する情報を寄せていただき、その結果から生物の生息状況、そして市内の自然の状態を見ていこうというものです。この調査から平成3年(1991)分の調査報告の成果の一部をご紹介します。
調査対象生物
 春
・カントウタンポポ・ヒキガエルのたまご・ウグイス、ヒバリのさえずり
 夏
 ・ヘイケボタル・ドジョウ・ウシガエル・アメリカザリガニ   
 ・セミの声(アブラゼミ・ヒグラシ・ツクツクホウシ・ミンミンゼミ)   
 ・オニヤンマ、ギンヤンマ
 秋
 ・モズ・アザミ

カントウタンポポ分布図(sz171.gif、約7KB)
1.カントウタンポポの生育地
情報数        33件
情報のあった期間  3月20日〜4月30日
*  カントウタンポポは古くから日本に生育している在来のタンポポで、河川敷や雑木林の周辺、古い庭園などあまり人為的攪乱を受けて来なかった場所に多くみられます。
  今回の調査では、市の中北部に生育地が点在していることがわかりました。といっても安定した生育地は堀之内貝塚公園などごく一部で、多くは道端のちっぽけな草地のようでした。


ウグイス分布図(sz172.gif、約9KB)
2.ウグイスのさえずり
情報数        59件
情報のあった期間  2月16日〜4月28日
*  春先に聞かれるウグイスのさえずりは繁殖期の初期のもので、その後ウグイスは郊外のやぶ地などへ移動して子育てに入るため市内からは姿を消します。したがって、ウグイスのさえずりについて調べた今回の結果からは、春先のウグイスにとって市内の環境がどうであるのかがわかります。
  結果は、ウグイスのさえずりは市内全域から幅広く報告されました。すなわち、雑木林や社寺林、屋敷林ばかりでなく、庭の生け垣や公園の緑、マンションの一角に設けられた小緑地なども、ウグイスにとっては重要な環境なのです。


ギンヤンマ分布図(sz173.gif、約9KB)
3.ギンヤンマ
情報数        13件
情報のあった期間  7月1日〜8月29日
*  ギンヤンマは、本来の繁殖地である開けた池沼のほか、プールや貯水槽などでも繁殖できることが知られています。
  調査の結果をみると、情報数は少なかったのですが、市全域から目撃情報が寄せられました。数は減ったものの、今でもしぶとく生息している状況がわかります。


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街かど自然探訪



カット(sz174.gif、約4KB)

押切・道ばたで見られる春の野草

  春先に花を咲かせる野草は、きびしい冬を小さな苗の状態で過ごし、日差しがやわらかになるといっせいに花をつけはじめます。小さな花がほとんどですが、花色はさまざまで結構楽しめます。
  白い小さな花をつけるコハコベやオランダミミナグサ、青色の花をつけるオオイヌノフグリやキュウリグサ、黄色の花をつけるハハコグサやカタバミ、そして鮮やかなピンクの花をつけるものには、ホトケノザやヒメオドリコソウがあります。公園のサクラやコブシばかりでなく、足元の野草にも目をむけてみてください。



カット(sz175.gif、約16KB)

鬼越・クロマツがある神明神社

  市の木・クロマツは、京成電車の線路沿いに、市川から鬼越にかけて連なるように群生しています。クロマツが群生する範囲は『市川砂州』と呼ばれる一帯で、縄文時代、海が現在よりも内陸まで入り込んでいた時代に形成された砂州地形の名残りです。
  クロマツのある神明神社は、市川砂州の東端近くに位置し、市川・八幡方面から続いてきたクロマツも、この付近までくると目につかなくなってきます。しかし神明神社境内の土壌は細かい砂でできていて、かつて砂州だったことをしのばせています。




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市川のこん虫




ウラギンシジミ

  冬、木の葉にとまってひなたぼっこをしているチョウを見かけることがあります。冬を成虫で越すチョウたちは普段は落ち葉の下などでじっとしていますが、2・3月の暖かい日には姿を見せます。
  じーっと見ていると、これらのチョウは時々呼吸をするように翅を閉じたりひろげたりします。翅は閉じた時に見える方が裏側で、一様に銀白色をしているチョウがいたら、たぶん「ウラギンシジミ」でしょう。
  シジミチョウの中では大型で、学者によっては、シジミチョウの仲間としないで、別のウラギンシジミ科とする人もいます。ウラギンシジミは、翅の裏側はオス・メスとも銀白色なので区別ができませんが、表側にオスは赤褐色、メスは青白色の美しい斑紋があるので区別することができます。

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むかしの市川




カラタチの話

カット(sz176.gif、約6KB)   今から50年ほど前までは、国府台から国分にかけての台地地域には、林や草原、畑などが広がってのどかな風景をつくっていました。そういう畑のまわりにはカラタチが植えられ、垣根のようになっているところがありました。
  カラタチの枝には鋭く尖ったとげがあるので、うっかりさわると痛い思いをさせられます。カラタチは春には白い花が咲き、やがてゴルフボールくらいのまんまるい実がなります。はじめは濃い緑色ですが熟すと美しい黄色になり、とても良い香りがしました。
  ナツミカンやユズなどミカン類の多くは常緑樹ですが、カラタチは同じ仲間でありながら冬は葉を落としてしまいます。こまかく枝分かれしていて、しかもとげのたくさんあるカラタチは、畑を守る立派な垣根でした。
  「からたちの花」の歌を聞くと、昔のカラタチのある風景を思い出します。
(博物館指導員 玉置善正 記)

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行徳野鳥観察舎だより



年末年始はご用心

カット(sz177.gif、約3KB)
  12月30日から1月3日にかけて、JR市川塩浜駅の付近で保護されたセグロカモメがなんと3羽も相次いで入院してきた。駅上空の高圧線に衝突して落ちてきたもので、どれも翼か足を骨折している。
  セグロカモメは翼をひろげると140cm 近くもある大型種で、百羽以上が観察舎近くに集まる。観察舎と海を結ぶ直線上に市川塩浜駅がある。咋冬まではもうすこし浦安よりを飛んでいたのだが、海ぎわに高い建造物ができたため、不慣れな駅の上空を飛んで電線に衝突したのだろう。いくら年の瀬といっても、まさかおとそ気分のせいではあるまい。
  3羽もの「食いつき鳥」のおかげで手がかみ傷だらけ。一刻も早く退院させたい!!

(文と絵:行徳野鳥観察舎 蓮尾純子 )

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