◆  市川自然博物館だより  ◆

4・5月号

特集 市川の特産品 ナシのはなし

市立市川自然博物館  1992年4月1日発行

特集記事 街かど自然探訪 市川のこん虫 むかしの市川 行徳野鳥観察舎だより 観察ノート



特集記事



特集 市川の特産品 ナシのはなし

  ナシは、市川市で生産量・生産高ともに一番の農作物です。大町の博物館周辺にも広々とした梨畑があって、4月の中旬になるとたくさんの白い花が見られます。美味しいナシの実は知っているけどナシってどんな植物なんでしょうか?

ナシの分類

  ナシはバラ科に属する落葉広葉樹で、サクラ(さくらんぼ)・ウメ・モモ・リンゴ・アンズなど、おなじみの果樹もバラ科に属します。そして、ナシ・リンゴ・ボケなどはナシ亜科、サクラ・ウメ・モモはサクラ亜科、バラ・キイチゴなどはバラ亜科に分けられます。
  ナシには変異が多く、品種間の交雑も起こりやすいために、多種多様な品種があります。

野生のナシ

  日本には10数種の野生種があるともされていますが、相互の関係が複雑で分類についてまだ定説がありません。
  本州中部でまれに見られるマメナシはそのひとつで、豆のように小さな実がなります。三重県四日市市では国の天然記念物に指定されているものがあります。
  また、本州・四国・九州にはヤマナシ、本州・九州北部の低山帯にはミチノクナシの自生がみられます。古い時代に大陸から持ち込まれたものともいわれています。現在栽培されているナシの多くは、一般にヤマナシをもとに改良されてきたと言われていますが、ミチノクナシの影響もあるという説など、いろいろな説がとなえられています。

ナシの花

  ナシの花を実際に間近で見る機会はなかなかありません。サクラやモモの花によく似ています。ナシはサクラより花弁が少し厚く細長く、色は白色です。バラ科の植物の花なので、サクラ同様に5枚の花弁が基本ですが、栽培品種のなかには長年品種改良を繰り返したために、5枚でないものもあります。‘幸水’は6枚以上あります。
  ナシの栽培品種の中には、おしべの花粉が同じ花のめしべについても受精しないものがあります。また同じ品種やさらに違う品種の花粉でも受精しないものがあります。このために、同じ畑の中に違う品種のナシの木を何本か植える必要があります。たとえば‘二十世紀’に‘幸水' ‘新高’では受精しません。そこで、受精できる‘長十郎’を受粉樹として植えています。

実のかたち

  お店で売られているナシの実は、いずれもリンゴ形をしています。でも大正時代頃までは、各地方ごとに独特の形をしたナシの実がありました。なかには洋ナシ型をしたものもあったそうです。‘長十郎' や‘二十世紀' などの品種が全国的に栽培されるようになって次第にそのような実をつける品種は見られなくなりました。

主な品種

  市川市内では、細かく分けると30数種もの品種を作っています。
○幸水
  現在の市川ナシの主力。シーズン最初に出荷され、多汁で甘味が強く人気がある。
○新高
  花は他の品種より早く咲き、実は一番遅く熟す。1個1kgを超す大玉もあり、正月まで保存できるので贈答用にも人気がある。
○長十郎
  赤ナシの代表。今ではほとんど作られていないが、特有の香りと風味をもっており根強い人気がある。
○二十世紀
  青ナシの代表。1888年に松戸市で偶然発見された。現在多く作られている品種のルーツを探ると、‘二十世紀' が必ずどこかで関わっている。

ナシ栽培の一年(sz181.gif、約9KB)

参考資料


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街かど自然探訪



カット(sz182.gif、約7KB)

鬼高・ショピングセンターができる前は・・・

  買い物に訪れる人の多い鬼高には、かつて毛織工場がありました。外国から輸入した羊毛を加工する工場でした。
  刈りとった羊毛には、泥や草の実やたねがたくさんついています。工場の敷地内には、羊毛について外国からやって来た実やたねがこぼれ、なかには芽を出し花を咲かせるものもありました。
  見知らぬ外国の植物を見ることができたので、ここでそれらの植物を調べる専門家もいたほどです。当時の様子や、敷地内で見られた珍しい植物の一部は、自然博物館に展示されています。

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市川のこん虫




春のチョウ

カット(sz182.gif、約4KB)   からだが小さな昆虫たちにとって、冬の厳しい寒さは死ととなりあわせです。暖かい春の日に公園や花だん、道ばたや野原に咲いている花を訪れるチョウたちは、どのようにして冬を越したのでしょう。
  アゲハチョウやモンシロチョウなどは、サナギの姿で冬を越し、春が来るのをずっと待ち続けていました。春になって羽化したチョウのはねは、傷ひとつなく暖かい日差しを浴びて輝いています。でも、キタテハやルリタテハのはねは、春というのにボロボロです。これらのチョウは、成虫の状態で冬を越したからです。繊細で美しいはねをボロボロにしながらも、身ひとつで厳しい寒さをしのいだ姿には、素晴らしい野生のたくましさを感じます。

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むかしの市川




江戸川のアユ

  私が中学生の頃(昭和15年頃) のことです。桜の花が散り終わると江戸川ではヤマベ (オイカワ)が釣れ始めます。
  当時、川の流れを弱めるために、川の中に杭を並べて打ちその中へ大きな割石をすえたキリップと呼ばれる護岸がおこなわれていて、釣りをするためのよい足場になっていました。川の流れが、キリップにぶつかって変化するので魚の寄り場にもなってよく釣れます。
  この日もヤマベをねらってキリップの先端で竿を振っていました。先刻からさかんに浮木に魚信があり、しきりに合わせるのですが魚がかかりません。どうもヤマベのアタリではないようです。
  そのうち、やっと釣れてきた魚は、5cmほどの小さな魚で、手にとってみると唇が厚くサケの顔に似ているのです。しばらくながめているうちに、これはアユの子どもに違いないと気がつきました。
  海から川へ入ったばかりの小さなアユは、藻を食べる成魚と違い、虫餌を食べるのです。その後、江戸川のアユは、放流用のアユとして多摩川などに出荷されていることを知りました。
(博物館指導員 大野景徳 記)  

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行徳野鳥観察舎だより



おんぶがえる

カット(sz184.gif、約3KB)   2月17日のこと、とっぷりと暮れた路上で黒っぽいかたまりを見かけた。よくみるとおんぶがえる (抱接しているヒキガエルのつがい) 。地温が6℃を越すのがめざめの合図だそうだ。道路際は垂直に近い石垣。おんぶしたままでどうやって池まで降りたのか、いまだに「?」。翌日から寒波がぶり返し、凍りつきそうな水中でカエルたちはがまん強く産卵を続けていた。産卵後はまた眠りに戻る。
  めざめの第二ラウンドは28日。翌日、抱接中のペアの中に、ウシガエルに乗った産卵後の雌という妙な組を見つけた。ちっぽけな雄ヒキガエルが間にはさまっている。無理やり抱きつかれたウシガエルくん、お気の毒。

(文と絵:行徳野鳥観察舎 蓮尾純子 )

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わたしの観察ノート No.1



  皆さまからいただいた身近な自然観察の記録を紹介するコーナーです。第1回の今回は、1991年暮れから1992年1〜3月に寄せられた情報のご紹介です。

○阿部則雄さん (船橋市在住) から
ニホンアカガエルの産卵(両生類)
1992年1月21日 大町自然観察園
○楠窪のり子さん、黒渕とよ子さん(鎌ヶ谷市在住) から
ベニバラウソ(鳥)
1991年11月27日 大町自然観察園
ノスリ(鳥)
1992年1月29日 大町自然観察園
  「猛禽類のノスリと目があった時はとても怖かったですよ。」
○石井信義さん(市川市菅野在住)から
チュウヒ(鳥)
1992年2月18日 大野町4丁目市川北高校付近
○町山万喜雄さん(市川市菅野在住)から
メジロの群れ(鳥)
1991年11月頃から 菅野2丁目のご自宅の庭
  「庭に砂糖水のつぼを下げていますが、1日でなくなってしまいます。」
○村上暢一さん(市川市真間在住)から
カラスノエンドウの開花(植物)
1992年3月4日 江戸川土手

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