◆  市川自然博物館だより  ◆

6・7月号

特集 ヘイケボタルの幼虫時代

市立市川自然博物館  1992年6月1日発行

特集記事 街かど自然探訪 市川のこん虫 むかしの市川 行徳野鳥観察舎だより 観察ノート



特集記事



特集 ヘイケボタルの幼虫時代

  ホタルは、市川市内でも大町自然観察園などごく限られた地域で、ヘイケボタルという種類を見ることができます。成虫の美しく光りながら飛ぶ姿と違い、幼虫は肉食で獰猛な生活をしています。7月下旬頃から羽化しはじめ、私たちの目を楽しませてくれるヘイケボタルの幼虫時代を中心にお話をしましょう。

幼虫の生活

幼虫の体(sz191.gif、約3KB)
  7月下旬〜8月上旬に水ぎわのコケなどに産みつけられた卵は、1カ月ほどで孵化します。ヘイケボタルの幼虫は、汚水の流れ込まない水路や田んぼなどに住んでいます。ふだんは泥の中などに隠れているため、その姿はめったに見ることができません。
  幼虫は、脱皮するたびに大きくなっていきます。孵化したばかりの時は、長さ約2mmで体も細く、まるで糸屑のように見えます。冬を迎えるころには1cm近くにもなります。寒い冬を静かに過ごし、水温の上昇とともに再び活動をはじめます。終齢に達した幼虫は長さ約2c,になり、6月中旬頃、土の岸辺にはい上がると、土の中に室をつくってそこで蛹になります。
  ヘイケボタルは、卵・幼虫・蛹・成虫といずれの段階でも発光することが知られています。終齢幼虫が上陸する際の発光を、野外で観察することもできます。蛹は、約50日後に羽化します。

カワニナに食いつくヘイケボタルの幼虫(sz190.gif、約60KB)

幼虫の食性

  幼虫は、カワニナなどの水にすむ巻貝を食べます。幼虫はカワニナの上に乗って、あるいは横からいきなりカワニナの肉に食いつきます。カワニナはふたを閉めて、幼虫を防ごうとしたりします。
  うまく食いついた幼虫はやがて口から消化液を出して、カワニナの肉をゆっくりと溶かして食べます。水槽で飼育した際には、1匹の弱ったカワニナに、10匹以上の幼虫が食いついている姿を観察できました (写真) 。
  成虫になると、幼虫の時代とはうって変わって、水分を少し取るだけで、何も食べず、交尾し卵を産み、そして死んでしまいます。

ヘイケボタルの生息環境

  ヘイケボタルは、本来珍しい昆虫ではありませんでした。ゲンジボタルのように渓流を好んでいるというわけではなくかつては市川市内の田んぼで普通に見ることができました。
  田んぼという環境は、
  1. 産卵するためのコケの生えている土手
  2. エサになるカワニナなどの貝類が生育する水路
  3. 幼虫やカワニナがすめる水質(田んぼの水で十分)
  4. 蛹になるための、土手
  5. 成虫がくらせる湿地
といった要素を含んでいて、ヘイケボタルにはすみよい環境でした。現在の市内生息地は、いずれも水田や休耕田です。田んぼという環境はホタルなどの水生昆虫にとって大切な環境だったのです。

日本の代表的なホタル

  日本には約40種のホタルが知られています。ヘイケボタルのように幼虫が水中で生活するのはむしろ例外的なことで、ほとんどは陸上に住んでいます。また、光らない種類の方が多数を占めます。

参考文献


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街かど自然探訪



匠堀の流路(sz192.gif、約5KB)

欠真間・匠堀(たくみぼり)が支えたもの

  南行徳小学校の前に、現在では暗渠(あんきょ)になっていますが、かつての匠堀の流路が残っています。匠堀は大柏川の水を八幡から行徳を経て、浦安まで導いた灌漑用水です。匠堀のおかげでかつての行徳地区では稲作が盛んに行われました。
  匠堀は、塩分を含まない水を行徳の地に供給しました。その水は稲だけではなく、多くの水生生物をも育む環境をつくりだしました。戦前までは、行徳地区でもホタルやカメ、イモリなど淡水に依存する生物がふつうに見られたことが、自然博物館の調査でわかっています。

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市川のこん虫




昼間飛ぶガ

  「ガ」というと、「夜、電灯に飛んできて粉をまき散らし、汚い」というイメージを持っている人が多いと思います。しかし、ガの中には夜活動せずに、昼間だけ活動する種がいくつか知られています。
  市内で今の時期に見られる昼間飛ぶガとしては、小型で黒い翅に透明なまだら模様が入ったカノコガやそれに近いキハダカノコが、自然観察園のヨシ原を飛び回っているのが観察できます。
  また、市街地でも中型で黒い翅に白い一本線が入り頭が赤いホタルガや、クチナシという植物に産卵するために訪れる、翅が透明でハチのような外見をもつオオスカシバというガが観察できます。昼間活動するガは夜活動するガに比べて色彩が派手で美しい種が多くいます。

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むかしの市川




江戸川水泳場のこと

カット(sz193.gif、約5KB)   昭和9年頃のことです。江戸川に学童のための水泳場ができました。場所は、真間川との合流点の上手で、川岸の泥土を堀り下げ、消防ポンプの放水で泥土を洗い流したり、すべて地域の人達の奉仕で造られたようです。近くに住む私は、できあがるのが楽しみで、毎日のようにその作業の様子を見に行きました。
  やがて、樽に結びつけた縄張りや、飛び込み台、よしずをめぐらした脱衣場などもできて、小学校4年生だった私は、担任の先生に引率されて、はじめて江戸川で泳ぐ機会を得たのです。
  水泳場には水府流水泳教師がいて、ぬき手、片ぬき手、平泳ぎ、立泳ぎなどの泳法の指導を受けました。昇級試験があって、その先生の前で25mほど泳ぎ、5級とか4級とか認定を受けました。級が一段あがると水泳帽に白線が1本増えるのです。
  当時の江戸川の水は、ほんとうにきれいで、川の水が口の中に入っても気にする事もなかったし、泳いでいる目の前をボラが飛びはねたりしたこともありました。
(博物館指導員 大野景徳 記)  

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行徳野鳥観察舎だより



バリケンのリバちゃん

カット(sz194.gif、約3KB)  葛南警察署から「拾得物」として届けられたバリケン(南米産のニオイガモから作出された家禽)のリバちゃん。人なつこくて誰からもかわいがられている。
  このごろ姿を見ないと心配していたら、ポーチの物かげに置かれた大きな中華鍋に羽毛を敷きつめ、21個もの卵をこっそり抱いていた。夕方になると卵を羽毛で隠し、出てきてあちこち人をさがしては「ピイ!」と大声で餌をねだる。
  大事に暖め続けていたが、無精卵の悲しさ、ひと月後、くさった卵をくわえて遠くまで捨てに行くのを見つけた。更に1週間後、留守をねらって十個程に減った卵を処分した。ショックを受けたリバちゃんは飛び去り、まる2日間帰ってこなかった。

(文と絵:行徳野鳥観察舎 蓮尾純子 )

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わたしの観察ノート No.2



 皆さんが身近で観察された早春から初夏の話題です。

○高畑道由さん (市川市南大野在住) から
チョウゲンボウ(鳥) 
1992年1月29・30日
   2月4・13日     
   3月18日   以上 南大野1丁目にて
ウグイス(鳥)
1992年3月15日 市川霊園
1992年3月16日 南大野2丁目
1992年3月31日 市民プール
ヒバリ (鳥)
1992年3月31日 市川東高校付近
○楠本富美子さん(市川市北方町在住)から
ウグイス(鳥)
1992年3月7日、25日 北方町4丁目、ご自宅の庭
 「ここ数年、来なくなっていましたが、今年は庭のバードテーブル近くに来たり、鳴き声を聞いたり、うれしい春です。」
○阿部則雄さん (船橋市在住) から
ノウサギ(哺乳類)
1992年4月13日 大町自然観察園
シオヤトンボ(昆虫)
1992年4月15日 大町自然観察園
○楠窪のり子さん、黒渕とよ子さん(鎌ヶ谷市在住) から
カワセミの交尾(鳥)
1992年4月6日 大町自然観察園
○石井信義さん(市川市菅野在住)から
オオルリ、サンコウチョウ(鳥)
1992年5月11日 大町自然観察園
 「オオルリは姿も観察しました。雄でした。サンコウチョウは声だけです。」
○秋本久枝さん(市川市国府台在住)から
コマドリ(鳥)
1992年4月19日 国府台3丁目ご自宅の庭
 「昨年の4月15日の朝、突然にぎやかにたくさんの鈴を振るような音が我が家の上を通過しました。何とも言えない良い声でした。今年も4月には入り、心待ちにしていたところ19日の朝、突然あの声がしました。昨年のコマドリでしょうか?感激です。」   
アオバズク(鳥)
1992年5月7日 国府台3丁目ご自宅の庭
 「昨年とぴったり同じ、7日の午前2時に、今年の第一声を聞くことができました。ビックリです。渡り鳥は神秘の化身ですね。」
○村上暢一さん(市川市真間在住)から
オオジシバリの花(植物)
1992年4月9日 江戸川
ミズキの花(植物)
1992年4月29日 真間山
ノイバラの花(植物)
1992年5月2日 江戸川
ハリエンジュの花(植物)
1992年5月3日 じゅんさい池公園
コウモリの一種(哺乳類)
1992年5月11日 江戸川
○観察会にて(自然観察会参加者のみなさん)
カントウタンポポの花(植物)   
1992年4月12日 じゅん菜池公園
 「あるわけないと思っていたので、びっくりしました。」(観察会担当者)

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