◆  市川自然博物館だより  ◆

増刊号

企画展 江戸川放水路の自然

市立市川自然博物館  1992年7月1日発行

臨時特集




江戸川放水路とは   参考写真:江戸川放水路の景観と生き物

  江戸川放水路の正式な名称は、『江戸川』です。しかし、昔からの江戸川の流路は旧江戸川のほうで、江戸川放水路は洪水を防ぐために人工的につくられました。放水路がある一帯は、かつては陸続きの土地でした。
  江戸川放水路の建設は、明治44年に着工され、大正9年に完成しました。そして、放水路開削を含む江戸川改修事業全体は昭和5年に竣工しました。
  この江戸川放水路に干潟が出現したのは、いつのことだったのでしょうか? 詳しくは知られていませんが、おそらく放水路が完成して間もなく干潟が形成され、小さな魚やカニ、ゴカイなどが住み着いたと思われます。そして時が流れ、東京湾岸一帯から干潟が姿を消していくなかで、放水路の干潟は今も健在です。江戸川放水路の干潟は、新浜干潟・谷津干潟と並んで、東京湾奥に残された貴重な干潟になりました。
水の動きの概略(sz201.gif、約8KB)

放水路は川?海?

  江戸川放水路は、行徳橋のところにある堰(行徳可動堰)によって、江戸川本流と仕切られています。この堰は普段は閉じられており、そのため放水路と江戸川本流の間には、水の行き来がほとんどありません。放水路は、実質的には東京湾だけに開口している入り江で、放水路の水は東京湾の影響を強く受けています。
  しかし、堤防から浸出する雨水や、可動堰の通水口を通して流入する江戸川の水の影響もあります。江戸川放水路の環境は、汽水(海水と淡水がまじった状態)の環境ということができます。

放水路の水質−塩分濃度(sz202.gif、約13KB)


放水路は汚くないの?

  真間川や大柏川、国分川など、市内を流れる小河川は、いずれも生活廃水などの影響で汚染が進み、生物の生息に適した状態とはいえません。江戸川にしても水質はそれほど良好でありません。しかし江戸川放水路は、6〜7月には水質がかなり悪化しますが、他の時期は環境基準を概ね満たしています。生物の生息に適した状態だといえます。

放水路の水質−COD(sz203.gif、約13KB)


放水路の水質−OD(sz204.gif、約13KB)


放水路には干潟がある

  江戸川放水路は、市内でも有数の貴重な自然環境です。どこが貴重かというと、それは、干潟が残っているところです。干潟は引き潮のときに現われ、満ち潮になると海中に没する平らな場所です。干潟には、潮によって打ち上げられた生物の遺骸やプランクトンが栄養分として蓄積され、その栄養分を食べる生物が多く生息しています。さらにそれらの生物を食べる生物も生息し・・・という形で、たくさんの種類の生物が暮らしています。
  干潟は一見するとただの平らな場所ですが、柔らかい泥の場所や、やや固い砂の場所、ヨシ原、潮だまり、水路など多様な環境があります。泥の中も生活の場所として利用できるので、生活のための空間がふんだんにあるのです。
  平らな干潟は、水深がわずか数〜数十センチという環境もつくりだします。この浅い環境は、マハゼやカレイなどの幼魚が成長する場所です。カニが、卵からかえった幼生を海中に放出する場所でもあります。
  海水は、干潟で薄く伸ばされます。アサリなどの貝がプランクトンを食べ、表面からは酸素が溶け込み、海水は浄化されてきれいになって沖に戻って行きます。干潟は、海水の浄化機能も果たしています。

カット(sz205.gif、約19KB)


こんな生き物たちが暮らしています   参考写真:江戸川の魚

  さまざまな生き物が江戸川放水路には、暮らしています。ここでは、その一部をイラストでご紹介します。

カット(sz206.gif、約35KB)


カット(sz207.gif、約39KB)


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