◆  市川自然博物館だより  ◆

10・11月号

やさしい分類学 4

種子植物

市立市川自然博物館  1993年10月1日発行

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特集記事



やさしい分類学 第4回 種子植物

花の形を見てみよう

 家のまわりや毎日通る道ばた、植物は私たちの身のまわりにいつもあります。でも、あまりひとつひとつを区別しては見ないものです。そこで、花の形を中心にして、簡単なグループ分けのポイントを紹介します。

花の形に注目しよう

  種子植物は、花が咲いて種子をつくるグループで、世界に20万種余りもあります。それらは基本的には根・茎・葉・花を持つ、よく似たつくりをしているので、違いを見つけてグループに分けてゆくのは少々厄介です。そこでまず、花のかたちに注目してみましょう。
  花は、いろいろな形態や構造をしていますが、近縁種のあいだでは共通の特徴を持ちます。特にいくつかの科では、花の形で何科なのか見当をつけることができるので、調べる範囲をかなりしぼることができます。

 種子植物の分類
   <図鑑によって多少違いますが、一般的で分かりやすい分類を紹介しました。
        例示してある科名は、今回取り上げたものです。> 


                          ┌─離弁花亜綱(マメ科、スミレ科
                          │       バラ科、アブラナ科ほか)
      ┌─裸子植物亜門 ┌─双子葉植物綱───┤  花弁が離れる
      │        │  子葉は2枚   │
種子植物門─┤        │  網状脈      └─合弁花亜綱(ヒルガオ科、キキョウ科
      └─被子植物亜門─┤                   シソ科、ゴマノハグサ科
               │                   キク科、ナス科など  )
               │             花弁がくっつく
               │
               │
               └─単子葉植物綱(アヤメ科、ユリ科、ラン科
                        イネ科、カヤツリグサ科ほか)
                  子葉は1枚
                  平行脈

独特な形の花をもつ科

  まず独特な形の花を紹介します。蝶形の花を見つけたら、マメ科かどうか調べてみましょう。鞘状の実があれば間違いありません。スミレ形の花は、左右対称な形をしていて、発達した唇弁や花弁の一部が裏側に細く突出した距をもつのが特徴です。
  花弁がくっついている合弁花の様子がよくわかるのは、ろうと形をしたヒルガオ科です。釣鐘形の花は、キキョウ科やリンドウ科に多く、浅い形は盃型と呼ばれます。唇形の花は、シソ科に多いですが、ゴマノハグサ科などにもあります。

→参考図 <独特な形の花> (約5KB)


頭花をもつキク科

  花序軸が変形して偏平になった上に、小さな花がたくさん並んで一つの花を形づくる頭花は、キク科に多い形です。マメ科のシロツメクサも頭花に見えますが、キク科はがくのように見える総苞によって、花の集まりが包まれています。キク科の小さな花には舌状花と筒状花の2種類があって、両方持つものやどちらか片方だけを持つものがあります。

→参考図 <頭花のつくり> (約7KB)


典型的な形の花

  放射相称型のいわゆる’花らしい’形の花の場合には、花弁(時に花弁状のがく)の枚数に注目します。5枚ならばバラ科やキンポウゲ科を、4枚ならばアブラナ科に見当をつけます。特にアブラナ科の花弁が十字に開いた様子は特徴的でかつては「十字花科」としてわけられていたほどです。
  花弁が5枚に見えても、根元でくっついている(合弁花類)ナス科などの花もあります。

→参考図 <典型的な形の花> (約5KB)


葉脈が平行な単子葉植物

  単子葉植物は葉脈が平行なことで簡単に見分けられるので、はじめにチェックすれば、科の数もぐっとしぼられてきます。これらは、ふつう3の倍数の花被片(おもに双子葉植物では花弁とがくに区別されるもの)から成っていて、アヤメ科やユリ科では、内側3枚(内花被)と外側3枚(外花被)の形に着目します。特に内側の1枚が特殊化している(唇弁のはラン科で、美しい花が多いです。
  また花の構造がきわめて特殊で、頴や鱗片に包まれた花が穂状についているのは、イネ科やカヤツリグサ科です。

→参考図 <単子葉植物の花> (約7KB)


図鑑を見る前に・・・・

  ここにあげたのは、図鑑を引くためのごくごく初期の段階をご紹介したにすぎません。科の見当がついたら、図鑑をめくって、さらに検討しなければなりません。書店にいくと実に様々な植物図鑑がおいてありますが、写真やカラー図版のきれいなものは、野外で実物と照らし合わせたり、家でながめるには便利なので入門編としておすすめです。しかし、分類に必要な詳細な構造についてわかりにくいのが欠点です。詳しい形態まで線画で描かれている単色の図版を使用した図鑑 (『学生版 牧野日本植物図鑑』牧野富太郎著 北隆館など)は実物をイメージしづらいのが欠点ですが、それらをあわせて持つのもよいでしょう。

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街かど自然探訪



カット(sz285.gif、約12KB)

北国分町・キツネノカミソリ群落

  国の史跡として保護されている堀之内貝塚、守られているのは土器や貝殻ばかりではありません。法律で土地の改変が厳しく規制されているため、昔からあった植物がいまだに残っています。
  大木のイヌザクラや、イヌノフグリの群落、アワコガネギクなどは、ここでしか見ることができません。また、夏には林一面にキツネノカミソリが咲き誇ります。地面からすっと伸びた花茎に淡いオレンジ色の花がつき、その群落は、市内でも最大級の規模と思われます。

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行徳野鳥観察舎だより



梅雨から秋へ

カット(sz286.gif、約4KB)   ふと気がつくと、もうどちらを向いてもススキの穂が出ていた。夏らしい暑さを味わったのはほんの数日。セミがひとしきり鳴いたと思ったら、半月もしないうちにアオマツムシと交代してしまったアオマツムシの声がにぎやかすぎて、カンタンもクサヒバリも影が薄い。エンマコオロギはこれから羽化するのか、まだあまり鳴いていないようだ。
  ひとしずくでも雨がほしいという干ばつの去年と比べて、水が豊富な今年は木や草の緑が濃いような気がする。アメリカシロヒトリのテントが例になく目立つのは、季候と関連あるのだろうか。去年はほとんど見られなかったナンバンギゼルがススキの葉影で咲きはじめ、冬鳥のコガモが渡ってきた。ツバメやコアジサシとのお別れももうすぐだ。

(文と絵:行徳野鳥観察舎 蓮尾純子 )


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いちかわの野生生物




テングタケ( Amanita pantherina )

カット(sz287.gif、約6KB)   テングタケは、市川市内の雑木林や松林に生えるキノコです。
  テングタケの仲間は、傘、ひだ、柄を持つ、いわゆる『キノコ形』のキノコの中で最も形態が複雑なグループで、「つぼ」と「つば」があるのが特徴です。
  「つぼ」は幼菌の時に全体を包んでいた膜です。キノコが生長するときに「つぼ」の膜が破れ、袋状になって柄の根もとを包みます。「つば」は、傘の裏側の胞子をつけるひだ全体を、幼菌の時におおっていた膜のなごりです。
  テングタケでは、「つぼ」の膜がもろいため袋状にはならず、細かくちぎれて、傘の上にいぼ状に白い破片がちらばり、柄の根もとにも「つぼ」の破片が指輪状に残っています。また、柄の中ほどには、「つば」の膜が輪状になってついています。
  テングタケは有毒で、その毒成分が蠅とりに利用されていました。

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むかしの市川




ガチャガチャガチャガチャくつわ虫

カット(sz288.gif、約2KB)   「きりきりきりきり きりぎりす ガチャガチャガチャガチャ くつわ虫 あとから馬おい おいついて チョンチョン チョンチョン スイッチョン 秋の夜長を鳴き通す ああ おもしろい 虫のこえ」
  これは、私が小学校の時に習った文部省唱歌「虫のこえ」の一節です。子どもの頃は、身のまわりで、いろいろな虫の音が聞えてきました。キリギリスやウマオイは、草むらで普通に聞くことができました。また、秋の祭礼の縁日の夜店には、必ず、虫屋が出て、スズムシや、マツムシが、きれいな虫かごとともに売られていました。クツワムシは、ガチャガチャと、かまびすく鳴くので、子どもたちはガチャガチャとよんでいました。
  私の家の前の街路樹のアオギリに、ガチャガチャがすみつき、夜になると、ガチャガチャと一勢に鳴きだすのです。一晩中、絶え間なく鳴くので、まことに騒々しかったことを思い出します。
  今ではガチャガチャの声を町なかで聞くことはなくなりました。
(博物館指導員 大野景徳 記)  

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わたしの観察ノート No.10



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