◆  市川自然博物館だより  ◆

12・1月号

やさしい分類学 5

魚 類

市立市川自然博物館  1993年12月1日発行

特集記事 街かど自然探訪 行徳野鳥観察舎だより いちかわの野生生物 むかしの市川 観察ノート



特集記事



やさしい分類学 第5回 魚類

さかなのシンボル・鰭(ひれ)は、分類上、重要なポイント

  生物の名前(種類)は、その外観を図鑑の絵と合わせるだけでも、なんとなく知ることができます。しかし、それぞれの生物のグループには、必ず、分類上重要視されているポイントがあります。このやさしい分類学シリーズでは、そういうポイントを紹介してきました。今回は、魚類のポイントとして、鰭(ひれ)を取り上げます。

最初の脊椎動物・魚類は鰭(ひれ)をもつ

  脊椎動物は、体に背骨のような軸となる骨格(脊柱)をもつ動物です。哺乳類や鳥類をはじめ、爬虫類、両生類と、高度に発達した体の構造をもつ陸上の動物は、いずれも脊椎動物に属しています。
  魚類は、地球上に最初に出現した脊椎動物です。そして、水中にとどまり、水中で繁栄してきました。そのため魚類では鰭が発達しており、四肢を備えた陸上の脊椎動物とは、体の構造上、大きく区別して考えることができます。

進化の生き証人たち

  魚類の中には、現在の主流をなすグループとは遠い昔に進化の道筋を分け、細々と生き延びてきたグループがあります。
  市内にも生息するスナヤツメの仲間などは、口に顎(あご)がない点で、他の魚類はおろか、ほかの脊椎動物とも大きく異なっています。また、全身の骨格が軟骨だけのサメ・エイ類、脚を想像させる鰭をもつシーラカンス、肺をもつハイギョ類など、これらは古生代の頃から独自の道筋で進化してきたと考えられます。

 脊椎動物と魚類の分類
   <分類のしかたには、様々な見解があるので一例としてご覧ください。> 

               ┏━━━━━━━━いわゆる魚類━━━━━━━━━━┓
              ┃                        ┃
              ┃┌─メクラウナギ綱    ┌─全頭亜綱      
     ┌──無顎口上綱─┤            │  ギンザメ類    
     │        └─頭甲綱      ┌─┤          
     │           ヤツメウナギ類 │ └─板鰓亜綱      
     │                   │    サメ・エイ類   
     │        ┌─軟骨魚綱─────┘            
脊椎動物─┤        │                       
     │        ├─硬骨魚綱────┐              
     │        ┗╋━━━━━━┓  │  ┌─条鰓亜綱      
     │         │        │  │  ほとんどの魚類  
     │         ├─両生綱    │  │           
     │         │        │  ├─腕鰓亜綱      
     └──顎口上綱───┼─爬虫綱    └──┤  ポリプテルス類  
               │           │           
               ├─鳥綱        ├─肺魚亜綱      
               │           │  ハイギョ類    
               └─哺乳綱       │           
                           └─総鰓亜綱      
                              シーラカンス   ┃
                      ┗━━━━━━━━━━━━━━━━┛

 

魚類の鰭の着目点(sz291.gif、約3KB)

胸鰭と腹鰭の位置に着目する

  生物の体に見られるさまざまな特徴のうち、何に着目するかは、生物を分類する上で重要です。外見的な特徴はもちろん、骨格などの内部構造や染色体、最近では遺伝子を分析する場合もあります。
  魚類(条鰭亜綱)では、ひとつのポイントとして、胸鰭と腹鰭の位置に着目します。それらの位置は、進化の程度によって異なるとされている特徴です。
  胸鰭は、原始的な特徴を残すグループでは腹に近い位置にあります。高度なグループでは、それは背に近づきます。
  腹鰭は、原始的なグループでは体の中央に位置し、高度なグループでは胸鰭と同じあたりにあります。中には、胸鰭よりも前に位置するグループもあります。

→参考図 <主な魚種の鰭の位置> (約24KB)


背鰭の形に着目する

  背鰭の形や数も、古くから魚類を見分けるポイントとして使われてきました。背鰭が1枚のもの、1枚だが前後の形状が異なるもの、2枚のもの、背鰭は1枚だが別に脂鰭(あぶらびれ)をもつもの、などに区分できます。
  江戸川に生息する魚について見ると、  といったぐあいに区分できます。

→参考図 <主な魚種の背鰭の形> (約11KB)

メダカ、カダヤシ、グッピー

  「市川市内からメダカが絶滅した」と言っても、なかなか信じてもらえません。「○○で見たよ」とよく言われます。しかし、過去の例では、それはメダカではなく、よく似たカダヤシばかりでした。両者は、形態も生息環境も似ているので、混同されることが多くあります。
  よく似たメダカとカダヤシも、すくって横から眺めれば、鰭(特に尻鰭)の形で見分けることができます。また、カダヤシと近縁でよく似たグッピーも、鰭の形や位置で見分けることができます。

→参考図 <メダカなどの比較> (約8KB)

図鑑を見る場合に...

  標本写真を中心に構成された『日本産魚類大図鑑』(益田一ほか編 東海大学出版会)と、詳細な線画と検索表で構成された『日本産魚類検索』(中坊徹次編東海大学出版会)があれば最強です。しかし、安い本ではありません。一般向けには、釣り関連のものも含め多数の本が出版されています。また、こども向けの絵本にも、図鑑として使えるものが多くあります。雰囲気が伝わる生態写真、細部がわかる線画やカラー図版、その中間の標本写真等、目的に応じて選択します。

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街かど自然探訪



カット(sz295.gif、約10KB)

行徳駅前・センダンとフサアカシアの楽しみ

 どこに行っても似たり寄ったりでパッとしない街路樹や植栽樹が多い中、行徳駅前地区を歩いていて、おっ!という種類を見つけました。新浜小のグラウンドにあるセンダンと、交通公園にあるフサアカシアです。ともに羽状複葉の葉が美しく、見慣れた(食傷気味?)植栽樹とは違って、目を引きます。
  植栽樹を楽しむこつは、通りがかりにちらっと見る程度にしておくことです。植物のペースにあわせて、ながくのんびりと観察する方が長続きするようです。

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行徳野鳥観察舎だより



オオミズナギドリ

カット(sz296.gif、約3KB)   11月8日、千葉県の東葛支庁経由で来所した1羽を皮切りに、この10日ほどの間に5羽のオオミズナギドリが持ち込まれた。三宅島や神津島で集団繁殖している海鳥。グライダーのような細長い翼で海面すれすれに滑空し、水面近くの魚やイカなどをとる。細長い翼のため、地面からじかに飛び立てず、斜めになった木などを発射台がわりにして離陸する。
  11月なかばといえば今年の若鳥が巣立つ時期だ。季節はずれの南風が吹くと、餌がうまくとれずに弱った若鳥が内陸に吹き流され、地上に落ちて保護される。
  小魚を塩水につけて無理にのみこませお腹の羽がふんで汚れないように敷草を替え、体温が維持できないものは暖め…さて、このうち放されるものは何羽か。少々気が重い。

(文と絵:行徳野鳥観察舎 蓮尾純子 )


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いちかわの野生生物




チュウヒ( Circus aeniginosus )

カット(sz297.gif、約10KB)   チュウヒは、冬になるとやって来るタカの仲間で、開けた見通しのよいヨシ原を好み、行徳の水鳥保護区では毎冬観察することができます。
  ゆっくりとした羽ばたきと両翼の先端を上げて翼をV字形に保った滑翔を交互にしながらヨシ原の上を直線的にゆっくりと低く飛びます。野ネズミや地上にいる鳥類などの獲物を見つけると、身をひるがえし、すばやく舞い降りて捕らえます。獲物はヨシ原の中の地上で解体して食べます。高い木の上などにとまることはほとんどなく、低い杭や地上に降りて休息します。
  チュウヒのようなタカやフクロウ類などの狩りをする鳥を猛禽と言います。猛禽が生きていくために必要で十分な数の獲物を得るためには、その獲物となる多様な生き物が数多く暮らす豊かな自然環境が欠かせません。裏をかえせば、猛禽が暮らす場所は、様々な生き物が生活できる豊かな自然環境といえるのです。

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むかしの市川




市川の冬

カット(sz298.gif、約5KB)   地球の温暖化が問題になっていますが私が子どもの頃の市川の冬は今よりずっと寒かったように思います。しかも、当時の家庭の暖房は、火鉢や、こたつ程度で、家のつくりもすき間が多く、寒さが身にしみました。朝起きてみると、廊下に置いたバケツの水に、うす氷がはっていることもよくありました。
  ある時、真間川が全面結氷したことがありました。子どもの頃ですから、体重も軽かったこともあり、下駄ばきで、おそる、おそる、氷の上を歩いたことを、おぼえています。   雪もよく降りました。それも、ひざを没する(子どものひざ)ような大雪が、毎年1〜2回はあったように思います。
  大雪の時は、さそい合わせて江戸川の土手に行き、土手の斜面につもった雪をみんなで踏みかためて、小さなゲレンデを作り、近くの薬局から、琺瑯(ほうろう) びきの鉄板でできた「○○胃散」とか「△△丸」とかいう薬の看板を借り、これを裏がえしにして、その上に腰をおろして斜面を滑り降りるのです。長い看板だと2人のりができて、とても痛快でした。
(博物館指導員 大野景徳 記)  

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わたしの観察ノート No.11



◆冷夏の影響をまとめてみました
−出現の異変(大町自然観察園)−

−繁殖の失敗(江戸川放水路)−
◆大町自然観察園より
◆柏井雑木林より
◆南大野より
◆小塚山市民の森より
◆北方遊水池より
◆菅野より
◆新田より
◆浅間橋より
◆原木より

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