◆  市川自然博物館だより  ◆

4・5月号

「市川の大地」1

低地と台地

市立市川自然博物館  1996年9月1日発行

特集記事 街かど自然探訪 行徳野鳥観察舎だより むかしの市川 観察ノート

 



特集記事



「市川の大地」 1 低地と台地

 今回から始まるシリーズでは、市川の大地について探ってゆきます。 大地はいわば現在の自然の土台です。人間を含め様々な動植物が、大地の上で生活しています。都市化の進んだ市川では、道路は舗装され、住宅が建ちならび、海岸は埋め立てられ、大地本来の姿を知ることは難しくなっています。でも、注意して観察してみると、様々な事柄が、大地の姿を教えてくれます。第一回は、市川の地形を大きく特徴づける低地と台地について、地下の様子に注目してみます。

2つの平坦面・低地と台地

市川周辺の地形(sz431.gif、約12KB)
 右の図は、市川の地図に高さを表す線・等高線を海抜高度10mおきに入れた図です。線の間が狭いところは、崖や坂など急に高さが変わる所です。線がない場所は、緩やかに広がる平坦な面です。地図をみると、海岸線からずっと広がる平坦な面と10mの線を境にして一段高い平坦な面があるのがわかります。低い平坦面を低地、北部の高い平坦面を台地と呼んでいます。
 どちらも同じように平坦な低地と台地ですが、高さの違いだけで、2つを区別することができるでしょうか。地形の細かな違いや、地表に現れている土の様子を調べることも大切ですが、地下の土の様子を比べてみるといろいろなことがわかります。

地下の様子を調べる

 直接見ることのできない地下の様子を調べるには、どうしたらよいでしょうかビル建築の際に行われるボーリングの結果はとても参考になります。ボーリングは、専用の筒を地中に真っ直ぐ打ち込んで、筒の中に入った土を採取してゆく調査方法です。採取される量は僅かで広い面の中の1点にすぎません。しかし大規模な工事の多い都市では、多くの調査地点の資料を比べることができるため、広い地域の様子を知ることができます。また、市川周辺では地層が逆転したと思わせる事実は見られないので、下の堆積物ほど古い時代に堆積したと考えます。
 市川やその周辺の地域でも多くのボーリングが行われ、地下の様子がかなりよくわかってきました。

低地の地下の様子

 低地では表土の下に、とても細かくて粒のそろった砂の層があります。この砂の層は沖積層と呼ばれていて、厚さが平均で20〜30mあります。沖積層は上から下まで一様ではなく、青みがかったり濃い灰色など層によって色が違ったり、シルト (砂より細かく粘土より大きい粒) が混じった層などが交互に挟まっています。この事は沖積層が水の中で積もり、流れの強さや水底の様子などが変化することで堆積の様子も変化したことを教えてくれます。また沖積層からときどき見つかる貝の種類や生息環境を調べると、堆積した時の環境を知ることができます。沖積層からは、あまり壊れていないハイガイやハマグリなどが多く見つかるので、当時の市川周辺はそれらが現在住んでいるような浅くて暖かい内湾性の海だっただろうと考えられます。

低地の地下の様子(sz432.gif、約7KB)

 沖積層は軟らかな砂の層ですが、その下には成田層と呼ばれるよくしまった砂の層があります。砂粒が黄褐〜褐色をしていること、あまりシルトを含まないこと、貝化石の種類も異なることなどから、成田層は沖積層とは違う環境の海に堆積したと考えられています。
 堆積した砂などは長い時間をかけてしだいにしまって固まってゆきます。沖積層と成田層の固さの違いも、堆積した時間の経過の違いによると考えられています。軟らかな沖積層は約1万年前より新しい時代に、またよくしまった成田層は約10万年より前に積もった層と考えられています。また、10〜1万年の間の時代については、急な水の流れに削られて堆積物が失われています。

台地の地下の様子

台地の地下の様子(sz433.gif、約12KB)
 台地の地下の様子は、ボーリング以外に崖の地層(露頭)でも観察できます。
 露頭で見られる台地の地層を、上から順に見てゆきます。表土のすぐ下には、一般に赤土と呼ばれる、赤褐色〜暗褐色で大きなひび割れがたくさん入った層があります。赤土の下には、常総粘土と呼ばれる、灰色や黄褐色などで細かいひび割れの見られる粘土質の層があります。赤土や常総粘土は、広い意味での関東ローム層に含まれます。関東ローム層は、軽石の粒が含まれることや、湿っている時はねとねとするがすぐに乾いてひびわれるという、風化火山灰の特徴を持つことから、富士山や箱根山などの火山灰が降り積もってできたと考えられます。
 厚さ約10mの関東ローム層の下には、成田層があります。ボーリング調査などの結果から、台地の地下に隠れた成田層の部分は、低地の下部の成田層とひと続きであることがわかっています。

低地と台地の違い

低地の地下には、おもに砂や泥の沖積層があって、その下に、成田層がありました。一方、台地では火山灰起源の関東ローム層が堆積した下に、成田層があります。低地と台地の深い所では、ひと続きの同じ成田層の堆積物がありますが、その上に堆積しているものは異なっているのです。このことは、低地と台地の成り立ちが異なっていることを、私たちに教えてくれます。

●参考文献

 *市川市史 第1巻第1章 地形の発達
    (1971年 市川市発行)  ・市内の図書館で閲覧できます。
 *1万分の1地形図 松戸、市川、行徳、浦安、松飛台、中山、船橋
    (国土地理院発行)    ・等高線は2m間隔
 *2万5千分の1地形図 船橋、行徳
    (国土地理院発行)    ・等高線は10m間隔


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街かど自然探訪



菅野・クロマツの大木とアオバズク

カット「アオバズク」(sz434.gif、約7KB)
 菅野1丁目に、白幡天神社という神社があります。地元の方にお話を伺ったところ、かつてここにはエノキやムクノキの大木が群生し、幹回りが3m以上もあるクロマツの巨木も生えていたということです。このクロマツでは毎夏アオバズクが子育てをし、巣から落ちたひなを保護したこともあったそうです。
 都市化のなかで一帯は大きく姿を変え、クロマツも昭和54年3月11日に長い生涯を終えました。風倒だったそうです。


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行徳野鳥観察舎だより



クマバチの飛行

カット(sz435.gif、約2KB)
 「きゃあっ」「うわー」
 前の道を通る自転車から、時々悲鳴が聞こえてくる。のそのそ歩いてどいてくれないドバト、という場合が多いが、5月にはとくべつな原因がある。クマバチ。
 名前からも、大きさからもいかにもこわそうなハチだ。2cm以上もあるずっしりとした体つきは迫力満点。胴体は黒、胸が黄色。藤やニセアカシアの咲く時期、地面から2m前後の高さをのどかに飛んでいる。まさに自転車ライダーの頭の高さ。顔の前にいきなりクマバチが出現したら、誰でも悲鳴を上げたくなる。こつんと追突してしまうこともあるのだ。
 単独生活のこのハチはおとなしい性格で、自分から攻撃に出ることはまずないとのこと。結婚相手を探すなわばり飛行なのだろうが、冬眠からめざめ、忙しい子育ての夏を前に、ゆとりの時間を楽しんでいるように思えてならない。

(文と絵:行徳野鳥観察舎 蓮尾純子 )

 

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むかしの市川



トウキョウダルマガエル

カット「トウキョウダルマガエル」(sz436.gif、約8KB)
 昭和25,6年頃の冨貴島小学校前の真間川(境川といっていた)から子の神社の間の低地は、一面田んぼで中程に小川が流れ、澄んだ水の中には、小魚、エビ、貝などを見ることができました。
 道は農道で狭く、全面に草が生え、ぬかるみも多い道でしたが、田舎育ちの私の息のつける所でもありました。
 4月頃からは、この草むらを歩くと、草の中にかくれていたトウキョウダルマガエルが、ボチャン、ボチャンと水に飛びこみ、水中の泥にかくれてしまいます。その近くの葉の上、水の上には、可愛い目つきのトウキョウダルマガエルが何匹も目につきます。
 この頃、小学校でおたまじゃくしの飼育があり、子供に頼むとすぐにトウキョウダルマガエルのおたまじゃくしを採ってきてくれました。今では市内で探すのは困難なおたまじゃくしです。

(博物館指導員 鎗田安之 記)

 

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わたしの観察ノート No.25



◆大町自然観察園より−−−−−−−−
 
金子謙一(自然博物館)
 
松浦秀治さん(大町在勤)

◆柏井雑木林より−−−−−−−−−−
 
以上 籔 忠さん(本北方在住)

◆大柏川・真間川より−−−−−−−−
根本貴久さん(菅野在住)

◆北方遊水池より−−−−−−−−−−
  
以上 石井信義さん(菅野在住)

◆本北方より−−−−−−−−−−−−
 
籔 忠さん

◆北国分より−−−−−−−−−−−−
 
谷口さん(北国分在住)

◆里見公園付近より−−−−−−−−−
 
以上 秋元久枝さん(国府台在住)

◆江戸川より−−−−−−−−−−−−

◆菅野より−−−−−−−−−−−−−
 
以上 根本貴久さん

◆新田より−−−−−−−−−−−−−
 
以上 安藤ゆきのさん(新田在住)

◆行徳野鳥観察舎より−−−−−−−−
 
蓮尾純子さん(福栄在勤)

◎雨が少なくて、冬なのに渇水対策が取られました。そのせいなのか、コブシがほとんど咲かない春でした。

 

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