◆  市川自然博物館だより  ◆

 2000年10・11月号(第70号)

花の特集 4

湿地の花
 

市立市川自然博物館 2000年10月1日発行

 特集記事  街かど自然探訪  レッドデータブック掲載種紹介
 くすのきのあるバス通りから  わたしの観察ノート




特 集  湿地の花


ミソハギの花

細かく分かれた枝にピンク色の花を多数咲かせます。普段は全
体ばかりを見てしまいますが、花ひとつのアップもきれいです。

 


 


花の特集・『湿地の花』

  湿地の植物は、かつて田んぼが身近だった時代にはありふれていました。イヌビエやオモダカなどの田んぼの雑草があり、また、セリやマコモ、ミソハギなど暮らしの中で利用された植物もありました。都市化が進み、湿地を埋めて多くの住宅を供給する時代になって、ありふれていた植物は珍しいものになってきました。

 

オオジシバリ

 タンポポをやや質素にした感じの黄色い花を咲かせます。休耕田のあぜなどに大きな群落を作ることがあり、花時には一面が黄色に染まって見事です。キク科の花なので、小さな花が多数集まってひとつの花を構成し
ています。
      (花:5月 キク科)

 

クレソン

 食べるクレソンです。オランダガラシという名もあります。帰化植物で、日本各地で野生化していますが、きれいな水の場所でしか生育できないという一面もあります。大町公園では2月ごろから湧き水の流れで瑞々しい若葉を伸ばしはじめ、4月には白い花が咲き始めます。4枚の花びらが十字の位置にありますが、これはアブラナ科の花の特徴です。
    (花:4月〜5月 アブラナ科)

 

 

 

 

オニスゲ

 湿地では、カヤツリグサ科の植物が多く見られます。本種やカサスゲなど、名前にスゲとついているものが多いです。
オニスゲは、真ん中に直立する雄花の穂と、その下に左右につく雌花の丸い穂とで花ができています。スゲの仲間のなかでは特徴のある形をしています。
   (花:5月 カヤツリグサ科)

 

セリ

 春の七草として若葉を食用にするセリは、夏に花が咲きます。写真は花を拡大して写したもので、小さな花が集まって大きな全体の花を構成していることがわかります。長いめしべも特徴です。
        (花:7〜8月 セリ科)

 

 

ハッカ

 ペパーミントなどのハーブがよく知られていますが、いわゆる「はっか」の原料となったのは本種で、日本に自生している植物です。対生についた葉の根元で淡い紫色の花を多数咲かせます。田んぼのあぜに普通な植物で、少し折れただけでも爽やかな芳香が辺りに漂います。

(花:8〜9月 シソ科)

 

ジュズダマ

 田んぼの水路や休耕田でごく普通に見られる植物です。かつて本種の実を集めて遊んだ経験のある方も多いようです。「数珠玉」の玉となる部分は雌花の穂が総苞葉に包まれた部分で、写真ではその先に、おしべをぶら下げた雄花の穂がついているのが見られます。

        (花:9月 イネ科)

 

 

アカバナ

 休耕田で群落を作ることがあり、紅色の花が群れ咲く様子は見事なものです。長い柄の先に4弁の花があるように見えますが、柄に見える部分はじつは子房で、花の一部を構成しています。花後には、この部分が実となって熟します。市内では大町公園の湿地でよく見られます。
       (花:9月 アカバナ科)

 

イボクサ

 ツユクサと同じグループに属する植物で、葉や花の感じが似ています。花は白色で、まわりにピンクを差した色合いをしています。1年草ですが、茎の下部で分枝するため大きな株になります。
       (花:9月 ツユクサ科)

 

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街かど自然探訪


 

湊新田・公園でどんぐり拾い

  行徳駅前公園は、この地域で安全にコナラやクヌギのどんぐりが拾えるポイントです。さらに、イチョウやサクラ、ケヤキなどの木々の、きれいに色づいた落ち葉もたくさん拾えます。どんぐりや落ち葉をいろいろ集めて人形やコマを作ってみてはどうでしょうか?
 
  ただし、公園にどんぐり拾いに行く時には、注意点が一つあります。公園の掃除が終わると、どんぐりも落ち葉もきれいに無くなってしまいます。

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レッドデータブック掲載種紹介

 


ヒヌマイトトンボ

分類:昆虫類  イトトンボ科  

ランク:絶滅危惧 I類

 

  海水と淡水が混じる、いわゆる汽水域にだけ生息するイトトンボです。生息地の多くは大きな河川の河口域にあり(都市が発達していることが多い)、人為的な影響を受けることが多くあります。
 
  市内では江戸川に小さなアシ原が残されていて、そこが唯一の生息地となっています。生息地が河川工事の影響を受けることが予想され、そのため、現在、保護対策が検討され実施されています。

     (市川市指定天然記記念物)

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くすのきのあるバス通りから


No.15今回の観察は…

灯籠流しの晩に……

「8月26日、灯籠流しで5時半から8時まで北方橋のあたりにいました。アブラコウモリが飛んでいて、灯籠流しの川面を見ているとツバメのように飛び交っていました。周りの人にも教えてあげたのですが、あまり関心がないようでした」
家ねずみの仲間を別にすれば、アブラコウモリは市内にもっとも幅広く生息する野生哺乳類です。でも、その暮らしぶりはほとんどわかっていません。
    (情報提供:M .M .さん)

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わたしの観察ノート No.52


◆大町公園より
  • ニイニイゼミの声を今年初めて聞きました(7/3)。
  • チョウトンボがハンノキの上空をヒラヒラと優雅に飛んでいました(7/24)。
  • ツユクサが湿地で多数の花を咲かせていました(8/7)。
    金子謙一(自然博物館)   
  • アサギマダラが飛んでいるのを見ました(7/9)。台風に乗ってやって来たと思われます。
  • コムラサキが樹液のでているヤナギに産卵していました(7/9)。市内での目撃は、最近ではめずらしいことです。
    清野元之(自然博物館)   
       
  • 渡りをする鷹サシバが斜面林から10羽一度に飛びたちました(8/9)。
    宮橋美弥子(自然博物館)   

◆柏井雑木林より

  • クロスジギンヤンマが林の池でなわばりを形成していました(7/12)。
  • キツネノカミソリの花が咲いていまし た(8/17)。
    金子謙一   

◆北方遊水池付近より

  • セリの花が咲いていました(8/10)。 
    その他にタカサブロウやヨメナ、ジュズダマなど水田や休耕田の雑草が花を咲かせていました。
金子謙一   

◆国府台付近より

  • アオバズクの幼鳥が巣立ちました(7/24)。
    親鳥と幼鳥2羽が、サクラの木にとまっていました(7/25)。
根本貴久さん(菅野在住)   

◆里見公園より

  • カラスの幼鳥が巣立ちました(6/24)。親鳥は、幼鳥の周囲で警戒してドスの聞いた声で鳴いていました。
秋元久枝さん(国府台在住)   

◆小塚山市民の森より

  • ヤマガラの幼鳥がエナガやシジュウカラと混群をつくっていました(7/20)。
    ヤマガラは近くで繁殖したものと思われます。
根本貴久さん   

◆宮久保周辺より

  • 5丁目のヨシ原で、ヘイケボタルが光っているのを見ました(8/9)。昨年は、8/31まで見ることができました。
堤 清平さん(宮久保在住)   

◆本八幡周辺より

  • 夜7時頃、本八幡駅南口のケヤキの木に、スズメが集まっているのをみつけました(7/12)。 去年もスズメのねぐらとして使われていました。
    田中利彦さん(船橋市在住)   

◆江戸川放水路より

  • 干潟にキアシシギのにぎやかな声がもどってきました(8/3)。
金子謙一   

◎今年の夏は、猛暑が続きました。

 

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