◆  市川自然博物館だより  ◆

 2000年12・1月号(第71号)

花の特集 5

樹の花
 

市立市川自然博物館 2000年12月1日発行

 特集記事  街かど自然探訪  レッドデータブック掲載種紹介
 くすのきのあるバス通りから  むかしの市川  わたしの観察ノート

 

特 集  樹の花


コブシの花

春を告げる白い花です。花の中には、らせん状に並んだ多数のおしべとめしべがあります。


花の特集・『樹の花』

 樹の花には、コブシや桜のように美しく人目を引くものがあります。一方で、小さかったり見た目が地味だったりして、ほとんど気に留められないものもあります。今号では、樹の花を拡大撮影した写真を用い、いつもとは違う一面をご覧いただこうと思います。ルーペを用いて観察する時の視点です。

 

サンショウ

写真は雄株の花のアップです。実際の花は5〜6ミリ程度の大きさです。花には花びらと萼の区別がなく、そのため一見すると花びらがないように見えます。雄しべは長く、その先で黄色い花粉が吹き出しています。野外ではこの花粉の色が目立ちます。

(花:4月 ミカン科)

 
 

ツリバナ

 直径1センチほどの円い形をした花です。中央に「花盤」と呼ばれる部分があり、そのまわりに5枚の花びらがついています。雄しべは花盤上に5つ、花びらと交互の位置にあり、花盤の中央には雌しべがあります。紅色を帯びた美しい花です。

(花:5月 ニシキギ科)

 
 

ミズキ

 5月ごろ、白くて目立つ花を咲かせます。花のひとつひとつは直径1センチ程度で、細長い花びらが十字に開きます。十字の中央には雌しべがあり、花びらと交互の位置に長い雄しべがあります。写真では、花どうしが重なって写っています。

(花:5月 ミズキ科)

 

ハナイカダ

 葉っぱの真ん中に花が直接咲くため、変わった植物として知られています。写真では左右に伸びている白い帯が葉の中央の脈で、そこに斜め上向きに花がついています。花は小さくて5〜6ミリ、色も緑色です。野外で咲いていても目立ちません。

      (花:5月 ミズキ科)

 
 

ゴンズイ

 秋〜冬に、赤い実がよく目立つ樹木です。花は数ミリ程度で小さく、花びらは萼とよく似ていて、ともに緑色をしています。花は鐘形で中に雄しべと雌しべがあります。花粉は黄色で鮮やかな色をしていますが、花があまり開かないので目立ちません。

(花:5月 ミツバウツギ科)

 

アカメガシワ 

 芽出しが鮮やかな紅色となることで知られています。雄株と雌株に分かれ、ともに花には花びらがなく、雄しべ、雌しべがむき出しになっています。写真は雄花を拡大したもので、多数の雄しべが、吹き出すように広がっています。

  (花:6月 トウダイグサ科)

 
 

ヌルデ

ウルシの仲間で、夏に小さな花を房状に多数咲かせます。写真は雌株の花で、直径は5ミリ程度、白、黄、紅と鮮やかな色合いをしています。花びらは5枚、中央の雌しべは先が3つに分かれ、また、花びらのつけ根には退化した雄しべがあります。

(花:9月 ウルシ科)

ヤツデ

 写真は花を斜めから写したもので、大きな花盤に5個の花びらと雄しべがついています。ひとつの花に雄性期と雌性期があり、写真は雄の時代です。この後、花びらと雄しべを落とし、花盤中央の雌しべが伸びてきて雌の時代になります。

(花:12月 ウコギ科)

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街かど自然探訪


南大野・こざと公園の大きな池
高層マンションや住宅にぐるりと囲まれたこざと公園は、2つの人工の池からなります。池の岸が垂直な壁なので、人間は直接水辺に近づけず、それが鳥にとっては人との適度な距離になっています。加えて水鳥が好きな開けた水面と、隠れ場所になる小さなヨシ原もあります。今春には、市内では珍しい、バンやヨシゴイなどが子育てをして話題になりました。冬にはカモの仲間がたくさん飛来し 池はさらににぎやかになります。

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レッドデータブック掲載種紹介

 


 

ミズニラ 分類:シダ植物 ミズニラ科
危険度:絶滅危惧 II類
 

  水中や湿地に生育するシダ植物です。シダといっても全体の姿はニラの株を思わせる単純なもので、一般的なシダの印象とは異なります。市内最後の確認は、大きな谷津の最奥部の水田でした。そこは埋められましたが、株を長田谷津(大町公園自然観察園)に移植し保護しました。順調だった移植株はその後消滅し、現在は、土中に残ると期待される胞子からの復活を待っている段階です。市川では、限りなく絶滅に近い状態です。

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くすのきのあるバス通りから


 

No.16今回の観察は…

ドングリ虫はどうなるの.....

「9月下旬に小塚山で拾ってきたクヌギのどんぐりから、幼虫が出てきました。 でも、何をしたいのか、どうすればいいのか聞いてもこたえず、毎年困っています。今年は成長した姿が見たくなり、土のうえに腐葉土をのせ、どんぐりと虫を 置きました。虫はもちろん、どんぐりに後戻りはせず、ごにょごにょと腐葉土を掻き分けもぐっていきました。」
一続報が待たれます。

    (情報提供:M .M .さん)

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むかしの市川


このコーナーでは、博物館が1986年に行ったアンケート調査の結果から、むかしの市内の様子を紹介しています。 (原則として回答の原文のまま)
  • 私の子供の頃は(昭和5-15年)民家も少なく、北方、中山、宮久保、千足に少数の家があったほかは、畑、田んぼばかりでした。新川(真間川の枝流、現在の大野、北方の間の川)の現在の名は判らない、で泳いだり、雨が降ると、田んぼに入ってくるどじょうを、洞(竹で作った魚を取るしかけ)で取ったりしていました。(中略)冬は、凍った田んぼで、くつ、ながぐつ等で滑って遊びました(現在よりずっと気候が寒かったそうです)。他の遊びとして、凧あげは、北方から上げて、中山までとどきました。 (北方)
     
  • 江戸川の中程は浅く、泳いで行くと立てた。川の水は清らかで、各家庭では飲み水にも使った。大正の頃1丁目から八幡までトロッコが通っていたが、その後馬車になった。 (伊勢宿)

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わたしの観察ノート No.53


◆大町公園より
  • キツネノマゴ、ヨメナ、ジュズダマ、 フジカンゾウなど秋の花々が咲きだしました(9/4)。
  • アオジを見ました(10/30)。先週くらいから鳴き声は、聞こえていたのですが、草が倒れて空間ができてきたので、姿もずいぶん見られるようになりました。
    金子謙一(自然博物館)
  • ウラナミシジミがカナムグラに止まっていました(9/22)。毎年この時期に暖かい地域から飛来してきます。
           清野元之(自然博物館)
  • サンコウチョウを見ました(9/21)。シジュウカラやメジロの若鳥の群れに混じっていました。
     宮橋美弥子(自然博物館)
◆柏井雑木林より
  • カラカサタケの一種が白い傘を広げている姿が見られました(9/14)。
  • ショウリョウバッタモドキを見ました (10/19)。図鑑では見るものの、なかなか出会えない虫です。サトクダマキモドキもはじめて見つかりました。
    金子謙一(自然博物館)
◆国府台付近より
  • 江戸川河川敷でホバリングをするチョウゲンボウを見ました(8/26)。

◆里見公園より

  • シジュウカラの群れの中にヤマガラを見ました(9/9)。

◆小像山市民の森より

  • サメビタキとマミチャジナイを見ました(9/23)。

◆じゅん菜池公園より

  • ハシビロガモ8羽とヒドリガモ3羽が池に来ていました(9/23)。
  • カワセミを見ました(9/23)。水面すれすれをチーと鳴きながら飛んでいました。

◆菅野周辺より

  • 雨降る自宅の庭にキビタキ1羽が来ました(10/9)。

以上 根本貴久さん(菅野在住)
 

◆北方4丁目付近より
  • ジョウビタキとカシラダカを見ました(10/26)。
    石井信義さん(菅野在住)
◆江戸川放水路より
  • オナガガモの第一陣がやってきました (10/13)。
    小川 晃(自然博物館)

 

◎9月初旬は残暑が続きましたが、中旬を過ぎたころから秋を感じられるようになりました。

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