◆  市川自然博物館だより  ◆

 2001年10・11月号(第76号)
の特集 4

江戸川放水路の鳥

市立市川自然博物館 2001年10月1日発行

 特集記事  街かど自然探訪  レッドデータブック掲載種紹介
 くすのきのあるバス通りから  むかしの市川  わたしの観察ノート



 

特 集  江戸川放水路の鳥

△今回ご紹介する種類です。スズメを目安に大きさを比べてください。

奥左:アオサギ 奥中央:スズガモ
手前左から:スズメ、コアジサシ、シロチドリ、チュウシャクシギ

 



鳥の特集・『江戸川放水路の鳥』

 
 江戸川放水路には、東京湾の三番瀬へとつながる干潟、河川敷のヨシ原、土手の草原などの環境があります。
 そこは、季節ごとに水辺に飛来する渡り鳥はもちろん、ヨシ原の中や草原などにも目をやると、多くの種類が楽しめるポイントです。
 また、ほかの東京湾岸の保護区とは異なり、誰でも気軽に訪れることのできる場所でもあります。
 今回はその中から、水辺で見られる種類を紹介します。

    

水鳥の足

 鳥の脚の指は基本的に4本ですが、暮らす場所に合わせて様々な形をしています。サギ類の指は、前向きに3本、後ろ向きに1本です。
 シギやカモ類は、後ろ向きの1本は小さくなっています。チドリ類では後ろ向きの1本が無くて、前向き3本だけです。
 水辺で暮らす鳥は、前向き3本の指の間に、蹼(みずかき)を持つ種類が多いことが特徴です。
 カモやカモメ類は泳ぐことが多いので、指と指の間が完全につながり、ボートのオールのように水をかくのに適しています。
 シギやチドリ類の指の付け根に小さくついた蹼は、干潟の上を歩き回る時に泥に潜るのを防ぐ助けになります。
 サギ類は蹼が小さい代わりに、長い指全体で重たい身体を支え、泥に潜らないようにしています。
 江戸川放水路に行くと、干潟の上には、 いろいろな足跡が残されています。
 指が3本ハッキリわかる小さなものはチドリ類です。カモメ類の足跡は、みずかきの形にぺったりと押しつけたように残っています。

   スズガモ(ガンカモ科) 
  指と指の間がみずかきでつながっていて、泳ぐのに適している。
  カモメ類のほとんどもこのタイプ。
  コアジサシ(カモメ科) 
  カモメ科だがみずかきに切れ込みがあるタイプ。
  飛行が得意なのであまり泳いだり歩いたりしない。
  チュウシャクシギ( シギ゙科) 
  干潟の泥に潜りづらいように長い指の根元にわずかにみずかきがある。
  チドリ類も同じタイプ。


                                                         

カモ類(ガンカモ科)

  カモ類は、色がきれいで身体の模様が特徴的な雄に対して、一見すると雌はみな同じように茶色っぽく見えます。
  そのため種類の区別は、雄は比較的簡単なのですが雌は難しく、いろいろなポイントに注目する必要があります。
  模様の違いはもちろん、ペアや群れで行動している様子、頭や嘴の形や全身のシルエットなどもよく観察すると判断の助けになります。
 ちなみに放水路で見られるカモ類は、カルガモ以外は全て冬鳥です。またカルガモは身体の模様が雌雄で同じです。       (見られる季節:おもに冬)
 
  *放水路で見られるカモ類

     『市川市鳥類目録』
 (発行/ 市立市川自然博物館1993)より

 マガモ  オナガガモ  カルガモ

  ハシビロガモ  コガモ スズガモ

  ホシハジロ  オカヨシガモ
 
 キンクロハジロ   ヒドリガモ
 

   スズガモ(左:雄 右:雌)
 雄の頭は黒で、背中の灰色、腹と脇の白とのコントラストが美しい。
 雌は褐色の地味な色をしているが、くちばしの根元がぐるりと白いのが特徴。
 


コアジサシ (カモメ科)



  細長い翼は、体からはみ出すほど。
  尾も長く、燕尾状。 
  細長い翼を使ってたくみに飛行し、空中に静止しながら魚を狙い、真っ直ぐに水に飛び込む姿には見とれてしまいます。 
  川原のような広々として少し乾いた場所に集団繁殖地(コロニー)をつくります。 
 数年前までは幕張の埋め立て地に、昨年は市内の工場跡地にありましたが、建物が建ったり草が茂ると場所を移し、繁殖地は安定しません。
 江戸川放水路では普通に見られますが、国の絶滅危惧種に指定されてます。
  (見られる季節:春〜夏)


 

チュウシャクシギ(シギ科)


 
 下向きに曲がったくちばしが特徴的なシギ。
 口笛の様な声で鳴きながら飛ぶ。
 江戸川放水路では、春と秋、渡りの季節の主役はシギ類です。
 下に曲がっていたり、上に反ったりと、細長くて様々な形をしたくちばしがポイントです。
 干潟の泥に差しこんで餌を探し出す、そのくちばしには秘密があります。
 先端にある触覚で隠れた獲物を探り当て、さらに先端だけを動かす事ができるので、獲物を確実に捕らえることができるのです。
  (見られる季節:春、秋)

 
 

シロチドリ (チドリ科)


 
  短い嘴、丸い頭、大きな目は、チドリ類に共通の特徴。
 干潟をちょこちょこ走り回り、ピタッと止まって小さな生物を採る、また走る、その動作を繰り返します。
 シギ類のようにくちばしが長くないので、深く潜った生物は捕まえられません。
 シロチドリは黒色の脚、よく似たコチドリは黄色の脚なのでと簡単に区別できるようですが、干潟では脚が泥で汚れていることがあるので、決め手にはなりません。
   (見られる季節:一年中) 


アオサギ (サギ科)

 脚とくちばしがとても長く、翼は開く と1.6mに達する。
 後頭の冠羽が目立つ。

 日本のサギ類では一番身体が大きく、全体の色も青灰色をしているので、白鷺の仲間よりもどちらかというと鶴と間違えられがちです。
 とても長い脚でゆっくりと水際を歩き、長い嘴で魚などの餌を捕まえます。
 休んでいる時には、長い首を肩に埋めるようにして縮めるので、ボートの縁などに留まっていると、人かと見間違ってしまいます。
    (見られる季節:一年中)

最初へ戻る

 


街かど自然探訪



モト キタ カタ                                       
本北方・みのわ池

  
 
東部公民館の横の道を美濃輪公園に向かって歩いて行くと、少女の銅像の立った噴水のある、みのわ池があります。
 この池には流れ込む水源もないのに、なぜ水があるのでしょう?
 池から美濃輪台遺跡に向かう途中に崖があります。
 崖の上の台地に降った雨が地面にしみ込んで、みのわ池で湧水となり、出てきているからです。
 むかしは、この水を利用して、このあたりでは農業をおこなっていたそうです。

 

 最初へ戻る


レッドデータブック掲載種紹介

 



タ コ ノ ア シ  分 類: 種子植物 ユキノシタ科
  ランク: 絶滅危惧U類

 変わった名前は、実の時期の姿によっています。
 湿地や川原などの湿った場所に生育する植物で、市内では江戸川べりで見られます。
 もともと不安定な環境に生えるせいか生育状況は変化することが多く、河川の増水などで群落が失われたかと思うと、工事で河川敷を掘り返したら群落が出現したなどということもあります。
 広い視点に立てば、江戸川流域では、いつもどこかしらに点在して生育していると言うことができます。

 

 最初へ戻る

 


くすのきのあるバス通りから



No.21今回の観察は…

夜の散歩で見たヤモリ

 
 夜8時過ぎに散歩に出て、ヤモリの話を娘としながら歩いていました。
 「前に住んでいた北方の家は自然いっぱいだったけど、八幡はヤモリ、いるのかな?」
 「家の壁に隙間があって、そこに結構大きいヤモリが住んでいるよ。ウンコがその辺で見つかるし……」
 と話しつつ帰って来たら、向かいの家の門灯にヤモリがいて尻尾を振り振り逃げました。
 我が家のより色白でした。
       (M .M .さん)

 

 最初へ戻る


むかしの市川


  このコーナーでは、博物館が1986年に行ったアンケート調査の結果から、むかしの市内の様子を紹介しています。(原則として回答の原文のまま)

  • 上の方は普通畑とびわ畑が多く、下の 方は水田で家は数えるほどでした。大 川(現在は大柏川)にはシジミ、やつ めうなぎ、なまず、うなぎ、ふな、こ い、たなごなど、水田には、たにし、 カラス貝、どじょうなどがいた。美ノ 輪だめには、水すまし、げんごろう、 水かまきりなどがいた。たにしやカラ ス貝は食用にした。(北方)。

  • 家の二カイから海に浮かぶ帆かけ舟が 見えた。海岸までは田、畠、はす田の 広々とした耕地が広がっていた。海岸 から松並木が家近くまで生えていた。 (関ヶ島)

  • 家の前に川があり、毎日、舟で、その 川で、たんぼへ行って蓮根等を採って 農作業用に使っていました。(新井)

 

 最初へ戻る

 



わたしの観察ノート No.57

 

◆大町公園より

  •  ミソハギの赤紫色の花が咲きだしました(7/6)。盆花とも呼ばれ、夏の観察園を鮮やかに彩りますた。

  • サシバが林で休息していました(8/10)。 サシバの渡りが見られる季節になりました。

     宮橋美弥子(自然博物館)

  • テングチョウを見ました(7/11)。 その名のとおり頭の先が天狗のようにとんがっています。

      清野元之(自然博物館)

  • ヘイケボタルが、明滅していました (7/27)。 カブトムシの雄たちも餌場をめぐって争っていました。

     小川 晃(自然博物館)

  • ツルマメの花が咲きました(8/27)。 ピンク色の小さい花です。

      金子謙一(自然博物館)

◆柏井雑木林より

  • ヒグラシを見ました(7/3)。これから、色々なセミが鳴きだします。

     宮橋美弥子

◆大町小学校周辺より
  • コバギボウシの花が咲いていました (8/23)。 紫と白のさわやかな花ですが、株があってもちゃんと花が咲くことは林内では珍しいことです。

     金子謙一

◆里見公園より
  • ヤマガラとシジュウカラの群れを見ました(6/30)。

  • アオバズクは、7月23〜25日の間に巣立ったものと思われます(7/28)。
     今年は、何羽だったかを確認できませんでした。
     
     
    以上 根本貴久さん(菅野在住)
◆堀之内貝塚公園より
  • キツネノカミソリが咲いていました
    (8/9)。オレンジ色の花が群落で花を咲かせていて、ちょっとしたお花畑のようになっていました。

      金子謙一

◆国分調節池周辺より
  • セイタカシギを見ました(8/19)。他のサギ類といっしょにいました。
 
◆冨貴島周辺より
  • オオタカの若鳥を見ました(8/19)。最近頻繁に観察できます。
      
    以上 石井信義さん(菅野在住)
◆行徳鳥獣保護区より
  • ムスジイトトンボを見ました(7/28)。他にもナツアカネやシオカラトンボなどいろいろなトンボが見られました。 

       金子謙一

   ◎7月1日に梅雨明けしてしまい、猛暑、渇水の夏でした。


 最初へ戻る

博物館たよりIndexへ戻る