市立市川自然博物館 2002年12月1日発行

 特集記事  街かど自然探訪  こんないきもの飼ってます
 くすのきのあるバス通りから  むかしの市川  わたしの観察ノート

 


 

特 集  坂 川 旧 河 口

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自然のある場所X『坂川旧河口』

   市内を流れる江戸川のうち、里見公園のやや上流、松戸市との市境付近には、河川敷本来の自然がいまなお残されています。
 ここは坂川の旧河道と江戸川との合流点にあたり、特に植物は国の絶滅危惧種が5種類も自生するほか、野鳥や魚、昆虫も多く見られ、市川市の自然を特徴づける重要な場所の一つになっています。

    

河 川 敷 の 環 境

   江戸川と坂川の旧河道との合流点一帯(以下、坂川旧河口)は、都市化の進行が著しい市川市にあって、比較的、大規模な環境の改変を受けることなく近年まで維持されてきました。もちろん、農地として利用されたり土手の草刈りが行われたりと人間の手は常に入っていましたが、広々とした河川敷の空間に湿地や草原、アシ原、水路などが存在するという基本的な環境はそのままでした。
 河川敷の自然というのは、川の本体とつながりを持っています。坂川旧河口でも、コイが産卵のために水路に入り込んだり、江戸川で広く見られるクロベンケイガニが無数に生息していたりと、江戸川とのつながりは強固です。
 また、河川敷の自然は大水の影響を受けるという点でも独特です。大水は上流から、この地域にはいない生物を運んできますし、河川敷を土砂で覆って自然の姿を更新したりもします。坂川旧河口から江戸川水門にかけて点在するオニグルミは、おそらく大水がもたらした実が芽生えて育ったものでしょう。

 15年ほど前の坂川旧河口の景観 (左:写真、右:線画)
   河川敷の広々とした空間に、土手や湿地、水路など多様な環境が見られた。
   江戸川の本堤防も超高層建築もなく、空が広かった。

 

絶  滅  危  惧  種  の  植  物

   坂川旧河口に生育する国の絶滅危惧種の植物は5種類あって、すべて絶滅危惧U類に位置づけられています。
   いずれも適度な湿り気と日当たりを好む草本植物で、湿地・草原の開発や河川工事、植生の移り変わりなどにより、全国的に減少が懸念されています。

                   〔ノカラマツ〕
 夏に花を咲かせるキンポウゲ科の植物です。坂川旧河口では、限られた範囲において健全な群落が形成されています。

                    〔タコノアシ〕
 夏に花を咲かせるユキノシタ科の植物です。水位変動のある場所を好むとされ、坂川旧河口においても生育場所が限られ数も多くありません。ただ、土の中に眠る種子は多いようで、ちょっとしたきっかけで新たに生えてくることもあります。

                    〔ノウルシ〕
 早春に花を咲かせるトウダイグサ科の植物です。坂川旧河口ではある程度の規模で群落が形成されていますが、人間活動の影響も受けています。

                  〔フジバカマ〕
 秋の七草に数えられるキク科の植物です。坂川旧河口でもまとまった群落があるほか、保護活動も進められています。

   この他、エキサイゼリ(絶滅危惧TB類)、ヒキノカサ(絶滅危惧U類)がかつては自生していましたが、これらは絶滅してしまいました。ですが、同じ江戸川の別の場所では、新たに作った水辺に突然ミズアオイ(絶滅危惧U類)が出現したこともあり、土中の種子が目覚めることによる再発見の可能性もないわけではありません。
 また、絶滅危惧種にこそ選定されていませんが、サクラタデという美しいタデが見られるのも市内ではここだけです。

              〔カンエンガヤツリ〕
 大型のカヤツリグサ類ですが、全国的には生育する地域が限られていて、その中で利根川水系には多いといわれています。タコノアシと同様、河川敷に人手を加えると突然、群落が出現することがあります。

 

新 堤 防 を め ぐ っ て

大規模な環境の改変を受けなかった坂川旧河口で、現在、堤防の築造工事が進められています。絶滅危惧種の自生地であることを把握した上での工事なので、つぎのような対策がとられています。
 @.影響を受けるフジバカマ群落について保護・移植する。
 A.同じくタコノアシについて生育場所一帯の土を他へ移動する。
 B.新たにビオトープを造成し、河川敷の植生を継続的に保全する。
 このうち、@は「フジバカマの里親」という形で保護した株をボランティアの里親さんに育てていただいているほか、現地でも既存の群落が残ったため、そのフジバカマを育てるための草取りなどを手伝っていただきました。
  Aでは土の移動先で多数のタコノアシが育ったほか、サクラタデなどさまざまな湿地の植物が生育しました。
  Bは現在造成中ですが、まとまった規模の植物群落が保全されるのではないかと期待されます。


里親さんによる草刈り


新堤防(ロープ右側)とその脇で咲くフジバカマ

 

野 鳥 や 昆 虫 な ど

   坂川旧河口で見られる野鳥は、水辺ということもあって、サギ類やカモ類、バンやカワセミ、セキレイ類などが中心です。河川敷の開けた環境を利用してキジが継続的に子育てをしたり、川面にそってコアジサシが上がってくることもあります。また、里見公園の斜面林に隣接していることから林を好む種類も見られ、モズなどがよく見られるほか、ハシブトガラスも集団で利用しています。
 昆虫では、やはり開けた草原なのでバッタ類やコオロギ類、その他鳴く虫の仲間が多いようです。チョウやトンボなども、いろいろな種類が見られます。
 坂川の旧河道には、いろいろな魚が入り込みます。ウシガエルやミドリガメ、クロベンケイガニなども多数生息しています。ほんとうは、水の中にはもっといろいろ、いるのでしょう。堤防工事の関係で、たも網を入れるような小さな水路が無くなってしまったのは、もったいなかったです。

 

 

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街かど自然探訪
 イチカワミナミ
 市川南・江戸川のビオトープ

    市川南5丁目の河川敷に昨年、ビオトープができました。小さい池のように見えますが、メダカやカダヤシ、ミズカマキリやヤゴ、ヨシやカヤツリグサの仲間など、だんだんと動物や植物の種類も増えてきています。
 四季によっても見られるものが違いますが、近くに寄って動植物をじっくりと観察できる場所です。浅い池ですのであまり危険はありませんが、生き物が自然に生活できるようにルールをきちんと守って観察してください。

 

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  ザリガニ科  アメリカザリガニ

  アメリカザリガニの雌の腹には、卵をつけるための特殊な足があって、そこで卵を孵します。その後もある程度育つまでは子ザリガニを腹に抱えているので、日に日に重そうになってゆきます。
 餌の時間になると、母ザリガニは急に腹の足を揺すり始め、子供はふわりふわりと水の中に放られます。まるで早く御飯を食べなさい、とせかしているようです。それでも、中にはいくら揺すぶっても母ザリガニから離れないものもいます。

 

 

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  我が家の庭の生垣は常緑樹のベニカナメですが、他の草や木の葉は枯れ落ちていて、スズメがたまに地面に降りています。
   小3の娘が「メジロが柿を食べにきたみたい」というので行ってみると、すでに飛び立っていましたが、「目の周りが白いし、スズメみたいな模様がないし緑色っぽかった」と言っていました。
 その後、今度は垣根の中のほうの枝を渡っていく鳥を見かけました。カメラを持ってきて望遠レンズで確認すると、アオジのようです。
   枝から枝へ、垣根の中をまさに縫うように移動していました。
   20年も前に「あれがアオジだよ」と探鳥会で教わった時は、木の高いところで鳴いていましたが、博物館に問い合わせると「この時期は地面に降ります」とのことでした。
   興味が無い人は、メジロもアオジも、スズメが来ているのだろうと気にしてないのでしょうね。
       (M .M .さん)

 

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むかしの市川


  このコーナーでは、博物館が1986年に行ったアンケート調査の結果から、むかしの市内の様子を紹介しています。(原則として回答の原文のまま)
  • 曽谷台から眺むれば見渡限りの田甫唯一つの建物もありました。今は何千何万の建物がひしめいています。はるかに国分、須和田、菅野、堀の内の集落がかすんで見え遠く真間山と後方に富士山が見えました。曽谷には、120戸の農家と3、4件の店がありました。自動車は一台もなく自転車が何台かありました。(曽谷)

  • 農家が20〜30戸小集落、道も二間(3m) 位で特に庭など霜解けでひどく、みんな庭に藁が敷いてあった。霜どけや 汚れて葉書 着きにけり。環境はバスが通り、舗装された外は移住者の家がある他は大して変わらない。(昭和初年から20年頃まで)。 (後略) (柏井町)

  • 家から市川の南口まで見えた。汽車が通るのがまじかに見えた。とにかく田浦、見わたすかぎり水田でありました (原木)  

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わたしの観察ノート No.58


◆大町公園より

・サシバを見ました(9/2)。11羽で入道雲沸き立つ青い空を、日の光を浴びて白く光りながら、クルクルとまわっていました。

・ユウガギクが咲いていました(10/6)。 今年は例年にくらべてよく目立ちました。

・ヤマカガシを見ました(10/22)。わりと大きなヤマカガシがニホンアカガエルをくわえて湿地を進んでいました。

  金子謙一(自然博物館)

・ニホンミツバチの巣をみつけました (9/26)。 大きな樹のウロに巣をつくっていました。

    阿部則雄(船橋市在住)

・サワガニを見ました(10/3)。 雌がおなかに小ガニをいっぱい抱えていました。

    小川 晃(自然博物館)

・カケスを見ました(10/4)。 観察園では冬の鳥ですが、ドングリがあるこの時期にひと月ぐらい姿を見せます。

・ミゾソバの花が咲いていました(10/4)。 タデ科の花が見頃です。

  宮橋美弥子(自然博物館)

・ウラナミシジミを見ました(10/4)。 房総半島南部から世代交代しながら移動し、秋になって市川に達しました。 

  清野元之(自然博物館)

◆堀之内貝塚周辺より

・フクロウを見ました(9/29)。 久し振りに姿を現しました。

里見公園より

・センダイムシクイを見ました(9/8)。

・トケン赤色型 (おそらくホトトギス) を見ました(9/16)

・アマツバメを見ました(9/22)。

小塚山公園周辺より

  ・サンコウチョウ♀を見ました(9/8)。
     
    ・キビタキ、エゾビタキを見ました(9/29)。 

    ・オオルリを見ました(10/6)。 
   
  ・サメビタキ、マミチャジナイを見ました(10/12)。

じゅん菜池公園より

    ・ハシビロガモ、オナガガモ、キンクロハジロを初認しました(9/16)。 
国府台江戸川河川敷周辺より
     ・ハチクマを見ました(8/25)。 低空を飛んで国府台の台地上に消えました。

    ・ノビタキを見ました(9/29)。 

    以上 根本貴久さん(菅野在住)

江戸川放水路周辺より 

         
・ウラギクの花が咲いていました(10/23)。 汽水の湿地に生える野菊の一種です。

        金子謙一 
秋の季節が短くて、一気に寒さが身にしみる季節がやって来ました。

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