市川自然博物館だより84号長田谷津

市立市川自然博物館 2003年2月1日発行

 特集記事  街かど自然探訪  こんないきもの飼ってます
 くすのきのあるバス通りから  むかしの市川  わたしの観察ノート

 


特 集  長 田 谷 津

※別ウィンドウで開きます
周辺地図


 

自然のある場所Y『長田谷津』 

   市北部・大町地区の長田谷津は、かつては「大町自然公園」として、現在は「大町公園・自然観察園」として親しまれています。
  新緑の頃やホタルの季節、秋の紅葉、冬の野鳥観察など、さまざまな機会に大勢の人が訪れる身近な自然の公園です。
  そして、長田谷津には市内有数の豊かな自然環境が残っています。

    

谷  津   の  環  境

 長田谷津では、その名のとおり「谷津」と呼ばれる地形が見られます。
 谷津は、平坦に広がる台地に刻まれた細長い谷のことで、下総地域では普通に見られ、市内でも中部から北部、大柏川流域や国分川流域にいくつも刻まれています。
 もっとも、その多くは宅地開発などによって景観が改変されてしまい、一見するだけでは谷津であることがわからなくなってしまいました。
 そんな中で、長田谷津は本来の谷津の姿をとどめる市内唯一の場所と言うことができます。
 谷津の特徴は、台地から谷底へ至る高低差十数bの斜面に成立した林(斜面林)と、谷底に広がる湿地帯にあります。
 台地上でしみ込んだ雨水が、斜面裾から湧水となって流れ出すので湿地帯が形成されるのです。この湿地帯を稲田として利用することもあります。
 その場合、「谷津田」と呼ばれることが多いようです。 木々に抱かれた斜面林の環境と、豊富な湧水に潤された湿地の環境、この両者が互いに接して一体となっているのが、谷津という場所なのです。

長田谷津の写真 長田谷津の線画

 長田谷津を斜め上空から撮影 (左:写真、右:線画)
斜面林に縁取られて、細長い谷底の地形がよくわかる

 

豊 か な 生 態 系

   長田谷津では、生き物たちによって様々な「できごと」が、日々、繰り広げられています。
 その一部を図にしてみましたが、とても書ききれるものではありません。生き物による「できごと」の多さは、そのまま生態系としての豊かさと言っていいでしょう。
 いかに多種多様な生物が住み着き、互いにかかわり合っているかが反映されているからです。
 長田谷津での「できごと」の多さは、三番瀬〜江戸川放水路一帯に匹敵します。
 小さな市川市の北と南に豊かな自然が残されているわけです。
 そして、共に水辺と陸地の接点に位置する場所であることが、そういう環境の生物生息空間としての大切さを物語っています。

     「できごと」の宝庫・長田谷津

 

林 と 湿 地 を 行 き 来 し て

 長田谷津には、そこを林としてだけ位置づけて暮らす生物がいます。
 オオタカやフクロウがそうですし、例えばジムグリというヘビは、名前の通り地面に潜ってネズミを捕らえるので、完全に林の区域だけで暮らしています。
 長田谷津を湿地とだけ位置づけている生き物もいます。
 水路や池にいる魚は当然ですが、その魚を捕らえるカワセミも、長田谷津に姿を見せるようになったのが大きな池を造ってからなので、湿地の、しかも池が目当てで来ていると言えるでしょう。
 ニホンアカガエルも、卵から親に至るまで湿地だけで生活が完結しています。
 ですから、ニホンアカガエルの生息場所は谷津に限らず、かつては市内の田んぼで広く見ることができました。
 一方、谷津でなければ生きていけない生き物もいます。 林と湿地の両方を利用する生物です。
 例えばオニヤンマです。 幼虫(やご)時代を湿地の水路で送ったオニヤンマは、羽化するとともに湿地暮らしに別れを告げ、林へと向かいます。
 餌となる虫の多い林内で成熟し、その後は再び湿地へ向かうのですが、オニヤンマが翅を休めたり、あるいは交尾の場とするのはいずれも木の枝です。
 オニヤンマの成虫にとっては、長田谷津の斜面林こそが生活の場なのです。
 湿地を使う幼虫時代、林を使う成虫時代−その両方を可能とするのは谷津だけです。
 市内ではほとんど見られないオニヤンマが、長田谷津でのみ特異的にたくさん見られるのは、そういう理由によるのです。
 冬の長田谷津を歩くと、メジロやシジュウカラ、あるいはホオジロやカシラダカ、ウグイスといった鳥たちが、斜面林の梢や地面から次々に湿地に舞い降り、そこここで餌をついばむ光景に出会います。
 いずれも林で暮らす野鳥ですが、餌が豊富な湿地や水浴びに適した水路が隣接する谷津は、暮らしやすいようです。谷津には、多くの生き物を受け入れるだけの懐の深さがあります。

ニホンアカガエル写真

オニヤンマ写真

ニホンアカガエル

オニヤンマ

 

 

最初へ戻る


 

           

街かど自然探訪
 イ ナ ゴ シ マ チ
 稲越町・国分川調節池

国分川調節池の写真

  国分川から春木川の流路の分岐点付近にある大きな池が、国分川調節池です。
 大雨が降った時などに増加した川の水を一時的に貯めておく、水害を防ぐための治水施設ですが、水辺に集まる野鳥を観察できる良いポイントにもなっています。
 春〜夏にかけては、セッカやオオヨシキリなど、冬にはハシビロガモやコガモなどのカモ類や、時にオオタカなども姿を見せます。
 ゴイサギやアオサギなどのサギの仲間は、一年中観察できます。

 

 最初へ戻る


  カワニナ科    カ ワ ニ ナ 

カワニナ飼育展示

 飼育展示で人気があるのはよく動くもの、と思われがちですが必ずしもそうではありません。
 親が先に行ってしまっても、カワニナの前には幼児が動かずにいることがあります。
 幼児は、蓋のしていない1p程の水を張ったバットに転がっているカワニナをつついたり、摘んでみたり…、熱心にやっています。
 あまり動かないのが逆に怖くないのでしょう。カワニナには気の毒ですが、ちょっとしたふれあいコーナーになっています。

 

 

 最初へ戻る


 

冬枯れの景色と春の気配

  このところの寒さのせいか、近所のバショウやクワズイモが霜枯れしてしまいました。暖かくなれば立ち直るのですが。
 何か変わった事がないものかと散歩をしたり、買い物のついでに寄り道をしたり、はてはカエルでも掘り当てようと庭をシャベルで掘ったりしましたが、残念ながら全部外れました。
 街路樹は強く剪定され、残った枝や幹にひょっとしたらアオスジアゲハのサナギがついていないかと、ずいぶん見て歩きましたが、いませんね。
 庭にくる鳥に新顔が現れました。「ヒヨじゃない鳥がきた。茶色いよ」という娘の声。見ると、ツグミでした。
 ロウバイは咲き終わりましたが、ウメはまだのようです。南側の塀の外は、風がよけられて日もあたります。
 カキドオシに似た花が咲いています。図鑑にも出てないので、園芸店で売られているものかもしれません。近所ではスミレも咲いていました。
    (M .M .さん)

 

 最初へ戻る


むかしの市川


  このコーナーでは、博物館が1986年に行ったアンケート調査の結果から、むかしの市内の様子を紹介しています。(原則として回答の原文のまま)
  • 国府台近辺は野砲兵舎が3個連隊あって軍人の街であった。家の囲りは梅林、桃林があり民家はまばらであった。凧あげなどは練兵場で遊んだ。江戸川から入った堀でフナ、ナマズ、ウナギ、タナゴ、しじみなどが取れた。(国府台)

  • 法華経寺の参道は石だたみで、周辺は、マツ、杉、竹などでおおわれていて、民家(農家)もまばらで、静かな所だった。・中山小学校の東側に池があり、フナ、クチボソ、ざりがに、食用がえるなどがいた。子供たちは、いかだを作り、よく遊んだ。・駅下は、ほとんど田んぼで、遠くに原木の海が見えた。(中山)

  • 現在の市川駅南口(大洲方面)、新田地区。たんぼや原っぱがあって子供仲間とあそびまわった。(市川南)

 最初へ戻る


わたしの観察ノート No.58


◆大町公園より

・ジョウビタキを見ました(11/5)。 ヨシの茎にとまって、ヒッヒッと鳴いていました。アオジも増え、野鳥観察の楽しい季節になりました。

・カシラダカを見ました(11/18)。たくさんのアオジとちょっとのホオジロに混じっていました。

・ヒサカキの枝に黒い実がびっしりついていました(12/8)。また、今春に咲くつぼみも、ずいぶん目につきました。

・ツグミを見ました(12/15)。十羽ほどの群れが、谷の上空を何回も通過していきました。

   金子謙一(自然博物館)

・ウラギンシジミを見ました(12/11)。今年も常緑樹に翅をとじて越冬している個体が見られる時期になりました。
   清野元之(自然博物館

・キクイタダキを見ました(12/27)。 メジロの群れに混じってチョコチョコとせわしなく動いていました。

 小川 晃(自然博物館)

◆大野4丁目周辺より

・カワセミを見ました(12/27)。駒形神社の前の三角の池で小魚を3匹捕まえていました。

 岡野谷歩実さん(大野町在住)

◆堀之内貝塚周辺より

・ツグミを初認しました(11/4)。 

・フクロウは、相変わらずいつものシロダモの中で寝ていました(12/15)。

 

里見公園より

・ハヤブサを見ました(11/9)。 いきなり低空で現われ、ドバトに襲いかかりましたが致命傷をあたえるまでにいたらず北方向へ姿を消しました。

・アトリを見ました(12/8)。 アトリの群れに混じってウソが1羽いました。

小塚山公園周辺より

 ・カワラヒワを見ました(11/23)。 100羽以上の群れをつくっていました。
     
  ・ルリビタキを見ました(11/24)。

    ・ウソの鳴き声をききました(11/30)。
   

じゅん菜池公園より

    ・アメリカヒドリを見ました(10/19)。急に数を増やしたヒドリガモに混じっていました。

 ・ユリカモメを初認しました(11/2)。
国府台江戸川河川敷周辺より
     ・アオバトを見ました(11/10)。斜面林のエノキにとまっていました。1998年以来の観察です。


    以上 根本貴久さん(菅野在住)
12月に入るとぐっと冷え込むようになり、5pの積雪も記録しました。

 最初へ戻る

 

博物館たよりIndexへ戻る