市川自然博物館だより 85号
 

市立市川自然博物館 2003年4月1日発行

     今年度の特集は、『長田谷津総合調査』の内容を紹介していきます。
        第1回目は『市内の谷津』についてです。

      新コーナー『自然博物館のめ』が始まりました。
      
生き物をいろいろなかくどから見ていきます。

 特集記事  街かど自然探訪  こんないきもの飼ってます
 くすのきのあるバス通りから  自然博物館のめ  わたしの観察ノート

 


長田谷津調査報告

特 集 
市川市内の谷津

 


 

長田谷津総合調査報告

  長田谷津とは、大町自然観察園を含む谷津のかつての呼称で、市川市内で唯一、谷津本来の環境があり、そこに多様な生物が生息している場所です。
 長田谷津の環境や生物についての総合調査を行ってきました。
 今年度の特集では、その調査結果について分野ごとに紹介してゆきます。

    

市 内 の 谷 津

  谷津とは、台地に切り込んだ細長い谷のことで、湧水によって潤される谷底の湿地と、谷を縁取るようにある斜面の林とが組み合わさってできている場所です。
 「谷戸」と呼ばれる場所も良く似た地形です。
  市川は国道14号線を境にして、北部に台地、南部に低地が広がっています。
  このために同じ市川市内でも、たくさんの谷津がある北部は起伏が多いのに対して、南部は平坦な土地が広がるというふうに、谷津の存在によって南北で景観も異なっています。
  地形図から谷津の地形と判断できる場所は、長田谷津を含めて市川市内に
23ヶ所あります。
  長さ数q、幅数百mの大きい谷津から、長さ数百m、幅数十mの小さい谷津まで大小様々です。
    ほとんどの谷津が、大柏川と国分川が造った谷に向いて入口が開いています。
  大柏谷と国分谷を幹谷と考えると谷津はそれらの谷の枝谷にあたり、それぞれの川の上流になります。
市内の谷津の分布図

                  △市内の谷津の分布 
             矢印は谷津の入り口を指し示す。
           のついている谷津が長田谷津

 

谷 津 の 調 査

   地図上では分かる谷津ですが、それでは現在どのような状況であるかを知るために、長田谷津を除く22ヶ所について、実際に現地に行って確認する調査を行いました。
 調査は、谷底と斜面に分けて、それぞれどのような利用がされているかを、おもに以下のような観点で見て行きました。
・土地が改変されてない谷津本来の利用…湿地、林
・土地が改変されているが土の地面が多い…田んぼ、畑、公園など
・土の地面より建物などの割合が大きい…住宅地など

  今回の調査は、現状確認が一番の目的なので、大雑把に林が多いか住宅が多いかなど、目視で判断してゆきました。その他、湧水が見られるか、谷津らしい景観が残っているかなども随時見ていきました。また、一つの谷津の中でも、上部と中部、下部で著しく異なった利用をされている場合は、分けて記録しました。

 

市 内 の 谷 津 の 現 状

 22ヶ所の谷津のうち、谷底にわずかでも湿地がある場所は、わずかに4ヶ所だけでした。これらの湿地は、一面ヨシ原になっていて、水辺らしい景観ではありませんでした。その他の場所は、湿地を埋め立てて、畑になっている場所もありますが、ほとんどの場所では、住宅がびっしりと建ち並んでいました。
  これに対して、斜面についてはほとんどの場所が、林でした。ただし林とはいっても、斜面裾も台地上も住宅が迫り、斜面の部分に細長く幅の狭い林が残されているだけでした。これらの林は、傾斜が急なうえに下草にアズマネザサなどが密生しているので、林に入って楽しむことはできません。
 つまり、市内のほとんどの谷津では、谷底は湿地を埋め立てた上に住宅が建てられ、斜面には幅の狭い林が、所々途切れながら残されている、というのが現状です。

若宮3丁目の斜面林と住宅の写真

南大野から市川大野駅に向かって見た写真

住宅が斜面ぎりぎりにまで迫る。
左側の林は緑地として残されている。
(若宮3丁目 
2000.3.17撮影)

南大野の町から武蔵野線市川大野駅の方を望む。
谷底は住宅で埋まり、斜面に林が見られる典型的な例。
(2000.2.29撮影)

 

 

谷 津 ら し さ を 残 す 場 所

  長田谷津以外には、市内には本来の谷津は無いように思われますが、谷津らしさを残した場所は何ヶ所かあります。
 大野町4丁目にある谷津の最奥部は、幅の狭い馬蹄形のわずかな湿地が、こんもりとした斜面の木々に囲まれた、昼でも薄暗い場所です。
  ここでは台地裾からしみだして始まる、川の源流の雰囲気を味わえます。ただし、その場所に行くには道がないために、気軽に訪れることはできません。
 大野町2丁目の谷津、通称うしろ谷津は、下部は住宅地になっており、一部は斜面にも住宅が建っています。
  中央付近に調節池があり、そこから奥は、工場があったり盛り土された草地になっていたりしています。連続した斜面林はよく残り、谷津らしい風景が今もかろうじて残っています。
  斜面の裾に沿って道があるので、植物を楽しみながら散策することもできます。ただし、湿地はほとんど埋めたてられていて、機能していません。

大野4丁目の谷津の写真

 谷底は乾燥化が進んでいるが、斜面裾に湧水の流れが残っている
(大野町4丁目 
2000.2.29撮影)

 

 

長 田 谷 津 の 貴 重 性

  長田谷津が市内の他の谷津より優れている点としては、斜面と谷底がともに開発されずに残されたということが、まず挙げられます。
  しかし、それだけではありません。たとえば湧水については、1年を通して枯れることなく、湿地を潤すだけの量が必要です。
  谷津だけでなく一帯の台地上も梨畑などの土の地面であるために、雨水がきちんと地面にしみ込んで地下水が確保されているのです。
   周辺一帯も含めて、谷津の機能がきちんと働くための要素が広域的に維持されているわけです。
 また、視点を変えて、都市に残された谷津としての使命を考えると、利用も重要です。そのためには、ある程度人が谷津に近づけるような、道の整備も必要です。
   長田谷津は、自然観察園として園路が整備されているので、特別な身支度の必要はなく、また、湿地にあまり影響を与えずに、湿地を歩くことができます。
  もちろん、長田谷津も良い点ばかりではありません。長田谷津は、市営霊園の正門西側から始まる長さが2q近い大きな谷津です。
  そのうち自然が残されているのは、自然観察園のある奥の部分だけです。その湿地も、ある程度手を入れて管理しないと、一面のヨシ原となり、次第に乾燥が進み、湿地として機能しなくなります。斜面林も同じです。
  北総地域の谷津が、本来どのような姿をしていたか、またこれからの利用の仕方なども考えながら、市川に唯一残された谷津の将来図を描いてゆく必要があります。

 

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街角自然たんぽう

 イ リフネ                             
 入 船 ・ 東 浜 公 園

メタセコイヤの写真

  公園にはだいたい大きな木が1,2本植えてあり、それをシンボルツリーと呼んでいます。東浜公園のシンボルツリーはメタセコイアで、大きな木が2本並んで植えてあります。
 メタセコイアは、樹高が25m以上に大きくなる木ですが、樹形は自然に二等辺三角形の美しい姿になります。春の芽出しや夏の青葉が茂る姿、赤茶色の紅葉、落葉して枝だけになった姿など、四季をとおして楽しめます

 

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博物館でこんないきもの飼ってます

  おたまじゃくし 

オタマジャクシの写真

  春の人気者です。
 アニメにも登場し、知名度は高いのですが、最近はお目にかかることはほとんど無い様で、大人も子供も興味津々です。たらいのような水面の広いガラス水槽で飼っています。

 太さが爪楊枝ぐらいで、長さが
1pぐらいの棒状の餌もやっています。
 餌はつつかれるとすぐ動いてしまうのですが、何匹もが同時に食べに集まるので、いつもふらふらしています。
 おたまじゃくしが集まって、餌を統率の悪いお神輿みたいに運んでいるように見えます。

       

こんなふうに飼っています

  ※ ※ ※ 餌 ※ ※ ※  

・ ほうれん草 …  くたくたになるくらい柔らかく茹でる。ラップに一枚ずつ平らに広げて冷凍にする。必要な量だけ割って使えて便利。

・ たんぱく質の餌… 煮干や鰹節は水が汚れやすいので、金魚や亀の餌の方が楽。

 

  ※ ※ ※  水換え ※ ※ ※  

・ 水 … 1日汲み置きしたもの。水深は5センチぐらい。目の細かい網にざっとあけて換える。できれば毎日。

・ 卵で採ってきた時は…ゼラチン質と、中が白く濁った卵は孵らないので取り除く。  

 

 ※ ※ ※その他 ※ ※ ※

・ 容 器…たらいのような口の広いもの。透明だと横からも見れて楽しい。エアレーションは無くても、たいてい大丈夫

・ 置く場所は…陽の直接あたらないような場所。

 

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くすのきあるバス通りから 今回のテーマは たくましい笹

支柱の先端から笹の葉がでている写真

  近所の知人宅へ行く途中、見つけました。笹が、コンクリート敷きの駐車場の支柱の先端から葉を茂らせていました。
  笹だから、この様な姿になったのでしょうね。草や木なら『光が欲しい』と途中で枯れてしまったのかもしれません。
 隣の家の庭には、おおもとの笹が生えていました。そこから地下茎を伸ばし、運良く支柱のところに伸びた地下茎から、地上へと出てきたもののようです。
 (M・Mさん)

 

 

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自然博物館の

博物館のめ


シジミガイ科 マ シ ジ ミ

マシジミの写真 湧き水が流れている写真
砂にもぐっていたのを掘り出した。

マシジミが暮らす湧き水の流れ

マシジミの殻の噛み合わせ部分のアップ写真 市内のマシジミの生息場所の地図
殻のかみ合わせ部分(歯)
市内での生息地

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

・カシラダカを見ました(1/6)。湿地の草が霜で覆われてしまったので草の上で餌を探していました。アオジやホオジロなど、ふだん草の陰にいる鳥たちも、全身がじっくり見えました。

・ミソサザイを見ました(1/20)。斜面裾の水路でウグイスの声かな?と思ったらミソサザイでした。

      金子謙一(自然博物館)

 

・ニホンアカガエルが産卵をしていました(1/20)。19日夜の雨をきっかけにして20日の夜に産んだようです。

      阿部則雄(船橋市在住)


・ウグイスのさえずりを聞きました(2/21)。朝方は途切れがちだったさえずりも昼近くにはホーホケキョと聞こえるようになりました。

・ヒキガエルが産卵をしていました(2/23)。紐状の卵塊が2個ありました。周辺では,鳴き声も聞こえました。

      宮橋美弥子(自然博物館)

◆大野4丁目周辺より

・ウスバフユシャクを見ました(1/7)。冬にだけ出現する蛾の仲間で駒形大神社近くの街灯に止まっていました。

      清野元之(自然博物館)

◆柏井雑木林周辺より

・ノウサギを見ました(1/7)。林で越冬している虫を探していたら、ちょっと顔を見せて一目 散に逃げていきました。

         小川晃(自然博物館)

 

   ◆堀之内貝塚周辺より

・オオタカを見ました(1/18)。若鳥が林の中をいきなり飛びすぎていきました。カラスに追われてのことでした。

  ◆里見公園周辺より

・キクイタダキを見ました(2/15)。4年ぶりのことです。

・イカルを見ました(2/16)。大きなエノキにとまって実を食べていました。
   

   ◆小塚山公園周辺より

・アトリを見ました(1/5)。サワラの種子を盛んに食べていました。

・ヤマシギを見ました(1/19)。

   ◆国府台江戸川河川敷周辺より
     

・ベニマシコを見ました(1/5)。アシ原にとまっていました。市内では7年ぶり2度目の観察です。

・ハヤブサを見ました(1/25)。獲物を脚につかんだまま、上空を北に飛び去っていきました。


    以上 根本貴久さん(菅野在住)

◎とても寒い日と暖かい日が周期的にありましたが、季節の推移は順調でした。

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