自然博物館だより 86号

市立市川自然博物館 2003年6月1日発行

     今年度の特集は、『長田谷津総合調査』の内容を紹介していきます。
        第2回目は『長田谷津の姿』についてです。

      新コーナー『自然博物館のめ』が始まりました。
      
生き物をいろいろなかくどから見ていきます。

 特集記事  街かど自然探訪  こんないきもの飼ってます
 くすのきのあるバス通りから  自然博物館のめ  わたしの観察ノート

 


長田谷津調査報告

特 集 
長田谷津の姿

 


 

長田谷津総合調査報告

 前回、市内の谷津すべてについて現状を調べた結果から、長田谷津が市内で唯一の谷津本来の姿を残した場所であることを紹介しました。
 今回は、その長田谷津について、もう少し詳しく説明します。自然環境の土台となる地形、谷津の生命とも言える水、そしてそこに成立している植生についてです。

    

長 田 谷 津 の 地 形

 前号でも触れましたが、長田谷津は、本来、全長2q近くにも及ぶ大きな谷津です。
 しかし、そのうちで谷津本来の姿が残されたのは最奥部の700mほどに過ぎません。ここでは、その700mほどの範囲(大町公園自然観察園)をもって「長田谷津」と称しています。
 長田谷津は、地形的に3つの要素で成り立っています。谷の周囲に広がる平らな台地、台地から谷底へ下る斜面、そして谷底の平坦な部分です。
 標高は、台地上が24〜27m、谷底が12〜13mで、斜面の部分は高低差12〜14mの急勾配になっています。谷底の幅は40m〜50mで一定しており、また、谷の奥側と入口側との高低差は2mほどしかありません。
 ですから、長田谷津の地形は、幅が狭く深い谷が1qほどにわたって細長くほぼ水平に続いている、といったイメージになります。
 本来の谷津のうちの最奥部だけを見ているせいもありますが、それでも、たとえば房総半島の方で見られるような、広い入口から、奥に向かって坂をどんどん登っていく谷津とは、ずいぶん感じが異なります

長田谷津の位置図   

    本来の長田谷津と、保全された最奥部の範囲
                                (マルの範囲)

(国土地理院昭和
46年発行 2万5千分の1地形図)

 

長 田 谷 津 の 水 系

   自然環境の土台として地形があり、そこに植物が生えることで、生態系の基礎となる植生ができあがります。
  生物が資源として活用するものには、土、水、日光、空気などがあり、植生それ自体もまた他の動植物にとっての資源となります。
  このうち、土や空気はあまり変化するものではありませんが、水は、存在のしかたが大きく変化します。
  特に地表にあるのか土中にあるのか、流れているのかたまっているのかなどは大きな違いで、その水をどの生き物が利用できるのかという差になって表われます。 
  長田谷津の水系を調べて図にしました。長田谷津の水は、一部の井戸水を除くとすべてが湧水で、いずれも斜面の裾の部分から湧出しています。
  谷津の中での大きな水の動きは、谷の奥から入口方向へ、また、左右の斜面から谷の中央方向へ向かっています。
 中央に背骨のように位置する大きな水路は湿地の水を集めて流す水路で、水田耕作をしていた当時、排水路として使われていたものです。
 下の図のように、谷には大小の流路が一応は存在しています。ですが、高低差が少ないこともあって水の動きは確定的なものではなく、たとえば、大雨の影響で斜面の土砂が谷底へ流れ込んだりすると、水のたまりが湿地になったり、新たな流路ができたりします。
 しかし、谷の奥から入口へという大きな水の動きは変わりません。また、湿地が放置状態になってから年が経過するなかで、枯れた茎葉が積もったり根が土を掴んだりして、全体の地盤が高くなりました。
 その結果、湧水が地表に出なかったり、園路下(相対的に低い)を流れるようになっています。こういう水は水面が見えないため、生き物にとってはとても使いにくい状態です。長田谷津の水系は大きな方向は変わりませんが、細かな部分は土砂の流入や植生の遷移などによって、かなり頻繁に変わってしまいます。

長田谷津の水系図

 

   長 田 谷 津 の 植生

   長田谷津の植生(どこにどういった植物の群落が見られるか)は、基本的に先述した3つの地形要素と一致しています。  
 ・台地上……農地
 
・斜 面……林(斜面林)
 ・谷 底……湿地 
   本来は台地上から斜面にかけて林が広がり、谷底は現在と同じように湿地だったと思われます。ですが、長田谷津の場合はいわゆる里山として利用されてきた歴史があるため、台地上は梨畑などに利用され、谷底もかつて水田耕作がなされ、斜面についても林業的な施業が行われてきました。
 谷底の湿地は、水田耕作を中止してからおよそ30年が経過し、現在はヨシを中心とした背の高い植物の群落が回復しています。
 植物群落の姿が時間の経過とともに移り変わることを「遷移」と言いますが、30年の遷移の結果が現在のヨシ原というわけです。
 もっとも、長田谷津の場合は自然観察園として利用していることもあって、ヨシ原以外の植生も必要で(植生が多様な方が生き物も多彩になる)、そのためにヨシ原を刈ったり湿地を掘り起こしたりして、つまり遷移を人為的に逆戻りさせて休耕田のような植生も作り出しています。
 
斜面林については、過去の手の入れ方を反映して多様な姿ができあがっています。イヌシデやコナラなどの落葉広葉樹を主体とした部分(いわゆる雑木林)、スギやヒノキ、サワラなどの針葉樹を中心とした部分、タケ林の部分の3つがあって、かつそれらはある程度入り混じっています。
 低木も、ムラサキシキブのように自然に育った樹種が何種も生える場所もあれば、播種されたシラカシの幼樹が密生する場所もあります。また、「モミジの里」のように、特定の意図をもって作った部分も存在しています。
 
湿地も斜面林も細かく植生を区分することもできますが、細かな違いを「幅」として見ることで、ここでは全体を大きくひとつのものとして捉えています。

長田谷津の航空写真

湿地を掘り起こして休耕田のようにした写真

長田谷津の航空写真。
台地上、斜面、谷底で植生の様子が異なっていることがわかる。

谷底のヨシ原に手を入れて創出した田んぼ的な環境


 

街角自然たんぽう

 オオス                                                     
 大洲・江戸川堤防下の桜並木

   江戸川の堤防を歩いて行くと、大洲の北越製紙工場の裏あたりから、南に向かって500メートルぐらいの桜並木があります。春の花盛りの時は、たいへんきれいで、見ごたえがあります。
   秋の紅葉の季節も、葉が赤や黄色にきれいに色づいて、とても良いものです。ただし若葉の頃には、、オビカレハやアメリカシロヒトリなどの蛾の幼虫(毒は無い)が多く発生します。
  毛虫の嫌いな方は近づかないことをお勧めします。

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博物館でこんないきもの飼ってます

  かたつむり  

ミスジマイマイの写真

       ミスジマイマイ

  当たり前ですが、かたつむりは乾燥が嫌いです。空気が乾いてくると、殻の口に薄い膜を張って、動かなくなります。
  でもそこに霧を噴きつけてやると、ゆっくりと体が殻の外に出てきます。
  毎朝、ケース全体にたっぷりと霧をかけて起こしますが、昼ぐらいになって乾いてくるとやはり動かなくなります。
  でも、室内で飼っていても雨の日は分かるのか、日中動き回っています。
  これから冷房のかかる季節は、ちょっと苦手のようです。

       

こんなふうに飼っています

※ ※ ※準 備※ ※ ※

・床 材…人工芝(柔らかいもの)を使っています。ウンチをたくさんしても、毎朝ジャブジャブ洗えるので楽で、見た目がきれい。

 ※ ※ ※    ※ ※ ※

・菜っぱ、野菜くず…小松菜が好きですが、茎や葉脈はきれいに残します。食べたものによってウンチの色が変わるので、いろいろやると楽しい。

卵のから…殻をつくるのに必要なカルシウム補給は大切。 お互いのからもかじり合っています。  

  ※ ※ ※その他※ ※ ※

・卵は…土を入れた別の容器に移します。あかちゃんかたつむりは、からが1oくらい。  
大きいかたつむりと一緒だと、分からなくなってしまいました。
 

・棒や、割り箸で作ったアスレチックを入れておくと、動きが多彩に
なります。餌をやり忘れた時の、非常食にもなっています。  

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くすのきのあるバスどおりから  ご近所のいきもの

 隣りの空き地と我が家のさかいのブロックの上にヘビがいました。体が伸びた時に「フェンスの間隔7つ分だな」と覚えておき、カメラと物差しを取りに戻りました。
 フェンスの間隔7つ分で、77pでした。「何とか舌をだしたところをアップで撮りたい」と追いつづけましたが、するすると草むらの方へ降りてしまいました。
 八幡の駅に向かう途中、前から着た自転車にツバメがぶつかるのを見ました。
 地面すれすれに飛んできて、自転車のタイヤに当たり、飛んでいた姿勢のまま動かなくなりました。
 近寄って様子を見ると血も出ていないし、まもなく羽ばたいて飛び立ちました。
 「スポークのところじゃなくってよかったー」と思いました(未熟物め、心配したじゃないの)。 
   (M.Mさん)

 

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自然博物館の

博物館のめ


ミズキ科  ハ ナ イ カ ダ

ハナイカダの雄花と雌花の写真

ハナイカダが自生する雑木林の写真
雄花(左)と雌花(右)。
ハナイカダが自生する雑木林。
葉の上についた実の写真 市川市北部の地図
葉の上についた実。6月には見られる。
市北部に広く自生する。

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

・フクロウが今年も巣箱に入りました(3/10)。大きな穴の開いた巣箱の下のほうにうずくまっていて、フクロウには気の毒ですが辛抱強く粘れば園路からも双眼鏡で姿が見られると思います。

・シュンランが満開になりました(3/31)。ミズバショウもちょうど見頃です

      金子謙一(自然博物館)

 

・ツマキチョウを見ました(4/9)。春の今頃にだけ見られるチョウで、オスの翅の先端が黄色いのが特徴です。

      清野元之(自然博物館)


サンコウチョウを見ました(4/25)。シジュウカラのさえずりに混じって、聞きなれない綺麗な鳴声が聞こえました。

      宮橋美弥子(自然博物館)

◆大柏川付近より

・サクラの花が咲いていました(3/28)。川沿いのソメイヨシノが咲き始めました。

      小川晃(自然博物館)  

・コチドリを見ました(4/11)。リハビリパーク近くの大柏川沿いでよく響く声と姿を目撃しました。

      金子謙一

里見公園周辺より

・ウグイスカグラの花が咲いていました(3/16)。春早くに咲きだすピンク色の花です。

         宮橋美弥子  

 

 

・キクイタダキを見ました(3/8)。シジュウカラ、メジロ、コゲラと一緒に移動していました。

・アカハラのさえずりを聞きました(3/23)。

  ◆堀之内貝塚周辺より

    フクロウが2羽シラカシの木にとまっていました(3/16)。

  ◆小塚山公園周辺より

・ヤマガラを見ました(3/8)。気持ちよくさえずっていました。

                 以上 根本貴久さん(菅野在住)

   ◆須和田周辺より

・ウグイスの初鳴きを聞きました(3/13)。

       照内八重子さん(須和田在住)

   ◆国府台江戸川河川敷周辺より

・アリスイを見ました(3/16)。

 

・ヒレンジャクを見ました(3/30)。

・ユリカモメを見ました(4/12)。もう顔が黒くなっていました。


    以上 根本貴久さん

◎ 3月は春らしい周期低な天候でしたが4月に入ると雨がよく降りました。

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