自然博物館だより 89号

市立市川自然博物館 2003年12月1日発行

今年度の特集は、『長田谷津総合調査』の内容を紹介していきます。
 
第5回目は『長田谷津の動物(脊椎動物)』についてです。

新コーナー『自然博物館のめ』が始まりました。
 
生き物をいろいろなかくどから見ていきます。
 今回の生き物は
『ウシガエル』です。

     

 特集記事  街かど自然探訪  こんないきもの飼ってます
 くすのきのあるバス通りから  自然博物館のめ  わたしの観察ノート

 


長田谷津調査報告

特 集 
長田谷津の動物(脊椎動物)

 


 

長田谷津総合調査報告

   長田谷津で暮らす生物について考える場合に、大事なポイントがあります。
   それは、長田谷津を取り囲む周辺地域において都市化が激しく進行し、その中で、孤立した「孤島」のような状態で長田谷津に水と緑が残されている、ということです。
   今回は、そういった観点から、脊椎動物についてまとめてみました。

    

交錯する2タイプの哺乳類

 長田谷津で見られる哺乳類には、2つのタイプがあります。
 ○都市には適応できないタイプ  
   ジネズミ    アズマモグラ
   カヤネズミ   アカネズミ
   ノウサギ    イタチ
 ○都市に適応できるタイプ
   アブラコウモリ ドブネズミ 
   タヌキ     ハクビシン

  ※イヌ、ネコについては、長田谷津に完全に住み着き、自力で暮らしているものはいないが、散発的な出入りを繰り返している。
  このうち、中型の哺乳類について見ると、市内ではなかなか見られなくなったノウサギ、イタチと、ここ数年、住宅地にまで進出しているタヌキ、ハクビシンとがともに記録されています。激しい都市化によってすみかを追われたノウサギやイタチが長田谷津に辛うじて残り、一方、タヌキやハクビシンは長田谷津のような 場所を足掛かりにして、住宅地へと進出していったわけです。
長田谷津は、都市と里山の接点のよう な場所になっています。

ウサギの分布図 

 図1 ノウサギの分布(1986〜2002年)

 近年は、長田谷津一帯と柏井町に記録が集中している

 

 

 

ひと冬を過ごす野鳥たち

   鳥類では、長田谷津を冬越しの場とするタイプが種類、数とも圧倒的に多く、アオジやツグミ類などが多く見られます。一方、住み着いている中には、繁殖の場とする種類もあります。
   メジロ、シジュウカラ、エナガ、ホオジロや、巣箱でサポートしたフクロウも繁殖が確認されています。
   しかし、オオヨシキリのような渡り鳥(夏鳥)については繁殖は記録されていません。
 渡りの経路として利用する種類にはキビタキやムシクイ類、サンコウチョウなどがあります。
  サシバも8月下旬頃には十数羽の規模で姿を現し、谷津の上空を空高く帆翔します。

シジュウカラ( カタ )の 観察 カンサツ 記録 キロク
2000 ネン 1 2 3 4 5   6 7 8 9 10 11 12 ( ツキ
                                                 
ダイ シュウ  
 
ダイ シュウ  
 
ダイ シュウ  
 
ダイ シュウ  
 
ダイ シュウ  
 
サシバ( ワタ りの 経路 ケイロ カタ )の 観察 カンサツ 記録 キロク
2000 ネン 1 2 3 4 5   6 7 8 9 10 11 12 ( ツキ
                                                 
ダイ シュウ  
 
ダイ シュウ  
 
ダイ シュウ  
 
ダイ シュウ  
 
ダイ シュウ  
 
アオジ( 越冬 エットウ カタ )の 観察 カンサツ 記録 キロク
2000 ネン 1 2 3 4 5   6 7 8 9 10 11 12 ( ツキ
                                                 
ダイ シュウ  
 
ダイ シュウ  
 
ダイ シュウ  
 
ダイ シュウ  
 
ダイ シュウ  
 
◎: オオ られた  ○: 普通 フツウ られた  △: スコ られた   ・: 観察 カンサツ されなかった   ケツ ケツ ハカリ    
ソト 観察 カンサツ 区域 クイキ ソト られた
 図2 長田谷津で見られる鳥類のタイプ別の出現状況

   1年を過ごす「住み着き型」、渡りで通過する「渡りの経路型」 冬越しの場とする「越冬型」の3タイプについて示した。

 

 

 

両生類・爬虫類の重要な生息地 

  両生類や爬虫類は、水辺や湿地を中心に時には林でも暮らす生物です。
  都市化には弱く、町中で見られるのはウシガエルやミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)などの帰化種ばかりです。
   しかし長田谷津には、市内で見られる両生類・爬虫類の大半が生息しています。
  水辺と林が連続している谷津の環境が、絶好の生活場所となっているのです。
  都市化が進んだことで、長田谷津は下流の水系や周辺の緑地から切り離された状態にあります。
   しかし、この「孤島」のような場所でも、多くの両生類・爬虫類が世代を重ねて生息しています。
  谷津という環境をひとまとまりで残したことが、とても重要な意味を持っていました。

  ○爬虫類
        ミシシッピアカミミガメ
        クサガメ
       ニホントカゲ
       アオダイショウ
       シマヘビ 
       ジムグリ
        シロマダラ 
       ヒバカリ
       ヤマカガシ

 ○両生類
   アズマヒキガエル
   ニホンアマガエル
   ニホンアカガエル
   ウシガエル
   シュレーゲルアオガエル

 

 

 

閉じ込められた魚類

 両生類・爬虫類とは逆に、魚類は「孤島」のような状態であるために、ごく限られた種類しか生息していません。
  本来は江戸川や東京湾との水のつながりを生かして、さまざまな魚類が住み着いているはずです。
  このことは、ここ数年、東京湾のボラが真間川〜大柏川と逆上っていることからも想像できます。
  長田谷津−大柏川−真間川−江戸川・東京湾という水のつながりが回復すれば、現在よりも魚の種類、数ともに多くなると思われます。
  幸い、江戸川・東京湾は環境が改善し、多くの魚が住んでいます。大柏川や真間川の水質も向上してきました。さらに水質が向上し、また、魚が逆上りやすい川の構造になれば、ウナギやナマズなども逆上ってくると思われます。

長田谷津と江戸川と東京湾の図


       図3 長田谷津と江戸川・東京湾
江戸川から遡上?
 ウナギ
 ナマズ
 マルタ(マルタウグイ)
 オイカワ
 アユ
 テナガエビ
 モクズガニ


東京湾から遡上?
 ウナギ
 ボラ
 スズキ
 アユ
 マハゼ
 チチブ


いまの長田谷津の魚類
 スナヤツメ
 キンブナ
 モツゴ
 タモロコ
 ドジョウ
 ホトケドジョウ
 カダヤシ
 トウヨシノボリ
 コイ(放された)
 タナゴ類(放された)

 

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街角自然たんぽう

 オオワダ                                                     
 大和田・梨畑 タヌキのため糞 



タヌキのため糞の写真

  4年前のことです。兜橋周辺でタヌキの目撃情報があり、聞き込み調査をしていると、収穫の終わった梨畑にため糞があるとのことだったので、農家を訪ねてため糞を見せてもらいました。
  直径1mぐらいのため糞場で、その日の朝もタヌキが来ていたようで、新鮮な糞も残っていました。
  2匹のタヌキが使用しているらしいとのことでした。
 先日、同じ場所を訪ねて近所の方にお話をうかがったところ、5匹ぐらい見かけるようになったとのことです。

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博物館でこんないきもの飼ってます

 ウ シ ガ エ ル

ウシガエルの水槽の写真

 「うわっ、大きい!」という声が聞こえれば、ウシガエルの水槽前です。
  餌のアメリカザリガニの方が目立つので、ザリガニ水槽と思って覗くと、カエルがいます。いつも板の下で動かずじっとしているので、カエルの存在に最初は気づかず、驚くようです。ちなみに体長(鼻の先からお尻まで)を測ってみたら、約17pの雌でした。図鑑によると平均が16pぐらい、最大18p以上ですから、このカエルはウシガエルとしては、そこそこに大きいサイズといえるようです。

       

こんなふうに飼っています  

  
※ ※ ※ レイアウト ※ ※ ※  

・ 水 …………  鼻を水面に出して呼吸するので、水深は体が水をかぶるぐらいで良いのですが、ほかに魚も入れているため今は少し深くなっています。
 そのためいつもレンガに掴まっています。
 水替えは、週に数度半分ぐらいづつ、汲み置きをした水です。
・ 陸地 ………  ほとんど水中にいますが、時々陸にも上がるので、レンガの上に体より一回り大きいぐらいの板で陸を作ってあります。
・ その他 ……  エアーと濾過器を入れてあります。
  濾過器で取り除けない、大きな食べ残しの殻などは、水替えの時に水と一緒に吸い取ります。


※ ※ ※ 餌 ※ ※ ※  

・  カエルは生餌しか食べないので、餌の調達が大変です。
・ 夏は、アメリカザリガニを捕ってきて入れておきます。かなり大きなサイズでも食べてしまいます。
・ ザリガニが捕れない時は、動物園の鳥の餌用のドジョウをやりますが、こちらは小さめ(鉛筆ぐらいの太さ)の方がよく食べます。

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くすのきのある通りから アシダカグモ

アシダカグモの写真

 南向きのガラス窓と網戸の間に3センチぐらいのクモがいたので、息子と挟み撃ちにし、虫かごに入れました。
 蚊を餌にして小さなクモを飼っていた彼は「ヨコバイを餌に飼おう」と、「この大きさではそれでは足りないかもしれないから逃がす」と私。
 逃がす前に触ってみました。大変柔らかな触り心地でした。
 博物館の方によると、「アシダカグモの仲間でゴキブリを食べます。」とのことでした。
    (M.Mさん)

 

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自然博物館の

博物館のめ


アカガエル科  ウ シ ガ エ ル

ウシガエルの生態写真

ウシガエルの卵の写真
 警戒心が強く、あまり水から離れない。
卵は小さく、水に浮かぶ。  
ウシガエルのおたまじゃくしの写真 ウシガエルの市川市内の生息場所を示した図
 おたまじゃくしで冬を越す。
 市内全域で見られる。

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • アカバナが咲いていました(9/7)。湿地では、ハッカやニオイタデなどいろいろな野草が咲き出しました。
  • コブシの実が色づきました(10/5)。今年は実の付きがよく、果実が割れて鮮やかな橙色の実が目につきました。

       金子謙一(自然博物館)

  • ホシホウジャクを見ました(9/13)。昼間活動する蛾の仲間で、ツリフネソウの蜜を吸いに来ていました。

           清野元之(自然博物館)

  • アブラゼミがまだ鳴いていました(10/19)。冷夏の年は、秋遅くまで鳴くようです。

       宮橋美弥子(自然博物館)

  • オシドリのオスを見ました(10/30)。カルガモの群れに混じって悠々と泳いでいました。

           土居幸雄さん(大町在住)
       

◆柏井雑木林周辺より

  • タヌキを見ました(9/29)。夕方に1丁目の住宅から出て、山に入っていきました。 

大柏川周辺より

  • 武蔵野線高架下あたりでボラらしき魚の群れを見ました(10/27)。

    以上 吉田 毅さん(柏井町在住)

北方町4丁目周辺より

  • アオサギを見ました(9/14)。大きな木の上に10羽ほどでコロニーを作っていました。
  • タヌキの足跡を見ました(9/14)。

    以上 山下幸治さん(南大野在住)

  ◆北国分周辺より

  • セミの鳴き止んだ日を記録しました。
    ミンミンゼミ(9/17)。  アブラゼミ(10/2)。  ツクツクボウシ(10/3)。

           中村一郎さん(北国分在住)
  ◆堀之内貝塚周辺より
  • サンコウチョウを見ました(9/15)。 シジュウカラとコゲラの群れに混じっていました。 
  • トラツグミを初認しました(10/5)。
  ◆じゅん菜池公園より
  • ハシビロガモ、オナガガモを初認しました(9/28)。

     以上 根本貴久さん(菅野在住)
  ◆江戸川河川敷周辺より
  • ミズアオイの花が咲いていました(9/ 30)。大洲のビオトープの水面に青紫 色の花がたくさん咲いていました。

          藤田柳子さん(東大和田在住)
◎ 9月中旬までは、真夏を思わせる暑さ が続きましたが、その後急に冷え込み、 一気に秋らしくなりました。

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