市川自然博物館だより 通巻91号

市立市川自然博物館 2004年4月1日発行

     

 特集記事  街かど自然探訪  こんないきもの飼ってます
 くすのきのあるバス通りから  自然博物館のめ  わたしの観察ノート

 


 

特 集
 
 ボーリング試料を見る

 


 

  今年度の特集では、毎回様々な分野の自然の話題を取り上げます。
  第T回は、地層を探る方法のひとつとして、ボーリング試料の見方について紹介します。
  ボーリングの調査ではどのような事を知ることができるのでしょうか。
 試料を活用すれば、いろいろなことがわかってきます。

    

調査の方法
 学校やマンションなどの大きな建物を建てる時に、ボーリング調査は行われます。
 硬い地層などについての情報を得るためです。ボーリング調査の良い点は、大きな穴を掘らなくても、地下深くの様子を知ることができる点です。
 工事が始まる前に、やぐらを立てて調査をしているのを見ることがありますが、どのような作業をしているのでしょうか。
 調査方法の原理を簡単に説明します。
 たとえば、プリンにストローをまっすぐに突き立てると、ストローの中にはプリンが詰まります。
 そっと持ち上げて取り出せば、上下が入れ替わることなく順序とおりにプリンの層が得られます。これが「柱状試料」です。
 同じ穴に深く突き刺せば、より下の試料を取ることができます。
 そしてストローが太くなり、固いものを突き刺すための先端部分や長い管を動かす装置などが工夫されているものが、実際の機械になるわけです。
 ただし 試料を採取できるのは先端の部分だけな ので、一度に数10〜100p程の試料しか採取できません。
 ですから同じ穴から何 回かに分けて採取された試料をつなぎ合 わせて、一本の柱状試料とします。
 ふつう工事現場には入ることができな いので、私たちが見ることができるのは サンプルとして残された物になります。
  ボーリングで得られた土を観察して記録 した土質柱状図と、土の標本が入ったビ ンのセットが、丈夫な箱の中に収められています。
 この箱は、工事が終わった後 も、依頼主やマンションの管理組合など、また学校では理科の教材として保管されていることが多いようです。
サル山を作る時のボーリング試料
△動物園のサル山を作る時に行われたボーリングの試料。
 次ページからも、同じ試料を使用している。

 

土質柱状図

土質柱状図の拡大写真
 

 土質柱状図は柱状試料を図示したもので、調査の目的によって多少異なりますが、上図のような項目が記されています。
 土は、地面の中では通常湿った状態にあります。時間が経つと乾いて、色や硬さなどが特に変わってしまうため、掘り上げたその場で細かく観察、記録がなされます。
 深度は、採取を始めた地表の高さを0mとして、そこからの距離なので、深度と標高は異なった値になるのが普通です。
 層厚は、それぞれの層の厚みで、下の層との境に書かれた数字になります。 
 標準貫入試験では、地層の硬さを調べて通常N値という値で表し、数字が大きいほど硬くなります。建物を建てる時は、土台の杭を支えられる、硬い地層が深度何mにあるかを知ることが重要です。
 目安はN値=50なので、右のグラフでは、最大の目盛が50になっています。
 土質柱状図の優れた利用価値は、他の場所で行われたボーリング調査の結果と比較、検討できる点です。
 一回のボーリング調査は、広い地域の中の小さな点にすぎず、それだけでは地層の広がりやつながりを知ることはできません。
 たくさんの場所で行われた柱状図を持ち寄れば、広い面積の地下の情報を得ることができます。
 例えば地震などの防災計画を立てる時に、柔らかい地層の分布を調べて、被害想定図を作成することができます。

△土質柱状図に記載されている項目の一例
土質柱状図
△実際の図の大きさは30×66p(30%に縮小)
 全体の構成や雰囲気などを見て欲しい

 

 

土の標本

 採取した試料は、直径は数pでも、長さが何十mに及ぶときもあり、とても全部を取っておくことはできません。
 通常は、土の性質が変わるごとに、保存用のビンの長さ分だけ切り取って、密閉しておきます。
 どの場所から採ったかは、土質柱状図に図示します。
 地層は崖でも見ることができますが、市川周辺ではせいぜい厚さ十数m分しか見ることができません。
 ボーリング調査では、数十m地下にある土を手にとって見ることができます。
 土質柱状図の記載と合わせて観察すると、言葉だけではわからない粒の大きさや種類などを知ることができます。
 同じ「貝殻混じり細砂」という表現でも、貝殻の量や種類、壊れ方、砂の色や粒の違いを実物で比較することができます。
 また土の中に含まれる細かな物質(貝殻、珪藻などのプランクトンの死骸、植物の花粉など)を取り出して調べると、その土が堆積したときの周辺の環境を知る手がかりになります。
土の標本
△土の標本

 

 

 

動物園・サル山の地下

   自然博物館では、動物園施設の建設のために行われたボーリングの試料を保管しています。サル山建設の際に行われた試料について見てみましょう。
 土質柱状図を見ると、標高+25.47mになっています。台地の上、市川市内としては比較的高い場所ということです。表土の下には、関東ローム層、火山灰質粘土が深度6.50mまであり、そこから下は砂を主体とした層が続いています。崖で見られるのは厚さ10m程度なので、この標本のうちの砂の層の一部までが見えていることになります。
 土質名が「火山灰質粘土」と書かれている層は、色調や記事の欄に書かれていること、標本の土が小さなブロック状に固まっていることなどの観察から、関東ローム層の中の下末吉ロームと判断できます。その下は、書かれている事に加えて台地の地下であることから、成田層と呼ばれる連続した砂層と判断できます。 深度22.90〜24.40mには、貝殻混じりの細砂の層があります。貝殻はほとんどが数mm程度の大きさです。本当は、欠けていない貝殻をたくさん含む層なのに、ボーリングの時に砕かれてしまったのかも知れませんが、この試料だけでは判断できません。また見た目はさらさらに見えますが、硬さの指標のN値は50以上で、実際に標本に触って見ると、しっかりと固まっています。
 この調査は、深度42.43mまでです。N値が50の層は、深度約20〜24mにありましたが、その下は柔らかい地層になっていて、再び38m付近から下に固い層が連続し始めたために、調査を終えたと考えられます。

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街角自然たんぽう

              おにごえ                                                     
 鬼越・神明神社の境内


  国道14号線から京成鬼越駅に向って歩いていくと、道は最初上り坂になり、駅を越えて、税務署へ向うと下り坂になっていることをご存知ですか? この地域は、市川砂洲と言って、以前海だった場所に砂がたまってできた地形です。京成の線路を頂点として、北と南にゆるやかな坂が形成されています。神明神社は、敷地全体が、さらさらの砂になっているために、根元が露出してしまっている松の木があったりして、昔の周辺の土地の様子がうかがうことができます。

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博物館でこんないきもの飼ってます

 小 さ い カ エ ル

小さいアカガエルの写真

 カエルになったばかりの頃に食べられる獲物は、小さな昆虫などです。この季節に草むらに行くとアブラムシをたくさん捕まえられますが、少したつと少し大きな昆虫が増えてきます。餌に合わせてカエルも大きくしないと餌集めに苦労することになるので、毎日たっぷり餌をやれるように、いくつか餌採り場を見つけておいて回ります。兄弟カエルでも成長はまちまちなので、飼えそうにない小さめのカエルは、早めに逃がします。
...小さいカエルは、かなり大変です。

       

こんなふうに飼っています  

  
※ ※ ※ レイアウト ※ ※ ※  

・ 陸地 ……  小さなカエルは泳ぐのが下手なので、陸地の面積を広くします。
 床は、餌を入れると食べ残しや糞で結構汚れるので、新聞紙を敷いて、簡単に掃除ができるようにしています。
 湿度を保つために、びしょびしょになるぐらい湿らせます。
・ 水場 ……  体を洗います。カエルが上り下りできるような浅い容器に、楽に顔 を出せるぐらいの深さの水を入れます。
 容器の表面がつるつるだと、坂になっていても上れないときがあります。


※ ※ ※ 餌 ※ ※ ※  

・ とにかく口に入る大きさの物を探します例えば

   
セイタカアワダチソウに付くアブラムシ
      集まってたくさん付くので便利。枝を切るときに大きいアブラムシは
     落ちて逃げるので、袋に入れて持って帰ります。枝ごと入れます。

   
小さなハエの仲間
      芝生などの草丈の低い草むらにいます。目の細かい昆虫網ですくうよ
     うにすると捕まえる事ができます。

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 2月10日朝8時頃、娘の小学校の登校指導(緑のおばさん)をしていました。
  ハトが頭上を旋回していました。ハトがいなくなった後もぐるぐる回っていた鳥がいました。
 尾の形でトンビだとわかりました。博物館の人によると市川でトンビが見られるのはめずらしいそうです。市川は海に面しているので、トンビが来たと思っていましたが、まれな事だったのですね。
 八幡6丁目のバス停のそばをカエルが 歩いていました。その傍らの庭には、池があります。気を利かして、フェンスの間から入れてやりました。
 春ですね。桜の開花宣言がでたと思っていたら、寒くなったり、雨が多くなったりで、すんなり暖かくなりませんね。
 庭の野菜の芽の様子を見に行って、ビックリ。耕した周りに茶碗状のキノコがゾクゾク生えています。昨日はなかったのに、一夜にしてこんなにたくさんでたのですね。            (M.M. )

 

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自然博物館の

博物館のめ


スミレ科  タチツボスミレ

タチツボスミレの写真

タチツボスミレの花の断面
 薄紫色の花とハート形の葉が特徴。 花の断面。奥深く複雑な構造をしている。
タチツボスミレの咲いている風景 タチツボスミレの分布図
 木々の芽吹きに先駆けて林下で咲く。
 市内の林で普通に見られる。

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • ミソサザイを見ました(1/5)。コブシの大木の側の湧き水のところにいました。
  • ニホンアカガエルが産卵していました(1/26)。すでに産卵は始まっていて、卵塊を7個見つけましたが、1つはすでにオタマジャクシになっていました。
  • フクロウが巣箱に来ていました(2/9)。1月中旬に新しい巣箱にしたら、入り口にいくつも傷が付いたので、夜に様子をうかがいに来てるようです。 

       金子謙一(自然博物館)

  • フキノトウが開いていました(2/6)。周辺には、まだ開いていないフキノトウがたくさん出ていました。

       小川 晃(自然博物館)

  • ウグイスのさえずりが聞こえました(2/20)。鳴き始めはたどたどしいのが普通ですが、とても上手でした。
  • 日当たりのよい枝先で、コブシが開花していました(2/27)。ここ数日4月頃の気温が続いたためか、ニワトコも芽吹いていて、春の兆しを感じました。

       宮橋美弥子(自然博物館)

大野町2丁目周辺より

  • 11月には11個あったモズのはやにえは、病院側の有刺鉄線に1ヶ刺さっている
    だけでした(1/12)。

       介川武夫さん(曽谷在住)

◆柏井雑木林周辺より

  • アカゲラを見ました(1/18)。きれいな羽の色まで見え堪能できました。

       宮橋美弥子
  • キイロスズメバチの女王が越冬していました(1/28)。

       清野元之(自然博物館)

堀之内貝塚周辺より

  • ホソミオツネントンボを見ました(2/ 22)。考古学博物館に行く途中の林の枝にとまっていました。

      秋元裕事さん(江戸川区在住)

  ◆小塚山公園より

  • ルリビタキ♀を見ました(2/28)。

  ◆じゅん菜池公園より

  • アメリカヒドリが1羽いました(2/21)。

     以上 根本貴久さん(菅野在住)
  ◆江戸川河川敷周辺より
  • ホトケノザが咲いていました(2/13)。堤防には、オオイヌノフグリ、タンポポなども咲いていました。

        金子謙一
  ◆江戸川放水路より
  • 干潟でヤマトオサガニなどのカニを見ました(2/22)。気温が18℃近くまで上がった暖かい日でした。

        宮橋美弥子
◎ 1月は、寒い日が続きましたが、2月に入ると記録的な暖かさでした。

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