自然博物館だより 10・11月号

市立市川自然博物館 2004年10月1日発行

     

 特集記事  街かど自然探訪  こんないきもの飼ってます
 くすのきのあるバス通りから  自然博物館のめ  わたしの観察ノート

 


 

特 集
 いちかわ 坂めぐり  

 


 

 地形の勉強をしよう! と地形図をながめても、何か難しい感じがします。
 地形は、普段の生活とはあまり関係ないことのように思われがちです。
 今回は市川の地形の特徴を、身近な坂を通して見てゆきます。
 身の周りから、興味を広げてください。

    

坂のある町 坂の無い町
 市川市の地形は大きく、北部の台地と南部の低地に分けることができます。
 低地は、おもにJR総武線より南の、原木や行徳などの地域で、標高は0〜2mぐらいです。
 ゆるい上りはあっても、自転車を降りて押すほどの坂はありません。
 それに比べて、北部の地域は坂だらけです。
 台地の上の面とその間の低地との差は10m以上もあり、急な坂や崖によってつながっています。
 市川は、数千年前の縄文時代に、低地が海だった時代がありました。
 崖や坂のおおもとの形は、この時代に陸と海との境が波によって削られてできたと考えられています。
 台地は横から見ると、文字通り上の面が平らな台形をした土地です。 一度坂を上ってしまえば、後は比較的平らな土地が広がっているのですが、台地を刻み込むように入った谷津があるために、急な坂があちこちに見られます。
 市川の中部には、標高が2〜4m、高いところでは6〜8m程の、東西に長く広がる砂地の土地があり、市川砂州と呼ばれています。
 地形図には載らないような高低差ですが、歩いたり自転車をこいでいる時には、十分に坂と感じられます。
 京成線は、砂州のちょうど尾根筋を走っているので、線路をはさむようにして、坂が南北にあります。
市川の地形図

 ○付き数字は、本文で紹介している場所

 

 

 

@ 低地から台地へと上る坂

 標高差にして十数mを一気に上りますから、ほとんどの自転車は押して上るような急な坂です。
 車が通るような大きな道では、切通し道にして、勾配を緩くしています。
 人が上るような細い坂は、崖に張り付くようなつづれ坂です。
 神社やお寺はまっすぐな階段で、上りきった先にお社があります。
 道が造れないような崖も多いので、台地の上と下をつなぐ坂は、昔から交通の要所でした。
宮久保坂下の写真
観察ポイント
・宮久保 バス停
  「宮久保坂下」(写真)「宮久保坂上」付近
・国府台 バス停
  「真間山下」「和洋女子大学」付近

 

 

 

 

A 谷津を横切る坂

 谷津は、水の流れによって台地に刻まれた、細長い谷です。
 ですから、水の流れに沿って行けば、あまり高低差はありませんが、台地から台地へと横切る時には、急な坂を下りてすぐにまた上ることになります。
 谷幅が狭いのも地形の特徴で、幅が数十mしかないような所では、U字型に近い断面をしています。

梨風苑付近の写真

観察ポイント
・中国分 バス停
      「じゅん菜池」付近
・大野町2丁目 バス停
      「梨風苑」付近(写真)

 

 

 

B 江戸川に面した坂

 国府台の台地は、千葉県北部に広がる下総台地の西の端にあたります。
 ここから西側に東京の下町低地が始まり、本来ならば上野付近まで視界をさえぎるような高い土地はありません。
 里見公園下では、蛇行した江戸川の流れが崖下すぐまで接近していて、河川敷も発達していません。そのために、切通しの坂道を下ると、急に視界が開け、広々とした川面の先に、東京の町が広がります。

羅漢の井から江戸川を望む写真

観察ポイント
・国府台 里見公園正門から「羅漢の井」前を通っ
     て江戸川に至る道(写真)

 

 

 

C 市川砂州の坂

 京成の線路を頂点として南北に、上り下りがそれほど苦にならないぐらいの、緩やかな坂があります。
 それでも踏み切り付近から南側を眺めると、坂の終わりぐらいにあるJRの高架線が、ほぼ目線の高さですから、人の背丈ぐらいの差はあることになります。
 国道14号線を越えると、坂は幾分急になります。この坂の断面は、三角形ではなくて、かまぼこのような、つぶれた半円に近いようです。
京成八幡の駅から国道14号に向かう写真
観察ポイント
・八幡 京成線「京成八幡駅」上野側踏み切りから
    国道14号線の方向を見る(写真)

 

 

 

D 市川砂州の砂丘の坂

 市川砂州には、砂が吹き寄せられてできたと考えられる砂丘もあります。
 京成線鬼越駅の東側、線路と国道14号線に挟まれた100mほどの幅の間に、1階の屋根の高さぐらいの上り下りがあります。
 中山法華経寺の西側も小高くなっています。
 こちらは台地の縁に砂が吹き寄せられてできた砂丘です。
 境内の土は関東ローム層の赤土ですが、安房神社や祐師山付近は、サラサラの砂地になっています。

高石神神社西側へ向かう道の写真

観察ポイント
・鬼越 京成線「鬼越駅」南側、京成線から
     高石神社西側へ向かう道(写真)

・中山 法華経寺山門手前を西に向かい
    安房神社に行き当たりその付近が祐師山

 

 

 

E 坂のない町(行徳の町)

 坂のない町でも、わずかな土地の高低差はあります。
 旧江戸川沿いには、川が運んできた土砂によって造られた、周辺よりわずかに高い土地(自然堤防)があります。
 昔の人はこのような場所を選んで、そこに家や街道(行徳街道)を造りました。
 昭和の初め頃までの地図を見ると、そのことがよく分かりますが、現在は住宅にびっしりと覆われて区別がつきません。

新行徳橋から見た行徳の風景写真

観察ポイント
・河原 新行徳橋(写真)や湾岸線市川大
    橋の上から眺める。

 

 

 

 

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街角自然たんぽう

かしわいまち
柏井町・リハビリパーク(保険医療福祉センター)〜天満神社
柏井町リハビリパークの裏道の写真  リハビリパークから天満神社までの道は、車両も少なく、ゆっくり散策を楽しむにはよい場所です。
 リハビリパークの裏側の道を南に向かって歩いていくと市民農園や畑があり、視界が広がります。
 大柏川まで見通せる平地です。
 もう少し歩くと天満神社のお宮があり、大きな椎の木が数本生えいます。
 境内に入ると、ちょっと地面が湿っていることに気づきます。
 柏井の台地から、湧水がしみ出てきているのでしょうか?

 

 

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博物館でこんないきもの飼ってます

 イソギンポ科  イダテンギンポ

イダテンギンポの写真

 水槽の中では、いだてん走りというわけには行きませんが、カキ殻のすき間をするりと抜けて、機敏に泳ぎます。
 同じ3匹を、博物館で5年以上飼育しているのでよく慣れていて、多少水槽を叩かれてもあまり驚きません。
 夕方、餌をもらえる事も覚えていて、展示用の照明を消すと水面近くに上がってきます。
 3匹の中では上下関係が決まっているようで、いつも同じ魚が広いカキ殻の隠れ場所、餌は一番に採りに来ます。
 長く飼うと、魚も個性が見えてきておもしろいです。

       

こんなふうに飼っています  

  
※ ※ ※ レイアウト ※ ※ ※  

・ 水 ……  海水です。
 水分が蒸発すると、海水の濃度が変わってしまうのでまめに水を足します。
 縁に付いた塩は、中に落とします。
 水替えは、様子を見ながら、臭くなったり濁ってきたら換えます。
・ 隠れ家 …  カキ殻や植木鉢のかけらを組み合わせて、すき間をつくります。
 あまり上手につくると、隠れてばかりで姿が見えなくなります。
・ ふ た …  必ずします。魚が飛び出す可能性は低いですが、海水の飛沫と蒸発防止になります。
・ ろ過器 …  フィルターとエアーが一体になったものを入れてあります。
 フィルターのスポンジは、まめに洗います。


※ ※ ※ 餌 ※ ※ ※  

 肉食なので、乾燥エビの粉などをやっています。
 ブラインシュリンプの生状の練 餌は、よく食べました。
 魚の切り身など、けっこう何でも食べます。 

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くすのきのある通りから 今回の観察は カラスビシャクが咲きました。

 家の庭で、カラスビシャクが咲きました。
 草取りで見逃されたものが育って咲いたようです。
 しょっちゅう草取りをしても、葉がよく出てきます。
 引っこ抜くと根の上のほうに、むかごのような物がついていました。
 花が咲いた株の葉の下にも、小さなむかごができているので、これがあちこちに散らばって増え、しぶとく生えてくるようです。
  「カラスの柄杓」という名前にしてはか細いような気がします。           (M.M. )

カラスビシャクの花の写真

 

 

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自然博物館の

博物館のめ


キリギリス科  ク ツ ワ ム シ

 大きな羽が目立つクツワムシ。 前足の折れ曲がり部分のすぐ下に長円形の耳がある。
 林のそばのクズの多い草原にすむ。  市内での生息場所は限られている。

 

 

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わたしの観察ノート 


◆大町公園より

  • タマムシを見ました(7/20)。記録的な猛暑となった日の日中に、体を輝かせながら飛び回っていました。
  • オニヤンマが交尾姿勢をしている姿が目に付くようになりました(7/25)。
  • キツネノカミソリの花を見ました(8/9)。長田谷津では、初めて見ました。

    以上 金子謙一(自然博物館)
  • ヘイケボタルが明滅しながら飛んでいました(8/4)。今年は例年に比べて、多く見られました。
  • アオマツムシが鳴きはじめました(8/4)。

    以上  小川 晃(自然博物館)
  • オオミズアオを見ました(8/6)。まだ羽化したばかりで、鮮やかな黄緑色の翅でした。

             清野元之(自然博物館)

県立市川北高校周辺より

  • アアマサギを見ました(7/19)。青々とした稲田の陰に、亜麻色の首をしたサギがたたずんでいました。  

柏井雑木林周辺より

  • サシバの鳴き声が聞こえました(6/2)。ピックィーと、何度も船橋側の斜面林から聞こえました。もう、南への渡りを始めたのでしょうか?

    以上 金子謙一  

◆里見公園周辺より

  • アオバズクを見ました(7/3)。近くで騒いでいるハシブトガラスに反応して体を動かしていました。

小塚山公園周辺より

  • サシバが2羽旋回していました(8/8)。

堀之内貝塚周辺より

  • フクロウを見ました(7/25)。エノキにとまり、しきりに羽づくろいをしていました。

    以上 根本貴久さん(菅野在住)

  ◆じゅん菜池緑地周辺より

  • カラカサダケが生えていました(8/8)。40〜50cmの大柄なキノコで見事でした。

  ◆中国分周辺より

  • ツクツクボウシが多く発生しています(8/8)。

    以上 道下誠さん(中国分在住)

  ◆曽谷周辺より

  • キツネノカミソリが満開でした(8/25)。

        介川武夫さん(曽谷在住)

  ◆江戸川周辺より

  • ヒヌマイトトンボを見ました(7/13)。昔ながらの場所で1頭、新たに造成したヨシ原で6頭を確認しました。

        金子謙一
◎ 7月13日に梅雨明けしましたが空梅雨で、記録的な猛暑が続きました。

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